徒然なるエロ小説〜ショートショート〜 作:更新は終了いたしました
名無しの巫女:被害者。最後には名前をつけられます。
クラリス:吸血鬼。(この話では吸血鬼は闇の精霊としてます)加害者。
ファンタジー系のレイプもの。ありそうで見当たらなかったやーつ
「人とは、かくも弱いものよな」
そいつは、クスクスと笑いながらゆっくりと此方へ近づいて来る。私はなけなしの魔力を振り絞って光属性の魔法を放つ。
「大いなる光よ、邪悪を滅し、闇を照らせ!『オーバーライト』!」
私は魔法を撃ちながらも最早手遅れだろうと心の中で諦めていた。相手は『宵闇』の二つ名を持つ史上最悪の精霊、吸血鬼だ。月明かりに照らされた銀の髪は怪しく蠢き、溢れ出る魔力は幾ら優秀とは言ってもあくまで人間でしかない私が敵うものではない。
そう考えて居るうちに魔法が発動し、辺りが白一色で埋め尽くされた。四大元素に加え、二天加護にはそれぞれ相性がある。二天加護のうちの一つ、光属性には闇を司るものには絶大な効果を発揮するが、『宵闇』はそれすらも歯牙にかけずに笑っている。が、
「……ほう、上手く逃げたか。良いな、ますます欲しくなって来た。奴ほど優秀なものは中々におらん」
どうやら見失ったようだ。私は緊張を解かずに声を押し殺し続けた。闇に属する精霊は、日光、つまり光に弱い筈だ。だからあと数時間でも待てば……。
そう考えて、絶対に逃げ切ると思い直し、息を殺し続ける。
〜〜〜
「……ふむ、間も無く日が昇る頃か。むう、残念だが今日は引き上げるとしよう。それにしても惜しいな。あれ程の力を持った神子など見た事もない。さぞかし堕とすのは楽しいだろうな」
『宵闇』はそう言うとコツコツと足音を鳴らして遠ざかって行った。更に息を殺す。私が一息ついたのは日が見えるようになってからだった。
「……助かった?やった、逃げ切った……!」
「そうさな、いや実に手強かった。お前程の実力者には相応の準備が必要だと思ってな。私も準備は怠らなかったが……やはりしっかりと準備はしておくものだな」
不意に声が聞こえ、バッと振り返り立て続けに初級光魔法を乱射する。が、
「まさか……、『闇王の加護』……!?」
私が撃った魔法は全て影に返り討ちにされていた。『宵闇』は薄く、薄く、酷薄に笑い、小さな呟きさえも聞こえそうな位まで近寄って来た。いくら時間が経っているとはいえ休まる暇もなかった私は既に魔力切れを起こし、意識がきちんと定まってなかった。
「『宵闇』……!なぜ、私を付け狙う……!」
「そう邪険にするものではない。そうさな……強いて言うならお前を迎えに来た。なあ、『光の神子』サマ?」
その名を聞いて歯をくいしばる。ただ他人より光属性に適性があっただけで救世主扱いだ。
「私は、その名は、嫌いだ。取り消せ、さもなくば……」
「さもなくば、どうする?お前が人である以上、私には敵わない。大人しくしてくれると、私としては有難いものなのだがな?」
緋色の瞳が私を捉える。な、んだ。その瞳は、こころが、ひきこまれ───────。
「んむっ!?ちゅる、んっ、ぢゅううう!!?れる、ふむぅ……」
唐突なキスに意識が覚醒し、またぼやけていく。この感覚は魅了だと冷静な部分が指摘している、が。
「ちぁら、はいらな……」
「おっと、どうした。さっきまでの威勢の良さが無くなっているぞ?」
トス、と軽い音を立てて『宵闇』にもたれかかるようにして倒れる。『宵闇』はそれを支えながら薄い笑いを湛え、首筋をゆっくりと舐めていった。生暖かい感覚に身震いする。
「はなせぇ……」
何とか力を込めようと思っても、身体が言うことを聞かずに動かない。足元から這い上がる薄ら寒さと恐怖に、涙が零れ落ちる。
「ふむ、良いな。その反抗的な目、それを屈服させるのは嘸かし楽しかろう」
そう言うと、大きく口を開けキラリと光る牙を見せつけながら、首筋に噛み付いて来た。
「いやっ、吸われへぇ……!」
吸血時の副次効果である快楽が脳髄を支配し、甘く蕩けるような声が漏れる。こんなの、耐えれる訳……、ない。
私が最後に見たのは、相変わらず薄く笑う『宵闇』だった。
〜〜〜
『光の神子』と呼ばれる少女はとある修道院にいた。『宵闇』と対となる存在は闇に属するものには一切合切を秘匿されて生きていた。しかし、そんな生活も終わりを告げる。
「私自身が『光の神子』を見つけるとはな。私はとても運が良い、我らの神に感謝を」
腕の中で眠る少女を見て私は笑った。吸血自体には特に効果はない。精々快楽がある程度だろう。眷属にするには特殊な儀式が必要だ。それには互いの同意がいる。無理矢理にはできないのだ。
「なればこそ、私は『光の神子』を堕とし、伴侶として側に置くのだ。嗚呼、世界を二分する光と闇の戦いに終止符が打たれるのだ。何と素晴らしい事か」
それにしても、やはりこの少女もだが勘違いしていたか。私たち闇に属するモノは確かに日に弱い。だが、耐えられない訳ではないのだ。故に、奴らは油断する。この少女のように。
「では、根城に帰るか。ゆっくりと堕としてやる」
〜〜〜
「……ん、此処は……はっ!?『宵闇』は!?」
寝かされていたベッドから飛び起きて辺りを見回す。周りには誰もいない。服もそのままだ。流石に装備品は取られているが、この際関係ない。先ずは逃げ出す事が先決だ。
そう考え、急いで窓を開く。すでに日は高く上っていた。私は窓から身を躍らせた。が、
「何をしている。まさか逃げられるとでも思ったか、ん?」
捕まってしまった。『宵闇』はニヤリと笑いながらベッドの上に私を転がす。吸血鬼の膂力では私など綿埃に等しいだろう。急なことにろくに受け身も取れずに息が一瞬詰まった。
「まあいい、見た所お前は処女なのだろう?修道院ではそう言うものの類は厳しいだろうからな。性について児戯程も知らんお前など私にとっては獲物に過ぎん。それに」
そこで言葉が止まる。代わりに現れたのは紅く妖しく輝く緋色の瞳。夜の事を思い出して一瞬身が固まる。呼吸が乱れ、汗が額から流れ落ちた。『宵闇』はそれを一旦止め、
「恐怖しているだろう?この私に、今、身が竦んで動けなくなっただろう?」
「そ、そんな事……」
なけなしの反論も、もう一度赤く輝いた瞳を見て押さえつけられた。あの目が怖い。歯牙にもかけずに殺されてしまう。
「あ、あぁ……」
「中々可愛い顔をするではないか。なに、良い。こっちへ来い、お前のその瞳を見たい」
顎を持ち上げられ、無理矢理に目を合わせられる。爛々と光る瞳は、私の思考を狂わす毒となってじわりじわりと蝕んでいく。
「こ、この……っ、私は、『宵闇』等と馴れ合うつもりは毛頭無い!『光の名において命ずる!闇を貫け』!」
なんとか意識を保ち、目の前にいる『宵闇』に反撃する。しかし、『宵闇』は首を横に降るだけで全て避けてしまった。
「くくっ、ふ、ははははは!良いな!その反骨精神、是が非でも私を殺して此処から出ようとするその気概、実に良い!だが……」
『宵闇』は指を軽く振った。すると、私の影が勝手に動き出し、そして、
「いぎっ、ああああああああ!!!?」
影が私を刺し貫いた。血は出ないが猛烈な幻痛が襲う。気絶しようにも痛みで逆に気絶できない。
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!?ぐ、ぎぁ……『宵闇』ィ!!」
脳が痛みを消し出したのか痛みが落ち着いた。しかし、刺された部分が言うことを聞かない。神経ごと麻痺してしまったのだろう。『宵闇』を全力で睨みつける。
「この様に周りが見えて居らん、故にいいように弄ばれるのだ」
ずる…、と影が引いて行った。崩れるように倒れこんだ私を見て『宵闇』は口元を歪ませた。
「こ、ろして、やる……!『宵闇』お前を、絶対に……!」
「ははは!ならば殺して見せよ!この私を!」
そう言って『宵闇』はドアの方に歩いていく。ドアノブに手を掛け、開こうとした時思い出したかのように
「私の名は『宵闇』などでは無い。クラリス・ヴァンプ・レイザーズだ。お前の心に刻んで忘れるな」
そう言って今度こそ扉を閉めた。
〜〜〜
「くそっ、動けない。早く逃げたいのに」
逃げ出した時のままの修道服のまま、ベッドに寝かされている。動けないのに逃走意欲だけが増していってストレスが溜まる。
結局日が落ちるまで動けなかった。食事は簡素なものばかりだったが、昨日の夜から全く食べてなかったからか、がっつくように食べてしまった。地味に美味しいのに腹がたつ。
そして『宵闇』、クラリスは毎晩私のもとに来るらしい。さっきそう言われ、青筋が立った私は悪く無いはずだ。
「クラリス……私はその名をどこかで……」
『宵闇』が部屋を出て、ランプが消える。普段なら心地良く感じる暗闇の中で、私は一人考えていた。
「……あぁ、思い出した。初代王妃だ。はっ、もし本当に王妃クラリス様だったら飛んだ笑い話だ」
動けないままに思考を重ねる。そう言えば口は回る事に気付いた。体は動かなくなっても、口は回る。魔法を行使できる。
「『我は光、汝は闇。対局の陰陽を司る者たちよ、溢れよ、溢れよ、照らしたまえ、落としたまえ。溢れよ、溢れよ、清めたまえ、汚したまえ。溢れよ、溢れよ、区切りたまえ、仕切りたまえ。相反する二天を、隣り合わせの永遠に誘いたまえ。《ホーリー・パンクチュア》』」
闇と光を強固に引き裂く結界を張った。多大な魔力を使ってしまったが、ベッドの周りはおそらくセーフゾーンになっただろう。これで一方的に魔法を行使できるはずだ。
「待っていろ……必ず殺してやるからな」
魔力切れの影響か意識が落ちていく。クラリスへの怨念を胸に抱きながら眠りについた。
〜〜〜
夢を見た。恐ろしい夢だった。
「なっ、やめっ……っひう、んはっ、はぁ」
「くく、可愛い反応をするでは無いか。大人しく女々しくいれば良いものを。こんなチンケな結界の破壊なぞ鳥が蜘蛛の巣を破るより簡単な作業よ」
クラリスの指が、舌が迫る。血を吸われながら様々な場所を責められる。追い込まれる。苦しい、苦しいのに、認めたく無いのに、
「きもち、いぃ……」
言葉が漏れる。それを聞いたクラリスは嗜虐的な笑みを浮かべ、さらに責め立ててきた。
頭が真っ白になるほどの快楽、私が絶頂に達した瞬間、目が覚めた。
「……濡れてる。それに汗でビショビショだ。着替えたいのだけれど」
部屋を見回す。誰もいない。念の為探査魔法を行使して近くに誰も居ない事を確認する。
「……よし」
結界の中に私のデコイを入れ、窓からもう一度飛び出す。ひょいひょいと窓から窓に飛び移り、すぐに地面に着地する事に成功した。
「直ぐに装備を整えて殺しに行こう、絶対に許さないから」
私は裏路地、その中でも特に入り組んだ場所を選びながら家へと帰った。と言っても修道院だが。
部屋は誰も居ない。急いで着替えて精霊殺しの短刀と、深淵封じの護符を取り出した。
「負けたら、自害でもしよう。絶対にあいつの言いなりになんかならない」
少なくともクラリスの動きは通常の精霊レベルだったはず。闇の精霊は魔力の量が半端じゃ無い事が知られている。一説では魂喰いと呼ばれる儀式を行っているからとか。
「あいつを殺して、晴れて堂々と外へ出向ける。いつまでもあいつに怯えるのはもうたくさんだ」
「ほう、そんな事をせずとも私の伴侶となれば生涯を栄光とともに過ごせるだろうに」
ガチリと身体が固まったように動けない。突然の背後からの奇襲に脳が状況把握が出来ていない。
そんな私を恋人にするように後ろから甘く抱き着いて耳元で囁いてくる。
「どうしたのだ?私の伴侶よ。こんな危ないものを持って、まるで精霊を殺すために動いているようじゃ無いか」
そう言って耳を舐めてくる。漏れそうになる声を必死に耐え、護符を叩きつけた。瞬間、護符が風化したようにボロボロと崩れていく。しかし、クラリスにも相応のダメージは入ったようだ。身体が動く様になった。そのまま短刀を首元に突き立てる。クラリスが血を吐いた。
「な、んだ。なんだ。殺せるじゃ無いか、ははは、何を怖がってたんだ。そうだ、殺せるんだ」
クラリスはよろめいていたが、次第に動きが鈍くなって、最後には動かなくなった。足で蹴っても反応がない。恐らく本当に死んだのだろう。緊張の糸がプツンと音を立てて切れる。喜びと安堵で長いため息を吐いた。次に襲われたら多分耐えられないだろうな、ふと、考えた。
「良かった、助かったんだ。今度こそ」
こうなれば後は他の人に任せよう。そう考えてドアノブに手を掛けた時だった。
「ひっ!?」
膨大な魔力を背後に感じ、身が竦んだ。恐怖が身体を支配する。首筋に生暖かいものが触れた。それは次第に鋭利に、痛みを伴い始め……。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
血を吸われた。それも前の時とは比じゃないくらい多大な量を取られた。快楽と死への恐怖がぐちゃぐちゃに混ざり合う。
今、神子としてのプライドや、今までの記憶、思い出、培ってきたもの……心がポッキリと折れた。歯の根が合わず、ガチガチと音を鳴らす。
「のう、神子様よ。お前、このままじゃ死ぬのう。聖なる修道院の中で、無残に血を吸われて死ぬ。これがお前の末路よ。栄光を逃し、過去に固執した、お前のな」
死ぬ……?私が?生まれて直ぐに修道院に放り込まれて、街へ繰り出す事もない。ただ犯罪者の様に此処で、一生を終える?
「…………だ」
「うん?」
「嫌だ!何で!何で私なんですか!何で私が光の神子何ですか!私だって街で遊びたかったし友達も欲しかった!なのに、何でわたしがこんな目に遭わなくちゃいけないんですか!死にたくない、死にたくないよ!」
口から吐き出したのは偽りの仮面をかなぐり捨てた本音。ふらつく身体を使ってクラリスにすがりつく。
「もういいから!吸血鬼でも何でもなるから、助けてください!奴隷にだってなっていい!だから、助けてください!」
「ほう、折れたか。良いだろう、ではこれより儀式を執り行う」
そう言うと、クラリスは手首を切って血を流していく。それを口に含み……、
「んぐっ!?んんんーーー!?れる、んふ、ふあぁ……」
口移しで飲ませてきた。甘くて蕩けるような液体を飲まされ、ぼーっとなる。
「……んっく、ぷはぁ……おい、ひぃ」
くてんとなった私を抱きかかえ、ニッコリと微笑む。何なんですか、そんな顔も、出来るじゃないですか……。
「これで眷属化が完了した。私の花嫁よ、お前の名前を聞きたい。どうか聞かせてくれ」
「私、は……。私は名前が無いんです、だから」
クラリス様が、名付けてください。そう言うと、クラリスは目を少し見開いて、
「そうだな、アリア、アリアなんてどうだろうか?」
「あり、あ?」
「そうだ。私の花嫁に相応しい良い名だ。誇るが良い」
名前が付けられた瞬間、多大な多幸感が押し寄せてきた。体重をクラリスに預けて、上目遣いに見る。
「素敵な名前です。クラリス様、ありがとうございます」
眷属化の影響だろうか、あれだけクラリスに対して悪感情を持っていたのにひっくり返ったかのように無くなって好感情しか残ってない。でも、これで良い。私にはクラリスが居れば、それで良い。
「さあ、初夜を迎えよう。愛しの花嫁よ」
「はい、素敵な旦那様」
吸血鬼達の夜は更けて行く。
流血描写あるしこれはソフトSMでもないけどまあ私の趣味だし……