※この作品はR-18です。

やはりあたしの青春百合コメはまちがっている。   作:四月一日 今日

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やはり三浦優美子の包容力はすごい。
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 あんな事があったというのにそれでも次の日には学校というものはあるわけで、あたしはお腹のすぐ下に違和感を感じていたはずの身体を自分のクラスへと向けていた。自分で言うのもなんだが、あたしがいないと心配してくれる友達がいるからだ。

 下駄箱で靴を履き替えると階段を上り、遠くに見えるその友達の方へと向かう。

 男の人が初めを経験したらどこか一皮剥けると聞いた事があるが、まさに今のあたしはそんな感じな気がする。

 いつもと違って酷く冷静だ。視界がとても広くなった様にさえ思える。

 だから、いつもはあまり目を見て話せない彼女も、今日はいつもに増してその顔の造形が整っている事がよく分かった。

「あ、結衣じゃん。おはよ。」

 優美子、今日も綺麗だなぁ・・・。

「結衣?」

 脚とか、細くて長いし。何そのくびれ。

「結衣ってば!」

「わわわっ!び、びっくりしたぁ!」

 思わず見蕩れてたみたいだ。

 そのせいで肩を揺さぶられた時にはとても驚いた。あれ、優美子も驚いた顔してる?

「びっくりしたのはこっちなんだけど・・・それよかどしたん結衣。大丈夫?何かあった?」

「いやいやいや!?何にもないし!」

 胸がドキリと跳ねた。心当たりがあり過ぎて。

 だから咄嗟に取り繕ったのだが、やはり親友と呼べる彼女、三浦優美子には分かってしまうのだろうか。

「どう見たってあんま調子良くないっしょ」

 いや、もしかしてあたしってば分かりやすいのかな。

 いつもはメイクもあってか若干つり目の瞳の目尻を下げてあたしを覗き込むようにして見てくる。

「あ、あー!昨日、遅くに寝たからかなぁー!」

 冷静だったはずのあたしは、思わず優美子から目を逸らしながらそう答えた。

「遅いって、何時?」

「じゅ、12時とか?」

「12時ってあんた・・・、小学生じゃないんだからさぁ・・・。」

 こういう咄嗟のアドリブに弱いのはあたしの弱点だ。優美子も呆れたように額に手を添えている。確かにちょっと早すぎたかも。

 こうなってしまってはもはや「だよね〜!」と言うか、「あ、あははは!」と笑うしかない。

 まあ、いつもは優美子もこういう時は「ふーん」と言って察してくれるというか気を使ってくれるのだが、今日に至っては未だに心配そうな目線をあたしに送り続けている。

「結衣、顔色悪いよ?熱でもあるんじゃない?」

 そう言って優美子はあたしのおでこに手を伸ばした。

 普段ならあたしもまた身体を委ねて熱を測られるのだが、今日のあたしは優美子の指綺麗だなぁ、と思った瞬間にその手を避けるように上半身を反らせるようにして一歩後退していた。

「結衣・・・?」

「あ、いや・・・。ごめん・・・。」

 完全に無意識だった。

 でも、はっきりと感じたその恐怖。

 一瞬だが、昨日の陽乃さんの手に見えた優美子の手が、どうしようもなく怖かった。

 絶対に嫌われた。もしくは怒られる。

 また、前みたいに「ごめんじゃわかんないんだけど」と言われてしまう。

 でも、前回学んだはずのあたしも今回は「ごめん」としか言いようがなかった。

 だからあたしは優美子の顔を見ずに頭を下げて何度も謝った。周りの事なんて気にせずに。

 ゆきのんを失ってしまった今の状態で、彼女まで失うなってしまってはあたしはもう・・・。

 しかし彼女はそれでも、いや、だからこそだろう。

「────ちょっと来な。」

 あたしの手を取った。

 そのまま踵を返すとグイグイとあたしを引っ張っていく。

 一瞬だがあたしは身体をビクリとさせ振り払おうとしたが、優美子がグンッと引っ張り寄せるもんだから為す術なかった。

「ごめん隼人、ちょっと先生に一限遅れるって言っといて。」

 優美子は通り過ぎざまに隼人君に声を掛けると、そのまま振り向いてあたしを見る事なくグングンと廊下を進んでいく。

「ゆ、優美子!」

 あたしは思わず声を掛けた。

 それでも彼女は振り向く事はなく、ただ一言「いいから」と言い放って足を進める。

 

 しばらくしてついた先は、保健室だった。

 遠くに一限目の開始を告げるチャイムが聞こえるほど保険室内は静かで、つい先程まで保険医がいたのかクーラーがよく効いている。

「結衣、しばらく寝てな」

 ようやく振り向いた優美子から放たれたのは、厳しい様で優しい言葉だった。

 声だけでも十分分かる。

 彼女は本当に心配してくれている。

 それでも、あたしは体調面に関して心配されるような心当たりがなかったので、

「大丈夫だよ?ありがと優美子。」

 いつもみたいににっこり笑った。

 優美子はいつもあたしが笑うと「やっぱ結衣、かわいいっしょ」と言ってくれる。

 しかし、やはり、どうしようもなく、伝わってしまうのだ。

 

「────大丈夫じゃないっ!」

 

 言うなれば、どこか懐かしような気持ち。

 そう、気が付いた時には、あたしは優美子に包まれていた。

 




 ななななんと!お気に入りが100を突破してしまいました!嬉しき事この上なしです!
 読んでくれる皆様のコメントが立った数日で終わるかもしれなかった投稿を継続させてくれました。感謝感激雨嵐です。
 これからも拙い文章ながらも書き続けていきたいと思いますので、どうかこれからもよろしくお願いします。
 皆様との出会いに、深く感謝を!
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