※この作品はR-18です。

紫紺の夢   作:Kuro Maru

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番外篇「がーるず・とーく」・3

「そ、その……」

 

「その? なあに?」

 

 ラムがその表情を変えずに、意地悪くレムに聞き返す。それに対して、うー、とちょっとだけ唸りながら、でも、まんざらでもない様子でレムが答える。

 

「さ、最初はお互いに体を洗い合って……」

 

 ふむふむ、とラム。

 

「スバルくんに体を洗ってもらっているうちに、レムは気持ちよくなって、我慢ができなくなってしまって……」

 

「で、その……お風呂で繋がったの?」

 

「い、いえ……実はその時、ちょっとまだ痛くって……」

 

「レムレム、その、やっぱり初めて入れた時は痛かった?」

 

「い、痛かったです……」 

 

「ラムも最初は痛かったわ。でも、当然よね。あんなのが入ってくるんだから……」

 

 その瞬間を思い出して、ラムの頬が染まった。レムの頬もラム同様、赤く染まっている。

 

「でも、レムが最初にいろいろ言ってくれたおかげで、その……ラムはそれほど長く痛みを感じなかったわ……。それに、ラムもとっても気持ちよくなって……。レムはどうだったの?」

 

「れ、レムはその……最初の時はスバルくんがすぐにレムの中でいってしまったので……」

 

 ラムは怪訝そうな表情で聞き返した。

 

「行く? バルスはレムをほったらかしにして、どこかへ行ってしまったの?」

 

「あ……。違うんです、姉様」

 

 ラムが何を勘違いしているのかが判って、慌てて説明する、レム。

 

「その、スバルくんが一番気持ちよくなって、精液を出すとき、『いく!』って言うんです……。ですからレムも、その……」

 

「へええ。そういう決まりなのかしらね。で、行ってしまったのね?」

 

「は、はい……。そのあと、スバルくんのおちんちんが小さくならなくて、続けてそのまま……」

 

「ち、小さくならなかったのね……」

 

 小さく頷く、レム。

 

「二度目は、スバルくんがレムが痛くないようにゆっくり動いてくれて、レムもとっても気持ちよくて……」

 

「でも、レムは行かなかったのね?」

 

「は、はい……」

 

「なんてこと……バルスのくせに、自分だけ……」

 

 やはり自分のことは棚に上げて、ラムは眉毛を釣り上げた。そして、はたと気づいた。

 

「あ……。レム、ごめんなさい……。ラムはその……レムは行けなかったのに、ラムだけが……」

 

 レムが再び慌てて首を振った。

 

「い、いえ、姉様。そのあと、その……お風呂で……レムもいかせてもらって……」

 

「そ、そう……。どう……何をしてもらったの?」

 

「そ、その……スバルくんのお口で……」

 

 そう言いながら俯くレム。最後の方はゴニョゴニョと、声も小さくなった。

 

「そ、そう。よ、よかったわ。レムも気持ちよく……その、行けて……。でも、それでお湯を抜いてしまったの?」

 

「そ、それは……」

 

「そ、それは……?」

 

「ね、姉様、絶対に内緒にしてもらえますか?」

 

「レム。誰にも言わないから、言ってごらんなさい」

 

——一体、誰に言うというのかしら? 

 

「じ、じゃあ、言います……。そのスバルくんのお口でしてもらったときに、気持ちよくて……、その、レムはお風呂にお漏らしを……」

 

「お漏らし? お風呂に? だ、だからお湯を抜いたのね……」

 

「は、はい……」

 

 信じられない答えが返ってきた。

 

「それにしても、一体どうやったらそんな風になるのかしらね……」

 

 ラムは驚くと同時に、どうしたらそこまで気持ちよくなるのか、スバルが一体、レムに何をしたのか、どうしても知りたくなった。

 

「わ、わかりません……でも、とっても気持ちよくって、どうしても我慢ができなくなってしまって……」

 

「じゃあ、またそれをしてもらう時は、お風呂でしてもらったほうがよさそうね」

 

「そ、そうですね……。姉様もしてもらう時は、お風呂がいいと思います……」

 

 一人はその時を思い出して、一人はその時を想像して。赤くなったまま、二人は下を向いた。すでにラムもしてもらう話になっていることには、二人とも気づいていなかった。

 

「で、でも、じゃあ、レムは繋がったままは行ったことがないの?」

 

「あ、いえ……そ、それは……」

 

 ああ、判ったわ、と言う顔をして、頷くラム。

 

「あれね。昨夜、ラムが寝てしまったあとで、行けたのね?」

 

「は、はい……」

 

 レムは小さくなって、小声で答えた。

 

「も、もう痛みはなかったの?」

 

「あ、そ、そうですね。ほんの少しだけ。でも、ちゃんと気持ちよく……その、いけましたよ!」

 

 ちょっと嬉しそうに答える、レム。

 

「で。何回くらい行ったのかしら?」

 

「に、二回……」

 

 レムはそう言い終わってから、あ、と言って両手で口を押さえた。

 

「恥ずかしがらなくても、いいわ。もう痛みはないの?」

 

「……実は……」

 

 そう言いかけるレムに、ふふふ、とラムが笑う。

 

「まだ何か挟まってる感じなんじゃない?」

 

「な、なんでわかるんですか!」

 

「だ、だって、ラムもまだ……。そうね、バニナか何かが入ってる感じがしてるもの」

 

「そ、そうですね。レムはバニナを見るたびに、思い出してしまいそうです……」

 

 ラムとレムは、お互いに顔を見合わせて、プッと吹き出した。そして、二人はおでことおでこを付け合わせると、声を上げて笑った。

 

 

※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

「姉様、この本です」

 

 レムが自室から持ってきたのは、あの日抱えていた一冊の本だった。そのタイトルの書かれていない本をベッドの上で開き、二人で覗き込む。

 

「こんな本がお屋敷に……一体誰がいつ……」

 

 ラムは、思わず漏れた自身のつぶやきに、ちょっと可笑しくなった。その答えは、もちろん言うまでもない。

 

「それにしても、す、すごいわね、これ」

 

「そ、そうですね……」

 

 男女がいろいろな格好で絡み合う絵と説明書き。数々の秘密の技巧。パラパラとページを捲り、ざっくりと目を通しただけなのに、物凄い内容だと言うことがわかる。

 

「れ、レム……、レムはこれを読んで、どのくらい……そ、その、バルスと試したの?」

 

「ね、姉様……、え……と……」

 

 流石に答えに窮するレム。そんな彼女をよそに、ラムはページから目を離すと、レムを見て言った。

 

「ねえ、レム。ラムとバルスが最初にした時、その、バルスはすぐには行かなかったわよね?」

 

「え? あ、そ、そうですね」

 

「それに、バルスは……ラムのソコをみて、その……何か黙り込んでいたけれど、な、なにか、ラムは変だったりするのかしら……」

 

「ね、姉様……実は……」

 

「実は?」

 

「スバルくんがいきそうになった時、その……レムが手を伸ばして、スバルくんのおちんちんの根元を、こう、ぎゅっと握って……」

 

 えーと、と言いながら、本のページをめくる、レム。

 

「こ、こんな風に……」

 

 そこに書かれている絵と説明を読んで、ラムは納得した。そして同時に、

 

「レム……う、嬉しいけど、その、やっぱり大胆ね……」

 

「そ、そうでしょうか……」

 

「そう思うけれど……」

 

——女の子はこうも変わるものかしらね。それとも、これが本来のレムだったりするのかしら?

 

「じゃあ、ラムのそこが……その、変ってことではないのね?」

 

「そ、そう思いますよ? スバルくんが言っていたんですけど、姉様とレムのは、い、色も形もそっくりで、その、最初見たときにびっくりしたって……」

 

——あ、それで……。

 

「そう……。ちょっとホッとしたわ」

 

 開いたページに目を落としたまま、つぶやくラム。レムは、そんな姉の表情を伺いながら、

 

「ね、姉様?」

 

 その言葉で顔を上げたラムは、いきなりこう言った。

 

「こ、今度、レムとバルスが、その……つ、繋がって……しているところを見たい」

 

「え?」

 

 レムが顔を真っ赤にして、ラムを見返す。

 

「だ、だって……。レムはラムとバルスが繋がって、その……しているところを見ているでしょう?」

 

 自分がそう望んだのを棚に上げて、ラムが続ける。

 

「ら、ラムも、その……しているところを見てみたい……。そ、その、絵じゃなくて……。正直、とっても興味があるもの」

 

「で、でも……レムはちょっと恥ずかしいかもしれません……そ、それに、スバルくんは……」

 

「ば、バルスは大丈夫だと思うわ。一度レムに見られてるし……やっぱりダメ?」

 

「ね、姉様がどうしても、って言うなら……」

 

 二人の間に、少しの沈黙が訪れて——。

 

「あの……」

「あの……」

 

 二人の声がぴったりと重なる。自分自身とお互いの状態が、今一体何をしたいのか、手に取るようにわかる。

 

「ど、どうする?」

「ど、どうしましょう?」

 

 赤い顔で見つめ合う二人。一瞬ためらって、レムが先に口を開いた。

 

「ね、姉様……あの、一緒に行きませんか?」

 

「レム……、嬉しいけど、その、ラムも一緒で本当にいいの?」

 

「レムはもちろん……。スバルくんもきっといいって言うと思います」

 

「そ、そうかしら……。じ、じゃあ、ちょっとだけ行ってみる?」

 

「そ、そうですね……。ちょっとだけ行ってみましょう……」

 

 二人はベッドから降りると、ドアに向かった。

 

「そ、その前に一度お手洗いに……」

 

「そ、そうね。一度お手洗いに行っておいたほうがいいわね」

 

 結晶灯が鈍く光る廊下を歩いて、二人はスバルの部屋の前にたどり着いた。ドアをノックする前に、そっと耳をそばだてて、中の様子を伺う。

 

「静かね……」

「静かですね」

 

「もう寝ているのかしらね……」

「もう寝ているのかもしれません……」

 

 さらにドアに耳を寄せたラムは、ちょっと驚いた様子でレムに向き直った。

 

「レム……バルスがレムの名前を呼んでいるわ……」

 

「え?」

 

「本当よ。ほら」

 

 レムもまた、ラムと向き合うように、ドアに耳を近づけた。そのレムの耳に、スバルの声が微かに聞こえてくる。

 

(れ……レム……レムっ!)

 

 漏れ聞こえるスバルの声を耳にしたレムが、真顔でラムに向き直った。

 

「本当ですね。スバルくんが、レムの名前を呼んでいます……。何か用事があるのでしょうか……」

 

「どうかしら。もしかして寝言だったりするのかしらね?」

 

「どうしましょう、姉様。そっと中をのぞいて見ましょうか……」

 

「そうね。そっと様子を見るのがいいと、ラムも思うわ」

 

 そう言って、ラムがドアノブに手をかけた。

 

 と、その瞬間。

 

「あ……」

「あ……」

 

 二人が同時に小さく声をあげた。 

 

「ね、姉様……」

「れ、レム……」

 

 お互いに何が起こったのか、瞬時に理解した。

 

「れ、レム……。き、今日は部屋に戻って、色々はこの次にしましょう……」

「ね、姉様……。れ、レムもその方がいいと思います……」

 

 二人は顔を見合わせると、さっと踵を返して再びトイレに駆け込んだ。

 

 

 

——こうして偶然にも、スバルの尊厳はぎりぎり守られたのだった。

 

 

〈 紫紺の夢・番外編「がーるず・とーく」 了 〉




 
 以上をもちまして、「紫紺の夢」完結です。本篇および番外篇ともにお読みいただいた皆様に、改めてご挨拶させていただきます。「紫紺の夢」に最後までお付き合いいただきまして、本当にありがとうございました! 以前と同様、番外篇の「解説」のようなものは、活動報告に書かせていただきます。ではそちらで!
 
黒丸<Kuro Maru>



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