スバルの腰の律動が始まり、ひくん、ひくんと、わななくようにそこがしやくり上げる。だが、いつものように、熱いものが放出されることはなかった。しばらく締められたままでいると、射精感がスーッと引いた。
「もう大丈夫です! さあ、スバルくん! 姉様! 続きを!」
思わず声を上げてしまった自分に、赤くなりながら、
「あ、その……つ、続きを……」
小さい声でそう呟くレム。
自分に何がおきたのか、レムが何をしたのか、スバルはすぐにそれを理解した。
「ら、ラム、ごめん。今度は俺が上になってもいいか?」
息を荒げたまま、かすかに頷くラム。スバルは半身を起こしてラムの頭と腰を抱きかかえると、その部分が外れてしまわないように、そっと小さな体を横たわらせた。すっかり小さな体の上に自分の体がかさなると、今度は自分がゆっくりとラムへの出し入れを再開した。
ゆっくり半分ほど抜いて、またゆっくり挿入する。奥まで入ったら、今度はラムがそうしていたように、一番敏感な部分を自分の付け根で擦り上げるように、回したり、押し付けたり、なるべく単調にならないように気をつけながら、ゆっくり、ゆっくりと動いた。スバルは、自分が動いた方が、おそらく先にラムが達するのではないか、と思っていた。だがラムの、
「あああっ……はぁっ……あ、んんっ」
という喘ぎ声に、スバルはすぐに放出してしまいそうになった。
「れ、レム……」
情けない声がスバルの口から漏れる。レムはその声に頷くと、再びスバルの根元に手を伸ばして、ぎゅっと締め付けた。本来ならあり得ない行為だった。だが、スバルもレムも、ラムのことで頭がいっぱいだった。自分達の快楽よりも、ラムに少しでも早くあの絶頂感を感じて欲しかった。
冷静になった部分を使って、再びラムの体を前後に揺らす。ゆっくりと、ゆっくりと。それに合わせて、ラムの反応も少しずつ、大きくなった。
レムの秘策が四回目になった頃、スバルの出し入れに合わせていたラムの腰の動きが、さらに大きく、激しくなった。
「はあっ、はあっ……うっ、くっ」
絶え間なく声が漏れる。
「ああんっ! あっ! あっ! あっ!」
その声がひときわ大きくなると同時に、体の震えが始まり、背中に回した手に力が入る。
「ああっ! あっ! んーっ! んーっ!」
ぎゅっと目を瞑り、背中に回した両腕と太ももでスバルの体を抑え込むと、ビクンビクンと痙攣を繰り返すラム。スバルを包み込んでいる部分が、急激に温度を上げ、その中に入り込んでいるものをキュッと握り締めた。額がうっすらと光っている。
——ああ、良かった。
そう思った途端、限界がきた。
「あ、あ、まずい! お、俺もイキそう。れ、レム! あ……」
スバルの腰の動きが一瞬止まる。次の瞬間、
「ああっ! くっ! ぐっ!」
歯を食いしばって、ラムに熱いものを注ぎ込むスバル。びくんびくんと腰が律動する。その度に、びゅるっ! びゅるっ! と、ラムの中に精が放たれた。
その時レムは、スバルの腰のあたりをさすっていた。そして今度は無理に押さえ込まず、スバルの快感をより大きなものにしようと、もう一方の手で後ろから袋の部分に刺激を与えていた。ラムは最後までと望んでいた。スバルも、そんなラムのために、もう四度も我慢してくれた。きっと辛かったに違いない。だから、もしできるなら、二人同時にあの瞬間を迎えて欲しかった。
そして、ラムの願い通り最後までを見届けると、大きく息を吐き出した。レムは、あの大きな波に飲み込まれないように、今度はなんとか意識を集中して、ラムから届けられる強い共感覚を抑え込んでいた。自分の呼吸を落ち着かせたレムは、タオルケットを手に取って、そっと二人の体にかけた。
二人の呼吸がようやく落ち着き始める。ラムの頭をだき抱えて上になっていたスバルが、その手をラムの体の両脇について、ゆっくりと体を起こした。
スバルの体の下では、ラムが赤い瞳に涙をいっぱいに浮かべて、スバルを見上げていた。そんなラムにスバルが優しくキスをする。
唇が離れると、ラムはレムの顔を探した。すぐ横で、レムがラムとスバルを見つめていた。そのレムの目にも涙が浮かんでいる。思うことはたくさんあったに違いない。それなのに、ただただ嬉しそうにラムとスバルを見ていた。
「レム……」
そう言って、レムに手を伸ばした。レムもその手を取って、
「姉様……姉様、どうでしたか? あの……」
「レムはもう、これがどんなかを知っているんでしょう? ラムは、その、とても……」
あの感覚をうまく言葉にできない。
「……レム。ありがとう」
うん! うん! と、頷くレム。
「でも、あの、本当に……ごめんなさい……」
レムは、ラムの手を自分の頬に当てると、今度は黙って、首を横に振った。
ラムは再びスバルに目線を戻すと、
「バルス……いえ、す、スバル……あ……あり……がとう……」
そこまで言って、ふいと横を向いてしまった。顔が真っ赤になっている。
「無理に言わなくてもいいぜ。今までのまま、俺はそのままのラムが好きなんだ」
スバルも照れ臭そうに、顔を赤らめた。
ゆっくりと二人の体が離れてゆく。最後に「チュッ」という小さな音がして、ラムの初めてに終りを告げた。
スバルは体を起こすと、そのまま横になっているラムの体に上掛けを残して、その横に座った。レムがスバルに近づいて、裸のスバルの腰のあたりに優しくタオルをかける。そして、スバルの目を覗き込んで、おねだりするような表情をした。
一瞬見つめあった後、二人は、レムが今一番欲しがっているものを優しくシェアした。ラムもまた、その光景を優しい目で見つめていた。
そうして何分もしないうちに、ラムは何日か振りに訪れた、安らかな眠気に体を委ね始めていた。
スバルが初めに自分に与えてくれたあの快感、最初は痛かったが、熱くて硬いものが優しく動き、快楽を与えられ、自分もまた快楽を与えているという興奮。ほかの誰かが自分の中で果てるという、満足感と、最後に自分の中に注ぎ込まれたあの熱いもの。それと同時に襲いかかった、二度目の
少しうとうとしていると、レムが全身の汗を優しく拭ってくれていた。スバルの精が注ぎ込まれたその部分も、優しく丁寧に清められていく。これにはちょっと恥ずかしさもあったが、ラムは、レムの優しさに感謝しながら、目を閉じてされるままになっていた。
最後に、自分の裸身に再びタオルケットが掛けられる。
意識が遠のく直前、前髪に指が入り込んだのがわかった。次いで、ちょうど角があったその部分に、唇が触れる。これはスバルだろう。その二人の優しさと暖かさに包まれたまま、ラムは心地よい深い眠りに落ちていった。
しばらくして、スバルとレム、二人だけの甘い営みが、遠慮がちにベッドを揺らしはじめた。だが、ラムの目が醒めることは、朝になるまで一度もなかった。