キスがきっかけになったのか、レムの中に入ったままのスバルのものが、硬さを増し始めた。おそらく無意識なのだろう、スバルが腰をレムに押し付けるように、少しずつ動かしている。とっさに、
「スバルくん、また出せますか? もっと出したいですか? レムは……このまま続けてもらっても大丈夫ですよ」
経験のないレムが、ストレートに言う。
「うん、出したい。もっとしたい」
スバルも素直な言葉を口にする。ついで腰が動いて、すでにカチカチなその部分の抜き差しを始める。最初の強い痛みは去りつつあったが、差し込まれるときには、治りかけの傷を広げられるような痛みが走った。おそらく出血しているだろうと、レムは思った。
「レムの中、あったかくて熱くて柔らかくて、気持ちいい」
そんなスバルの素直な言葉が、レムの痛みを忘れさせてくれる。
「レムも、スバルくんが入っているの、わかります。スバルくんも、とっても熱いです」
「痛く、ないか?」
レムは正直に、
「……さっきは、最初にスバルくんが入ってきたときは……その、ちょっと痛かったですけど、今はもう大丈夫です……でも、あの……ゆっくりしてもらえたら嬉しいです……」
「う、うん。わかった」
そういうと、優しくいたわるように、そっと、ゆっくり腰を動かし始めるスバル。ゆっくりと、ゆっくりと、優しく、優しく。
スバルが中に入ってくると、やはり痛みを感じて、すこし苦しい表情になってしまう。逆にそこから抜けていくときには、ほっとするような、ひやりとした感覚が走り、思わず震えてしまう。そこからいなくなる寂しさからなのか、ついスバルを見つめてしまう。再び奥深くまで入り込み、今度はお腹を付き合わせるような動きをされると、敏感な部分から、あの気持ち良さが体全体に伝わって、
「あ……」
思わず声が漏れてしまう。体の奥のどこかが、スバルの先端に触れているのがわかる。そんなレムの様子を見ながら、なるべく苦しくないように、レムの表情が緩むように、スバルはゆっくりと優しく動いてくれた。
——あぁ……スバルくん……。
鋭い痛みが徐々に鈍痛へ変わってゆく。そして、心地よさが少しずつレムのその痛みを忘れさせた。スバルの動きに合わせるように、レムも体を動かして、痛みと心地よさのバランスをとった。
しばらくすると、スバルの動きが早くなった。スバルに今日三度目の瞬間が訪れようとしていた。
「レム! も、もう!」
「いいですよ、スバルくん! そのままレムの中に!」
「うっ!」
スバルが一瞬硬直する。
「レムに、いっぱい出して!」
そう言って、痙攣が始まったスバルの体をぎゅっと抱きしめた。
「ぐうっ……くっ……ぐっ……」
スバルが歯を食いしばり、呻く。再びレムの中で絶頂を迎える。
——びゅるっ! びゅるっ! びゅっ!
レムの中で、しゃくりあげながらそれが精を放つたびに、熱いものが注がれるのがわかる。
「ああぁ……」
何度目かの脈動が通り過ぎて、ようやくスバルの痙攣と体の震えがおさまってくる。
「はあっ……はあっ……」
荒い息のまま、スバルの唇がレムの唇を塞いだ。熱い熱い恋人同士のキス。レムに入ったままのスバルのものは、ピクンピクンとひくつきながら、ようやく柔らかくなっていった。
今度はスバルも、レムにぐったりと伸し掛らず、ゆっくりと体を離す。完全に体を起こすと、繋がっている部分をそっと切り離した。十分に柔らかくなったものが体の中から去ってゆく。
——ちゅぽっ。
音とともに完全に抜け切ると、レムは寂しさを感じると同時に、少しだけほっとした。
スバルが荒い息のまま、レムの横に体を横たえた。そして腕をレムの首の下に回した。スバルの意図をすぐに理解したレムは、そのままスバルの胸の中に転がり込んだ。
「スバルくん、素敵でした……」
——スバルくんは……スバルくんはどうでしたか? レムで良かったですか? スバルくんも嬉しいって思ってくれましたか……?
「レム、俺……あの……」
でもその続きを聞く勇気が、レムにはまだなくて。
「スバルくん、レムは少し……眠く……。このままスバルくんの隣で、ちょっとだけ眠らせてもらってもいいですか?」
スバルの体に腕を回して抱え込むと、レムはその瞼を閉じた。
「スバルくん、あの……レムはこのまま頭を撫でもらいたいです……」
スバルの手が、レムの髪の中に入り込む。指が青い髪を梳きながら、優しく頭を撫でていく。今、この瞬間。その手の暖かさだけで、レムは十分だった。
スバルが寝息を立て始めると、レムはそっと体を起こし、じっとスバルの顔を見つめた。たった今二人に起きたことが、まるで夢のようだった。さっき口にした言葉は嘘ではない。
——こんな素敵なことって。でも、いいのでしょうか。レムが、レムだけがこんな風に。姉様だって……。それに、スバルくんは、目が覚めたら後悔するでしょうか……。
嬉しくて、愛おしくて、でも、ちょっと哀しくて。
レムは、そんな複雑な思いを追い払うかのように頭を振って、ベッドから降りた。介護用の大きいタオルを自分の体に巻きつけてから、枕元のテーブルにあるタオルを使って、スバルの汗をそっと拭う。おそらくかなり体力を使ったのだと思う。スバルの目が醒める気配はない。今までそうしていたように、やさしく体を綺麗にする。
——スバルくんのここは、さすがに小さくなったままですね。
さっきまで自分が包み込んでいたものをやさしく拭きながら、レムはクスッと笑った。
一旦スバルの体を綺麗にして、そっとタオルケットをかける。レムは、気持ちよさそうな寝顔のスバルにキスをすると、部屋の隅に移動して、自分に巻いていたタオルを取り去った。そして自身をいたわるように、そっとそこに塵紙を当てた。スバルの精に少し血が滲んでいる。それほどの量の出血ではなかったことに安堵しつつ、嬉しさと喪失感で複雑な気持ちになった。
——このままスバルくんがレムだけのスバルくんになってくれたら、どんなに嬉しいでしょう……。でも、姉様やエミリア様、ベアトリス様と楽しそうにお話をしているスバルくんも、レムは大好きなんですよ、スバルくん。だから、今は、もう少しこのままで。ううん。今この瞬間だけは、レムだけのスバルくんで……。
自分の体をすっかり綺麗にすると、レムはそそくさとスバルが寝ているベッドに戻った。いつの間にかスバルは、タオルケットをはだけて、素っ裸でいびきをかいている。
——スバルくん、子供みたいです!
レムは微笑みながら、足元のアッパーシーツを手繰り寄せてスバルのお腹を隠すと、そのまま自分も一緒のシーツに潜り込んで、再びスバルの胸に顔を埋めた。