「そ、その……おちんちんは、触ると大きくなるのは、あの時にわかったわ……でも……」
ラムが何を言おうとしているのかわかって、その先をレムが引き継ぐ。
「レムも聞いてみたんです、その事」
「ば、バルスに直接聞いたの?」
「は、はい……」
「で、何って?」
「スバルくんのお話だと、女の子の裸を見たり……その、いろいろ刺激を与えられると大きくなるそうです……。あと、『えっちな事を考えると』とか言ってましたけど……『えっちな事』って、いったいなんでしょう?」
二人は一瞬見つめ合うと、お互いに首を傾げた。
「謎のバルス語がまた出たわね……おそらく、いやらしい事、って意味だとラムは思うわ」
ラムは一瞬、ん? と考えて、
「じゃあ、ベッドに寝ていた時はいつもいやらしい事を考えていた、ってことになるわね。あのバルスケベ」
「姉様、それが……大きくなる理由は、それだけじゃないみたいなんです」
「そうなの?」
「スバルくんによると、その『えっちな事』を考える以外にも、寝ている時とか、朝起きた時は自然に大きくなっているそうですよ」
「へええ」
ラムが感嘆にも似た返事を返した。
「でもそれって、毎朝、大きくしているっていう事? じゃあ、その……それをどうしていたのかしら」
レムは一瞬ためらってから、
「す、スバルくんによると、自分で、その……して、出すそうです……」
なぜか小声で、そう答えた。
「自慰行為っていうやつね?」
ラムはそう言ってから、ふと気づいたように聞き直した。
「え? 毎朝?」
「それが、その……毎朝……っていうより、毎日……何度もするって……」
「え……毎日、何回も……」
その姿を想像したのか、二人の顔が同時に赤くなった。
「す、スバルくんは、男の子ならみんなそうしてるって……」
レムの言い訳っぽいセリフ。ラムは本当かしらね? とでも言いたげにこう聞いた。
「ふうん、そうなの? バルスだけが特別なんじゃないの?」
レムは、んん? と、何かに思い当たった様子で、
「あ……も、もしかしたら、そうかもしれません。スバルくんだけが特別なのかもしれません。さ、最初にレムと……」
そう言いかけて、あ、という表情を浮かべるレム。
「レム? 今更恥ずかしがることなんてないわ。最初に、なあに?」
「……最初にスバルくんと繋がった夜は……スバルくんは……その、四回も……」
「……よ、四回! 四回もレムの中に出したの? そんなに出せるものなの?」
いえいえ、と、両手を振ってレムが否定する。
「いえ、その……レムの中には二回だけ……。最初は手で、最後はお口で……」
「口で……レムの口の中で?」
ラムは驚きを隠せず、口をあんぐりと開けた。
「は、はい。その……の、飲んであげたくって……」
「れ……の、飲んでって……」
絶句するラム。
「そ、そんなこと、一体どこで……」
「あ、資料室に……そ、その、本が……」
「え? そんな本がこのお屋敷にあるの?」
「ちょっと待っててください。持ってきます」
たった今口にした言葉の恥ずかしさを隠すように、レムはベッドから降りて、部屋に戻ろうとした。だが、レムがやんわりとそれを制した。
「ま、待って、レム。それは後でいいわ。それよりも、その、ほ、他には、その……おちんちんについての秘密は、あ、あるのかしら?」
「そ、そうですね……。あとは、ぼーっとしている時とか、自分の意思とは関係なく、形が変わってしまうことがあるって……自然と大きくなっちゃう事もあるそうですよ」
「そんなことが……。今までそんなことがあったかしら。ラムは気づかなかったけど……」
んー、とラムが上を向いて、考える。あんな状態になってしまっては、流石に服の上からでも分かりそうなものだ。そういえば、昨晩、スバルはガウンを抱えて前かがみになっていた。いや、あの時、リネンを取り替える時にも前を隠して前かがみになっていた。
——バルスが倒れる以前にも、似たようなことがあったかしら……?
「そ、そんな時はどうするの? どこかでこっそり自分でしたりするのかしら?」
「スバルくんの話によると、その……とりあえずズボンのポケットに手を入れて隠すみたいです」
「ズボンのポケット?」
「そうやって、自然と治るのを待つそうですよ」
——ふーん。それは面白い事を聞いたわ。
ラムは、ポケットに手を入れていないかどうか、今度から注意してスバルを見ていよう、そう思った。そして同時に、
「男もいろいろ大変なのね」
素直に、そう口にした。
「レムもそう思いました!」
二人は一瞬見つめ合って、くすくすと笑った。
「それはそうと、レム」
ラムが何かを思い出したようにレムに問いかける。
「バルスの……その……おちんちんの下についている、アレのことだけど……」
レムもなんのことなのかすぐにわかって、
「あれ、とっても触り心地がいいですよね! レムはつい手を伸ばしてしまいます!」
「そ、そうね。触りごごち、いいわね。ラムもそう思うわ」
自分が聞こうと思っていたのとは全く違う反応がレムから返ってきて、ラムは少しだけ可笑しくなった。
「柔らかくって、中に小鳥の卵のようなものが二つ入っていたわね」
「あれ、なんでしょうね? よく見ると、いつも少し中が動いているんですよ」
すっとぼけて、やや天然がかった返答をするレムに、ラムは、
「そうなの?」
思わず素で聞き返した。
「そうなんです。それに、普段はゆるゆるしていて柔らかいのに、その、スバルくんが気持ちよくなってくると、キューっと縮むんです……」
「え? アレも形が変わるの?」
「そ、そうなんです。その、出る瞬間に、とっても硬く……」
それも見てみたい。一体どんな風に——。そこで、自分が最初に聞きたかったことから、ずいぶん話がずれてしまっていたことに気づいた。
「こ、こほん——で、それはそうと」
と、ラムは続けた。
「なんでバルスはお手玉を知っているのかしらね?」
んー、とちょっと考えてから、
「そうですね。なんででしょう? でも、スバルくんの故郷と、姉様とレムの里とは、似ているところがありそうですよ」
レムが答える。
「なんでも、スバルくんの故郷には、ユカタとっていうものがあって、里の服装とよく似ているらしいんです。それはキモノって言うそうです」
それを聞いたラムは意外そうな表情を浮かべた。
「キモノ……。でも、バルスは鬼族じゃないわ」
「そうですよね。不思議です」
「もしかしたら、カララギの近くなのかもしれないわね。バルスが育ったのは」
「そういえば、レムたちの里もカララギの近くだったんですよね?」
「……そう。カララギの国境。だから、カララギ文化の影響はあったでしょうね」
レムはそれほど深く考えたことがなかったが、ラムは、スバルが一体どこでどんな風に育ったのか、今なぜ、ここにいるのか、常に疑問に思っていた。
「スバルくんも子供の頃お手玉で遊んだんでしょうか……」
「それはどうかしらね。あれはどちらかというと、女の子が遊ぶものじゃないかしら」
「そうですね。あれは女の子が遊ぶもの、ですよね」
「他には、何か似ているところがあるの?」
「似ているかどうかはわかりませんが、他には、オンセンとか、セントウという名前の、大きな公衆浴場があるそうですよ。その中には男女が一緒に入るコンヨクというのもあるとか……」
「え? 全くの他人同士が男女区別なく一緒のお風呂に入るの?」
「そ、そうみたいです……」
「そ、それはずいぶん大胆なお風呂ね……。ラムはちょっと無理だわ」
「お風呂でその話になったときに、レムもスバルくんに言ったんです。レムも無理ですって……」
ラムはレムの言葉を聞きながら、ちょっとだけ妙な表情を浮かべた。そんな彼女の様子に気づかず、レムが続ける。
「でも、家族風呂っていう、家族だけで入れる種類のオンセンやセントウもあるそうです!」
「家族風呂?」
「それだったら、姉様と一緒に入れますよね!」
「バルスとも入れるわね」
その言葉で、レムの頬がさっと染まった。
「姉様は、スバルくんとレムと三人でも平気ですか?」
「んー、それはどうかしら……。それよりも、レム」
「なんでしょう?」
「二人で一緒にお風呂に入ったの?」
「え……、な、なんでそのことを……」
「レム、たった今、自分で言ってたじゃない。お風呂でコンヨクの話をしたって……」
「あ……」
久しぶりのラムとの会話で、レムのガードはすっかり緩んでしまっていた。
「も、もう、レムは何も姉様に内緒にできそうもありません……」
「そうね。じゃあ、せっかくだから、改めて洗いざらい話してもらおうかしらね」
——まあ、以前からあまり内緒なことはなかったんだけどね。
そう思いながら、今度はラムがニッコリと微笑んだ。
「で、まず、なんでお湯を抜いてあったの?」
特に意味なく疑問を口にするラムに、レムが驚いたように反応する。
「え? えええっ? ね、姉様……もしかして、あの日、お風呂に?」
「え? ええ、まあ……。でも張ってあると思っていたお湯が抜かれていたから、軽く身体だけ拭いて、あの日は寝てしまったの」
顔を真っ赤にしたレムが、
「ご、ごめんなさい、姉様。レムはとっくに姉様が寝てしまったと思って……。あ……」
そこまで言って、ラムがあの日どんな状態だったのかを思い出した。
「ほ、本当にごめんなさい……」
「別に、いいのよ。あのおかげで、いろいろなことがわかったんだし」
微笑むラム。そして
「で、お風呂で二人は何をしたの?」
その鋭い言葉に、うっ、と言ってレムが固まる。
「もう何も隠さないで、全部白状なさい」
ラムは、わずかにニヤニヤしながら、レムを問い詰めた。