「んんっ」
「くちゅっ……くちゅっ……」
スバルはレムの腰に手を回し、レムはスバルの頭を抱える。二人は貪るように舌と舌とを絡ませ合い、お互いの唾液を交換した。スバルが片目をそっと開けると、レムが目を閉じたまま、夢中で口を吸っているのが見える。
こんな情熱的なキスも初めて、キスをする女の子の顔をこんな間近でみるのも初めて、そして何と言っても、自分の胸にレムの胸が押し付けられ、膨らみっぱなしの股間にもなにやら熱い感触がある。
——このままだと。
スバルは腰に回していた手を離し、その指をこめかみの辺りから髪を梳くようにして、彼女の頭を撫でた。それに呼応するように、レムは抱え込んでいた手をスバルの後頭部から外し、その両手をスバルの頭の横に突いて、
「ぴちゅっ」
可愛らしい音とともに唇が離れる。レムは体を少し起こし、閉じていた目を開いてスバルの顔を覗き込んだ。
「スバルくん、スバルくん」
そう言いながら、再び顔を近づけると
——ちゅっ。ちゅっ。ちゅっ。ちゅっ。
今度は軽いキスを、スバルのおでこ、頬、唇にと、何度も繰り返す。
そのうちに
「はぁっ、はぁっ」
ため息ともつかない音が、レムの口から漏れ始めた。昨日スバルが自然と腰を動かしたように、今度はレムが、スバルの大きくなっているところに自分の一番敏感な部分をあてがい、擦り上げるように前後に小さく腰を動かし始めていた。タオルケットはすでに足元に投げ捨てられ、はだけたガウンの上に直接レムが乗っかっている。下着は、昨日脱がされたままだった。
「れ、レム。ちょ、ちょっとま……」
「はぁ、はぁ、はぁ、っ……」
目を閉じたまま、半身を起こすと、その両手をスバルの胸に置いて、腰を動かし続けるレム。スバルもこの状況に思わず腰を突き上げてしまう。そのスバルの動きと同時に
「あ……っ」
囁くような小さな声とともに、レムは背中を少しだけのけぞらせた。次の瞬間、スバルの胸についている手や肩、そして腰から体全体を小さく震わせた。
「……っ」
目を閉じたまま、ゆっくりとスバルの胸の中に倒れこむ、レム。
「ふぅっ。ふぅっ」
「お、おい。れ、れむさん?」
少しづつ呼吸が落ち着き始めると、レムは再び体を起こして
「す、すばるくん、どうしましょう。レムは……スバルくんの……あの……スバルくんに……」
そう言いながら、真っ赤な顔をして、スバルの顔を覗き込んだ。
「え? あ、あの」
「その……き、きもちよく……あの……」
経験のないスバルは、その言葉を聞いて初めて、たった今レムが達したということに気がついた。
「それって、も、もしかして――」
そこまで言うと、スバルの意識は触れ合っている二人の熱い部分に移動した。スバルの大きくなっているそこは、しっとりとして熱い感触に触れたままだった。意識するに従って、スバル自身もマグマのような熱いものが根元からこみ上げて来て、今にも噴出しそうな感覚に襲われる。
「れ、レム!」
我慢できない状況に陥りそうな、まさにその時。ノックの音と同時に部屋の扉が開いて、ラムがその顔をドアから覗かせた。
「レム? バルスの食事は済んだの?」
「い、いいえ、姉様。今ちょうどお薬の効き具合をみていたところです。食事はこれから――」
スバルがハッと気づいた時には、すでにレムはスバルのベッドの脇に立ち、まさにこれからスバルに朝食を食べさせようとする様子に早変わりしていた。いつの間に体を起こしたのか、体にはしっかりとタオルケットまでかけられている。
「え? ええええ?」
あっという間の変り身に、スバルはまるで狐につままれたような顔で、何度も首を振りながらレムとラムの顔を交互に見比べた。
「一体何に驚いているのかしら? 今更二人の顔を見比べても、ほとんど同じよ、バルス。それよりも、仕事があるのだから、レムにあまり世話をかけさせないで頂戴」
「い、いや。わ、わかった。わかってるよ。もう一人で食べられるから、大丈夫だ、レム」
「だそうよ。適当なところで、こっちに来てちょうだい」
「わかりました、姉様。すぐに行きます」
ラムはレムの返事を聞くと、パタンとドアを閉めた。
「れ、レム。お前、本当は魔術師かなんかか?」
そう言うスバルに、レムはクスッと笑って
「さすがにレムもちょっとだけ焦りました」
そう言った。
「とりあえず、ラムのところに行ったほうがいいんじゃないか? メシはこのまま自分で食べるからさ」
「そうですね。そのほうが良さそうです。じゃあ、レムはお屋敷のお仕事に戻ります。食器は後で片付けに来ますけど……」
「うん? けど?」
レムは頬を染めてにっこり笑うと、耳元に顔を近づけて、ささやくようにこう言った。
「スバルくん、大きくなったままですよね? でも、手が動くようになったからと言って、自分でするのは禁止です!」
「な、な、なにを——」
頭の中を見透かされたようなレムの言葉に、焦りまくるスバル。
「自分でするのは禁止です!」
「——っ」
「その代わり」
「う、うん?」
「夜まで待っていただけますか?」
「よ、夜って」
「それまで、我慢してください! 約束しましたよ!」
レムはスバルの顔を正面から覗き込んで、その唇に軽くキスをすると、軽やかに踵を返して、部屋を出て行った。下着越しとはいえ、お互いを擦り合わせた感触と、彼女のふんわりとした香りだけが、部屋の中に残っていた。