※この作品はR-18です。

ご注文は私ですか?   作:右野向左衛門

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#3

ギシギシ、ミシミシ。

私が歩くたびに、廊下からはこのような音が出ます。室内の照明もちょっと暗いです。まあ部屋の名前がわかるから、それはそれでよしとしますか。これが夏でしたら、お化け屋敷の中を歩いているみたいで、ちょっと怖いですね~。

そんなことを考えながら、館内を歩いていたら

「アッ・・・アッ・・・アッ・・・アッ・・・」

「ウッ・・・ウッ・・・ウッ・・・ウッ・・・」

「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」

という、何とも不気味な声が聞こえてくるではありませんか。それも耳をよーくすませてみたら、館内のあちこちから似たような、何とも色っぽい声が聞こえてくるのです。この旅館は3階建て、今私がいるのは2階。ひょっとしたら3階もそうなのだろうかと不安に思い、忍び足で階段を上り、館内をまわってみたのですが・・・

「ハーッ、ハーッ、ハーッ、ハーッ!」

「ウッ!ウッ!ウッ!ウッ!ウッ!ウッ!」

という艶めかしい喘ぎ声に混じって

「イヤァ———————————————————————————————!!!!」

「アアァ———————————————————————————————!!!!!!」

という、あられもない叫び声、さらには

「キモチイ———————————————————————————————ッ!!!!!」

「モット————————————————!!!!!モット—————————————ッ!!!!」

さらには

「イッ・・・イッ・・・イッチャウ————————————————ッ!!!!」

という、恥も外聞もない叫び声が聞こえてくるではありませんか。

この瞬間、私は全てを察しましたわ。

この旅館は、秘境に立地しているのをいいことに、あやしげなカップルが多数利用しているところだと。そして上郷さんはそのことを知りながら、わたくしにここを勧めたに違いありませんわ。全く、なんというハレンチなことを!

すっかりアタマに血が上った私は、自分の部屋に戻るなり

「上郷さん!」

と、彼を思いきり怒鳴りつけました。

「はぁ、先生・・・いったいどうしたのでしょうか」

上郷さんはきょとんとした表情を浮かべています。

「ここは・・・ここはいったい・・・この旅館は・・・」

怒りのせいで、うまく言葉が出てきません。それでも必死になって、わたくしは言葉を絞り出しましわ。

「この旅館の宿泊客は、邪で淫らなカップルしかいないではありませんか!」

ハァハァと、私は息が荒くなりながらも、わたくしはいいましたわ。

ですが上郷さんは平然と、こう返してきたのですわ。

「あのー先生、確かにこの旅館はカップルばかりではありますが、最終的にこの旅館を選んだのは先生なんですよ・・・」

しまった!思い出しましたわ。

ええ、確かにこの旅館にしましょうといったのはわたくしですわ。しかしですね・・・

「こんな雰囲気だと知っていたら、別の旅館にしていますわ!」

「先生、そりゃご無体ってものですよ・・・」

上郷さんは、ため息をつきながら答えます。

「それに、失礼を承知で窺いますが、その齢でその・・・恋愛経験がないということはないでしょう?」

「そりゃありますわ。失礼な!」

上郷さんはご存じないでしょうが、年相応の男性経験は積んでいますわ。

「あのー、先生が好きな男性と一夜を過ごしたところって、ひょっとして高級ホテルばかりでは?」

たたみかけるように質問する上郷さんに、私は言葉を窮しました。

「ハハハ、先生、部屋に戻ってからずっと顔が真っ赤のままですよ」

私は恥ずかしさのあまり、顔を俯きました。

「いい雰囲気の男女が、誰も来ない秘境の旅館で愛の交歓をする。これって、ステキなことじゃないですか?ぼくが彼女とここに来ても、たぶん彼らと同じことをしますよ。むしろ彼女の方が、積極的に迫るかも知れないですね。なんといっても現代は『肉食系女子』なる言葉が出てくるご時世ですから」

「じゃあ上郷さん、過去にこんな経験がありますの?」

「そりゃありますよ。ぼくだって男ですから、好きな女子には積極的に口説きますよ。それにね、先生・・・」

「なんですの?」

「窓から夜空を見てください。星がきれいですよ」

言われた通りに客室の窓から外を眺めてみると、そこには満天の星の輝きがありました。

「こんな光景、今の東京では絶対に見られませんよ」

いわれてみれば、確かに・・・。

美しい夜空を見ていると、私の怒りはどこかへと消えてしまいました。

私はしばらくの間上郷さんの隣で、おそらく都会では二度と見られない夜景を、静かに見つめていたのです。

 

どのくらいの時間が過ぎたのでしょうか。

「えっ!」

なんとわたくしは、事もあろうに上郷さんの手を握っていたのですわ。びっくりして手を振りほどいたのですが、上郷さんはわたくしが驚いた表情を見て、ニヤリと笑います。

「先生、見かけによらず大胆ですねえ」

「あの・・・あの・・・」

顔を真っ赤にしてドギマギしていると、上郷さんは静かにわたくしの身体を、静かに自分の方に抱き寄せました。

私の身体越しに、彼の心臓の音が聞こえてくるようです。同じように私の心臓の音も、彼にはどう聞こえているのでしょうか、気になって仕方ありませんでしたわ。

やがて上郷さんは、私に視線を向けて

「もっと、先生のことを知りたいです。先生は、私のことをどう思っていますか」

といいました。

「ワタシもそう思っていますわ。で、これからわたくしになにをするのですか?」

私は上郷さんに尋ねました。

上郷さんは再び私を静かに抱くと、ゆっくりと私の髪を梳きました。彼の吐息が、わたくしの首筋にかかります。そのたびに、わたくしは身体の芯が熱くなるのを感じました。

やがて彼は自分のてのひらで、あたくしの背中を優しく撫ではじめました。スピードと強弱を変えるその愛撫に、わたくしは身も心もとろとろに溶ける感覚を感じましたわ。

さらに彼はわたくしの手を自分の背中に回し、自分がやっていることと同じことをするよう、目線で私に促します。私は促されるまま、彼が私に行っている愛撫と同じことを、彼の背中にいたしました。

「ハァ ハァ」

「ハァ ハァ」

2人の吐息が荒くなった瞬間、上郷さんはわたくしの唇を、立て続けに奪いました。最初は軽く、そして2回目はしっかりと。

「先生」

上郷さんはしっかりとした感じで、わたくしに話しかけました。

「ここから先は、あちらで行いませんか?」

彼の視線には、きれいに整えられたベッドのある部屋に向けられています。

ええ、いいですわ。

この勝負、受けてあげようじゃありませんか。

 

部屋の電気を消し、ベッドに設置されたスタンドの灯りをつけると、わたくしと上郷さんは、ベッドの上に横たわりました。

上郷さんは私の上に覆い被さると、私にキスの雨を降らせました。おでこに、頬に、そして唇に。そして彼は私の浴衣の帯を掴むと、ゆっくりとそれをほどき、わたくしの胸を開きました。わたくしも、彼に同じことをいたしましたわ。

そして2人はパンツとパンティを脱ぎ捨て、生まれたままの状態でしばらく抱き合っておりましたわ。そうしたらお互いの体温が、肌を通じて伝わってきますの。

上郷さんは片手で私の髪をとかしながら、もう片方の手でわたくしの身体を、丁寧に愛撫します。首筋から肩、二の腕に。横乳に熱い吐息を吹きかけられると、わたくしの乳首はカチカチに硬くなりました。

さらに彼の入念な愛撫は続きます。お腹、お尻、腰、太もも、そして足首に。

「アアッ アアッ・・・」

「ハアッ ハアッ・・・」

いつの間にか、わたくしの口からは嫌らしい喘ぎ声がでているではありませんか。

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