※この作品はR-18です。

ご注文は私ですか?   作:右野向左衛門

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#35

「あー、気持ちいい」

シャワーからでるお湯を浴びながら、私は独りごちていました。

シャンプーとボディーシャンプーで汗を洗い流し、やや温めのお湯で満たしたバスタブの中に身を浸しながら、私は微睡んでいました。

少し立つと、私は今の状況を分析していました。

祖父は商店街の慰安旅行で、明日の夜まで帰ってこない。

兄も、サークルの用事で不在。

ということは、それまでこの家には、私とケンちゃんの二人っきり……

思わず、私の口からは「チャンスだ」という言葉が飛び出しました。

長年思っている人が家にいる、家人は明日の晩まで不在、そして……

今日の私は……安・全・日……。

つまり……

ひょっとするとこれは、私とケンちゃんは一つになれるかも知れない。

このチャンスを逃すと、もう次の機会は訪れないだろう。

そう思った私は、自分の気持ちを行動に繋げることにしました。

バスルームからでると、バスタオルで濡れた身体を拭きながら、頭の中で考えを巡らせたのでした。

「ケーンちゃん、コーヒーどうだった?」

私は努めて明るい調子で、彼に話しかけました。

「おいしかったよ。ごちそうさま」

彼も、にっこり笑って、私に応じます。

「ねえゆいちゃん、その格好、なんだか色っぽいね」

ケンちゃんは、不思議そうな表情を浮かべます。

それもそのはず、私は、赤色のキャミソール型のロングドレスという格好で、ケンちゃんの前に現れたのです。もちろん、下着は着けていません。

「ムフフ。どうもありがとう」

私は、なんだか照れくさくなりました。

こう見えても、私だって花のJK。いつまでも「子どもっぽい」と思われるのは、ちょっとシャクに障ります。

「ケンちゃん、コーヒーのおかわり、いる?」

「うん、それじゃもう一杯いただこうか」

「それでね、ケンちゃん……」

「ん?」

「二杯目は……私の部屋で飲まない?」

私は腹を括って、彼を私の部屋に誘いました。

一瞬、きょとんとした表情を浮かべたケンちゃんでしたが、即座に

「うん、いいよ。一度ゆいちゃんの部屋の中、見ていたかったんだよね」

と返してきました。

「それでさ、ゆいちゃんの部屋はどこ? 先輩の部屋の隣でいいのかな?」

私は彼の質問に、軽く頷きました。

「それじゃさ、私はコーヒーを持って行くから、先に私の部屋に行っていていいよ」

「それじゃあ、お言葉に甘えまして」

といいながら、ケンちゃんは私の部屋に向かいました。

そして私は、2人分のコーヒーとホットチョコレートスプーンを用意して、彼の待つ私の部屋に入ったのでした。

 

「うわー、久々だなチョコスティック」

コーヒーに添えられたホットチョコレートスプーンを見たケンちゃん、思わず「チョコスティック」と叫んでいました。まあ、個人的にはどちらでもいいんですけど。

「先輩、これは『チョコスティック』ではなくて『ホットチョコレートスプーン』ですよ」

「ああそうだった、間違えた」

といいながら、ケンちゃんは頭をかきます。

「テレサ殿下のお土産?」

「うん。殿下もいろいろ忙しいらしくてさ、みんなに買ってあげたいと思っていても、なかなか時間が見つけられないらしいみたいでさ」

テレサ殿下も、ケンちゃんや兄と同じ大学でキャンパスライフを謳歌しています。

でもだんだんと公務が多くなり、往復の飛行機中でもレポートと格闘しているので、寝る時間がないと、先日こぼしていたのを思い出しました。

ホットチョコレートスプーンをコーヒーでゆっくりとかしながら、私たちはコーヒーを味わいます。

「ああ、おいしいなあ。テレサ殿下やアレクさんと一緒に、ホットチョコレートスプーンを飲みながらおしゃべりしたことを思い出したよ」

「そうそう、みんな楽しそうにおしゃべりしていたもんね~」

と、私も合いの手を入れます。

それから2人は、最近起こったことを話し合いました。

学校でのこと、将来のこと、大学について。サークル活動はどんな感じか、等々。

「先輩と殿下、うまくいってそうだね」

「ええ、そりゃもうラブラブで」

「先輩が?」

「お兄ちゃんもだけど、それ以上に殿下も、ね」

苦笑しながら答える私。

「薫先輩とアレクさん、一先輩と日向子先輩も、うまくいっているの?」

ホットチョコレートスプーンを舐めながら、ケンちゃんが質問してきたので

「みたいだよ~。お酒が入ると、それはそれはもう……」

コーヒーを口にしながら、私は答えました。

「はは~ん」

ニヤニヤしながら、ケンちゃんが私に顔をよせてきます。

「その内容は、ゆいちゃんには結構刺激が強すぎるようですな~」

と,ケンちゃんがニヤニヤしながらツッコんできます。私は思わず

「バカッ!!」

と叫び、ケンちゃんの脇腹に肘鉄を食らわせました。

「おおっ!!」

私の肘鉄が思っていた以上に強かったのか、ケンちゃんは私の方に倒れ込みました。

そして、ハプニングはその時に起こりました。

何とケンちゃんの掌が、もろにワタシの胸を……。

思いきり、というほどでもなかったのですが、彼の掌は、私の膨らみを掴んだのです。

「うわっ!うわわわっ!!」

彼はびっくりして手を引っ込めると、顔を赤らめながら下を向き、そのまま凍り付いてしまいました。

私もびっくりして、頭の中が混乱します。

こんなときは、どうしたらいいのでしょう?

視線をケンちゃんにむけると、彼はブルブルと震えています。

わざとではないとはいえ、いたいけな女子高生、それも後輩の妹の乳房を触ったという事実に、彼も内心ではパニックになっているのが、傍目にもわかります。

でも今の場面は、私以外の人間でも「偶発的な事故」とわかるのですから、そんなにおどおどしなくてもいいのに、と思うのですが。

私たちは無言のまま、そのまましばらくじっとしておりました。

「……ごめん、ゆいちゃん」

すまなそうなな表情を浮かべながら、ケンちゃんが私に言いました。

「ううん、気にすることないよ」

ゆっくりとかぶりを振りながら、私は返事をしました。

「ケンちゃん、そんな人じゃないということはわかっているから」

「本当?」

ケンちゃんの表情は、まだ曇ったままです。

「だから、私は気にしてないってば。元気出しなよ」

といいながら、私はケンちゃんの肩に手をかけました。

「ゆいちゃん」

「なあに」

私が返事をすると、彼はもじもじしながら

「ゆいちゃんのおっぱい……結構……柔らかかったな」

と、ぽつりと呟きました。

「……バカ……」

私は、ケンちゃんの脇腹を軽くつつきました。

またしばらくの間、気まずい沈黙が私の部屋を支配します。

重苦しい空気を打ち破ったのは、ケンちゃんでした。

「おれ、さ……ゆいちゃんのこと、好きなんだよ……」

私は、一瞬きょとんとしました。

「今、なんていったの?」

「だからさ」

ケンちゃんは視線を私に向けると、自分の手で、私の手をしっかりと掴むと、先ほどよりも力強い声で言いました。

「ゆいちゃんが好きだ」

私は思わず、彼の手を握り返しました。

「本当?」

というと、彼はクビを縦に振りました。

彼は腕を私の背中に回し、優しく抱きしめると、私の身体を自分の身体に引き寄せました。

「大事にするよ」

彼はそういうと、私の額に優しく口づけをしました。

どのくらい時間が経ったのでしょうか。彼は唇を私の額から離すと、ゆっくりと自分の指で、私の髪を梳いてくれました。

丁寧に、優しく、時間をかけてくれたおかげで、私の身体は、いつの間にか温かくなっていました。

「ありがとう」

私はそう呟くと、もういいからという意味をこめた視線を、彼に送りました。

そしてお礼の意味をこめて、私は彼のそばによると

「これが、私の今の気持ちだよ」

といいながら、彼の唇を奪ったのです。

ケンちゃんはびっくりしたらしく、目を見開いて私を見ました。

でも私の気持ちに気がついたのでしょう。手を私の肩にかけ、そして彼も私の唇に触れたのです。

そして再び唇を話した私は、思わず

「抱いて……いいよ」

と口にしたのでした。

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