初めてそれを——その部分を自らの意思を持って覗き込んだ時、素直に綺麗だと思った。
真っ白い肌。それぞれに薄桃色の頂を抱いた、二つのふくよかな膨らみ。そこから薄い腹部と形の綺麗な
ふんわりと柔らかい曲線を描いているその部分——そのぴったりと閉じられた秘められたレムの扉は、熱を帯びたまま、その瞬間をじっと待ち続けている。
生まれた時からずっと一緒だった
当然、自分にも同じ器官が備わっている。だが、まじまじと自分のその部分を見たことはなかったし、もちろん妹のそれを特別な意図を持って見ることなど、今まで一度もなかった。
だが、十七年の年月を重ね、女の子から大人の女性へと移り変わっていく、まさにその瞬間を——初めてそれと意識して目にした時、彼女の体を、そして、ぴたりと閉じられたその秘密の扉を、自然と美しいと感じた。
さらに、スバルが優しく開け放ったその扉の奥に隠されていたものは、故郷でよく目にした蝶豆の花——その青い花は、ルグニカ王国ではクリトレスと呼ばれている——のようで、色こそ違えど、蝶豆の花同様、いや、もしかしたらあの花よりも鮮やかに、そして艶やかに、甘い蜜をたっぷりとたたえて咲き誇っていた。
——本当に綺麗ね。これじゃあ、バルスが夢中になるのも無理はないわ……。
スバルが妹の両足を大きく広げ、その部分に手をかけた時、本当は素直にそう口にするべきだった。そうできなかったのは、いついかなる時も冷静でいたいと願う自分が、どこかでその感情を制していたからだった。だからつい、そっけない言葉を発してしまった。そしてなによりも、自分に備わっているその部分は、妹のそれと瓜二つだと聞いていた。それを知っていて、綺麗という言葉を口にすることはやっぱり恥ずかしすぎて、できるはずもなかった。
初めて二人のその行為を見たのは、ついさっき、浴室の中で、だった。スバルに与えられたあの快楽の後に訪れた、争い難い眠りから覚め、心地よい気怠さの中、ぼんやりとした意識で声のする方に顔を向けると、二人が向かい合わせで互いの下半身を突き合わせているのが目に入った。
——ああ、あれがそうなのね……。
そして今、再び二人の体が重なり合っている。
綺麗に切りそろえられた青い髪が揺れ、荒くなった息とともに細い肩が上下する。汗ばんだ白い背中。細くくびれた腰回り。そのくびれから下を、まるで別の生き物のように動かし、交合している部分から積極的に快楽を取り込もうとするレム。
その姿を見て、命に限りのある存在としての、いや、一人の女性として、もしくは生き残った鬼族としての本能を目の当たりにした気がした。そして、レムが、たった一人の妹が、自身が心から求めた相手と一つになって愛し合う姿は美しく、とても刺激的だった。
それと同時に、ラムにとっては非常に困った問題も起こっていた。
レムが体を倒してスバルに体を預けるような格好になると、その結合部分が——レムと、レムに出し入れしているスバルの全てが——、否応なしに目に入ってしまう。
レムに入り込んでいるスバルのモノはともかく、可憐なはずの妹のその部分が、貪欲にスバルを飲み込んでいた。もしかしたら、食んでいるという表現の方がより近しいかもしれない。
それは想像を絶する光景だった。その様子は可憐どころか、お世辞にも綺麗とは言い難い。いや、むしろ美しさとは対極と言っていい。
まるで裏山で狩ってきたウサギを処理する時のような、目を背けたくなるほどの生々しさと醜怪さがそこにあった。
だが、そうは頭で思っていても、ラムはそこから全く目が離せないでいた。
もし仮に、レムの代わりに自分がその行為を行なっていたら……。もし、スバルの代わりに、妹と同じくらい——もしかしたらそれ以上——に、今、自分が愛してやまない人が、自分と体をつなげていたら……。
そう、愛する人。
その人のものは、入浴時の着替えを手伝う際に、幾度も見るともなく目にしていた。普通の状態で、今のスバルと変わらない——もしかしたらもう少し長く、もう少し太いかもしれない——ものが、そいういう状態になったら、一体どんな風なのか。そしてそれが、自分に挿入されたら、一体どんな感じがするのか。ふと、今の二人の姿に自身を重ねてしまう。
——それがいけなかった。そのことを思い浮かべた途端、いきなりあの感覚がラムの下腹部を直撃した。レムの感じていることがダイレクトに流れ込んでくる。
「あうっ……」
腹痛を堪えるように身をがかめ、手を両足で挟んだまま、ラムはベッドの隅でまるまった。内側へ向けた指先が無意識に敏感な場所へ伸び、レムの動きに合わせて、その部分を刺激した。
「んんっ……くっ……」
妹とそっくりなはずのその部分の、中でも特に敏感な箇所に指が集中する。扉を開かずとも、上から抑えるように押し込むだけで、体全体が溶け出してしまうような例の感覚がラムの躰と心を支配していく。
——だめ! 早くやめないと! ……でも……でも、もう少し……あとほんの少しだけなら……。
レムの腰の動きにぴったりとシンクロした細い中指は、とろりと溶け出した甘い蜜の力を借りながらさらに動きを早め、ラムをあのめくるめく瞬間へと誘っていく。
「す、スバルくん……い、いきそう……です……い、いき……そう!」
叫び声にも似たレムの声が、その甘い誘惑を断ち切らせた。とっさにそこから指を離し、息を止めるようにグッと体に力を入れる。そうやって共感覚を強制的に遮断し、意識を外に向けるのと、レムの腰から下が痙攣を始めるのとが同時だった。
——あっ!
とっさに二人の接合部分に手を伸ばす。スバルが今どんな状態なのかはわからないが、兎にも角にも急いでその根本をギュッと抑える。
「あ! い、いく……いくっ!」
レムの声と同時に、スバルの両方の足がピンと伸びきった。
「ああっ! んんっ! んくっ……んんっ……んっ」
レムが激しく体を震わせ、びくんびくんと体をしゃくり上げる。それに合わせて、スバルもお手玉を最小限に縮ませながら、ひくんひくんと、そこを何度もひくつかせた。
——間に合った! 危ないところだった!
締め付けている先に例の迸りの脈動を感じながら、内心ほっとする。
——いく前に教えなさいと言ったのに……。
一瞬、スバルに対して怒りがこみ上げたが、直前までの自分の状態を思い出した途端、その怒りは霧散してしまった。
「——その、スバルくんは……いった……んですか?」
「い、いや——」
「……大丈夫よ、レム。バルスの射精はラムが阻止したわ」
荒くなっている息を素早く整えて、そして何もなかったかのように、言葉を被せるラム。手の中のスバルはひくついたままで、文字通り抜き差しならない状態のようだった。
「バルス——」
「ご、ごめんラム……。我慢できると思ったんだ……」
レムに抱きつかれたまま、今度はスバルが先んじて口を開いた。
「あ、合図も何もなかったから……でも、間に合ってよかったわ」
——大丈夫。二人とも気付いていないし、ばれてない!
「レムはどうなの? ちゃんといけた?」
「は、はい。ちゃんといけました……」
荒い息のまま、レムが小さく答える。時折ひくん、と体をふるわせると、スバルを包み込んでいるレムの部分も、同じようにひくっとスバルを食んでいる。その二人の体の動きが、抑えているラムの手に直接伝わってくる。おそらく、二人のヒクつきが治るまで、この手は離せないだろう。
だが、すでにすっかり冷静になった頭でよく考えてみると、後ろから二人のその部分に手を伸ばしている自分が、なんとなく情けなく、また、滑稽に思えてきて、思わず吹き出してしまった。
「ふふっ……ば、バルス、手を離して良さそうなら教えなさい……クスッ」
「な、なんだよ! 何かおかしいのか?」
レムと繋がったままで、さらに自身をラムに締め付けられ、情けないやら恥ずかしいやらで、まともにラムの顔を見ることができない状態だったスバルは、めずらしいと言ってもいいそのラムの笑い方に、全く気づかない。
「ううん。なんでもないわ。それよりも、ちょっと思いついたことがあるから、手を離しても大丈夫になったら教えて頂戴」
「も、もう大丈夫だ……と思う。うん」
「じゃ、離すわ」
ラムがそっとそこから手を離す。親指と人差し指の付け根が、二人の体液ですっかりと濡れそぼっている。それを手元のタオルで綺麗に拭き取ると、
「あのね、二人とも、一度離れてもらってもいい?」
「え? ああ、うん……レム? 大丈夫か?」
「はい……大丈夫です」
「ん。よいしょっ、と」
スバルはレムを抱えたまま体を百八十度回転させると、ちょうど枕にレムの頭が載るようにして、そっとその細い体をベッドに横たえた。
「あっ! んんっ……」
下半身が離れるときに、固さを保ったままのスバルがピンと跳ね上がり、レムの敏感な部分ををピンポイントで刺激した。その声を聞いた途端、スバルもピクリと反応した。
「レム……」
「スバルくん……」
熱い眼差しで見つめ合い、お互いの唇が徐々に近づいていく。
「えへん、えへん。ちょっと待ちなさい、バルス」
どこかで読んだことのあるような、奇妙な咳払い。
「な、なんだよ」
「レム、少しだけバルスを借りるわ。バルス、恥ずかしがらなくていいから、こっちを向きなさい」
「は、はい、どうぞ……」
「え? な、なに?」
躊躇するスバルに、
「いいことを思いついたのよ。それをしてあげるから、ほら、こっち向いて」
一体何をされるのか、と言った風に、不安そうに後ろを振り返るスバル。スバルの後ろでは、ラムがほんの少し笑みを浮かべながら、待ち構えている。一度レムの顔を覗き込み、目と目で会話をする。
——だいじょうぶか、これ?
——大丈夫です。
——ほんとに大丈夫だと思うか?
——絶対大丈夫です!
——ほんとにほんとか?
——ほんとにほんとです! だって姉様ですから。
——いや、そこが怖い……んだけどな。
「そこ、二人で見つめあって一体何をやっているの? 早くなさい」
覚悟を決めてラムに向き直ったスバルは、両手で股間を隠しながら、思わず正座。
「そしてバルスは一体何をかしこまっているの? もういい加減、そういうのは無しにしてもいいと、ラムは思うわ」
「いや、かしこまっているってか、ちょっと怖いっていうか、なんていうか……」
「なんでラムが怖いの?」
「……」
それには答えず、ひたすら固まったままのスバル。
「さ、ここに立って」
「た、立ってって言われても……」
「分かっているわ。でも、もう何度も見せられてるし、今更恥ずかしくないでしょう?」
「わ、わかった」
スバルがゆっくり立ち上がると、ラムはそのままスバルの正面に回り込んだ。ちょうど彼女の顔の高さにスバルのものが突き出される形になった。彼女は手を伸ばして、持っていたタオルをそこにあてがった。
「ううっ……」
形を変えたままの部分と、ぶら下がっているお手玉が清められていく。その動きに感応して、スバルの腰がびくびくと前後に動く。結果、そそり立っているものがさらにラムの顔に近づいた。
「ば、バルス、何か勘違いしていない? ラムは、その……今ここで口でしてあげたりしないわよ……」
「あ、いや……勘違い……し、して……ない……な、ないけど……」
硬く目を閉じて何かに耐えているスバルをよそに、ラムはすっかり綺麗になったスバルから手を離すと、タオルではない何かを手にして、再びそこに手を添えた。
「うっ……」
「痛くないようにするけど、もし痛かったら言いなさい。でも、緩すぎるのもダメよね」
根本が締められ、ついで緊張を解いたお手玉を下に引っ張られる感覚に、
「な! なに? 何してんのー?」
スバルが思わず声を上げる。それを無視したまま、手を動かし続けるラム。
「さ、終わったわ。どう? 痛くない?」
「い、痛くないけど、一体何を——えええっ!」
目を開けて自身を見下ろしたスバルが、声を上げた。
「どう? これならいい感じでバルスの射精を止められると思うわ」
スバルの付け根のあたりが、赤い紐でキュッと縛られている。さらに、違和感を感じる袋の部分に手を伸ばすと、やはりそこにも紐の感触があった。
「こ、これ……」
「大丈夫よ、鬱血しない程度にしてあるから」
「い、いや、そうじゃなくて……」
「ああ、そこ? バルスは出すときに、それをギュッと縮めるでしょう? 逆に縮まらなければ射精もできないんじゃないかと思ったのよ」
口を閉じられた巾着袋のようになっているお手玉をさすりながら、ラムは自慢げに答えた。
Kuro Maruです。こんばんは!
EX.20話、今回はちょっと早めにアップできました。
お気に入りに入れてくださったり、感想をくださったり、そしてなにより、いつもこの物語を読んでいただいて、どうもありがとうございます!