「学内でも、内部生は固まって行動するんだ。おまけにうちは、附属校がいくつもあるんだけど、彼らは彼らで出身校別にグループを作っている。それだけでも問題なのに、彼らは普段から仲が悪くて、お互いがお互いを見下している」
「ああ、それなんかわかる気がします……」
彼の言葉を受けて、私も相づちを打った。
「私も女子校出身者ですけど、女子校って所属するグループが違うと、お互いに陰口を叩いていましたね。とにかく陰湿で陰湿で……」
私ははーっと、ため息をついた。
「精神的に滅入ってきませんか?」彼が同情する口調で応じる。
「私の学校は、高校からの外部入学がない一貫校だったんです。だから一度ハブられると悲惨だから、みんなそうならないよううまく立ち回っていましたね」
私はその後も、母校の悪口を延々と続けた。このとき、普段よりもアルコールを多く口にしていたから、ついつい気が緩んだのだろう。
「そんなに女子校が嫌だったら、共学の大学にすればよかったのに、なぜまた女子大なんかに?」
彼が質問してきた。
「私、大学は推薦だったんです。本当は共学の大学に行きたかったんですが、親が『この大学の方が世間受けも就職率もいいから』ってきかなくて。でも校風が私にまるで合わなかったので、内心『入るんじゃなかった』っていつも思っていました」
「そんなんじゃ、友達もできなかったでしょう?」
「はい。いつも図書館に籠もっていました。付き合いのあるのは、ゼミ関係だけでしたね」
私たちはその後も、彼と2人で夢中で語り会っていた。
気がつけば、日付はもう少しで変わろうとしていた。
「今晩、何か楽しいですね」
私は、ぽつり呟いた。
もちろん、普段の私は間違ってもこんな事はいわない。明らかに、アルコールのせいだ。
舩見さんはそんな私を見て、ニヤリと笑った。
そして私の頭を、自分の肩に預けさせた。そして、指で私の髪を梳き始める。
彼の指は、見た目と違って意外としなやかだった。
私の髪の中で、彼の指が動くたびに、私の身体を快感が走る。
「ふなみ……さん……」
私はそう言いながら、自分の柔らかいものを、彼の背中に押しつけた。
彼は一瞬驚いた表情をしたが、すぐに私の手を握ってきた。
私もすぐさま、彼の手を強く握り返す。
私たちはお互いに手を握ったまま、バーの景色を黙って眺めていた。
気がつくと、私たちはお互いの手を、位置を変えて握ったり離したりを繰り返していた。
「新沼さん」
私は静かに、視線を舩見さんに向けた。
「今晩、部屋を取ってあるんだけどどうかな?」
私は即座に
「私を抱きたいということ?」
彼は静かに頷くと
「君が、大人の女性に脱皮する瞬間を見てみたい。みんなが知らない君を見たい」
私もこれを受けて
「私も、あなたの知られざる一面を知りたい」
といいながら、席を立った。そして
「部屋に行きましょ」
と、彼を誘った。
彼は静かに席を立つと、自分の腕を私の腕に入れてきた。
そして、彼の用意した部屋に向かった。
舩見さんは先にエレベーターを降りると、部屋にワタシを案内する。
彼が部屋のドアを開けると、ネオンライトがきらめく夜景が、私の目の前に飛び込んできた。
「さあ、ここが僕たちの部屋だ」
彼は先に部屋の中に入り、照明のスイッチを入れる。優しい照明の明かりが、渋い調度品を照らし出す。
「わぁ、この部屋すごい素敵じゃない!」
部屋の中に入った私は、思わず大声を出した。
幅が広く長いダブルベッド、清潔感溢れるバスルーム、モダンでしゃれたな家具の数々。どれもこれも、私の人生で見たことも触れたこともないものだ。
「すごーい! こんな部屋はいったことない!! 高いんでしょ?」
すっかり子どものようにはしゃぐ私を見て、舩見さんは例によって穏やかな笑みを浮かべている。
「ハハ、いまここで値段のことをいうのはヤボというものでしょう」
「そりゃそうですね……」
私は照れ隠しに、指で頬をかいた。
「これほど広くてきれいな部屋、生まれて初めて入ります」
「ミストラスコーナースイートルームというそうです」
「ミストラ……なんですか?」
「ミストラスフロアにある角部屋のスイートルームだから『ミストラスコーナースイートルーム』なんですよ」
「へえ、そうなんですか……私、そういうのに疎いものですから。すいません」
私はそう言いながら、部屋の椅子に腰を下ろした。
「ねえ、舩見さん」
私は、舩見さんのいる方向に視線を向ける。
「今まで、そうやって多くの女性を口説き落としてきたんでしょう?」
「まあ、私もいろいろありましたからね」
私の質問に、彼は曖昧に言葉を濁した。
私は立ったり座ったり歩きながら、部屋の窓から見る夜景を眺めていた。
「もうちょっと、夜景を見ていたいな……」
私がそう言うと
「わかりました。私は少し君のそばから離れるから、この景色を楽しんでいてください」
彼は穏やかな口調で私にいい、さっさとどこかに行ってしまった。
その場に取り残された格好の私は、そのまま夜景をじっと眺めていた。
それから、どのくらいの時間が経ったのだろうか。
誰かが、私の背中を軽く触れているのに気がついた。
同時に湿り気をおぼた空気が、私の耳元に吹きかけられている。
「えっ……えっ……えっ……??」
私は驚いた。気がつけば、部屋の照明が暗くなっている。
今この時この場所で、こんなことをするのは……
「舩見さん……」
私は彼に視線を向けようとすると
「振り向かないで」
と、彼が応じた。
「ほんの少しでいいから、そこでじっとしてくれないかな」
彼は私の耳元で囁くと、逞しい腕で、私の身体に触れてきた。
私の胸中に、不安と期待が入り交じるのを感じる。
心臓の動悸が止まらない。息も荒くなる。
でも、ここまで来たら引き返せないのも事実だ。
嫌だといったら、あとあと問題になるかもしれない。
そう思った私は、覚悟を決めて、彼に身を委ねることにした。
「……いいよ」
「……ありがとう」
彼はそう呟くと、肌を露出した私の左肩に、自分の顎を軽く添えてきた。
左手で私の胴体の側面を優しく触れながら、ドレスの後ろ側についているジッパーをゆっくり下ろす。彼が両手で、私のドレスを身体から外すと、それは静かに下に落ちた。
部屋の窓に、私が持っている、形のよい果実が映し出される。彼は一回、また一回と、大きな掌で、柔らかなものを揉みしだく。
「アッ……アッ……アアッ……」
私の一番大事な部分に彼の手が触るたびに、私の口からは喘ぎ声がでる。
「こっち、むいていいよ」
彼の呼びかけに、私はゆっくりと視線を向けた。
目の前に飛び込んできたのは、彼の引き締まった裸。
「すごい」
といおうとした瞬間、彼は私の唇を、自分の唇で塞いだ。
短く、軽いキス。そして長く、情熱的なキス。
「ごめん……順番が逆になっちゃったね……」
舩見さんは、すまなそうな表情を浮かべながら、私に声をかける。
「……愛している」
彼はそういうやいなや、私の身体を自分の身体にピタリとつけた。そして私を窓に押しつけ、身体全体にキスの雨を降らせる。
髪を触りながら。胸に触れながら。
そして乳首を弄びながら。
彼の口は私の上半身、腹部、お尻、太もも、そして足首をまさぐっていく。
彼の好意に精一杯応えようと、私も指で、彼の背中を優しく愛撫する。
いつの間にか私たちは、快楽の渦に巻き込まれていた。
「……もうそろそろ、いいかな」
私は彼に言われるまま、黙ってベッドの上に横たわった。
舩見さんは私の隣に横になると、ワタシのからだからパンティを脱がした。
生まれて初めて、私は自分の裸を異性に見られる。緊張で身体が震えるのかなと思っていたが、意外と落ち着いていたことに自分でも驚く。
「大事にするよ」
彼は私の耳元で囁くと、私の身体を丹念に愛撫する。
私も彼の愛撫のリズムに合わせて、てのひらで愛撫のお返しをする。
「アーッ アーッ アーッ アア──ッ!!
私の口からの喘ぎ声にあわせ、彼の口からも
「ハーッ ハーッハーッ ハァ──ッ!!」
という、荒い呼吸音が漏れる。
私の喘ぎ声にあわせて、自分の呼吸音をあわせる。彼のそんな心遣いが、私には嬉しかった。
そして彼のてのひらは、身体の芯に到達する。そこは、自分でも驚くほどぐっしょりと濡れていた。軽く、そして強く、私の芯を愛撫すると、彼はゆっくりと上半身を起こした。
「初めての夜だからこそ、思い出に残る夜だからこそ、君のことを大事にしたいんですよ」
そう言いながら、彼は自分のものになにかをつけようとしていた。
「これ……コンドームっていうもの?」
彼は、少し驚いた表情を見せた
「君、ひょっとして……」
うん、と私はいった。