やはりあたしの青春百合コメはまちがっている。 作:四月一日 今日
こういう時の気持ちって何て言ったらわからないけど、たぶん、安心したんだろな。
無意識的に、あたしは嗚咽をあげていた。
目元と喉の奥の方が熱く、自然と身体が硬直する。
優美子の匂いは鼻水で分からなくなって、でも、その全てを包み込むような「雰囲気」のようなものは感じられて。
一言で言うなら、そう、きっと彼女は「お母さん」みたいな。
あたしの頭を撫でる優美子の手が暖かい。
それを感じる事が出来るようになってくると、あたしは優美子のクビレた腰に手を回したまま胸元から顔をあげて鼻を啜った。まだ涙で視界が滲み、優美子の顔がぼんやりとして見える。
こういう時ばかりは、彼女は何も聞いてこない。何も言ってこない。
それが今のあたしにはとてもありがたかった。
まぁいつもみたいな感じで、どうして泣いているのかを聞かれたら答えられないけど。
次第に涙が引いて優美子の輪郭がはっきりしてくると、あたしはもう少しだけ視線をあげた。
「大丈夫?」
優美子の優しい声が聞こえる中、その瞳を見つめる。
「ありがと・・・っ」
思っていたよりもはるかに近い。
鼻とかくっつきそうだ。肌、綺麗だなぁ・・・。
とか思っていたのもつかの間、あたしの顔を覗き込むようにして見てくる優美子に思わず顔を逸らした。
そう、さっきとは違い心も落ち着いてくると改めて実感してしまうのだ。
腕を回して身体を密着させてよく分かる優美子のモデルバリのスタイル。綺麗な顔。
そして何より、匂い。
シャンプーの香りと、高そうな香水の香り。
まだ朝で汗の匂いはしないが、その香りが思ったよりも直に感じられて、つい最近だが女の子と接触する事が多くなったあたしにとってあまりよろしくない。
優美子は誰から見ても美人だ。いい匂いだ。
だから、嫌でも意識してしまう。いや、優美子にはそんな気なんて全くないだろうけど。
優美子、柔らかいなぁ・・・。
そう思いながらも前科のあるあたしは理性を保って優美子から離れると、涙で濡れた頬をゴシゴシと擦っていつもみたいに「えへへ」と笑った。
「もう大丈夫だから・・・、戻ろ?」
慰めてくれた事には本当に感謝している。親友でよかった。
でも、この後優美子は必ず理由を聞いてくる。
だって、優美子はそういう人間だ。
たぶんだけど、聞いたら本気で怒ってくれるだろうし、なんなら陽乃さんにやり返しに行くかもしれない。
だから、この場から、この空気からいち早く抜け出さないといけなかった。
なのに、
「何かあったんでしょ?教えてよ。あーし、結衣の力になりたい。」
言ってないが、「友達でしょ?」と後から聞こえてくるようだ。
こういうのを「自業自得」って言うんだろうな。
実際、あたしも「友達」なんてものがどこまでするような関係なのか分からない。
いつだって分かりたいし、分かってほしい。今の気持ちを。言わなくても。
でも、彼女は本当に優しいのだ。心の底からあたしを心配してくれているのだ。
優美子は思わず躊躇していたあたしの手を握るとそのまま引き寄せてくる。
ああ、今そんな事はやめて欲しい。
ふつふつと心の奥の方から湧いてくるドス黒い感情が抑えられなくなる。
何もかもめちゃくちゃにしたくなる。目の前の気の強い、気高い、美しい君を壊してしまいたくなる。
そう。
昨日の陽乃さんの様に。
歪んだ感情を、ぶつけたくなってしまうのだ。
仲の良い、親友に。
だからあたしは踏ん張った。 僅かに腰を下ろして後ろに体重をかける。
それでも、優美子はあたしの手を掴んだまま離さなかった。ぎりぎりと手首が締め付けられ、優美子の長い爪が食い込む。
「ねぇ!」
怒気混じりの優美子の声が上の方から聞こえてきた。ごめん、それでも言えないよ・・・。
しかし、ふと視線を上げると、優美子は・・・、優美子の目には・・・。
「なんで?結衣、ねぇなんでよ・・・」
涙が浮かんでいた。
あたしの手首を掴んだ手も僅かに震え、その顔は怒っているようでもなく、とても悲しそうな。例えるならば「子犬」のようだ。
そんな顔されたら、我慢なんてできないよ・・・。
普段は見せないその姿に、あたしはどうしようもなくゾクゾクするのだ。
理性の壁が崩れてしまうのだ。
だから、勝手に言い訳をした。
どうせ理由を聞いたら嫌われる。もしくは距離が出来てしまう。
ならもう、同じ事じゃないか。
「教えてあげるよ。」
あたしは一言そう告げて手首を翻すと、逆に優美子の両手首を掴み返して、そのまま静かな保健室の壁に押し付けた。
まさかまさかのカップリングでしょ?そうでしょ?ただただ私がすっごい書きたかっただけなんですが(笑)
来週からエロ回始まるかな?お楽しみに~!