一本の赤い紐が、八の字を描くように、うまい具合にスバルの二箇所を締めあげていた。
キツく締まっている感覚はあるが、痛みはない。それどころか、根本をおさえ続けているのが、あのラムの細くて綺麗な指なのではないか、とさえ感じてしまう。もちろんお手玉の部分もその感触がある。なんとも素晴らしく絶妙な力加減と結び方。なるほど、これならあの最後の瞬間を堪えられるかもしれない。さすが姉様、やることが一味違う。
「——ってとこね」
「だ、だから! モノローグはやめろって!」
「でも、実際その通りでしょう?」
スバルの股間に伸ばしたラムの細い指先が、袋から幹をなぞりながら、裏の筋に触れる。
「あうっ!」
さらにグッと緊張を反り返らせ、喘ぎ声を上げるスバル。
「うん。大丈夫そうね。さあ、レムをお願い」
「ちょ、ちょっと待った。これ、いつまで——」
「大丈夫よ。その時が来たらちゃんと解いて射精させてあげるわ。だからレムに集中してあげて」
「わ、わかった……」
ベッドから降り、手にしていたタオルをワゴンに戻すラム。スバルはレムに向き直って再びレムに覆いかぶさろうとした。
「わっ! スバルくん、そこ、なんだか……その……その……」
ラムの施策を見たレムが、思わず声を上げる。
「……吊るされたソーセージみたいとか言うなよな」
「え、あの、そーせーじって何かわかりませんけど、あの……レムはその、ちょっとだけ、腸詰肉みたいかな、って……」
「いっしょだ、いっしょ! それ、おんなじモンだから!」
二人の顔が、さっきまでと違った意味で赤くなる。
「こ、こほん」
一つ咳払いをして、
「な、なあレム、あ、あのさ……」
「はい、なんですか?」
「あの、お願い、ってか、その……」
「なんでも言ってください!」
「……後ろからしてみたい」
「え?」
「後ろからしちゃ、だめか?」
スバルの思いがけない要求に戸惑いを隠せないレム。
「う、う、後ろ? 後ろって……その……」
「だ、だめかな?」
「で、でも、でも……き、きれいじゃありませんし……さすがに、は、入らないんじゃ……」
レムは両手で真っ赤になった顔を覆い隠した。
「で、で、でも……す、スバルくんが、そ、そ、そこで、し、したいなら……れ、レムは……か、か、かまいません……よ」
少しだけ躊躇して、そして、たどたどしく、最後は消え入りそうな小声でそう言うと、レムは意を決したようにうつ伏せになった。途端に綺麗な背中と、魅力的な腰回りの全てが丸見えになる。彼女はそのままの格好で少しだけ背中を反らせると、その可愛らしい真っ白なお尻をそっとスバルに差し出した。
その恥じらう仕草と思いがけない官能的な動作に、赤い紐で縛られた部分にグッと力が入る。そのまま覆いかぶさって、今すぐレムの中に入りたくなる。すらりと伸びた両足と、その上部についている二つに割れた肉付きの良い部分を手で広げると、奥の方に甘い蜜の溢れたあの場所と、そしてレムが最後まで知られたくないはずの秘密の窄みが目に入るはず……。
ここでスバルは、
「あ! れ、レム?」
「す……スバルくん、ど、ど、どうぞ……」
「ち、ちがう! 違う違う! そうじゃない! 勘違いしてる!」
「え?」
レムが顔を持ち上げる。
「あの……俺がしたかったのは、だな……その、バック……ってか、あの、レムのお尻にじゃなくって、れ、レムに四つん這いになってもらって……そんで……う、後ろから……」
「あ!」
自分が何を盛大に勘違いしていたのか、スバルに言われてようやく気がついて。
「いやぁぁぁん!」
レムは再び顔を枕に突っ伏すと、身を捩りながら、これまた盛大に足をバタバタさせた。そんな勘違いも、真面目なレムらしく、そして可愛らしい。
「あ、でも……その……レ、レムが嫌じゃなかったら、その……お尻に——」
この機を逃さず、欲望を素直に口にするスバル。だが、レムはばたつかせていた足をピタリと止めて首を大きく左右に振った。
「だ、だめですっ!」
「いや、でもさ……」
「ダメったらダメですっ!」
「わ、わかった……」
「絶対ダメです……」
レムは両手を頭の横につけると、そのまま体を持ち上げて四つん這いになった。
「ほ、ほんとは、こ、これだって、す、少し、か、かなり少し……と、とても少し、恥ずかしいです……けど……」
レムが両膝を少しだけ開く。
「こ、こうですよ……ね?」
そして、さらに腰を突き出すような格好になりながら、その部分をスバルに委ねた。
「あ……」
欲望と本能を呼び覚ますようなそのレムの姿に、思わず飛びかかる。
「れ、レムっ!」
「バルス! 待ちなさい!」
だが、ラムの手が後ろからギュッとお手玉を握り込み、スバルの動きを制限した。
「ううっ!」
「バルス、気持ちは十分わかるけど……出来るだけ優しくしてあげて……欲しい」
「わ、わかった……わ、分かってる……」
「ほんとに? とにかくお願いよ」
コクコクと頷くスバル。一刻も早く入れたい気持ちと、レムのことを思う気持ちとが複雑に入り混じる。スバルは大きく一つ深呼吸した。
「レム……入れても……いいか?」
レムはそんな無粋な質問に無言のまま、少しだけ腰を動かしてスバルに答えた。
スバルの手がレムの細い腰にかかる。そっとレムを自分に引き寄せながら、自分も近づいていく。大きく二つに割れたお尻の真ん中に、ビンと上を向いたものがぴったりと沿うように密着する。
「んんっ……」
ただそれだけで、先端からじわりと透明な液体が滲み出る。スバルは自身に手を添えると、レムの花弁にその濡れた先端をそっと押しつけた。
「あんっ!」
レムの口から声が漏れる。
「痛くないか?」
スバル言葉に、レムが縦に小さく首を振る。スバルの先端が、閉じられた扉をじわりとこじ開ける。スバルが求めるその入り口は、思っているよりもずっと上——さっきまでレムが勘違いをしていた、あの小さくすぼんだ部分のすぐ下——にあった。そこを探り当て、突き進んでいく。
レムもまた、その瞬間を待ち望んでいたように、溢れている蜜をふんだんに使って、ときには緩く、ときには口を閉じながら、飲み込むようにスバルを受け入れていく。
「あぁ……」
やや下向きに方向を変えながらレムの熱い体内に根元まですっかり挿入したスバルが、ため息にも似た満足げな声を上げた。だが、その気の緩みが災いした。
レムの可愛らしいお尻を抱え込み、その真ん中に自身を突き立てている自分。大好きな女の子と繋がる秘密の行為。見下ろす格好で、その挿入過程の一部始終を初めて目にしたスバルは、自分が思っていたよりもその光景に刺激と興奮を与えられていたのに気づいていなかった。
「あ! あ! ああっ!」
またしても、いきなりあの感覚がスバルの下半身を包み込んだ。腰が震えをともなって、かくんかくんと前後に撥ねる。だが——。
「ううっ……くっ……ぐっ……」
いつまで経ってもあの放出感が襲ってくる気配がない。それどころか、根元までこみ上げてくる気配もない。それは不思議といえばそうとも言える、なんとも妙な、すっきりとしない感覚。
「うまくいったようね」
誰に言うわけでもないラムの独り言が、スバルの耳に入った。
——そういえばそうだった。付け根と袋を縛られて、例のアレをコントロールされていたんだった!
「こ、これ……いや、なんでもない……」
スバルは後ろを振り返ろうとして、だがその寸前で思いとどまった。今、彼女に何を言っても薮蛇な気がするし、何よりラムの施した策は、悔しいほどに的確だった。
「が、我慢できたみたい……だ」
実際のところ、我慢は全くできていなかったのだが、そう言うしかない。
「そう言ってもらえて、ラムも嬉しいわ。あとはレムね」
どんな顔でそう言っているのか、なんとなく想像がつく。そしてなんだか悔しい。だが、レムの中のスバルが、「もっともっと」と、彼自身をせかしている。スバルは改めてレムの細い腰に手を添えると、ゆっくりと自分の腰をひき、レムの蜜で濡れている自分の幹を見下ろした。
他人と比較をしたことがないので、自身のものがどのくらいの大きさなのか、果たしてこれが平均なのか、上なのか、下なのか、さっぱりわからない。だが、ゆっくりと差し込んでいくと、レムがため息のような「ああ……」と言う声を漏らす。そして最後まで挿入すると、先端がどこかに当たっているのを感じる。その瞬間、レムはその可愛らしいお尻を震わせて、スバルをきゅっと締め付ける。
自分のもので、レムも感じてくれている。それがスバルにとってささやかな自信につながった。
ゆっくり引き抜き、ゆっくり挿入する。それを何度か繰り返して、次は早く抜き差しをする。その動きを途中までにしてみる。左右に腰を振りながら、出し入れをしてみる。上に突き上げるように。今度は下に下げながら。
背後位という腰を動かしやすい体勢が、動きのバリエーションを生んでいた。スバルは、思いつく限りの変化をつけながら、今度は余裕を持ってレムとの究極の愛の行為を楽しんだ。
「あっ……んんっ! んっ! あ、あ……ああんっ!」
レムも徐々に声を出しながらスバルの動きに合わせて腰を振り始める。スバルが入り込んでくるのに合わせて、レムもお尻を突き出すように、出ていく時には、少しだけ自分も引くように。
「気持ち……気持ちいいです! 気持ちいいです! スバルくん! スバルくん!」
スバルがギリギリまで自身を引き抜く。
「あ、レム、抜けちゃいそうだ……」
「いやぁああん!」
とっさにお尻を突き出して、スバルを飲み込むレム。それがわざとだと気づく余裕もなく、今度はレムがあの瞬間を迎えようとしていた。
「す、スバルくん……もっと……もっといっぱい! いっぱい動いて!」
それに応じるように、スバルの動きが速くなる。
「あ、い、いきそう……レムは……レムはいってもい、いいです……か? すば……あ、くぅっ!」
レムも泣きそうな声をあげながら、自分の今の感覚を懸命にスバルに伝えようとする。
「あ! あ! んんっ! い、いきそうです! ああっ! い、いっちゃう……」
「うん! わかってる! レムがイクところを見たい! 俺、もっとレムの可愛い声を聞きたい!」
スバルがさらに強く、そして深くレムに入り込んだ途端、彼女のその堰が崩れた。
「あ、いく……」
腰から背中にかけて、強烈な痙攣が起きたかと思った次の瞬間、スバルと繋がっている腰が震えながら上下に激しく動き、レムは今まで聞いたことのない叫び声を上げた。
「あっ! あっ! んーっ! いくっ! いくっ! ああーっ! ああああっ!」
まるで電流が走ったかのように、ビクンビクンと体全体を跳ね上げ、腰を震わせるレム。
「あ……あ……んんっ! くぅんっ……んっ! んっ!」
幾度となく体をびくつかせ、腰をカクンカクンと動かしながら、スバルを締め上げる。その動きが少しずつ緩慢になり、ようやく声が収まり始める。
しばらくして体から力が抜けると、レムは頭からパタンとベッドに倒れ込んだ。だが、スバルを取り込んだその部分は、さっきまでよりも強くそれを握り込んで離そうとしない。その結果、スバルはレムに引っ張られるように、そのまま一緒にその細い体の上に突っ伏した。
「れ、レム? れむ、大丈夫か?」
肩で荒く息をしたまま、レムは答えない。だが、体の方はまだピクンピクンと痙攣し続け、それに合わせてスバルもきゅっきゅっと締め付けられている。
「はあっ……はあっ……んぐっ……んッ……んッ……はあっ……」
「お、おい……」
そこを外そうにも外せず、戸惑うスバル。そしてその二人の後ろでは、もう一人が〈まさかこんなになるとは思っていなかった〉とでも言いたげな、そんな表情を見せていた。
——ちょっとやりすぎだったかしら……
例のあの行為によって十二分にマナが充填されていた彼女は、レムが可愛いあまり——そしてほんの少しのいたずら心で——彼女に風魔法を使っていた。正確に言うと、スバルに施した例の紐の端を、自身の風魔法で動かしていた。
その瞬間が来たときに解きやすいよう、結び目の端を少し長めに残していたのを思い出した彼女は、あのマヨネーズの時同様に、その紐を最小限の魔法で操作できないかどうかを試していた。もしそれができたなら、慌てて二人のそばに近寄らなくてもいいはずだ。
それがうまくいき始めたのは、ちょうどレムがあの高みへ向かっているときだった。そこで今度は、その紐に微妙な振動と回転を与えながら、試しにレムの一番敏感な箇所にあてがってみたのだった。
そしてそれは、見事な結果となって現れた。後ろから攻め立てるスバルと、そしてラムが与えたその場所へ刺激は、思いもよらず、レムにかつてないほどの強烈な絶頂感をもたらした。
「はあっ……はあっ……ううんっ……はっ……はあっ……」
レムは呼吸を荒くしたまま、まだ体を震わせていた。
EX.20話です。お楽しみいただけたら嬉しいです。
このEX.「ナイショの話」ですが、あと数話で終わります。……たぶん。とりあえずあと少し、年内には終わらせたいと思っていますので、最後までどうぞよろしくお願いします!