「一度出すと、いったん小さくなるんじゃないの? それ」
どちらに、と言うわけでもなく、ラムが聞いた。
「うっ」
「スバルくん、前にも同じことがありましたよ。もう一回出しますか?」
レムの言葉に今度はラムが反応した。
「前にもあったの?」
「はい、姉様。あの……一番最初の時に……」
二人の会話にスバルが慌てる。
「い、いいから! その話は恥ずかしいから! っていうか、二人で俺のことを目の前で話題にされると、ほんと恥ずかしいって!」
「でもバルス。バルスのソコはどうやら正直なようよ」
「うう……」
もうすでに言葉を返すどころか、何一つ隠すことができない。この状況で、スバルは自分の欲求に素直に従うしか無かった。
「ほ、本当は、まだ出したい……。今すぐレムとつながりたい」
スバルは正直にそう言って体を起こすと、目の前に座っているレムの体に手を回して、その青い瞳をじっと見つめた。
ほどなく二人の唇が優しく触れ合う。そのままレムをぎゅっと抱きしめると、レムもまたそれに応えるようにスバルの頭を抱きかかえた。
ラムは二人の邪魔にならないようにそっとベッドサイドに立ち上がると、両手を胸の前で握りしめ、上気した表情を浮かべて二人を見つめていた。
二人の唇が離れる。と、スバルはそのままレムの首に唇を当て、大きく息を吸い込んだ。
「レム、いい匂いがする……」
「す、スバルくん……」
「レム……レム、好きだ……大好きだ……」
スバルはレムに顔をつけたまま、のしかかるようにゆっくりとその小さな体をベッドに横たえた。そのままレムの首筋に、耳たぶに、頬に口付けをする。二人は自然と手を取り合い、その指を絡ませていた。
「スバルくん……。レムも……レムも大好きです、スバルくん」
スバルは、指を絡めたままレムの両手をゆっくりと持ち上げると、万歳をさせるようにレムの頭上でその白い腕を交錯させた。ちょっとの間レムのその青い瞳を見下ろしてから顔を近づけると、再びお互いの唇が触れ合った。
「んっ……んんっ」
スバルに優しく拘束されたレムは、差し込まれた舌に吸い付いき、からめ取り、レムもまた、スバルの口腔に大きく差し込んで、スバルに吸われる感触に酔っていた。
そのすぐそばではラムが、唇の前で手を合わせて、あの時のレムと全く同じ、まるで恋愛小説を読んでいるかのような表情を浮かべてそんな二人を見つめていた。
ようやく甘いキスが一息つくと、スバルはそのままレムの首筋から、大きく広げられているレムの脇にその顔を寄せた。
「あ、あっ! す、スバルくん……そ、それは……」
スバルが何をしようとしているのか、それに気づいたレムが、
「に、匂いをかいじゃダメです! ダメですっ!」
とっさに脇を閉じようとした。ところが、
「あ……」
レムの体から力が抜ける。スバルの左膝がレムの足の間に入り込み、スカートの上からレムの秘密の場所を擦り上げるように圧迫していた。
「ああっ……。んんっ……」
甘く切ない声がレムの口から漏れ始める。
「レム……、レムのここ、イチゴみたいないい匂いがする……」
レムの脇に鼻を寄せたスバルが、もぎたてのフルーツの香りを嗅いだようにそう囁く。
「だ、だめ……は、恥ずかしいです……」
その言葉を全く無視したスバルの唇が、レムの脇に触れた。すべすべとしたその敏感な部分をくすぐるように動かし、その舌が、甘いはずのレムの味を確かめた。
「あっ……、い、いやっ……」
恥ずかしさとくすぐったさで、身をよじるようにしていたレムの声が変わり始める。
「す、スバルくん……、だ、だめ……だめです……。あ、あ……」
膝で圧迫されている部分から、体全体にじんわりと広がり始めたあの切ない感じに、力が徐々に抜けてくる。さっきまでくすぐったいだけだったはずの部分も、例のあの感覚に徐々に近づいていく。
「はあっ……はあっ……」
その様子を見たスバルがゆっくりと体を起こした。そして今度はレムの足の間に体を入れて、その白い両膝に手を置いた。
「えっ?」
その瞬間、レムの両足が広げられ、スカートが大きくめくれ上がった。
「ひゃっ!」
この時ばかりは、レムの理性があの抗い難いものに打ち勝った。とっさに両足を閉じ、スカートの裾を抑える。それを見たスバルは、今度は右手をスカートの中に伸ばそうとした。
「ま、まって! まってください! スバルくん!」
スバルの腕をもう片方の手で抑えながら、レムが訴えた。
「お、俺……、が、がまんできない!」
「お、お願いです! ちょっとま……」
レムの言葉を一つも耳に入れず、スバルが訴える。
「れ、レム! 見たいんだ、レムの履いてるパンツ、見たい! レムのあそこも見たい! レムにいっぱいキスして……レムの中に入りたい! レムとセックスしたい! お願いだ、レム!」
スバルが、レムの膝をグッと持ち上げて、その間に体を入れ込むようにのしかかる。美しい白い太ももが露わになり、もう少しで——。
「あ……」
突然スバルの動きがピタリと止まった。
「落ち着きなさい、バルス」
ラムがいつの間にかスバルの後ろに回り込み、その両手をスバルの下半身に伸ばしていた。
「う……あっ」
甘くてくすぐったいあのお気に入りの感覚が、スバルの大きくなった部分から体全体に伝わっていた。そしてそれとはまったく別の、えも言われぬ未知の何かが、同時にスバルの下半身を包み込んでいた。
「気持ちはわかるけど……、そんなに慌てないでちょうだい」
「あ……、あ……」
スバルは返事の代わりに、情けない、妙な声をラムに返していた。すでに体の力はすっかりと抜け、レムに体重をかけたまま、ラムの所作に体を支配されていた。
「レム? 大丈夫?」
レムはスカートの裾を押さえていた手を離すと、そっとスバルを抱きかかえて姉の顔を見上げた。その顔に、困惑した表情が浮かんでいる。
「は、はい、姉様。レムは大丈夫です。それより……。スバルくん?」
スバルは変わらず、「うっ」とか「くううっ」とか、喘ぎ声とも違う声を発していた。
「バルス、いい? 一度ラムは手を離すわよ。でも、お願いだから焦らないで」
「わ……、わかった。……ううっ」
ラムがスバルの下半身から手を離す瞬間、スバルの体がブルっと大きく震えた。そしてそのままレムから体を避けると、彼女の横にそのまま突っ伏して動かなくなった。ラムが、そのうつ伏せのスバルに優しくアッパーシーツをかけた。
「その……、バルスの気持ちはわかるわ。でも、今はダメ。さっきは、出すのを手伝ったけど……」
いったん言葉を切って、ラムが続ける。
「制服でそういう事をしたくないし、使用人としてのけじめもきちんとつけたいの」
「あ……」
スバルはラムのその一言でようやく我に返った。
「ご、ごめん」
レムは、その青い瞳にうっすらと涙を浮かべながら、ちょっと困ったような顔をスバルに向けている。
「れ、レム……ごめん! 俺……」
レムの手がスバルの髪の毛に伸び、その細い指で髪を優しく梳いていく。
「大丈夫ですよ、スバルくん。レムはスバルくんのこと、大好きですから。それよりも、姉様とレムのために、こんなになるまで我慢してくれていたんですね」
レムが愛おしそうにスバルを見つめた。
「ふ、二人とも、本当ごめん……」
「そんなに謝らなくてもいいわ。それよりもどう? 落ち着いた?」
「う、うん……。おちついた、と思う」
シーツを体に巻きつけて、スバルがベッドに起き上がった。続いて体を起こしたレムが、こんどは心配そうにスバルの顔を覗き込んでいる。
「二人とも、俺が悪かった。ごめん」
顔を赤くして謝罪の言葉を口にするスバル。
「だから、それはもういいわ」
「もう大丈夫ですよ、スバルくん」
二人の言葉が重なった。
「うん……。あ、あの……」
レムの顔がスバルに近づき、柔らかい唇でスバルの口を優しく塞いだ。その唇が離れると、スバルが何かを言う前に、ラムは手をパンパンと払うように叩いた。
「さて。朝からいろいろあったけど、ラムはちょっとお腹が減ったわ。二人はどう?」
「そ、そうですね、姉様。まだ朝食の用意の途中でした」
何をしている途中だったのか、今更のように思い出すレム。
「じゃ、まずは朝食にしましょう。バルスは? 食べるでしょう?」
「そ、そうだな。うん。腹減った」
まるで何もなかったかのように振る舞うラムに、スバルは感謝した。
「スバルくん、あの、スバルくんの下着です……」
顔を赤らめて、綺麗にたたみ直したパンツをスバルに手渡す、レム。
「あ、ごめ……ありがとう。俺、裸のままだったな」
巻かれたシーツで体を隠しながらパンツを履くスバル。その横では、レムがスバルが汚してしまったリネンをまとめ始めていた。ラムは、ベッドの横に立ったまま自分の手のひらを見つめて、何やら鼻を鳴らしていた。
「……匂い、取れないのね。やっぱりちゃんと洗わないとダメね……。それに、エプロンにもしみてきているわ」
そのつぶやきを聞いたスバルは、また顔を赤くした。
「ご、ごめん……」
ラムは、え? という表情を浮かべてスバルに顔を向けた。
「別に謝らなくても、いいわ。ラムもレムも、してあげたかったからしてあげたんだし。そうよね、レム?」
そう言って優しく微笑んだ。そのやりとりを横で見ていたレムも、ウンウンと頷きながら、スバルからシーツを受け取ると、
「そうですよ、スバルくん。レムも姉様も、スバルくんのこと好きですから!」
その言葉を聞いたラムの顔が少しだけ赤くなった。レムはラムが何かを言う前に、
「姉様、先に汚れ物を片付けてきますね。スバルくん、お着替えしたら厨房に来てくださいね! レムが美味しい朝食を作りますから!」
そう言うと、にっこり笑って部屋を出ていった。
こほん。ラムは顔を少しだけ染めたまま、握り込んだ手を口元に当てた。
「どう? 我慢できそう?」
レムを目で追っていたスバルが、そんな彼女に向き直る。
「う、うん。大丈夫……大丈夫だ」
「そう。じゃ、とりあえず何か着てちょうだい。後、顔を洗って——」
タイミングを逃すと聞けないかもしれない。スバルはラムの言葉を遮って、気になっていることを口に出した。
「あのさラム……。さっきのあれ……」
ん? と、一瞬顔を曇らせるラム。そしてすぐにスバルが何を言っているのかがわかって。
「ああ、あれ」
「その……」
「なに? して欲しいの? でも、どうせならレムにしてもらったほうがいいんじゃない? あとでレムに教えておいてあげる」
「あ、いや、レムには……」
「して欲しくないの? 正直に言ってくれてもいいのよ。別に何も変だとは思わないわ。それとも内緒にしていて欲しい?」
「あ、いや、えーと……。し、して欲しい……かも……」
「わかったわ、バルス。恥ずかしがることなんてないわ。あとでレムにこっそり言っておく。もしレムが嫌がったら、まあ、その時はラムがしてあげてもいいわ。バルスが嫌じゃなかったらね」
「う、うん……。あの——」
「じゃ、着替えたら厨房に来なさい。朝食にするわよ」
ラムはスバルの言葉を最後まで聞かずに、ドアを開けて部屋から出た。
※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
汚れてしまったシーツやら何やらを抱えたレムに、ラムが追いついた。それを半分受け取って、洗濯物置き場へ向かう。その途中、レムが口を開いた。
「ね、姉様。さっきは……」
「ああ、さっきはかなり際どかったわ。危なくバレるところだったわね」
「そ、そうですね。 ギリギリのタイミングでした。それより姉様」
「なあに?」
「あの、あの時姉様は、スバルくんに何を……」
——二人で同じことが気になるのね。
思わず吹き出したい気持ちをこらえて、何もなかったように。
「ああ、あれ? 知りたい?」
「え? あ、あの……」
「知りたい、わよね。例の本に書いてあったのを、ちょっとだけやってみたの」
他の誰かに聞かれる心配など何も無いのにもかかわらず、レムの耳元に小声で囁く、ラム。
「え! そ、そんなことを!」
それを聞いたレムは、立ち止まって声を上げた。
「流石にラムもちょっと躊躇したけれど、可愛い妹が恥ずかし目にあうことを思えば、まあどってことないわ。それに」
レムからそれを取り去ったのが自分だと言うことを棚に上げたまま、ラムが続ける。
「効果は抜群だったわね」
驚いた様子のレムをよそに、ラムは顔を少しだけ赤くしてにっこりと笑った。