やはりあたしの青春百合コメはまちがっている。 作:四月一日 今日
目を開けるとまず視界に入って来たのは白い天井だった。
高校に入学してからは見る事なんてないとか思っていたのに、今のあたしはそのなんの柄もない単調な天井を正面に見ていた。
ん?正面に?
疑問を持ったあたしは顔を左に向けた。真っ赤な夕日が綺麗だなぁ、って・・・
「もう夕方!?」
ガバッと勢い良く起きるとそこは、保健室のベッドの上だった。いつも寝ているやつより幾分堅いせいか腰がとても痛い。ついでに後頭部もじんじんと痛い。
そう言えば、と思いあたしはベッドに腰掛けながら上履きに足を入れたところで、
「────失礼しました。」
透き通るような声が、ベッドを囲むカーテンを挟んで聞こえてきた。すぐ後にピシャリと保健室のドアが閉じられる音が続く。
あたしは思わず駆け出した。
「待って!」
どうして待って欲しいかは分からない。それでも今、彼女と話をしたかったのは間違いなかった。
しかし、上履きのかかとを踏んだまま走り出したせいか足が縺れてしまう。
「きゃっ!」
咄嗟にカーテンを掴んだ。しかし、あたしの体重を支えられるはずもなくそのまま倒れ────
「────何を慌ててるんだ君は」
ふわりとタバコと香水の匂いがあたしを包み込んだ。
抱きとめられたのだ。
あたしはすぐさま体勢を直すと、カーテンをシャーッと開けて目の前の人物を見上げる。
「あ、ありがとうございます平塚先生。」
あたしよりも頭一つ分近く高い身長の持ち主、奉仕部顧問の平塚先生は、「まだ座っときたまえ」とあたしの肩を掴むと押す様にしてベッドに座らせた。
「頭の方はどうだね?」
まったく・・・、と呆れた様に言ったが、その言葉にはどこか安心させられる。
「少し頭痛が痛みますが大丈夫です」
「そうか、良くはなってなかったか」
「なんかちょっと残念そうだし!?」
後で聞いたのだが、「頭痛」はそれだけで「痛い」という意味も含んでいるらしい。まったく知らなかった。
平塚先生は冗談だよ、と鼻で笑い飛ばすと、あたしの座っているベッドの横にある丸椅子に腰を下ろした。スーツの胸ポケットからタバコを取り出したところで、「保健室では吸ってはいけないんだったな」ともう一度胸ポケットに戻す。
「ときに君は、本当に友達が多いんだな。」
平塚先生は不意にそんな事を言った。続ける様に「比企谷とは大違いだ。」と口を開く。笑いながら言ったが、その目は笑ってはいない。
同性でも思わずドキリとする流し目をあたしに向けると、息を吐くように口を開く。
「最近どうだね?」
「ぼちぼちです」
一言一言あたしを追い詰めていくように紡ぐ。
「来週は定期テストだ。勉強会でもするのかね?」
「いえ、そんな予定はないです」
あたしの表情の変化を見逃さない様じっとこちらを見つめながら。
「君は確か私立文系だったな。」
核心に近づいてくる。
しかし、あたしは「あ、あはは〜、勉強しないと」とまた誤魔化すように笑った。これ以上話せばここ最近のボロを出しかねない。
あたしは続け様に「そろそろ行きますね」と言いながら立ち上がる。
「お、そうか。気をつけたまえ。」
この時にはもしかしたらもう、異変に気が付いていたのかもしれない。
平塚先生はあたしの背中に「そう言えば」と声を掛ける。
「今日、奉仕部は休みだそうだ。」
「そ、そうなんですか」
あたしは振り向かないまま応えた。
平塚先生はそんなあたしに淡々と続ける。
「部室に誰もいなかったからな。雪ノ下も『しばらくは受験で忙しいので』と一言言っただけだった。」
ゆきのんがそう言うのも無理はない。全部あたしのせいだ。
「平塚先生、ゆきのん真似全然似てないですよ〜」
だから取り繕った。
でももう、誤魔化しきれなかった。
「由比ヶ浜。今、君の居場所は何処にある?」
先生の切れ長の目があたしを射抜く。怒りは含んではいないが、どこからしくもなく寂しそうだ。
どうやって切り抜ようかと考えていたところで
「失礼しまーす」
あたしのちょうど目の前のドアから優美子が入ってきた。
正直助かった。これで平塚先生も何も聞いてこなくなる。
「あ、結衣。もう大丈夫なんだ」
そう言って優美子はあたしの肩に手を当てるとそのまま上下させて擦ってくれる。
「う、うん!もう超元気!それよかはやく帰ろー!」
すぐにでも平塚先生から離れかったあたしは優美子の手をとると、そのまま振り向かずに「さよならせんせー!」と言って廊下へと出た。
ぐいぐいと優美子をひぱって下足場へと向かう。
優美子の手を握って。
エロどこ行った?この二次創作ってこんな感じだったっけ?
なんて思った方、申し訳ないデス。俗に言う「焦らしプレイ」デス(笑)