「んんっ……」
再び甘いキスが始まった。レムは再び大きくなり始めたスバルに手を伸ばした。そのまま握り込んで、ゆるゆると動かし始める。その都度そこは、ひくひくとレムの小さな手に反応を返した。
不意にレムの両肩がスバルに支えられ、体が持ち上げられる。
「れ、レム。ちょっと……ちょっと待って!」
二人の体が離れると、
「今度は俺が……」
スバルがそう続けた。
「え?」
スバルの顔を上から覗き込む形で、思わず聞き返す、レム。
「今度は俺がレムにしてあげたい」
スバルの目が真剣に、レムの目を見つめ返している。
「スバルくんが、レムに……何をするんですか?」
「レムがしてくれたこと、俺もレムに色々してあげたい」
——え? え?
「いや、してあげたいというか、したい!」
——そ、それって……。
「で、でも……そんな」
「レム。レムを見たい……レムの全部を見たい!」
「ぜ、全部って……」
スバルは一瞬言い淀むと、吃りながらこう言った。
「れ、レムの裸が、み、見たい……んだ」
「レムの……は……だか……」
レムの心臓が、ドキンと跳ねる。もう何度も頬が赤くなっているのに、再び顔がカッと熱くなる。
「見たいんだ、レム。レムの全部、俺に見せて、くれないか」
「で、で、でも……」
——そ、そんなこと……どうしてそんなこと……どうしましょう……。
「スバルくん、あの、こ、今度じゃ、ダメですか?」
答えに困って、曖昧に返事をしてしまう。
「だめ。だいたい今度っていつだよ?」
「……レムは、スバルくんのこと、大好きですけど、あの、ま、まだ、その……覚悟、が……じ、準備が……お、お風呂とか……」
レムはスバルの顔をまともに見られず、下を向いたままそう言った。ところがスバルの口からは、
「レム、だってお前、ここにくる前に、風呂に入って来ただろう?」
——ば、ばれてます! な、なんでわかるんですか!
「い、いえ、そ、それは、その……そ、それに、スバルくんもまだ体があまり動かないですし……」
しどろもどろになりながらも、なんとかこの状況を脱しようとするレム。だが、スバルもそう簡単には許してくれずに、
「そうそう、それなんだけど、今日はさ、ラムに、その支えてもらいながらなんだけど、ゆっくりなら歩けたんだ、俺。……ほら! ベア子も今日の薬は今までと違う薬だって言ってたし。だから、大丈夫——いや、何が大丈夫なのかよくわからんが……どうしても見たいんだ!」
体をベッドに起こし、懸命にレムに訴える。そのスバルの言葉を聞いて、
——スバルくん……レムはどうしたらいいんでしょう……。
「ど、どうしても……ですか?」
「どうしても!」
レムはスバルを上目遣いで見つめながら、
「……でも、レムの裸なんて……そんないいものではありませんし……それに……とっても恥ずかしいです」
「恥ずかしいんだったら、俺はもうとっくに恥ずかしいところ全部レムに見られてるよ!」
少しずつレムに体を寄せていたスバルの手が、不意に体の後ろに回された。ついで、レムのネグリジェの背中をまさぐった。
「あ、あれ? これどうなってんだ?」
レムはスバルの胸に頭を預けて、
「ご、強引なのは嫌いじゃありませんけど……」
一つ大きく息を吸い込んでからそう言うと、スバルをまたぐように膝立ちになった。
「す、スバルくんが、そこまでいうなら、し、仕方がありません、ね……」
——スバルくん……レムは……。
レムは覚悟を決めると、自身の寝間着の裾をつまんで、ゆっくりとたくし上げた。
「レムのこの寝間着には、ボタンがないんですよ……スバルくん」
スバルの目線が、自分の太ももに釘付けになっている。恥ずかしさで手が震える。手を下ろしてしまいたい衝動と必死で戦う。意図せず、スバルを焦らしてしまう、レム。
もうあと少し上に上げると、ショーツに包まれた部分が露わになってしまう。心臓がばくばくして、気絶しそうだ。
——も、もう少しで……。
「や、やっぱり恥ずかしすぎますっ!」
限界だった。もういっぱいいっぱいだったレムは、つまんでいた手を離して、ベッドに突っ伏した。恥ずかしさのあまりに、子供のように足をばたつかせる。その度に、寝間着の裾がずり上がっていくのには、全く気づかなかった。
「れ、レム。見ても……さ、触っても……いい、か?」
スバルの言葉の意味を理解する前に、いきなり裾をめくりあげられたのがわかった。
「あ……!」
太ももから腰の部分までが、ひんやりとした空気にさらされた。振り返るまでもない。スバルの視線がショーツに包まれた自分のお尻に刺さっているのがわかる。とっさに足を閉じて交差させたが、それが返ってスバルの興奮を高めることになったことには、気づいていなかった。
温かい感触が双丘を包み込む。その瞬間、ぞわっとした甘美な感覚がはしり、
「んんっ……」
触れられている部分から、ぶるっと震えが体に走って、思わず力が入る。スバルの手は、レムが一番隠していたい部分を広げるように、すぼめるように、優しく、時に強く、二つの大きな膨らみを撫で回していた。そこが開かれる感覚があるたびに、
「ぴちゅっ……」
と、かすかに音が漏れる。
——は、恥ずかしすぎます……。お願いです。スバルくんにこの音が聞こえていませんように……スバルくんが気づいていませんように……お願いです……。
心の中の叫びと、体の反応のあまりの違いに戸惑う、レム。気づくとスバルの手は白いショーツの中にすっかり潜り込み、直接素肌に触れながら、動き続けていた。口から熱い息が吐き出される。足の力が抜けてくる。その手がウエスト部分に伸びて、レムのショーツを脱がそうとした。
「だ、ダメです! ダメです! スバルくんっ!」
なんとかスバルの手を止めようと、反射的に端を抑えると、今度は寝間着を背中まですっかりめくり上げられて、
「いやぁぁぁん!」
予想もしなかったスバルの手の動きと恥ずかしさで、小さく泣き叫ぶレム。その声にスバルの手が止まる。
「ご、ごめん。レム……」
「うううっ……」
「ご……ほんとにごめん……レムがどうしても嫌なら、もうしないよ……」
スバルはそう言うと、裾を戻し、そっとレムにタオルケットをかけた。
「……ごめんな」
気落ちしたようなスバルの声。
——スバルくん……レムでいいんですか? スバルくん……。
「………………です」
「え?」
「ど……うしても……いや……じゃ……ない……です……」
「え、え?」
——スバルくん! スバルくん! スバルくん!
手で顔を隠すレム。
タオルケットがゆっくり取り去られる。ネグリジェがめくりあげられ、肩がすっかり露わになる。スバルにされるがままに、仰向けに体を起こす。袖から腕が抜け、すっかり脱いでしまうと、そのまま寝衣を手にまとめて胸元を隠す。
「レム……」
優しくスバルが名前を呼ぶ。その手が胸を隠している布に伸びる。覚悟はしたはずなのに、一瞬ビクッと体が震える。ゆっくりとその手を下ろし、スバルの眼の前に、自分の胸をさらけ出す、レム。
「レム、綺麗だ……」
恥ずかしさで、震えが止まらない。スバルの視線を外すように横を向いたまま、目を伏せる。呼吸がうまくいかず、しゃくり上げるようになってしまう。落ち着こうと大きくゆっくり息を吸って吐き出す。もう一つ。もう一つ。
「レム、本当に綺麗だ」
その言葉と同時に、スバルの手が胸を包み込んだ。ドキッとしてスバルに顔を向けると、その頭が自分のもう片方の胸に近づいている。
——あっ!
スバルの口が、自分の胸に吸いつく。くすぐったいようなジンとした感覚が胸から体の奥深くに広がる。乳首がキューっと固くなるのが自分でもわかる。まるで赤ん坊が母親のおっぱいを飲むように、スバルも懸命に自分の乳首を吸っている。
「ああ……」
母親が子供を慈しむように、レムはスバルの頭をそっと抱え込むと、そのままゆっくりとベッドに倒れこんだ。
「はぁっ……はぁっ……」
目を閉じて、胸の感覚に集中する。息が荒くなる。スバルの右手が、胸からあばらへ、腹部からさらに下へとたどり着く。ショーツの上から、下腹部のギリギリのラインを優しく撫で続ける。それに呼応するように、レムの腰も自然と動きを増す。
とうとう、スバルの指が、もうすっかり濡れているその場所に到達する。一瞬、スバルの指から逃げようと腰を引くレム。だが、スバルはその箇所を逃すことなく、レムの縦のラインに沿って、指を優しく優しく動かし続けた。
「ああんっ……んっ……んんっ」
いつのまにか握った指を軽く咥えていたレムの口から、気持ち良さそうな声が、熱い吐息とともに漏れ出していた。指が上下するたびに、体がピクンピクンと反応してしまう。恥ずかしさで逃げ出したいのに、その指が与えてくれる、もどかしさにも似た心地よさから、逃げることができない。
スバルの口がレムの乳首からふっと離れた。レムは無意識でその唇を追うように、背中をのけぞらせ胸を突き出した。
スバルの手が、レムのショーツの両端にかかる。一瞬ビクッとなる。が——レムは、一瞬目を開いてスバルを見つめると、再び恥ずかしそうに目を目を瞑る。スバルが、レースで縁取られた白い布をゆっくりと腿まで下ろす。真っ白なレムの肌は、いまでは全身がほんのりとピンクに染まっていた。
スバルがぴったりと閉じたレム足からショーツをずり下げてゆく。とうとう足首から完全にショーツを抜き去ると、その足首に軽く手を添えて、レムの両足を開こうとした。
「す、スバルくん……やっぱり……恥ずかしい……です」
そう言いながら顔を両手で覆って、最後の抵抗を試みる。
「レム、レムの一番大事なところ、見たい」
レムは自分の足から力を抜いた。スバルもそれがわかっていたかのように、レムのほっそりとしたふくらはぎをそっと持ち上げ、両足をゆっくりと、その付け根の中心部が確認できるように開いていった。
「ああっ……」
「ああっ」
全く同じ言葉が、二人の口から漏れた。レムは、恥ずかしさで全身をピンクに染めていた。
顔を隠してはいるものの、スバルの目線が自分のその部分に集中しているのがわかる。信じられないことに、さらに足を広げようとするスバル。
「スバルくん、あの……あ、あんまり、その、ひ、広げられると……」
自分自身、その部分をまじまじと見たことは一度もない。その秘密の部分がスバルに見られている。これほど恥ずかしい思いをしたことは今までなかった。羞恥の最中、その部分の外側に指が触れた。
——あ……。
考える間も無く、左右の指で広げられ、初めて人の目にさらされる秘部。スバルの荒い息と、それを消し去るような自分の鼓動だけが聞こえてくる。
——か、覚悟を決めたとはいえ、これは恥ずかしすぎます! スバルくん!
「す、スバルくん? ……あの……もう……いいです、か? ……とっても……は、恥ずかしくて、れ、レムは、もう死んでしまいそうです……」
「ご、ごめん。レム……」
そう言った後、スバルがそこに顔を近づけたのがわかった。
「レムのここ、綺麗だ……」
スバルが何をしようとしているのか、理解したレムは、
「あぁっ! だ、ダメです! スバルくん! そ……そんな汚い……こと! そんなこ……と……あああぁぁぁっ!」
言い終える前に、くすぐったさと気持ち良さとが混じった、蕩ける気持ち良さがレムを包んだ。一体、どこをどうしているのかわからない。ただ、スバルの口が動き、舌でなぞり、入り込み、どこかに吸い付くたびに、内臓をえぐられるような、全てが体の中から流れ出てしまうような強い快感が、絶え間なくレムに打ち寄せた。
「くぅっ……つっ……」
レムはいつの間にか自分の両端のシーツを握りしめていた。体が勝手によじれる。脳天を突き抜けるような強い快感が、レムの体を駆け抜ける。
「あ……あ……ああああああっっ!」
体が仰け反る。
「くっ……ああああっ!」
先ほどから聞こえてくるのが自分の声だとわかって、慌てて口を手で塞ぐ、レム。声を我慢している分、逃げ場所のなくなった快感が、体の震えを助長する。
「むーっ……んっ……くぅっ……むーっ! むーっ!」
苦しいのに。もうやめてほしいのに。もう解放してほしいのに。体がそれを拒否してしまう。もっとしてと言わんばかりに、そこだけがスバルの口から離れるのを拒絶する。そして、ゾワっとした強烈な刺激が、レムを襲った。
「あ、あ、あわわっ! むぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!」
口を塞いでいるにも関わらず、声が漏れた。さらに強く口を押さえる。
体全体に力が入り、何かが一点に集中し始める。
そしてその何かが、いきなり弾け飛んだ。
「むーっ! むーっ! あ、あ、あっ…… んーっ! んーっ! んーっ!」
甘美な稲妻がレムを直撃した。
頭の中が真っ白になる。
体がどこかに放り出され、バラバラになる。
バラバラになった体が、一つの場所に集まり、ぎゅーっと収縮する。
痺れるような強く甘いその快感は、いつ果てるともなく、なんどもなんども、波のように寄せては返し、レムを攫って行った。
どのくらいの間、その快感の波に溺れていたのか。ようやくその苦しみにも似た強い感覚から解放されると、空から落ちる鳥の羽のように、レムの体もふわりとベッドに着地した。