DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
街に戻ってきてから、悪魔との戦闘回数が多くなってきている。
俺は冬夜やオーガさんなどが所属する遊撃部隊として動き、街の中を暴れまわるデーモンを撃退している。
デビルマンに変身し、ワニの姿をしたデーモンの上下の口を掴んでは横に真っ二つに千切っては道端に放り投げる。
敵のデーモンの数は多く、デビルマン・ニクスに変身した冬夜が無限に出てくる氷柱を連射する。
「オーロラガトリング・マニフィカート!!」
氷柱が敵の身体を貫通させていく中で、オーガも本来の姿に戻って爪を立ててはムカデのデーモンの身体を削り取る。
<ったくよぉ!!いくら殺しても切りがねぇぜ!!>
「弱音を言ってても始まらない!!俺が先行するから、冬夜とオーガさんは残りの雑魚を片づけてくれ!!」
このままだと消耗戦になるだけだ。
数も10や20じゃない。
今なら使えるはずだ。
ベルトに意識を集中し、中央のマークを回転させる。
マークが白と黒の螺旋状になり、身体が一回り大きくなると共に四肢が漆黒になり身体の至る所に黒い線が入る。
「ゼロフォーム……!!」
この時の俺は理性と衝動が均等になる。
力が湧き上がると同時に、それに振り回されないようにしなければならない。
デーモンの群れに向けてマスクの口を開き、そのまま白と黒の入り混じった炎を放射した。
「
光線が直撃したデーモンどもは悲鳴をあげるまでもなく消滅していく。
力は制御し、街には被害を出していない。
しかし、その影響で全てのデーモンを撃破することはできなかった。
技を使うと一瞬のタイムラグが起こる。
そんなことは関係なく、残りのデーモンが襲いかかってくる。
<アイツヲ殺セバ、名ガ売レルゼー!!!>
鷹の姿をしたデーモンを筆頭に動きが遅れる俺に向かって突撃を仕掛けてくる。
冬夜やオーガさんがフォローに回ってくれるが、それをかいくぐって迫るデーモンども。
それを右腕で薙ぎ払うが、すぐに次の雑魚が群がってくる。
次の技を出すには、力を溜めている余裕がない。
四方から囲まれて一斉に襲われそうになった瞬間。
デーモンの群れが一瞬で赤白く燃えてしまい、灰となって消えていく。
炎を見て最初に浮かんだのは白藤だ。
だけど、闇の帝王の炎は漆黒だった。
ならば、この炎は一体……。
冬夜とオーガさんが歩み寄ってきては俺を心配してくれた。
「おいおい、明人、大丈夫かよ?」
<いきなり飛ばし過ぎだぜ。もうちょっと考えてからやれよな>
「2人とも……悪いな、少しバカだった」
2人に声をかけながらも周りを見渡せば、ビルの上に見覚えのある白い羽が視界に入っては両翼をはためかせて空を飛んでいく。
何も言わず、すぐに翼を広げて追いかける。
地上から「どうしたんだよ!?」と言う声が聞こえたが、それに反応している余裕はない。
「待て!!おまえはっ……!!」
ビルからビルに飛んでいく影は、翼をはためかせながら離れていく。
「逃げるな!!おまえは一体、何者だ!?」
炎を使う悪魔。
それだけで執着心を抱いている自分が居る。
白藤の不敵な笑みが頭をよぎる。
語り掛け続けていると、その影はビルの屋上で止まって振り向いた。
ビルの上に着地し、俺はその女戦士を見つめた。
「おまえは……デビルマン・シレーヌ!?」
「フフッ。お久しぶりね、内海明人……今はデビルマン・ゼロと名乗っていたかしら」
デビルマンの力を得た当初に相対した女戦士。
その強さは今でも覚えている。
「今まで何をしていた?おまえもデビルマンなら、まさか……」
「デビルマン軍団とか言う組織のことなら、私は無関係よ。だけど、他にも似たような組織は存在している。その中に、あなたを求めている組織があることも……また事実」
「……どういうことだ?」
「真実を知りたかったら……力づくで吐かせてみたら!?」
シレーヌは狂気の表情を浮かべては俺に右腕に向かって腕を振るい、それを左腕で受け止める。
「へぇ~~、流石に少しはできるようになっているみたいね。安心だわ」
「おまえのお遊びに付き合っている時間はない。すぐに終わらせてもらうぜ‼」
2人同時に翼をはためかせて空中に飛翔し、俺は両腕から刃を展開してはシレーヌの強靭な爪と何度も衝突させる。
「この力を得てから、強敵と呼べる者と出会うことは無かった‼デビルマン軍団と戦うも肩透かし‼やっぱり、あなたとの戦いが忘れられないのよ‼」
「迷惑極まりない告白だな、こらぁ‼」
ゼロフォームを維持したまま戦うには、体力を消耗し過ぎた。
今出せる力は4割程度。
それでシレーヌを倒すことができるのか。
いや、前世でのシレーヌ戦の記憶は残っている。
それを基に戦い方を練れば…‼
両腕に意識を集中させれば刃が回転し、シレーヌに向けて竜巻を飛ばす。
「
「
炎をまとわせ、右腕を飛ばすシレーヌ。
力は互角であり、竜巻は消滅しては迫る爪を掴んで受け止め、そのまま勢いをつけて投げ返した。
右腕は元の場所に戻り、両手で衝撃波を飛ばしてきた。
それを両手を重ねて防御する。
しかし、シレーヌは続けて衝撃波を飛ばしてきた。
「シレーヌの衝撃波‼デビルマン・ゼロと言えど、何度も受け止められるか!?」
「嘗めんじゃねぇ‼」
漆黒の翼を展開し、防御しながらシレーヌに鋭い刃の羽根を飛ばす。
『
羽根は衝撃波を貫通してシレーヌに迫る。
無数の羽根を回避することに気を取られ、その先に回っていた俺と対面しては目を見開いた。
その時には既に、右拳に念動力を集中させていた。
「喰らえ……
腹部に直撃させ、都市部から離れた森まで飛んでいくシレーヌ。
「ぎゃぁあああああ‼‼」
あのシレーヌがこのまま倒れるとは思えない。
空中から森に降下し、気配を探る。
森の中……シレーヌ……デジャヴだぜ。
最悪なケースとしては、前世界のように他のデーモンが増援に来ることだが……。
警戒しながら辺りを見渡していると、背後から熱気を感じて振り向いた。
その熱気の正体は、巨大な火の球だった。
「んなっ!?」
「喰らえ、ゼロ‼シレーヌの超高熱のファイアーボールを‼」
火の球が直撃し、身体が炎に包まれる。
しかし、それで倒れるデビルマン・ゼロではない。
「この程度の炎など……あいつの黒炎に比べればぁああ‼‼」
レクスのことを思い出し、覇気だけで炎を消しとばす。
それを見てシレーヌは「バカな!?」と驚くが、それが隙を生んだ。
俺はシレーヌに迫り、その身体の至る所に拳による打撃を何度も繰り出した。
「がはっ!うぐっ!ぎはぁ‼あがぁはっ‼」
最後に渾身の力を入れて顔面を殴って樹まで飛ばせば、シレーヌの変身が解除されて如月ツバサの姿に戻る。
その姿は全裸であり、まだ膝立ちになりながらも戦意はまだ失われていない。
「流石は噂に名高いデビルマン・ゼロ。相当強くなったみたいね。やっぱり、あなたは私と同じ……いや、それ以上の悪魔だわ」
「俺は悪魔じゃない、デビルマンだ。大切な者を守るために戦う戦士。おまえだって……」
「いいや、私はおまえとは違って自分が悪魔だと自覚している。悪魔としての衝動に従い、戦うことを至高の悦びとしている。……それは、おまえとて同じはずだ。内海明人」
ゼロフォームの限界時間になり、変身解除で人間の姿に戻れば、俺は怒りの形相で否定する。
「違う‼俺は悪魔の衝動に駆られたことなど、1度たりとも無い‼」
「だったら、何故おまえはあの惨劇を起こしたのだろうな?」
「っ!?」
ゼロの力を暴走させた時のことを言っているのだろう。
あの時は、あらゆる憎しみや怒りに飲まれてしまった。
あれを悪魔の衝動と言うんであれば、俺は……。
ツバサは立ち上がり、俺に近づきながら言葉を続ける。
「おまえは戦いを楽しんでいる。今、戦ってわかったことだ。そして、それは悪魔の本能。その欲望のままに生き、思うがままに生きるのが悪魔の性だ」
立ち尽くしている俺の手を取り、自身の豊満な胸に押し付けるツバサ。
その感触は、美佐樹のものとそう変わらない。
「おまえは私に勝った。ならば、私の身体を好きにしても良いのだぞ?」
「ふ、ふざけるな‼」
振り払おうとするも、力強く押し付けられているために不可能だった。
「遠慮するな。戦いの後は性欲が高まる。だからこそ、おまえはあの人間の娘を吐け口にしているのだろう?」
こいつ、美佐樹のことを知っているのか!?
俺の衝撃を察してか、ツバサはズボン越しに股間を触ってくる。
「ほぉら、触っただけでわかるぞ?この今反り立っているモノを、何度も何度も娘に突きさしていた。それもまた、悪魔の衝動に従っての行動だ」
「やめろっ…‼俺は美佐樹を愛している。悪魔の衝動で動いていたわけじゃない‼」
強く否定すれば、ツバサは妖艶な笑みを浮かべながら唇を重ねてきた。
「んっ!?」
「んぅ……んっちゅ、はむっ……んんっ」
流れるように舌を入れられ、ディープキスをしてくる彼女に怒りを覚え、力ずくで引きはがした。
「何をする!?」
「おまえの性欲を刺激したのさ。どうだ?私を犯したくなったか?」
「馬鹿馬鹿しい。俺は美佐樹を裏切るつもりはねぇぜ」
拒絶すれば、ツバサは目を細めて睨んでくる。
「超人となりながらも、それほどの力を手にしながらもただの人間の娘を取るか。しかし、その娘をおまえの手で殺さないとも限らないのだぞ?」
「……何をバカげたことを!?」
「バカげている?そうでもないさ。おまえは悪魔であり、娘は人間。おまえが何時、人間の雌の肉を欲するかもわかったものではない」
「そんな日は来ない。俺は美佐樹を守り続ける」
互いに睨み合いながら沈黙を貫いていると、ツバサは背中を向けては再度変身して翼を広げた。
「その妄言は何時まで続くか。あの娘を殺せば、おまえの目も覚めるかな?」
「そんなことはさせない。美佐樹に手を出せば、俺は容赦なくおまえを殺す‼」
最後に横顔を向けて嘲笑するような笑みを向けるシレーヌ。
「おまえの先程の問いに答えてやろう。私はある組織に入っており、それはデビルマン軍団を名乗っている。そして、そのデビルマン軍団の方は、おまえを探しているようだ」
それを言い残し、シレーヌは空を飛んで月夜の闇に消えていった。
追いかけようにも、俺の方はもうゼロフォームの後で変身できない。
シレーヌ……如月ツバサ。
あの女もまた、俺とは相いれない存在だ。
シレーヌを再登場させました。
明人(デビルマン・ゼロ)がマウントを取ってましたが、精神面では彼女の方が上でしたね。
さて、ツバサの残した情報によって、何が起きることやら。