ビッキーがガングニール(意味深)に侵食されちゃう話 作:nagato_12
ビッキーのえっちぃヤツの続きです()
最後のほうはエルフナイン先生による、適当な辻褄合わせの設定解説になっていますので、めんどうな話が苦手という人は読み飛ばしてくださっても大丈夫です。
エルフナイン「え、ボク頑張って説明したのに……」
「――ん、ぅ……?」
それは、ワタシが眠りについてからどのくらいの時間が経ってからのことだろうか。
ぼんやりと重たい感覚に身を包んだまま、意識だけが部屋の中で覚醒する。
まだ眠気を完全には振り切れていないせいなのか、瞼が重く、うっすらとしか開くことが出来ない。
滲む景色を呆然と眺めながら、ワタシはそこで、自分が寝ている場所が、いつものリディアンの寮部屋ではないことに気が付いた。
(え……? あ、そっか、ワタシ今日からS.O.N.G.の……)
判然としない頭で、思い出すのは昨日のこと。
エルフナインからの判断によって『検査入院』を勧められたワタシは、昨日からS.O.N.G.本部内のメディカルルームに併設された病室へと案内されていたのだった。
(……うー、まだ、ねむ、い……)
そこまで思い返して、耐え切れず、瞼が落ちる。
寝起きがお世辞にも良い方ではない自分では、そこまで思い出すのがやっとだった。
身体に張り付いてくるかのような眠気に負けて、ワタシの意識はまた睡眠の海に少しずつ沈みはじめる。
(がっこぅ……いかなきゃ……)
あ……でも入院してるから、いいのかな。
(みくがいないと――寒いなぁ……)
と、そんなとりとめもないことを頭の隅で考えつつ。
慣れ親しんだ『温もり』が、今は自分の隣に居ないことを感じながら、ワタシはその寂しさを誤魔化すように、真っ白のシーツが敷かれた病室のベッドの上で寝返りを打つ。
「――っぁ、ん……っ」
そのときだった。転がった拍子によって、ワタシの身体がうつ伏せの体勢になった瞬間。
今まで感じた事もない、なにか、得体の知れない感触が自分の下半身を駆け巡っていった。
(……っ? なに……? なんか……ある……?)
いまだハッキリしない頭でぼんやりと感じ取るのは、ベッドの生地に押し付けられる形になった自分の下腹部に在る、奇妙な異物感。そして続けて、そこから伝わってくるのは――
「……ふ、ぅ……んっ……?」
(なに……これ……っ? よく、わかんない……けど……きもちい……?)
じんわりと、まるで人肌程度に温められたお湯に、肩まで浸かっているような、そんな不思議な心地よさだった。
それは、明らかに自身の下腹部から生まれてくる感覚であるらしかったが、いまだ完全に覚醒してはいない自分の頭では、その感覚の正体についてろくに思考することすら出来ない。
それどころか――。
「……ふ、ぅ……ん……っ、ふ」
(なんだろこれ……あったかくて……、ふわふわして……きもちい……)
昨晩なかなか寝付けなかったせいもあるのか、ワタシは張り付いて回るような強烈な眠気に意識のほとんどを委ねたまま、今まで感じたこともない、その奇妙な心地よさに身体を預けていた。
どうやらベッドに身体を押し付ければ押し付けるほど、そのじんわりとした快感は強くなっていくようだった。
「っふ……ん……っ、ぁ……っふ……」
ぎゅうぎゅうと。ワタシは無意識に自分の下腹部に体重をかけて、その心地の良い感覚を強めようとする。すると、次第に身体がぽかぽかと熱を持っていくようで、気持ちが良い。
そんな快感の中心にあるのは、自分の下腹部にある――奇妙な異物感。
身体よりも一段高い熱を持った『ソレ』が、寝起き特有の低い体温の身体に触れて心地が良かった。
(もっと……ほしい……かも……)
ふわふわと身体が浮いていくような快感に負けて、意識のはっきりしない自分の身体は無意識に、もっとその感触を得ようとして、寝具に身体を擦り付ける。
「ふ……ぁ……んふ……ぅ――ひぁッ!?」
そんなとき。
ぎゅうぎゅうと身体を押し付けるだけだった自分の下半身が、ベッドの上でずれてしまった体勢を整えようとわずかに腰を引いた、そんな瞬間。
ぐりっと――自分の身体に潰される形になった『ソレ』から、強烈な感覚が走った。
ビリビリと、まるで電流のように痺れるような感覚。
まだ完全には起床していなかった意識が、その強い刺激によって強引に覚醒させられる。
(な、なに今のッ!? えっ、なに――ッ!?)
ベッドから上体を飛び起こして、そしてようやく――気が付く。
自分がなぜ、昨晩なかなか寝付くことが出来なかったのか、その『原因』を。
そもそも、なぜ自分が検査入院なんてものをしなければならなくなってしまったのか、その『理由』を。
そして――さっきまで自分が無意識に行っていた『行為』の、その意味を。
「わ、わた、わたし……ッ、いま……なにして……ッッ?」
起き抜けの頭が、混乱と動揺によって埋め尽くされる。
目線を落とせばそこにあるのは、ずくずくと、いまだほのかな熱を帯びている、自らの下腹部。
そして、ワタシの視点は“ある一点”を捉えると、そのまま動かなくなってしまった。
着慣れているお気に入りのヒヨコ柄の寝巻きではなく、淡いグリーンの入院着に身を包んだ自らの身体。
寝返りを打っている途中でずり落ちてしまったのだろう、ほとんど身体にかかっていなかったベッドのシーツ。それによって生じた隙間から覗いているのは、ズボン型の入院着を履いた自らの下半身。
その中心――そこには、まるで内側から衣服の生地を押し出すようにして、見たこともない不思議な膨らみが出来上がっていた。
「~~~~ッッッ!!?」
思考がクリアになった途端、血の気が一気に頭から引いていく嫌な感覚。全身の血液が一度に逆流を始めたような、言い表しようもない恐ろしい寒気が、自分の背筋辺りを駆け上っていく。
「……あ、……あぁ」
目の前に広がった景色は、悪夢なんかじゃない。紛れもない現実だ。それが、その事実が、嫌でも自分の頭を打ち付けていく。
なぜなら自分は今、目を覚ましたばかりなのだから……。
『ソレ』は紛れもない、自分の身体の一部であるはずなのに――。
それがなによりも恐ろしくて、勝手に涙が目から溢れていく。
自分が無意識にしていた行為。そして、その感覚を――無邪気に楽しんでいた自分。
入院着を突き上げるようにして出来た、目の前の膨らみ。
そして今もなお――わずかに残った、下半身のじんわりとした気持ちよさ。
そのどれもがただ、ひたすらに気味が悪いものに思えてしまって。
たまらなく恐ろしい。怖い。
自分の身体に出来た膨らみに触れることはおろか、まともに直視することさえ出来なくなったワタシが、ガタガタと自らの肩を抱きながらベッドの上で震えていると。
「――おはようございます、響さん」
と。
自分が寝ていた病室の扉が静かに開いて、金髪を小さく三つ編みに結んだ、小柄な少女が入ってきた。
◇ ◇ ◇
「――響ちゃん、あのまま入院しちゃったっていうのはホントなの? エルフナインちゃん」
司令室。
一番最初に出勤してきた友里さんが、データ整理をしていたボクの姿を見つけるなり駆け寄ってくると、挨拶もそこそこに切り上げて、不安げな表情で切り出してきた。
「はい……あ、いえ、といってもただの検査入院ですよ」
ボクはなるだけ嘘っぽくない笑顔を意識しながら、そんな答えを彼女に返す。
「昨日はどうやら、前回の出撃の疲労が溜まっていたようで……大事を取って、本部で療養してもらうことにしたんです」
昨日。ボクの元を訪ねてきた響さんは、誰がどう見ても健常な様子ではなかった。
そんな彼女の様子を、ボクと一緒に目撃した友里さんも案じていて、あれからもずっと心配してくれていたのだろう。
ボクはそんな彼女に、嘘の言葉を言わなければならないことに胸がチクリと痛んだが、
「一日二日安静にしていれば、すぐにもとの元気いっぱいの響さんに戻ってくれるはずですよ」
と、言い切った。
嘘を吐くときは、なるべく強い言葉を用いたほうが良い。これは、どこで得た知識だったか。
「そう……良かったぁ。それなら安心ね」
「ええ」
機転が上手く働いてくれたようで、安心したように笑みを浮べる友里さん。嬉しそうだ。そんな彼女に合わせるようにして、ボクも口元に笑みを作る。
一日二日、安静にしていれば――か。
おそらくそんな処置では、いま彼女の身を襲っている謎の異変を解決することが出来ないことは、すでにわかっていた。
現在の彼女の身体の状態は、明らかに一般的な現象や疾病症状からは一線を画している。
おそらく、S.O.N.G.の医療班では対応できない案件であることは、すでに昨日の段階で判断がついていることだった。
それほどまでに突飛で、異常な――超常現象だった。
医術では治せない超常――だからこそ。
錬金術師としての知識を持つボクに、少しでも彼女の抱える問題を取り除く手伝いが出来れば……。
「……それにしても、エルフナインちゃん。なんだか顔色が悪いわよ。昨日、また眠ってないんでしょう?」
「いやぁ、あはは……」
そこで鋭い彼女からのそんな指摘が入って、思わずぎくりと肩が跳ねる。見上げると、少し怒った表情をした友里さん。
き、昨日あれからずっと、響さんの身体データを調べていたから……。
「少し自分の研究が、熱を上げてしまっていたもので……」
咄嗟にそんな出任せを言ったが、彼女は特にそれを疑うようなこともなく、
「もう。頑張るのはいいけど、ちゃんと寝なきゃだめよ?」
「はぅ……すみません」
そう控えめに窘めるだけに留めておいてくれた。ボクはそんな彼女に、頭を下げる。すると彼女は「……あとで、あったかいもの差し入れしてあげるわね」と、その頭を優しく撫でてくれた。
彼女の優しさが、手を通してボクの身体に流れ込んでくるような、そんな気持ちになる。
(……がんばらなくちゃ)
響さんの身体に起きたという『異変』。
突然、身体の一部が異質に変貌してしまうという現象。
その部位が部位だったために、彼女はそのことを誰にも相談出来ず、内密にボクを頼って打ち明けにきてくれたのだ。
およそ常識では測れない事態を前にして、響さんは健気にも気丈に振舞っていた。本当なら、取り乱してしまってもなんら不思議ではなかったというのに。
昨日、ある程度の問診の後、問題が起きたというその部位を直接目にしたボクでさえ、いまだに信じられない。
異性の《生殖器》が突然生えてくるなんて、どう捉えても人間という生物の道理そのものに反している。
明らかな異変。人類の既知の分野を超越した、異常事態と言える状態だった。
本来なら決してありえない人知を越えた現象。それを古来より人は《奇跡》と等しく表現してきたのではなかったか。
ならば、響さんに起きた異変は、さしづめ本人の望まない形で発露してしまった《奇跡》とも言い換えることが出来る。あるいは、不幸とも。
そして《奇跡》は、他でもないボクの、そして《もうひとりの自分》が扱っていた領域だ。
ならば一人の錬金術師として、響さんの身に起きた現象を分析した結果――
昨日、彼女に受けてもらったメディカルチェックの数値も踏まえた上で、昨晩ずっと分析し続けた末、正確な原因までは突き詰めることは出来なかったが――
(“ある程度の推測”は考えたつもりだ……だいじょうぶ。絶対、響さんはボクがぜったいに救ってみせる……っ)
眠気なんか暢気に感じている場合なんかじゃない。むんっと、気持ちを新たに引き締めると。
ボクは友里さんに一言断ってから、そろそろ起床している頃だろう響さんの、朝の検診と体温検査のために、司令室を後にするのだった。
「おはようございます、響さん」
お加減はいかがですか、と。
響さんが居る病室へと入ってみると、彼女はすでに目は覚ましていたようだったが、身体はまだベッドの上にあった。
「ひゃ――えっ、エルフナイン、ちゃん……っ!?」
突然入ってしまったせいでビックリさせてしまったのか、響さんが驚いたようにボクの方を見る。そして慌てたようにベッドのシーツを手繰り寄せると、自らの身体に巻きつけるように引っ掛けた。
「ご、ごめんなさい。びっくりさせてしまいましたか?」
予想外の響さんの反応に逆に少し驚いて、ボクは反射的にその場で頭を下げる。考えてもみれば、ノックもなしに入室したのはかなりデリカシーに欠ける行為だった。
慣れない検診行為とはいえ、いくらなんでも配慮が足りなさ過ぎた。一体なにをしてるんだボクは……。
「ち、ちがうの……っ、ううん、エルフナインちゃんは悪くないよ……っ? ちょっとだけ、ビックリしちゃっただけだからっ」
「次からは気をつけます……すみません」
響さんが両手をぶんぶんと振って、なんでもないように言ってくれる。
ボクはそんな優しい彼女に何回も謝りながら、今度からはもっと注意しよう、と心に決めて、顔を上げるのだった。
そこで、ふと気が付く。
「響さん……? 少し、顔色が赤いようですが……?」
「っひ、ひぇ!?」
彼女の顔色がいつもに比べて、少し赤みが強いように思えた。よく見れば暑いのか、うっすらと汗まで掻いているようにも見える。それどころか、わずかに肩が上下しているようだった。
この病室の室温が身体に合わなかったのだろうか? ここは空調によって、適温に保たれていたはずなのだが……。
「っ!? もしかして、また熱がヒドくなってるんじゃ……っ!?」
「ち、ちがうよっ! だっ、だいじょうぶだよエルフナインちゃんっ。ほ、ホラっ――こうして寝てる間ずっと、お布団を被っちゃってたみたいで、ちょっと暑いだけだからっ!」
ぼふっと、布団を頭から被ってみせて響さん。
暑いと言うのなら、シーツを手離せばいいのではないのかとも思ったが、そう言った響さんの声の調子に、少なくとも体調不良時の弱った雰囲気は感じ取れなかったので、ひとまず何も言わないでおく。
「それならいいのですが……。もしなにかあったら、遠慮なくこのボクに言ってください」
「う、うん……ありがとう、エルフナインちゃん」
ベッドの上でシーツを被ったまま、響さんがぎこちなく微笑む。無理もないだろう、いまだ彼女は未知の恐怖に晒され続けているままなのだから。
それでも笑みを作ろうと気丈に振舞ってみせるのは、ひとえに彼女の優しさゆえだ。
ならばボクのできることは、その恐怖から一刻も早く、彼女を救い出す手立てを見つける手伝いをすることに他ならない。
ボクは彼女の様子を用心深く観察しながら、とにかく現状確認も兼ねた、朝の問診を始めることにしたのだった。
「あれから一晩が経過しましたが、身体になにかおかしなことはありませんでしたか?」
「……っ! な、ない、と思うっ。だいじょうぶ……っ」
「……? ええと、熱といった症状も、あれからはありませんか?」
「な、なかったよ。ちょっと不安で寝付けなかったけど、ちゃんと眠れたし……」
「そうですか。それは良かったです、食事は後でお持ちしますので、召し上がれる分だけちゃんと食べてくださいね」
「あ、ありがとうエルフナインちゃん。ちょうどお腹減ってたところなんだ、うん」
「それと――そうですね……すみません。踏み込んだ質問をさせてもらいますが、患部にはまだ……?」
「……う、うん。まだ――在る、みたい。起きてからまだおトイレに行ってないから、直接見たわけじゃないんだけど、違和感はあるみたいだから……」
「そう……ですか。いえ、仕方ありません。大丈夫です、昨日受けてもらったメディカルチェックの結果も出ましたので、これからなにか、具体的な対処法を考えられると思いますから」
「ほ、ホントっ!? よかった……ありがとう、エルフナインちゃんっ」
「がんばります。それで、ですね……? なにか手がかりを見つけるためにも、昨日に引き続いて患部の状態をもう一度、再確認しておきたいのですが……」
「そ――それはダメぇッッ!!」
ボクの言葉を遮るようにして、響さんの拒絶の声が入った。
もちろん快諾はされないだろうと踏んでいたが、まさか拒絶されてしまうまでは考えていなかった為、少しだけ響さんの返事に面食らってしまう。
「え、えと……も、もちろん昨日のように、ボクも脱ぎますがら……」
「――あっ!? えっ、えと、あの、ちがくてッ! い、今はその……っ!」
「……? 今は……?」
「~~ッ!! そ、そのぉ……っ」
顔をさらに赤くして、響さんが言葉に詰まっている。目尻にはうっすらと涙さえ浮かべていて、なにか追求してはいけないことを言ってしまっているような気さえしてきた。
もちろん、患部とはいえ、その場所が人体で最も繊細な部位であることには違いがないので、たとえやましい気持ちがなかったとしても、気安く晒せる場所ではないことは重々承知していたのだが。
「響さん……無理を言ってしまって、本当にすみません。でも、一刻も早い原因究明のためにも、協力いただけると……」
「ち、ちがうのぉ……ッ! そ、じゃなくって……あの、その……ッ!」
しどろもどろになりながら、響さん。ぎゅうっとベッドシーツを掴んだまま手離そうとしない。異常が起きている箇所は、まさにその下にあるので、頑なに『見せたくない』という意思が、そこには表れているようだった。
昨日は見せてくれたので、てっきり今回も許してもらえるだろうと安直に考えていたが、迂闊だった。
昨日の診察を経て、自分だけには素直に症状を打ち明けてもらえると、どこかで踏んでいた自分の思い上がりが、猛烈に恥ずかしい。
(響さんだって、立派な女の子なんだ……。彼女の心を傷付けたりしないように慎重に接しないと、目には見えない大きな傷を負わせてしまうかもしれない……なにか違う手立てを、考えてあげないと)
そう思い直して、ひとまず自分の要求を撤回しようと口を開いたところで――
「そ、そうッ――お風呂っ! き、昨日あれから、お風呂入ってないから、そのっ、恥ずかしくって……ッ! 寝てる間にいっぱい、汗もかいちゃったし……っ!」
見せる前に、シャワーだけでも浴びさせて欲しいんだッ。と、響さんが口早に言ってのけた。
「あ……な、なるほど。す、すみませんっ、またボク、気が回らなくって……」
彼女の言葉にハッとして、慌てて頭を下げる。なるほど、そういうことだったのか……。ボクはまた、ろくに彼女の気持ちも汲めずに……。
「だ、だいじょうぶだよ……っ、ワタシこそ、わがまま言ってごめんね……?」
「いえ……そう言うことでしたら、後でボクが準備をしておきますね。朝食を終えたら、入浴してください。診察と、詳しいお話はその後でしましょう」
「……わ、わかったよッ」
響さんが頷いたのを見てから、ボクは検温用の体温計を響さんの脇に置いて、
「いつでもいいので、体温だけ測って置いておいてくださいね。では、ひとまずボクはここで。お邪魔してしまってすみません」
そう言ってから、病室を後にしようと立ち上がるのだった。
「う、うん……ごめんね――エルフナインちゃん」
病室を出ていく際。背中にかけられた響さんの声に、なにか複雑な心情が込められているような気がして。
ボクは振り返ると、
「だいじょうぶです。響さんの身体はぜったいに、ボクが元に戻して見せますから」
と、響さんが安心できるように笑顔を作って、言うのだった。
コレは――さっき友里さんに向けてしまった、偽物の言葉じゃない。この言葉だけは絶対に、本当にしてみせる。ボクは固く決意して、響さんの病室を後にしたのだった。
◇ ◇ ◇
エルフナインちゃんが部屋を出て行ったのを念入りに確認してから、ワタシは大きく息をついた。
「……よ、よかったぁ」
身体から、どっと力が抜けていく。全身に張り詰めていた緊張が、一気に解けていった。
(本当によかった……ッ。エルフナインちゃんに気付かれたら、どうしようと思った……ッッ!)
そう思いながら、ワタシが見下ろすのは、力いっぱい握り締めていたシーツの下。
そこにある――異様な“膨らみ”の出来た、自分の着ている入院着。
「……ひぅっ」
存在がわかっていても、そのあまりの異質さに軽く恐怖を覚えてしまう。
(こ、これってやっぱり《アレ》だよね……? でも昨日は、こんなに大きくなんかなかったし……つまり、これって……男の人がこ、こーふん……しちゃったときになっちゃうっていう……)
そこまで考えて、今度は自分の顔から火が出そうな気持ちになった。
思い出すのは、いつか、なにかの機会に未来と一緒に読んだ、ティーン系の雑誌に載っていた、いわゆる『ソッチ系』の内容。
(わ、わた、わたしっ……あさから、こ、こーふん、しちゃってたってことッ!? うそッ!? そんなはずッ!?)
頭に降りかかってくる恥ずかしさのあまり、目が回りそうになる。
しかし、どれだけ考えたところで、目の前にある“膨らみ”が消えてくれることはなく。
(ひッ……な、なんか動いている……!?)
それどころかよく見れば、その“膨らみ”はわずかに動いているようだった。まるでワタシの鼓動に合わせるように、一定のリズムで小刻みに振動している。
(な、なんか別の生き物みたいで、気持ち悪いよぉ……)
ワタシは思わず、昔に父親と一緒に見たSFモノの映画を連想してしまう。主人公が侵略してきた地球外生命体に寄生されてしまったとき、こんな風にピクピクと動いていたような気がする……。
「……こ、こんなの、とてもじゃないけどエルフナインちゃんにだって相談できないよぅっ」
気味の悪さと恥ずかしさがごちゃ混ぜになった複雑な感情で、泣きそうに――どころか、もうほとんど号泣さえしながら、ワタシはエルフナインちゃんが置いていった体温計を手に取った。
(と、とにかく……体温を測っとかないと)
入院着の隙間に体温計を差し入れて、脇の下で挟む。ヒヤリとした体温計の先が、混乱して火照った身体に少しだけ気持ちよかった。
「え、エルフナインちゃんと話しながら……こんなのって……ッ」
彼女と話している間ずっと、自分の下半身に出来てしまったこの“膨らみ”に気が付かれてしまうんじゃないかと、本当は気が気じゃなかった。なにを話したかなんて正直なところ、ほとんど頭に入ってきていない。
ずっと、自分の身体にあった異物感のことで、頭がいっぱいになってしまっていた。
(これじゃあ、まるでワタシが、へんたいさんみたいだよぉ……ッッ!)
行き場のない感情に、全身を掻き毟りたい衝動に駆られる。
そして、続けざまに思い出したのは、朝目を覚めたときのこと――。
(ワタシ……いくら寝ぼけてたからって、じぶんからベッドに、お、おしつけ……~~~~ッッッ!!)
恥ずかしさの限界が来て、ベッドの上で身体を振り回した。挟んだ体温計がずれそうになって、慌てて止める。
「も、もぅ……考えるの、やめよ……っ」
これ以上考えたら、本当にどうにかなってしまいそうだ。
朝から、早くも恐怖と羞恥で心をズタズタにされてしまった自分は、ほとんど残っていない自身の自尊心を守るためにも、もうこれ以上はなにも考えてなるものかと、そう心に決めるのだった。
ちなみに、測り終えた体温計が示した数値が、自分の平熱よりも少し高い値だったため、また恥ずかしさに暴れ回りたい衝動に駆られるのだが、それについてはこれ以上言及しないでおく。自分のために。
「――さて、では響さんの身に起きた異常について、ですが」
運ばれてきた朝食を食べ終えて、本部に設置されたシャワー室で軽く汗を流した後、エルフナインちゃんが部屋に来て診察をしてくれた。
昨日のように、少し脱いで見せるだけだったが、何度やっても自ら身体を晒すという行為に慣れるといったような気配もなく、かなり恥ずかしかった。
それに、気を遣ってまたエルフナインちゃんも下を脱いでくれたので、なんだか、病室でイケナイことをしてるみたいで、変にドキドキした気持ちが強まってしまったのも、ワタシに恥ずかしさの拍車をかける要因になった。
しかし逆に、食事や入浴を済ませて幾分落ち着いたこともあってか、その頃になるとさすがに“膨らみ”も無くなってくれていたので、これについては本気でホッとした。
シャワーを浴びているときすでに“元に戻っている”ことは確認していたが、もしそうじゃなかったら、それこそエルフナインちゃんに恥を忍んで相談しなければならなかったところなので、これについては全力で胸を撫で下ろす思いだった。
エルフナインちゃんに患部を軽く見せた後(気持ちとしては全然軽いものなどではなかったが)。
自分の下着と短パンを履き直しながら、そんな風におもむろに――エルフナインちゃんが本題を切り出してきた。
「う、うん……ッ」
脱いでいたショーツを着けて、はだけた入院着を整えたりしながら、ワタシはエルフナインちゃんの言葉に耳を傾ける。
知りたくてたまらなかった、自分の身に起きたこの現象の正体について。
ワタシはエルフナインちゃんの言葉を一言も聞き逃すまいと、神経を耳に張り詰めた。
「今もこうして確認させてもらいましたが、まず間違いなく、響さんの身体の一部――それも性機能に関する器官が、男性のモノへと変異してしまっていることは、まず間違いがないと思われます」
昨日受けてもらったメディカルチェックの結果にも、残念ながらそう出ていました。
「……っ」
わかっていたこととはいえ、やはり言葉にされると少なからずショックを受けてしまう。
生まれて十数年間、ひと時だって変わることなく『女の子』として過ごしてきた自分が、ある日突然『男の子』としての特徴を持ってしまった、だなんて。
一晩じっくり考えることが出来る時間があったとはいえ、その衝撃は少し、いやかなり精神的にキツいものがある。
一体こんなこと、どうやって周りの人間に伝えればいいというのか。両親はもちろんのこととして、周りの友達、それになにより一緒に暮らしている未来のことを思うと、息が塞がってしまいそうになった。
ワタシの身体、いったいどうしちゃったんだろう……。
漠然とした、真っ黒い不安感の塊が、ベッドの上に座っているワタシに覆いかぶさってくるような気分になる。
「……しかし、この事態はどう考えてみても、自然界ではまずありえることのない『超常』の類の現象であることに疑いの余地はありません」
エルフナインちゃんの言葉が続く。
「うん……だからワタシ、コレは普通の病院じゃダメだって思って、エルフナインちゃんに助けを求めたの……」
もしあの段階でなにも考えず、ワタシが一般の医療機関に罹ってしまっていたら今ごろ、大変な騒ぎになっていたかもしれない。当然だ、こんな症状、いくら世界広しといえども、前例すらないに決まっているのだから。
結局今ごろ、情報の操作や隠匿を得意としているS.O.N.G.の皆さんの仕事を、増やしてしまうハメことになっていた可能性がある。
だとしたら、まずはじめにエルフナインちゃんを相談相手に選んだワタシの決断は、ぜんぜん間違っていなかったのだろう。
「――ということは、です。なんらかの超常のチカラが作用して、今回の響さんの身体に起きた異変は引き起こされている、ということになります」
安心してください、響さん。と、エルフナインちゃん。
「ならば、その原因を解明し、対策さえ練ることが出来れば、響さんの身体を元の状態に戻すことも出来るはずです」
「そ、それは本当ッ!? エルフナインちゃんっ」
エルフナインちゃんの言葉に、心にかかっていたもやが晴れていくような気持ちになる。エルフナインちゃんは「ええ。その手立てはボクが必ず、見付け出してみせます」と、力強く頷いて微笑んでくれた。
自分よりも一回りも二回りも小さな体躯の少女が、これ以上ないくらい頼もしいモノのように感じる。
「――それに、です。ボクが昨日一晩かけて、診察した響さんの身体の状態と、受けてもらったメディカルチェックの結果を併せて分析してみた結果、まだ確実な確証こそ得られていないものの、おそらく今回の異変の原因についての一定の仮説はすでに考えてあります」
「えッッ!!? す、すごいよエルフナインちゃんっ! もう見つけてくれたのッ!?」
彼女の発言を聞いて、大袈裟ではなく本気で心の底から驚く。まさか昨日の今日というこの驚くべき短期間で、ワタシの身に起きた異常の原因を突き止めてしまうなんて、さすがに予想すらしていないことだった。
「これからしようと思っていた話というのは、そのことについてなんです。響さん――昨日行った問診の中で、最近ガングニールを纏ったのは、先週の出撃の際だとおっしゃっていましたよね?」
「え? あ、あぁうん、言ったけど……」
本部での基礎トレーニングはずっとしていたが、シンフォギアを纏っての本格的な模擬訓練までは、翼さんたち他の装者の子たちとの予定が合わなくて、しばらく見送られていたので、最後に纏ったのは出撃したときのことになる。
つまり、最後にガングニールを使ったのは、アルカ・ノイズ出現を受けて出撃した、先週のことだ。
「で、でも、別に変なことはなにもなかったよ……? クリスちゃんたちも居たから、別に苦戦だってしなかったし……」
装者側はもちろん、街や市民にもこれといった大きな被害が出ることもなく、無事にノイズを殲滅して本部に帰還したハズだ。
「いえ、おそらくですが……そのときでしょう。もしやと思い、昨日のうちに響さんのペンダントを調べてみた結果、響さんのガングニールに施していたはずの《愚者の石》によるバリアブルコーティングが、一部損壊した形跡が見られました」
「ぐ、愚者の石……?」
思ってもいなかった単語が彼女の口から飛び出して、思わず聞き返してしまう。
《愚者の石》といえば。
今から少し前。色んな事情があって、ワタシの心臓に食い込んでいたガングニールの欠片が、ワタシが歌う唄と同調してしまって、身体を侵食してしまっていた時期があった。
戦うために胸の唄を歌うたび、聖遺物と化していった自らの肉体。もしもそんなワタシの傍に、一番にワタシのことを想い遣ってくれる『陽だまり』が居てくれなかったら――今頃ワタシはこの世には居なかったのかもしれない。
そんな大変な時期、聖遺物と融合していく中で、ワタシの身体から偶然に精製された物質があったらしい。
それが《愚者の石》。命名はクリスちゃんによるものだけど(ひどい)、とにかく、聖遺物と人間が融合する中で生まれた、未知の物質――それが《愚者の石》。
詳しい説明や解説は、ワタシの頭じゃほとんど理解できなかったし覚えることも出来なかったけれど、とにかくその物質が役に立つ場面があった。
パヴァリア光明結社。アルカ・ノイズを生み出し操っていた錬金術師たちの黒幕。
“彼女たち”と戦う中で、錬金術師たちが扱う《賢者の石》に対抗する手段として、その《愚者の石》が役立ったのだった。
「《愚者の石》とは、物質としての位相が虚数に固定されている、いわば対《賢者の石》にしか用途のない未解析物質です。その性質からパヴァリア光明結社の使用する《ラピス・フィロソフィカス》への対抗手段として、ボクがシンフォギアシステムに搭載しました」
その性質はあらゆる面において、《賢者の石》が持つ完全性質を打ち消すことが可能です。と、エルフナインちゃん。
「……う、うん」
ダメだ。すでにエルフナインちゃんが何を言っているかわからない……。でも、質問したところで、自分の残念な頭で大した理解も出来ないことはわかっているので、大人しく黙っておく。
ここでいつもの『何を言っているか全然わかりません』と言ったら、エルフナインちゃんが困ってしまうのは目に見えていた。
「《ラピス・フィロソフィカス》――《賢者の石》はそもそもとして、錬金術師が完全を追求するうえで獲得した、概念としての“完全”を結晶化させたモノです。そして、それらを無効化する《愚者の石》とは、他でもない“完全”を否定する物質……」
「え、ええっと、つまり……?」
いけない。エルフナインちゃんの言葉そのものが頭にさえ入って来なくなってきた……。このままじゃきっと、自分に関する重要なことまで聞き逃してしまいかねないので、悪いとは思いながらもワタシは、遠まわしに彼女の話の先を促してみる。
「完全を否定する《愚者の石》――そして、錬金思想において《女性》のシンボルとは、他でもない“完全”を意味します」
「――えっ!?」
えっと、それって……。
「はい。おそらくですが、響さんの身体に発生した男性器は、ガングニールに付属していた《愚者の石》がなんらかの要因によって不具合を来たしてしまった結果、性別としての『女性』という一種の完全性を否定してしまったことによって、引き起こされたものだと推測します」
「……あぁ、うぅ??」
あぁ、ダメだ……。意味までは辛うじてなんとかわかったが、わかるだけによくわからない(?)。
ガングニールについていた《愚者の石》のせいで、今のワタシは『女の子』じゃなくなってしまった、ってこと?
「ええ。正確には『概念としての女性』ですが。そもそも錬金術師には、自らの求める完全性を追究するために、身体をイチから作り替えて性別を変化させてしまう技術も存在しています」
「う、うそぉ……っ!?」
そ、そんなことまで出来るんだ錬金術さんって……。す、すごい……。
もしかしてサンジェルマンさんたちも、実は……? あはは、まさかね……。
「で、でもでもっ、それじゃあ他の皆は? 《愚者の石》って、みんなのシンフォギアにもついているんだよね?」
もし《愚者の石》のせいで、身体に男せい……お、男の人のが、生えちゃうというのなら、今すぐにでもクリスちゃんたちにそのことを伝えて、シンフォギアを使わないように言わなきゃいけない……ッ。
かけがえのない仲間である彼女たちに、今の自分が感じているような、惨めで恥ずかしい思いをさせるわけには絶対いかない。
「いえ、その点はおそらく問題ないと思われます」
なぜなら、と。焦るワタシとは裏腹に、エルフナインちゃんは落ち着いた口調で続ける。
「もともと人体から精製されたという出自を持つ《愚者の石》には、極めて人体組織に近い構造組成を持っています。たとえ破損などといった、想定外のイレギュラーが起きたところで、ただちに人体に明確な影響を及ぼすような物質ではありません」
エルフナインちゃんの説明を受けて、思い出した。そういえば最初に《愚者の石》を見つけたとき、みんながそれと同じようなことを言っていたような気がする。
基本的には何の役にも立たない《役立たずの石》なんだって――
「えっ、あれ……? でもじゃあ、なんでワタシだけ……?」
「……それについては、いくつかの要因が考えられるので、一概に理由を特定することは難しいんですが」
ワタシの質問に、どこか難しい表情を浮かべながら、エルフナインちゃんはそんな前向きを置いた。
「《愚者の石》そのものを生み出した、いわば精製元である響さんの身体と再結合したことによって、他の装者の皆さんと比べて《愚者の石》が、異常な深度での適合を果たしてしまったというケース……。もしくは、先のアルケミスト達との戦闘による“反動除染”が、響さんのギアだけ最後まで間に合っていなかったことが、原因になっているケースなどが考えられると思います……」
そもそも、《融合症例第一号》から《第三種適合者》という経歴を持つ、極めて稀なタイプの装者である響さんには、どんな奇跡が起こり得たとしても研究者として不思議ではありません。
「そ、そうなんだ……」
何を言っているかわかりません、と危うく喉まで出かかったが、なんとかそれを寸前で飲み込んだ。
ええと、エルフナインちゃんの話を、自分なりにわかりやすく要約してみるに――ワタシが他のみんなよりも特別呪われていた、ということであるらしい。
…………なんだ、いつものことじゃないか。
「な、泣かないでください響さんっ! 大丈夫です! 《愚者の石》の性質を考慮する限り、直接の問題は『男性器の発生』だけだと思われますので、響さんの身体にそれ以上の異常や危険が起きることはありませんっ! 昨日の熱も、おそらく身体の構造が組み変わる副作用だったのだと思いますっ」
「じゅうぶんそれだけで、のろわれてるよぉ、えるふないんちゃぁん……っ!!」
乙女として十分に『一撃必殺』クラスの大被害である。思わず目の前のエルフナインちゃんに抱き着いて、さめざめと泣きついた。
「安心してください。要因さえわかれば、対策が出来ます。今回の異変が《愚者の石》によって引き起こされているというのなら、その性質を打ち消す物質をボクが錬金術で精製すればいいだけのことなんです」
「そ、そんなことほんとにできるのぉ……っ?」
もしかしてワタシ、ずっとこんな身体じゃ……。
しゃくりあげながらエルフナインちゃんのほうを見上げると、彼女はにっこりと笑って、
「マイナス位相にはプラス位相をぶつければいいんです。ボクが必ず《愚者の石》の性質を打ち消す物質を精製してみせます。時間はかかってしまうかもしれませんが、絶対に響さんをこのままになんてしません」
と、ワタシの頭を撫でてくれた。
それがなんだか小さい子をあやすみたいで、少しだけ恥ずかしい。
「ごめんね……エルフナインちゃん。こんなことになっちゃって」
「違いますっ、もとはといえばボクが、安易に《愚者の石》をギアに装着しようだなんて考えなければ……っ」
ぎゅっと、謝るエルフナインちゃんの身体を抱きしめた。未来の匂いとは少し違う、なにかの薬品の甘い匂いが混ざった不思議な匂いが、ワタシの鼻をくすぐる。
「ううん、あのときは戦うためだったんだもん、仕方ないよ――ごめんね……ありがとうエルフナインちゃん。これからいろいろと迷惑かけちゃうと思うけど、おねがいします」
「~~っ、はいっ、おまかせください」
頭の上で、エルフナインちゃんの力強い返事が聞こえて、ワタシの中にあった不安が、嘘のように消えていくのがわかった。
大丈夫。ワタシにはこんなに頼もしい仲間がついているんだ。だからきっと、へいきへっちゃら……ッ。
ワタシはエルフナインちゃんの華奢な身体を抱いたまま、自分の心に言い聞かせるように何度も、そう呟くのだった。
「……あ、ところで響さん」
「……うん? なにかな?」
「身体面に直接の危険がないことが判明したので、今日から未来さんのもとに帰ってもらっても大丈夫ですよ。昨日あれからずっと未来さんが、響さんのことを心配していらっしゃったみたいなので、今朝、響さんがシャワーを浴びている間に、ボクから連絡して伝えておきました」
エルフナインちゃんが放った言葉を頭で聞いて、そしてその意味を考える。
……ん? えっ?
ワタシは抱き締めていたエルフナインちゃんの身体を一旦離すと、彼女の顔を見た。
そして言った。
「……言ってること、全然わかりませんッ」
え、ワタシ――このまま、家に帰るの?
続け……たい
今のところ実は、ビッキーは怖くて自分に生えたガングニール(意味深)をじっくり見ていなかったりします(服の上からは見てるケド)
きっとビッキーは、徐々に膨らみが収まっていく様子を観察しながら、「なんかちょっと……面白いカモ……」とか不覚にも思っちゃったに違いないんだよ(激怒)