「!」
突然のことに、スバルは両目を見開いた。すぐそばに、目を閉じたラムの顔がある。柔らかな唇の感触が心地いい。ラムはゆっくりと唇を離すと、そのままスバルの胸の上に頭を乗せた。
「その……悪かったわ。無理に我慢させて……」
思いがけないラムの言葉と仕草にスバルはちょっと驚いた。スバルは手を伸ばして、ラムの頭を優しく撫でた。
「い、いや。あれは俺が、俺が自分でやるって言ったことだから、さ。謝られると、その……」
ラムはハッとした様子で体を起こすと、改めてレムの隣に腰掛けた。頬が染まっている。彼女はたった今、頭を撫でられていたことなど無かったかのように、スバルにこう聞いた。
「そ、それはそうと……、バルスはレムとラムの中より、手でしてもらうのが好きなの?」
「は、え?」
いきなり何を言われたのか、理解できなくて。 そんなスバルをよそに、すかさずレムも聞き直す。
「スバルくんは手で出すのが好きなんですか?」
「あ……。ばか! 何言ってんだ! 夢だから! ホントただの夢だから!」
「夢とはいえ、自分の好みはちゃんと反映されてるみたいだし」
「そ、そうかもしんないけど! どれが好きとかないから! ぜ、全部好きだから!」
「全部?」
「全部?」
「そ、そう! レムが……いや、二人が俺にしてくれること、全部好きだから!」
「ぐ、具体的に答えてちょうだい」
と、ラム。それに応じてレムもまたスバルに聞き返した。
「ど、どれのことですか?」
「ううう……。それ、口にして言わなきゃダメ?」
「聞きたいわ」
「聞きたいです」
スバルは観念したように、ため息をひとつついた。
「あの……今みたいに手でしてくれるのも好きだし、く、口でしてくれたのも嬉しかったし、あと……。ふたりの……その、中も……。二人と繋がれたのも嬉しくて、気持ちよくてすごく好きだし……」
照れ臭そうにスバルが続ける。
「レムもラムも、その、裸……すごく綺麗で可愛くて……。胸も手も足もお尻も綺麗で、もちろんあの、あそこもすごく可愛くて……。二人が気持ちよくなってくれるのも嬉しいし。そ、それに、今のメイド服だってめちゃめちゃ可愛いし……ふんわりいい匂いがするし、いつも思わず抱きしめたくなるのを、必死で堪えるのが大変だし……」
聞きたいと言っていたわりに、スバルのその言葉に、二人は恥ずかしそうにして黙り込んでしまった。スバルはスバルで、話の内容が最初と随分違ってしまっていることには、気づいていなかった。
「だ、だから! そこで黙られると、超恥ずかしいだろ! 頼むからなんか言って!」
二人はスバルのその言葉でハッと我に返った。
「……そんな風に思われていたなんて」
ラムの言葉の続きが、ディビジョンになる。
「す、少しだけ嬉しいわ」
「とっても嬉しいです!」
スバルは両手で顔を隠して、
「も、もういいだろ! 夢の話も、二人のことも!」
ラムが頷く。レムもにっこりと笑って、こう答えた。
「わかりました。じゃあ、最後までちゃんと教えてくれたご褒美に、スバルくんのこと気持ちよくしてあげますね」
いつのまに脱がされていたのか、スバルの下半身は何も履いていない状態で大きく広げられ、その両足の間にレムが座り込む形になっていた。そして少し前に覚えたばかりの技巧で、レムがスバルに快感を与えていく。
「どうですか? 気持ちいいですか? スバルくん」
「す、すごくきもちいい……」
スバルが包み隠さず、素直に答える。ラムは体をひねってレムの方を向くと、そのまま彼女の手元を覗き込むようにして、その手の動きを注視した。
レムの親指が、スバルの一番括れている部分にそっとあてがわれ、他の四本の指がやんわりと全体を握り込んでいた。その手が上下にゆっくり動かされる。空いている左手の指先は、太ももから鼠蹊部、例のお手玉の部分をさするように動いている。
いつの間にかポーッとした表情になっていたラムは、自身でそのことに気付くと、慌ててレムに話しかけた。
「いつもはどのくらいで出るの?」
「そうですね……。感覚的にはお茶を淹れるくらいの時間、でしょうか」
ラムの質問に、手の動きは止めずにそう答える。動きに緩急をつけたレムの手が、スバルを頂点へと徐々に近づけている。
「そう。でも、一回めよりもその後の方が、時間がかかるのでしょう?」
んー、と、ちょっと考えるように上を向いて、
「二回めはお湯が沸くくらい、って感じですね」
「そうなのね」
そういえば、とレムが続けた。
「初めての時は、もっとあっという間、だったと思います」
最初の時を思い出して、レムの顔が赤くなった。
「で、レム。バルスは、その、もうそろそろ、なの?」
「わかりますか?」
「だって、ほら……レムが言っていた通り、こ……お手玉のところが縮んでいるわ」
袋の部分が、前にレムが話していた通りの形に変化していた。その反面、握っている部分は、さらに大きく太くなっている。
「ね、姉様、最後は姉様がスバルくんにしてあげますか?」
「い、いいえ、レム。それはレムにお任せするわ。そのままバルスにしてあげてちょうだい。ラムは……今は見ているだけでいいの」
レムが先端から漏れでる透明な液体を優しく掬い、それを使って裏の筋をなぞる。指の動きに合わせて、大きくなっている部分に力が入り、傘がぐっと膨らむ。軽く添えている指は、ゆっくり動いたかと思うと、今度は素早く上下に動き、その度にスバルの口から呻くような声が漏れる。
今度は握っている手を離して、前から指先だけで包み込むようにすると、まるでクラゲが漂うように、ふわりふわりとスバルをくすぐる。最後に親指で裏筋に触れると、スバルは腰を突きだして、体全体をぶるぶると震わせる。
左手は、その縮み具合を確認するように、絶えずお手玉の部分をヤワヤワと揉み込み、爪の先でくすぐり、時々思い出したように、指を下に滑らせ、窄んでいる部分にも刺激を与える。その部分に指が触れると、キュッと締まるような動きになる。
「す、すごいわね、レム……」
いつの間にこんなことを覚えたのか。ラムは、妹のその手の動きにちょっとした感動を覚えていた。そして、愛おしそうにその部分を見つめながら、スバルが夢で見た以上の快楽を一生懸命与え続けているレムのその表情に、ほんの少しだけれど、妬けるような気持ちになる。
一方のスバルは、レムが自分に与えてくれている快感に酔って、二人の会話は全く耳に入っていなかった。そしてお茶を淹れるよりは少しだけ長い時間が過ぎた頃、スバルに限界が訪れた。
「ああ……。レム、いきそうだ……」
「ま、待ってください、スバルくん!」
レムは少しお尻を浮かせると、スバルをくすぐっていたほうの手を離して、後ろに回そうとした。
「レム、待って。ラムの方が早いわ」
レムがその声に振り向く。と、レムがどうするつもりなのか予想していたのか、ラムの手がすでにスカートの中に入れられていた。そして、素早く取り出したものをレムに手渡した。レムは一瞬驚いたような顔を見せたが、すぐさま頷いて、ラムに渡されたものでやさしくスバルを包み込んだ。
その瞬間。
「あ、あ……ああっ! い、いくっ!」
暖かくてすべすべした感触を感じた刹那——スバルは爆ぜた。
「あああっ! ぐっ……ぐうっ、あっ、くっ……」
スバルの腰がびくんびくんと跳ね上がる。その度に先端から白濁したものが放出され、スバルを包み込んでいた小さな布をその勢いで押し上げた。薄桃色の布の色が、みるみる濡れたそれに変わってゆく。
「わ……わ! こ、こんなに……」
思っていた以上の量に、レムは慌てた。あてがわれた小さな布の端から、受け止めきれなかった分がこぼれて落ちている。
「レム、ちょっと腰を上げてちょうだい」
「え?」
聞き返すと同時に、反射的に腰を浮かす、レム。その瞬間、レムのスカートの中にパッとラムの手が入った。
「ひゃっ!」
声を上げるレムを軽く無視してそのままお尻のあたりを探ると、ラムは目的のものに手をかけた。
「ね、姉様!」
ラムが一体何をしようとしているのか、それに思い当たってレムは慌てた。
「違うわ、レム。そうじゃなくて、この量じゃ二人分ないと無理よ」
そう言って、薄青色をした小さな布をレムのスカートの中から取り出すと、そのまま動き続けているレムの手の上に被せるように手渡した。
「あ、そ、そうですね」
レムは、最初の分をこぼさないように注意しながら薄ピンクの布を取り去ると、少し迷って、それをラムに渡した。そして受け取ったばかりのもう一枚で、再びスバルを包み込んだ。
ラムは手渡された布を広げて、改めてその濡れた部分をまじまじと見つめた。
布の一番広い部分がぐっしょりと濡れている。その一部分に、どろっとした白濁が、吸収されずにそのまま表面に残っていた。指で拭うようにその感触を確かめてみる。かなりヌルヌルしている。
そして、そこから放たれる匂いもまた——。
——こ、これが出たての精液……。ああ、この匂い。レムは知っていたからすぐわかったのね。ラムはすぐにはわからなかったわ。
思っていたことが顔に出ていたのか、レムが言った。
「独特ですよね。匂いも、手触りも。あと味も……」
「味? あ、そうね。その、飲んだことあるのよね?」
「は、はい。姉様」
「でも、さすがにこれは……。ちょっと覚悟が必要かしら」
そう言って、むむむ、といった表情を浮かべる。
「レムも最初はちょっと……。でも、スバルくんの一部ですから」
そう言って顔を赤らめながら、レムは、ゆっくりと扱くように手を動かし続けている。
「それ……マロンの花の香りに似てるそうですよ」
「レム、花の香りだなんて、表現が可愛いわね。確かにそうなのかもしれない……、けど、どちらかというと漂白剤ね。だってラムは最初、バルスが下着とじゃーじに漂白剤をこぼしたのかと思ったもの」
「た、確かに、漂白剤に似てるかもしれません」
ラムの手元に顔を寄せて、その匂いを嗅ぎながらレムはそう答えた。
「あと、ほんとに『いく』って言ったわね」
「そうですね。特に意味はないって言ってましたけど、合図があるとわかりやすいですよね!」
「そ、そうね……」
微妙に噛み合わない二人の会話をよそに、スバルは一人で息を荒くしたまま、何日かぶりにレムが与えてくれた快感とその余韻にただただ浸っていた。
その呼吸がようやく落ち着いてくる。と同時に、レムが自分を綺麗にしてくれているのに気づいた。その優しい手の感触が心地いい。すこしだけ頭を持ち上げると、薄青色の布を使って、丁寧に自分が清められているのが目に入った。すぐ横では、ラムも色違いの布を手にして、それを観察するように見つめている。
「あの……レム、ラム。その布って……」
そう言った瞬間、レムは慌てて布をスバルから取り去った。そしてパッとその布を後ろ手に隠して、
「な、なんでもありません。あ、あの、は、ハンカチです。レムと姉様の……」
その言葉に、スバルはちょっと驚いて。
「えっ? ハンカチを使ってくれたのか? ご、ごめん。ラムも……」
ラムの手も、すでに後ろに回されている。
「その、とっさに使ってしまったの」
「そんなの俺のパンツで良かったのに……ごめんな、二人のハンカチ汚しちゃって。それ、俺が自分で洗うから——」
スバルが言い終える前に、
「い、いいえ、いいです! いいです!」
「い、いえ、そ、それはいいわ!」
二人は揃って首を横に振った。その二人の様子にスバルは、
「ご、ごめん」
申し訳なさでいっぱいになりながら、そう呟くように言った。そして、
「でも、最後にさ、そのハンカチで包んでくれた、よな? それ、夢と一緒で、すっごく気持ちよかった」
その言葉に二人の顔がみるみる赤くなった。
「な、なに? どしたの?」
「い、いえ。なんでもありませんよ、スバルくん」
「そ、そうね……、なんでもないわ」
二人は後ろ手に持っていた布を、それぞれのエプロンポケットにさっと仕舞い込んだ。そして何もなかったかのように、二人とも自分のエプロンで手をぬぐって——。
レムが再びスバルに手を伸ばした。ラムは拭ったばかりの手を広げて顔の前に持ってくると、じっと見つめて、
「あ……、そういえば」
と続けた。
「出る瞬間を見てみたかったのに……。すっかり忘れていたわ」
レムも、たった今それを思い出したという顔で、スバルに向き直った。
「そういえば、そうでした。姉様、スバルくんの出る瞬間を見てみたいって……」
「え? あの……、そんな話、してたの?」
今度はスバルの顔が赤くなる。
「ま、また次……。次の機会ででいい?」
声が小さくなるスバルに、
「その次の機会とやらがいつなのかはラムにはわからないけど……。バルス、バルスのそれ、まだ大きいままよ?」
レムの手の中のものを見つめたまま、ラムがそう言った。