※この作品はR-18です。

紫紺の夢   作:Kuro Maru

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青の章・16

「なぁ、レム」

 

 ちょっとだけ真剣な口調に、スバルの顔を見る、レム。

 

「レムは大丈夫って言ってたけど、俺、レムの中に、二回も、その、たくさん出しちゃって……あの、本当に、いや、ちゃんと責任を……」

 

「そのことなら心配しないでください。さっきも言いましたけど、今は大丈夫な時期のはずですから。それに……」

 

 体のリズムが安定してきてもう随分経つ。あと何日かで出血が始まるはずだった。だが、それ以前に——。

 

 ちょっと真剣な口調でレムが続ける。

 

「レムや姉様、鬼族は、元来子供ができにくい体なんです」

 

「そうなのか?」

 

「はい、おそらく。レムと姉様以外、里には子供がいませんでしたし……」

 

 このことに関しては、レムも疑問に思っていたことがあった。幼少の頃、自分たち姉妹しか、故郷の里には子供がいなかった。それが普通でなかったことは、のちに領地の村や王都に訪れた時に、すぐに理解した。

 

 考えられる原因はひとつ。鬼族は子孫を残しづらい種族だったということだ。

 

 そもそも、なぜ鬼族はあんな山奥で、ひっそりと隠れるように暮らしていたのだろう? 他にも鬼族はいるのだろうか? それとも、もうすでに——。

 

「そうだ! 話は変わるけどさ、レム」

 

 スバルの言葉が、レムの思考を遮った。

 

「はい? なんでしょう?」

 

「レム、下の、あの、下はもともと生えてないのか?」

 

「え? あ、あの……」

 

「いや、あの、レムは、なんって言うか、その、つるつるで、産毛みたいのはあったけど。あの、ほら、普通、生えてる、んじゃないかなぁ、と」

 

 スバルがなんのことを言っているのかようやく思い浮かんで、レムは顔を赤くした。

 

「ど、ど、ど、どうしてそんな恥ずかしいことを聞くんですか!」

 

 レムは、再びスバルに手を伸ばすと、今度は袋の部分をきつく握った。

 

「痛い! 痛い! 本当に痛い!」

 

「そんなこと、レムにだってわかりません! 生まれつきというか、もともと無いものは無いですから!」

 

「そ、そうなのか? いや、その、かわいくて綺麗だなと思って——」

 

——え? かわいいだなんて、そんな。レムのは、かわいいんですか? 照れちゃいます……って、あ、あぶないところでした……。そ、そもそも……。

 

「女の子にそんなことを聞いちゃダメです!」

 

 再び手に力を入れる。

 

「痛い! 痛い!」

 

 スバルの叫び声を聞きながら、でも——とレムは思った。

 

「でも、確かにそうですよね。姉様もレムと同じで、下には何も……。でもエミリア様には、綺麗な銀色の……。もともと鬼族には無いのでしょうか……」

 

 何時もではないが、たまに三人の入浴が重なることがあった。特に隠す理由もないので気にもしていなかったが、確かに自分と同様、双子の姉であるラムにも、その部分には何もない。

 でも、エミリアは、髪の毛と同じ綺麗な銀色の毛が、その部分を飾っていた気がする。ということは、やはり鬼族は——。それとも自分たち姉妹だけが何か特別なのだろうか? もう今となっては、知りようもな——。

 

「え? ええええ?」

 

 スバルの驚いたような声に、レムは、ハッと我に返った。そしてスバルの顔に浮かんでいる表情を見て、

 

「今、想像しましたね……。想像したでしょう! スバルくん!」

 

——い、一体誰を思い浮かべたんですか? 誰ですか? スバルくん!

 

「してない! してないって! いたたたたた! してません! してませんから、ゆ、許して!」

 

「もう! スバルくんが見ていいのはレムのだけですっ!」

 

「お、おまっ! レムの、だけって……」

 

「あ……」

 

 カーッと顔が赤くなる。スバルも真っ赤な顔をしている。

 

「ほんっとに、スバルくんは意地悪な人です!」

 

 恥ずかしいのか、それとも嬉しいのか。自分の気持ちがよくわからないまま、レムはスバルのものをぎゅーっと握り込んだ。

 

〈青の章 終幕〉




 
 ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。青の章、これにて終幕です。次話より第三章に入ります。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

黒丸

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