外はとっくに暗くなっていた。魔刻結晶の黄色い仄かな明かりだけが、薄暗い部屋に時間を知らせていた。こちらの言い方だと土の刻と言うのだったか。ものとの世界で言うとだいたい夜の十一時と言うところだろうか。
朝食の後、食器を片付けに来たのはラムだった。その後もラムが昼食と夕食を運んで来て、片付けて行った。
——薬とか、もういいのかな……。それより、レムは今日は忙しかったのか。あれから来ていないしな……。
朝、レムが一方的に約束をして出て行ってからというもの、スバルのそこの部分は大きさを維持し続けていた。ようやく治ったと思ったら、ついレムの顔や感触を思い出し、またむくむくと起き上がってしまうのだ。特に部屋に誰かが入ってくると、心臓がどきりとして、その瞬間、それは硬さを増した。
とはいうものの、実際に部屋に入ってきたのはラムだけで、彼女は食事をサイドテーブルに運ぶと、冷ややかな目で一瞥し、「まだ起きられないのかしら?」とか「いつまで惰眠をむさぼるつもりなの?」と、二言三言いい放っては、出て行った。スバルはスバルで、大きくなっていることを隠すことに手一杯で、ラムの嫌味にいちいち対応する余裕はなかった。
——それにしても。
これだけ長い時間、大きくしたままのスバルにとって、その欲求はもうすでに限界に近かった。いくら約束したとはいえ、レムはやってこない。ふと気づくと、右手で大きくなったそこに触れていた。
——もう我慢できない!
やり慣れた手つきで、人差し指を裏の敏感な部分に、親指はちょうどくびれている部分にあて、つまむようにゆっくりと上下に手を動かす。すぐにくびれた部分の裏側から快感が溢れ出し、体全体を包んだ。透明な雫がじわっと漏れ始めると、親指と人差し指で、その雫をすくい取り、少し手の動きを早める。ぬるぬるとした感触に思わず
「ううっ……」
と、快楽の喘ぎ声をあげるスバル。
空いている指を全てあてがい、徐々にその速度を上げる。さらに空いている左手で袋になっている部分を揉み上げる。
「はぁっ……はぁっ……」
自身のツボを的確に抑え、一気に快楽の頂点に向かう、スバル。その瞬間
「夜まで待っていてくださいね」
レムの顔が突然頭に思い浮かんだ。
——レムとの約束が――
握っていた手をなんとか離す。そこが、名残惜しそうに、ひくひくと戦慄く。危ないところだった。あと少しで、全てを出してしまうところだった――。
——そこで目が覚めた。いつの間にか眠っていたらしい。薄暗い部屋の中で、荒い呼吸と心臓の音だけが部屋の中で聞こえている。
「夢か……」
スバルはそうつぶやいて、大きく息を吐いた。
——それにしても。あのまま夢を見続けていたら、どうなっていただろう。もしかして出してしまっただろうか……。未だにその部分からは快感が伝わってくる。こんなことは初めてだった。この二日ほどの出来事に、自分がおかしくなってしまったんじゃないかと思った。頭を回し、自身の下半身に目を向けると、
「目が覚めましたか?」
薄いブルーのネグリジェを着たレムが、掛布の上から大きくなったスバルを撫でながら、にっこりと笑って、声をかけた。