スバルから勢いよく飛び散ったやや黄色がかった白くて粘っこい液体は、独特の匂いを放ちながら、呼吸が荒くなっているスバルの胸から、今自分が手にしている部分の根元まで広がっていた。
「スバルくん。大丈夫ですか?」
荒い呼吸でぐったりしているスバルが、心配だった。
レムの手の中にあるものは、すこしだけ柔らかくなってはいたものの、まだその大きさと硬さを保っていた。とくん、とくん。わずかな鼓動を感じる。
「レム、ご、ごめん……」
泣きそうな声がレムの耳に入る。
「どうして謝るんですか? レムは……レムはスバルくんがしてほしいことをしてあげたいんです。もしちゃんとしてあげられていなかったのなら、レムの方こそ、ごめんなさい」
スバルは動く方の腕を額に当て、顔を隠しながら、
「違うんだ、レム。本当はずっと我慢してたんだ。本当はしたくてしたくて我慢できなくて……。それを、その、レムが気づいて、してくれて……。女の子にしてもらうなんて初めてで、スッゲー恥ずかしくて、でも、ものすごく気持ちよくて、何もわかんなくなって……レム、すごく、あの……あ、ありがとう……」
その言葉がとても嬉しかった。レムはにっこりと笑うと、
「嬉しい……です。レムも……その、恥ずかしかったですけど、スバルくんに喜んでもらえて、本当に嬉しいです。途中とっても苦しそうでしたけど、大丈夫……ですか?」
「いや、レム。もう脳が震えて蕩けそうだったんだ。マジマジ。おおマジ!」
レムはホッとして、
「だったらよかったです! レムは、その……スバルくんにしてあげたこと、初めてだったから心配だったんです」
顔を隠したままのスバルを見つめながらそう言った。
——やっぱりスバルくんは素敵です。脳が震えるだなんて、そんなおかしな言い方をするなんて。緊張しているレムのために……。
嬉しそうに勝手な解釈をするレム。
「と、とりあえず、お願いしたいことがあるんだけど」
スバルを握ったままのレムにスバルが言った。
「はい、なんでも言ってください」
「今更こういうことを言うのもアレだけど……か、体を……あの、出したものを拭いてくれたりしてもらってもいい、かな?」
「あ……」
レムは、握っていた手を離すと、精液で濡れている自分の手をまじまじと見つめた。ぬるりとした感触が指の間を滑り落ちてゆく。
「これが赤ちゃんの……男の人の精なんですね。ちょっと変わった匂いかも……」
——なんでしょう? 何か……、何かの花の香り?
もっと匂いを確かめようと、精液のついた手のひらを顔に近づけると、スバルがあわてて、
「ま、まじまじ見なくていいから! いいんだよ、匂いなんて嗅がなくても!」
「でも、スバルくんの体から出たものですから、どんなものでも興味があるんです!」
「ううううっ」
その率直な言葉に、スバルが呻いた。
そんなスバルをよそに、絞ったタオルで汗をかいているスバルの額を丁寧に拭き始める、レム。その手が徐々に下半身へと移動し、さっき精を吐き出した部分へと達した。
タオルがあてがわれたそのスバルのものは、大きくなったままだ。レムがいつも見ていた形には戻っていない。
「スバルくん、あの……お……」
——あぶない! つい恥ずかしい言葉を口にしてしまうところでした……。
「あの……ですね、か、形が元に戻ってないみたいですけど……」
「あ……」
「スバルくん、大きいままです……けど、どうしましょう……」
そう言いながらタオルでスバルを優しく包み込むと、その部分はビクンと反応する。
「もしかして、もっとした方がいいですか? もっと出るんですか? あと……な、何回くらい出せるんですか?」
素直にスバルに質問する。
「普段は一度出したら、そのまま収まるんだけど……。ずいぶん出してなかったから、そのせいかも」
「あの……じゃあ……もう一度……もう一度……あの……」
レムはそう言うと、一度タオルで綺麗にしたものに再び指を絡め、今度はスムーズにその手を動かす。
「あぁ……」
と、快楽の声がスバルの口から漏れる。体の力が抜け、その部分に意識が集中していくのがわかる。とはいえ、まだまだわからないことだらけのレムは、
「……どうしたら気持ちよくなりますか? あの……レムにいろいろ教えてください」
「もう少し強く握って、早く動かしたりゆっくり動かしたりするんだ」
「こうですか?」
レムはゆっくりと自分の手を上下に動かした。そのあと素早く数回。それを繰り返す。
「あぁ……っ」
スバルが目をつぶって頭を仰け反らせる。
—— スバルくん、気持ちいいんですね……。
その声が嬉しくて。そして自分が握っている部分にも興味津々のレム。そんな彼女にスバルは、
「あと、裏の……裏のところがすごく気持ちがいいんだ。そこ、触って……ほしい」
「うら? ここですか?」
つややかな先端の裏側から一筋の皮膚が全体につながっていた。そこを空いている左手の親指で撫でるようにこする。
「ううっ。くっ」
それに合わせて、スバルの腰がググッとせり上がってくる。
「はぁっ、はぁっ。くううっ」
口から苦しそうな声が漏れ始める。もちろんその声が、苦しいそれでないことはレムにはもうわかっていた。
反応を見ながら、調べるようにスバルをいじるレム。レムも今度は少しばかり余裕がある。
ツヤツヤしている先端部分の裏側は適度な強さで触っても、大丈夫のようだ。もっとしてくれと言わんばかりに、根元に力が入り、大きくなっているものが立ち上がってくる。逆にツヤツヤしている先の部分を手のひらで包み込み、こするように揉むと、突っ張っていた腰が逃げるような反応をする。くびれている部分や一番硬い部分を、指を添えて上下に動かしたり、指で輪を作ってこするようにすると、腰を突き出すようにして、その感覚をさらに取り込もうとする。
触り方によって、スバルが違う反応をするのが、ちょっとかわいくて。そしてとても愛おしくて。
先ほどと同じく、その先端からは透明な液体が、流れ始めている。それを親指ですくい取り、裏の筋の部分に刺激を与える。スバルはよほど気持ちが良いらしく、苦痛とも似た表情で目をつぶり、息を荒くしている。
レムの手に包まれた部分が、だんだんと硬さを増し、さらに大きくなり始めた。よく見るとスバルの根元にある袋状のものが、レムの手の動きに合わせて上下している。レムは左手の指で柔らかい部分に触れると、その中身を確かめるように優しく指先で揉み込んだ。何か小さな卵のような感触がある。子供の頃に遊んだ玩具のようだ。空いている方の親指を筋の部分に当て直し、全体を上下に動かす。
誰に教わったわけでもなかった。ただ、スバルに気持ち良くなって欲しいと、それだけを思っていた。レムの左手で揉んでいた袋の部分がきゅーっと縮んでゆく。その反面、右手で握っている部分は、ますます大きく硬くなっていった。
レムはスバルの変化に魅せられていた。この部分が、こんなに大きく固くなっていることにも、もちろん驚いていたが、ここまで色々な変化があるとは思ってもみなかった。そして自分がしてあげることで、どんどん高みに向かっていくスバルを、もっともっと見ていたかった。
ふいにスバルの左手が、胸のふくらみに伸びて——。
「あっ……」
今度はレムの体がびくんと跳ねた。が、レムはスバルの手が自分の胸を触るままにしていた。
スバルの指が自分の胸を弄り始める。メイド服の上から乳房を包み込まれて、くすぐったいような、もっと強くして欲しいような、痺れるような感覚が、レムの胸から体の奥深い場所に伝わっていく。
胸から伝わってくる心地よさの中、
「れ、レム!」
スバルが切羽詰まった声で、レムの名前を呼んだ。もう次に何が起こるのかは知っている。スバルのあの瞬間がレムの手によって、再び訪れようとしている。
レムは返事をする代わりに、動かしている手の力を少しだけ強くしてその速度を上げた。
「ああ、いくっ」
レムの胸を揉んでいた手に力が入った。
レムの手の中のものが、さらにぐっと大きく硬くなる。
スバルの全身が引きつると同時に、腰がぐっとつきあがる。
そして。
レムの手の中でびくんびくんと痙攣しながら、再び白い体液を射出するスバル。
「あぁ……」
目にするのが二度目のこの光景に、思わず感嘆の声が漏れる。
握っている手から、精液がその鼓動に合わせて、びゅるっ、びゅるっ、と飛び出ていくのがわかる。今度はレムも手を離さず、その鼓動が収まるまで、手を動かし続けた。
とくん。とくん。とくん。
中身を出しきったのか、少しずつその鼓動も収まっていく。
レムの胸を触っていたスバルの左手から力が抜け、体の横にパタンと落ちた。
——もう少し触ってくれていて、良かったのに……。
荒かったスバルの息が落ち着いてくると、
「レム、ありがとう。もういい。もう手を止めていいんだ」
スバルがレムに優しく言った。
レムはその手を止めて、まじまじとスバルのそれと精液の飛んだあとを見つめた。先ほどよりも少ない量だったが、それでも、彼の胸からお腹にかけて、かなりの量が放たれていた。
レムの指はまだスバルを握ったままだったが、彼女の手の中それは、今度はゆっくりと柔らかく小さくなっていった。
「またたくさん出ましたよ!」
そう言ってベッドから降りると、新しいタオルをスバルに当てがった。スバルはすでに軽く寝息を立てていた。射精がどれだけエネルギーを使うのかを、レムはまだ知らなかった。
存在を力強く主張していたその部分は、先ほどとは比べ物にならないほど、小さく柔らかくなっていた。いたずらでちょっとつまんでみる。ふにふにだ。
クスッと小さく笑って、ほとばしった白いものを綺麗にする。あれだけ嫌がっていたのに、今は黙って体を綺麗にされていることが、レムには少しおかしかった。
全てを綺麗にし終わると、スバルのガウンの前を合わせ、体にタオルケットをかけた。薄く目を開けるスバル。何か言おうとするその唇に、優しく、仕上げのキスをする。そして、その寝顔をじっと見つめる。
スバルのことが好きという自分の気持ちに嘘はない。そして、スバルの心の中に、違う女の子がいるということもわかっている。
それでも、時折自分に見せてくれる優しい眼差しや言葉、触れてくれる手の暖かさ思うと、その心の何処かに、もしかしたらもっと大きなところに、自分がいるのではないか、とも思ってしまう。そう思いたい。そうであったらどんなに幸せだろう。そして、ずっとこうやってスバルのそばにいられたら——。
「ううん」
首を振って、思い直す。今は、この一瞬一瞬を大切にしたい。スバルの世話ができることが嬉しい。そして、スバルがレムにだけ見せるその表情が、二人しか知らない特別な秘密を共有していることが、今は嬉しい。
唯一気がかりなのは、いつ自分のやってしまったことをスバルに伝えたらいいのか、その一点だった。レムの表情が一瞬曇る。
——スバルくんに許してもらえるだろうか……。
小さくため息をついて、汚れものをまとめる。レムがベッドから離れたその時、自分の内腿を何かがツーっと滴るのがわかった。
「もしかして……」
まだ先のはずの月のものが来てしまったのかと思いながら、思わずスカートをめくり、腿を覗き込んだ。
両内腿から垂れている透明な液体が、まるでおもらしをしたように、レムの白いストッキングを濡らしている。
「えっ? えっ⁉」
レースで縁取られた白い下着の
レムもたまに強く感じるあの切なく疼く夜に、自分で自分の体を触ってみたことはある。なんとなくふわっとした儚い気持ち良さを感じるものの、それ以上を追い求めたことは今までない。
だから、ここまで濡れた経験もなかったし、自分がこんな風になるなんて、思ってもみなかった。
——はっ!
「スバルくんが!」
スバルが後ろにいたことをすっかり忘れていたレムは、慌ててスカートを下ろし、恐る恐る振り返った。
スバルは、レムがキスをしたままの姿で、気持ち良さそうに寝息を立てていた。