ノックの音がした。気づくと、ドアを開けてレムが部屋を覗き込んでいる。
「レム、どうした? あ、先に風呂サンキューな」
あの後、食事をしながら、ひとしきり劇の話で盛りあがった。それからしばらく雑談を続けて、各々解散となった。
エミリアは「おやすみなさい」と言って自室に引き上げ、それを見送ったレムは、「スバルくんはゆっくりお風呂にでも入ってきてください」と、片付けの手伝いをと言うスバルの申し出を固辞した。
共有の風呂場から出てきたスバルは、自室に戻る前に厨房を覗いた。だが、そこにはもうレムの姿はなかった。今回は「仕事」という名目だ。おそらくレムは明日の準備を始めているに違いない。もしそうなら、今からレムの部屋に行ってみるのは、さすがに躊躇われた。
スバルはベッドに寝転がりながら、ラムから受け取った買い物メモに目を通していた。
──いつの間にか眠っていたのだろう。そのノックの音で目が覚めた。
「す、スバルくん……」
「うん。なんだ? もしかして夜食? もうそんな時間?」
スバルは体を起こすと、ベッドの縁に座り直した。
「どしたの?」
「……」
レムは俯いたまま、何やらモジモジしている。なんだか、いつかどこかでみたようなシチュエーション。
「えーっと、レムさん?」
レムはその問いに答えず、後ろ手にかちゃりとドアに鍵をかけた。それからいきなり、本当にいきなり、そして文字通りスバルに飛びついてきた。
「え?」
身構える余裕もなかったスバルは、レムの勢いをそのまま受け止めて、再びベッドに倒れ込んだ。
「れ、レム……なに? どした──」
スバルの言葉は言葉にならなかった。何かを言いかけたスバルの口は、レムの柔らかい口ですでに塞がれていた。
「む……むぐぐぐ……」
レムの柔らかい舌が入り込んでくる。スバルも困惑したまま、そのレムの口付けを素直に受け入れる。そしてそれはすぐに、恋人同士の熱いキスになった。
「はあっ……はあっ……」
その熱い口付けが終わると、レムはスバルに跨ったまま体を起こした。そして息を荒くしたまま、スバルの股間に手を伸ばした。
キスだけで硬くなり始めたスバルのものを確認すると、体を動かして自身を密着させると同時に、腰をくねらせ始めた。
その艶かしい腰の動きと、布越しとはいえ直接当たっているその感覚に、スバルの股間は一気に充血した。
「あ、ちょ、れ、レム!」
よくわからない、体験したことのない刺激と、見たことのないレムの様子に、スバルのゲージは一気に頂点に近づいていく。
「ま、まった! まった!」
スバルの言葉が聞こえたのか、それとも聞こえていなかったのか、レムはいきなり雷に打たれたようにびくりと背中を反らせ、ひきつけを起こしたように、硬直した。
「ふーっ……ふーっ……」
それからレムは息を荒くしたまま、パタリとスバルの胸の上に倒れ込んだ。
「レム? あの──」
スバルがレムの頭を撫でる。レムは何も言わずにそのまましばらく、スバルの胸に体を乗せていた。
「あ、あの……レムさん?」
黙ったままのレムに、スバルはやや、いや、かなり困惑した。
「れ──」
沈黙に耐えられず、再び名前を口に出そうとしたその時、不意にレムの柔らかい手が、スバルの口を優しく塞いだ。スバルが黙ったままなのを確認すると、今度はその手をスバルの両眼の辺りに移動して、何も見えないようにその目を塞いだ。
──これは喋らずに、目を閉じていろってことか?
普段とは違うレムに少しだけ興味が湧いたスバルは、自身を充血させたまま、レムがどうしたいのか、どうするつもりなのか、目を瞑ったままでじっとしていた。
レムはそっと体を起こすと、今度はスバルの顔に何かを巻き付けて──タオルのようなものだろうか──スバルの目を完全に塞いだ。それから再び、スバルの口にレムの柔らかい唇が触れた。
だが、今度は軽く「ちゅっ」と音を立てただけで、レムの体はスバルから離れた。
「あ、え?」
目隠しされたスバルの口を、レムが指で塞ぐ。それからシャツがたくしあげられると同時に、レムの口が喰むようにスバルの胸の上を這い、そして乳首に触れた。
「あ……」
レムのそれよりも随分と小さくて硬い部分を、きゅっと吸われたとたん、ゾワっとした感覚が走った。そしてすぐに先端が硬くなるのが目を塞がれたままでもわかった。
それを知ってか知らずか、レムが左右交互に口付けを繰り返している。やがてその口が少しずつ下に移動し始めると、スバルはブルっと体を震わせた。
レムの口が、鳩尾から臍のあたりを過ぎて、ジャージのゴムの部分あたりまで降りる。
期待はしていた。そしてその期待通り、レムの手がジャージのゴムにかかると、スバルはその所作の邪魔にならないように、そっと腰を浮かせた。
下半身がすっかり解放されると、同じく解放されたスバルが自分自身の下腹部をビン、と打ち付けた。レムの手が両足に触れる。その手が、それぞれ左右にスバルの足をそっと広げると、その間に体を入れるのがわかった。
柔らかい手が、指先が、大きく広げられたスバルの太ももの上をそっと撫で、そしてくすぐるように動く。
「うっ……」
我慢しようとして、だがどうしても声が漏れてしまう。その指が鼠蹊部を過ぎて、袋、排泄器官に届く。入り口を突き、指の腹で押し込み、そして再び袋を爪や指を使ってくす
ぐるような動きに変わると、
「はあっ……はあっ……」
体を捩らせ、運動をしているわけでもないのに、息を切らしたような声がスバルから漏れる。
──ふふっ。
スバルの耳に、レムの小さな声が届くと同時に、今度は充血している先っぽが温かい何かに包まれた。
「あああっ!」
何をされているのかは言うまでもなかった。自在に動く柔らかいものが、スバルの裏筋を刺激し、ぐるりと溝をなぞる。それからきゅっと吸い付くと同時に、先端を刺激する。
目隠しされている分感覚が敏感になっていたスバルは、自分の声を我慢することができなかった。
「あ! あ……、ああっ! と、とける! とけるっ!」
それからすぐに限界が近づいた。
「レム! レムっ! も、もう……や、やばい!」
それから不意に解放されると、スバルはぐっと下半身に力を入れて、なんとか放出を我慢した。ゲージが少しだけ下がったその部分に、ふうっ、と甘い息がかかる。それだけでひくんひくんと戦慄き、すぐに限界突破しそうになる。
「くっ……ううっ」
スバルは体全体に力を入れ、歯を食いしばった。横たえた体をピンと伸ばしたまま、なんとか危機を脱出したスバルを、再び甘くて温かい感触が襲った。
「あ!」
狭い部分を突き進んでいく感覚のあと、しっとりと滑らかな部分に全体が根元まで包まれた瞬間、
「あ! あ! い、いく! いくっ! ぐっ……」
考えるまもなく、あの特別な甘美な瞬間がやってきた。
「んんっ! くっ!」
スバルの腰がレムを突き上げ、溜まっていた白い体液をレムの体内に注入する──いつもならそうなるはずだった。だが、最大限に膨れ上がったそこは、ただただビクンビクンとするだけで、あの熱いものを放出する感覚が、全くない。
「ふふっ」
小さな声がレムから溢れた。腰のあたりには、ピタリと女の子の柔らかい下半身が密着していて、一番敏感な部分は、柔らかくてあたたかな場所に包まれたままだ。
スバルは今、自分がどういう状態になっているのか、ようやくわかった。
「れ、レム──」
レムが緩やかに上下に動き始める。その途端、、心地よい刺激が固くなった中心部から体全体に伝わる。
「ああ、レム……き、きもちいい……」
暖かくて柔らかくて滑らかで締められて緩められて。レムの中に出入りするたびに、グッと力が入って、スバルの凸の部分が勝手に返事をしてしまう。
「あ……も、もう……い、いきそう」
食いしばった歯の間から息が切れたような言葉が漏れると、レムの動きが優しく止まった。
「はあっ……はあっ……」
例の放出感が少しだけ収まる。それがわかったのか、今度は繋がった部分を擦り付けるように、レムが腰を前後にゆっくりと動かし始めた。
その途端、
「あ……んんっ……」
今度は少しくぐもった声が、スバルの上に跨っているレムの方から聞こえ始めた。
「んっ……んっ……」
──あ、そっか。こっちの動きの方がレムは気持ちがいいのか……。
出し入れすることで直接的な快楽を得られるスバルに対して、女の子の一番感じる例の部分は、こうやって触れている時間が長い方が快感を得やすいのだろう。よく考えてみると、レムが激しく反応するのは、決まって指の腹で優しく触れている時か、舌を使って絶えず刺激を続けている時だ。
今まで何度もこうして体を繋げていたのに、レムが本当に欲しかったことを、してあげられていただろうか……。
そんなことを考えられるほどには冷静になったスバルは、先ほどとは違う気持ちよさに包まれたまま、両手を伸ばしてレムのたわわに実った二つの果実に触れた。
「あっ!」
「あ……」
二人が同時に声を上げる。
一人は突然伸びてきた手に対して。
もう一人は、ネグリジェの上からではなく、剥き出しになった肌に直接触れたことに対して。
「レム……」
いつ脱いだのか、全くわからなかった。だがおそらく今、自分に跨っているレムは一糸纏わない、生まれたままの姿なのだということだけはわかった。
レムは黙ったまま、両乳房に触れているスバルの手の上に、自身の手を重ねた。それから、驚きの声と同時に止まっていた腰が、再び前後にゆるゆると動き始めた。
スバルはその細い腰が前に移動するのに合わせて、少しだけ下半身に力を入れ、そして緩めた。円を描くように、ゆっくりと豊かな胸をもみあげ、先端部分を手のひらでくすぐる。その度にレムの体がびくりと反応する。
それから程なく、レムのリズムが早くなり始めて、
「むっ……むぅっ……」
と、くぐもった声が絶えず漏れ始めた。
「レム。声、我慢しなくていいぜ? 俺、何も見えてないから、恥ずかしがらないで……そのまま、レムが気持ち良くなってくれたら──」
その途端、レムの可愛い声が部屋に響いた。
「あっ! あっ! スバルくん! スバルくん! レムは……レムは、も、もう……」
それからすぐに、
「あ! あ! あーっ!」
それと同時に、レムの手がスバルの手首をギュッと掴んだ。それから体をグッとのけぞらせ、密着している部分を強く押し付けた。
両方の太ももが、繰り返しスバルの腰を挟み込む。パッと熱く燃え上がったように体温が上がったレムの躰が、その動きと同期してスバルを何度も締め付けた。