※この作品はR-18です。

紫紺の夢   作:Kuro Maru

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——これはいつかどこかで、

あったかもしれないしなかったかもしれない、
黒色にほど近い濃い紫色(ダークパープル)の夢の中のお話——




閑話「しおた」その4・ひみつのこと

 普段ならとっくに毎日の仕事に取り掛かっている時間だった。だが、今のレムにはそれ以上に大切なことがあった。それは自分勝手な言い訳だったが、今この瞬間、それが何よりも優先されるべき事案だった。

 

 彼女の部屋は再びカーテンが閉じられていたが、陽の光がベッドに腰掛ける二人の姿をカーテン越しに浮き上がらせていた。一人はやや緊張気味に、もう一人はその顔に笑顔を浮かべて、小さな体に寄り添うように座っている。

 

 少しだけ湯船で温まっている時も、もちろん体を拭いている最中も、すばるは股間を大きくさせたままだった。おそらく男の子としての点火器(スイッチ)が作動してしまったのだ。

 そして、ショーツの上にバスタオルを巻いただけのこの今のレム姿も、経験のない彼にはほぼ裸同然に見えるのだろう。下を向いたままのすばるとは真逆に、彼の可愛らしいその部分は、まるで意志を持ったように腰のタオルを突き上げていた。

 

 

「すばるくん、そんなに緊張しないでください……。レムは痛いことも怖いこともしませんよ?」

 

「う、うん……」

 

「すばるくんは自分でしたことはありますか?」

 

「自分で、って、なにをするの?」

 

「そ、その……おちんちんをさわったり……」

 

「え……お、おしっこするときにさわる、よ……」

 

「そのほかには?」

 

「そのほかって?」

 

「今みたいに大きくなったら、どうしてるんですか?」

 

「どうって……ほっといたら小さくなるもん」

 

「そ、そうですね……でも、今はなかなか小さくなりませんね」

 

「だ、だって……」

 

「だって?」

 

「れ、れむおねえちゃんが……」

 

 すばるが言葉を飲み込む。バスタオル一枚の——一応下にショーツは履いているが——その姿のせいだ、と言いたいのだろう。

 

 

「すばるくんは自分でしたこと……ないんですね?」

 

「だから、するって何をするの?」

 

「そ、その……お、おなにーはしないんですか?」

 

 自室のベッドに並んで腰掛けたまま、レムは今一番興味があったことを聞いた。

 

「おなにー? なにそれ?」

 

「そ、そうなんですね……」

 

 

——自分でまだしていないんですね……。じゃ、じゃあ——

 

 

「夢精は……経験ありますか?」

 

「……」

 

 沈黙が答えだった。この小さなすばるは自慰行為の経験はもちろん、精通もまだ来ていないに違いない。

 

 いつものレムなら、冷静な判断ができたはずだった。だが、その理性を妙な責任感が抑え込んだ。少なくとも彼女はそう思っていた。だがそれは、何も知らないこの小さなすばるの『初めて』を知りたいという、そして一から教えてみたいという、無意識の願望だった。さらに、罪悪感とは違う、少しだけゾクゾクするような、背徳感に近い感覚も少なからずあった。

 

 

「すばるくんはどうしておちんちんが大きくなるか、知ってますか?」

 

「……お、女の子の裸みたらおっきく……なるよ」

 

「そうですね」

 

「あ、あと、エッチなこと考えたりしたら……」

 

「はい。そうですね」

 

「ご、ごめんなさい……」

 

「あやまらなくていいんですよ。それはとっても普通のことで、男の子にとって自然なことですから」

 

「うん……」

 

「すばるくんは、大きくなったおちんちんをどうするか知ってますか?」

 

「どうって、どう?」

 

「そう。どうしたらいいのかわかりますか?」

 

「ううん。わからない」

 

「知りたいですか?」

 

「……うん」

 

「すばるくん、こっちに来てください」

 

 レムの手がすばる背中に回った。彼女は彼の両脇に優しく手を差し込んで細い体を抱きかかえ、自身の腿の間に彼を座らせた。すばるはレムにされるがまま、まるで借りてきた猫のようにおとなしくじっとしていた。

 

 肩越しに見下ろすと、愛おしいものがタオルの下で、一生懸命背伸びを続けているのがわかった。レムは後ろから手を伸ばして、そのタオルをそっと取りさった。

 

「恥ずかしい……」

 

 消えいるような声が漏れる。

 

「大丈夫ですよ、すばるくん。こうなるのは男の子にとって自然なことなんです」

 

 レムは手を伸ばすと、包み込むようにそっとかわいいそれを握り込んだ。あと五、六年もすれば立派に成長するだろう。それがどんなふうになるのか、レムは既に知っている。今はまだ小さな手にすっぽりと収まるほどの大きさだが、帯びている熱はいつもと変わらない。少しだけ力を入れて握り込んでみると、ぐっと固くなって、懸命に返事を返してくるのも、いつものスバルと全く同じだ。

 

 

——なんて可愛いんでしょう! 

 

 レムは指先でそっとくびれた部分をつまみなおすと、今度はゆるゆるとさするように指先を上下に動かした。

 

「すばるくん、何のためにおちんちんは大きくなるんでしょう?」

 

「え……なん……って……んんっ……」

 

「どうして大きく、固くなるか、考えたことありますか?」

 

「わか……んな……い」

 

「これはとっても大切なことなんです」

 

 レムの指はゆっくりと動き続けている。その状態で、すばるがまともに受け答えができるはずがなかった。それを知ってか知らずか、レムが続ける。

 

「そう……とってもとっても大切なことなんです。すばるくんがもっと大人になったら——すばるくん?」

 

 気づくと、すばるは上半身をレムに預けるようにしてのけぞらせ、目を閉じて震えていた。

 

「えっと……ですね……」

 

 いつもの癖で、自然と刺激を与えてしまっていた。おそらくすばるにはレムの言葉は耳に入っていない。もしかしたらいろいろと早急すぎたのかも知れない。

 そう思ったレムがゆっくりとそこから手を離すと、すばるの口から残念そうな声が漏れる。

 

「あっ……」

 

 預けていた体を起こして、すばるがレムの顔を見上げる。少し怒っているような、それでいて泣き出しそうな、複雑な表情を浮かべながら、彼女を見つめている。

 

「大丈夫ですよ、すばるくん。今からレムがいろいろ教えてあげますからね」

 

 

 レムはすばるの体を横向きにそっと倒すと、今度は自分の膝の上に小さな体を乗せた。左手は後ろから上半身を抱き抱えて、すばるが両足を楽に体を伸ばせるように、体勢を作り直す。

 

 あらためてそこに手を伸ばすと、途端にすばるの口から声が漏れる。

 

「んっ……」

 

「すばるくん、気持ちいいですか?」

 

「よ、よくわかんない……」

 

「そうですね……今はまだよくわからないかも知れません……」

 

 ゆっくりと手を動かしながらレムが続けた。

 

「でも、こうしているとだんだんとっても気持ち良くなってきて、最後に射精するんですよ」

 

「しゃせい?」

 

「はい、すばるくんはまだ射精したことがないんですね?」

 

「ぼく、わかんない……」

 

「そうなんですね……」

 

 レムは、この一連の作業をこのまま続けていいものかどうか迷っていた。やはり、この小さいすばるはまだ精通を迎えていない。だがその場合、このまま続けて「いく」ことができるのだろうか。精液が出ないとなると、もしかしたら最後まで達することはないのかもしれない。

 

 

「も、もうやめちゃうの?」

 

 いつの間にか手が止まっていた。気づくと上気した黒い瞳が、訴えるようにレムを見上げている。

 

「どうして欲しいですか?」

 

 どうして欲しいかなどわざわざ聞くまでもないのだが、すばるの口から直接その言葉を言ってほしかった。

 

「も、もっとして欲しい……」

 

「わかりました。もっとしましょうね」

 

 ふたたびレムの綺麗な指先が動き出すと、それにあわせて、ふぅ、ふぅ、とすばるが息を漏らし始める。

 

 そしてお茶を淹れるより、お湯が沸くよりも、少しだけ長い時間が過ぎると、

 

「お、お……なんか、おしっこでそう……」

 

 すばるが素直に今の気分を表現する。

 

「大丈夫ですよ、すばるくん。そのまま集中してください」

 

 すでにレムの手の中のものは、現時点での最大値まで膨れ上がっていた。それほど大きくない傘も表皮の下で精一杯エラを張り、端を結えられた腸詰肉のような先端部分からは、すこしだけ鮮やかな色を伴った内部が見え隠れしている。

 

——ひゃっ!

 

 突然、すばるの手がレムの体に伸び、体に巻かれたタオルを下にずり下ろした。途端に大きな膨らみがその弾力を伴って顕になる。

 

「す、すばるくん⁉」

 

 すばるは半身をひねると、その目の前の果実にむしゃぶりついた。

 

——すばるくん、赤ちゃんみたいです!

 

 自身の二つの膨らみが、すばるを誘惑していたのはわかっていた。レムは赤ん坊に乳を授ける母のように、すばるをしっかりと抱き抱えながら、右手を動かし続けた。すばるは時折体をびくつかせながら、夢中で乳首に吸い付いていた。

 

——すばるくん、ほんとうにかわいい!

 

 しばらくそのままでいると、すばるがレムの乳房から口を離して、

 

「あ、あ、あ……でそう……でそう!」

 

 体を震わせながら叫んだ。

 

「いいんですよ、すばるくん。そのまま、出しちゃいましょうね」

 

 レムの指の動きが早まり、それに合わせるようにすばるの細い腰の震えも大きくなり始める。

 

「あ、でる! でる!」

 

 

 ようやくその時が来た。すばるの両足がピンと伸び切り、体が硬直する。レムにつままれた硬い部分がぐっと太くなり、大きく一つしゃっくりをする。

 

「あ! あ! ああっ!」

 

 すばるが叫び声を上げた。

 

「すばるくん、いったんですね」

 

 レムの手が優しく動き続ける。抱き抱えられたすばるが、びくんびくんと腰を跳ね上げて、懸命に何かを外に出そうと試みている。だが手の中のものは、可愛らしくびくつくだけで、その先端からは何も放出される様子がない。

 

——やっぱりまだ何も出ないんですね……。でもちゃんと最後までいけてよかったです!

 

 レムの手の動きがゆっくりと、そして優しく変化した。すばるはレムの豊満な二つの膨らみに顔を埋めたまま、はあはあと息を荒くしていた。

 

 

「すばるくん、気持ちよかったですか?」

 

 すばるからは何も返事がない。おそらく、今の衝撃的な瞬間に頭が追いついていないのだろう。

 自分が初めてあの瞬間を経験した時は、ある程度知識があった。そもそもこのスバルよりも六歳も年上だ。あれが一体なんなのか、あの初めての時には十分理解できた。

 

 だがこのすばるは——いや、スバルに関して言えば、その綺麗な指先や体つきなどを鑑みて、どこか良いところの生まれなのだろう、というのは想像に難くなかった。十一、二歳といえば、男の子ならもう外に働きに出るだろうし、女の子なら、場合によってはどこかに嫁いでいてもおかしくない年齢だ。だが、おそらく良家出身であろうすばるは、そのような教育をまだされていないのだろう。

 

 そんな彼に、最初に、そして最初の悦びの経験を呈することができた。もしかしたら、これ以上喜ばしいことはないかも知れない。

 

 

 緊張から解放されたすばるの体を抱きしめたまま、その嬉しさで自分の顔がにやけてしまうのを、レムは止められないでいた。

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