AliceSoftのランスの二次創作です。ランス10クリア後の世界観で書いてます。
世界はまぁまぁ平和になった。そして――。

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ランス10ss Episode日光

ゼス王国 西部

 

ゼス国内といっても都市からはだいぶ離れたところにある草木以外は何もない草原。

人どころか魔物さえ飽きてしまいそうな場所にえっちらおっちら歩く冒険者風の男。

 

早歩きに近いペースでぐんぐん進み――。

なだらかな丘を越えて――。

 

この辺りで唯一見どころがある綺麗な湖の前に辿り着く。

 

「がははは! 着いたぞーー!!」

 

目的地に辿り着いたランスが歓声を上げる。

 

湖の畔に普段はないいくつもの巨大なテント小屋。

冒険者が寝泊まりする粗末な安物ではなく、しっかりと装飾が施されたものであり。

来客する客層を意識してか、大きなうし小屋も完備されている。

 

一見すると宿屋のような佇まいだが、そこで営業する人々は驚くほどの美女美男揃いであった。

 

「おーおー♪ これが『移動型売春宿シーウィード』! 噂通りレベルが高い! ぐふ、ここまではるばる来たかいがあったぜ!」

 

「ようこそお客様。――おや? 貴方様はもしやランス様では?」

 

シーウィードのボーイがランスに気付く。

 

「うむ。そうだ、偉大な英雄ランス様とは俺様よ。 がははは! 俺様有名人!」

 

ボーイは恭しく頭を下げる。

 

「はい。オーナーから話は伺っております。先に会われますか?」

 

「売春宿のオーナー? はて、そんな知り合いいたなら忘れんはずだが……ふむ、早速やりたいところだったが我慢してやる。はよ会わせろ」

 

「はい。どうぞこちらに」

 

…………………………………………………………………………。

 

「あら? とうとう見つかっちゃったわね。――久しぶりねランス君」

 

「へ? カフェちゃん? あれ? ここのオーナーって」

 

「うん。私」

 

「なにーーーー!? まさか君がそんな淫乱な子だったとは!?」

 

「もー、相変わらずねランス君。ふふ、でもそうね。変わってなくて安心したかな」

 

ランスをテーブルに案内しハーブ茶を注ぐ。

 

「君はだいぶ変わったみたいだな……。しかしカフェちゃんが売春宿のオーナーか……っということは君も指名出来るのかな? ぐふっ」

 

「いやいや、私なんかより可愛い娘いっぱいいるから。あまりお姉さんをからかっちゃダメよ」

 

口を曲げてカフェがあしらう。

 

「いいや、抱くならカフェちゃんがいいぞ。何だかんだでウルサイ奴がいたせいで君とは出来なかったからな」

 

「はーーーーい、そのウルサイ奴でーーーーす!!」

 

奥のテントから声がすると見慣れた剣とそれを抱く着物の女性が現れる。

 

「な!? カオス!? ――と君は」

 

「……お久しぶりですねランス総統……いえもうそれも古い呼び方ですね」

 

「おお、日光さんではないか!? しかも最初から美人モード! がははは! 俺は別にその呼び方でも構わんがな!」

 

日光はカオスを椅子に立てかけるとランス達と同じ席に着いた。

 

「んんー、なんだ? 同窓会でもしてたのか?」

 

「まぁそんなとこ。カオスと私、今は日光さんもだけど一緒に世界を旅して――ってあれ、カオス伝えてないの?」

 

「いやちゃんとメモに書いて残しておいたぞい?」

 

「あ~~確かなんか書いてあったような。鼻かむのにちょうどよかったから捨てたな」

 

「えーーーー」

 

「日光さんところは? ランス君の息子……あれ娘だったっけ?」

 

「娘です。エールは基本優しいですから。今回の私の勝手も笑顔で見送ってくれました」

 

「あー今、日光さんあいつの物だったのか。……ムム、俺様だって日光さん抜けるのに、いや抜いてもらったんだが――」

 

ピシッとビームのような眼光がランスに飛ぶ。

 

「おう!? いやいやジョークジョーク……ん? あれ? 今更だがなんでエールは日光さん使えるんだ?」

 

思った疑問を口にするランス。

 

「確か日光さん持つには日光さんと――まさか、そんな!? ええええ!? したのか!? というか出来るのか女同士で!?」

 

はぁ~~と深い溜息を吐く日光。

 

「やっていません。なぜかは分かりませんが彼女は契約の儀もなく私を扱うことが出来たのです。……本当に謎ですが」

 

「うむ。女の子同士の契約は否定しないのだな」

 

「ランスさん」

 

「お、おぉ――こわこわ」

 

「まぁあいつ、儂のことも簡単に持てたし、そういう魂の人間だったとしか言えんな」

 

「ふん。駄剣のことなどどーでもいいわ。いやしかし日光さんとの契約か……ぐふ、思い出したらもよおして来たぞ! よし! 早速噂の極上サービスとやらを味合わせてもらうとしよう。 さぁカフェちゃん!」

 

「だーかーらーダメだと言っておろうに!」

 

「もー。というかランス君はわざわざこういう場所に来なくても……シィルちゃんや他にも彼女がいるじゃない?」

 

「いやお前それは違うぞ? それはそれ、これはこれ」

 

「がははは! 分かってるではないか!」

 

カオスと同調するランス。

 

「まったくこの二人は」

 

「あれ心の友? そういえばお嬢ちゃんは?」

 

「ぬ。あれは留守番だ」

 

「へ? 珍しいー、そんなこと…………あ」

 

「どうしたのカオス?」

 

「へーへーそうか。ついにやったか。ぷぷ。おめでとさん」

 

「こいつ――」

 

ランスがカオスの椅子をがしがし蹴る。

 

「え? なになに?」

 

「もしかして……彼女、妊娠しましたか?」

 

ズバリ言う日光。

 

「む、むぅ……」

 

「えーー!? おめでとうランス君!」

 

「うるさい、奴隷のことなどどーでもよかろう! 今はセックスだ!」

 

「う~~ん、まぁそういうことなら仕方ないわね。私はダメだけどここの一番人気の子を紹介するから、それでね?」

 

「うーーむ、仕方ない。絶~~~~対可愛い子だぞ!」

 

「はぁ……仮にもエールの父なのですからあまりはしたない真似は――」

 

「がはははは! 楽しみだーーーー!!」

 

「聞いてませんね」

 

ヒャッホーと飛び出していくランスに日光は溜息を吐いた。

 

…………………………………………………………………………。

 

ランスが出ていくと残った三人は改めてお茶会を始めた。

 

「ん、ふぅ――それにしてもランス君が変わってなくて安心したわ」

 

ハーブ茶を嗜みながらカフェが一息つく。

 

「個人的に少し変わってていただきたいものですが……」

 

困った顔でカップに口をつける日光。

飲みなれたいつもの味にホッとした息を吐く

 

「相変わらずお前さんはアイツに厳しいねぇ」

 

「一時的とはいえ美樹ちゃんと健太郎君にあんな仕打ちをしたのですから当然です」

 

「そりゃまぁのう……だが心の友でなければ今の平和は来なかったぞい」

 

「別に認めてないわけではありません。いえ、今はランスさんには感謝、尊敬の念の方が強いです」

 

はっきりと認める日光。

 

「二度暴走したとはいえ魔王の状態で15年……。自分と魔王の自我のせめぎ合い。私は間近で美樹ちゃんを支え、それがどんなに苦しく孤独か……それを分かっているつもりです」

 

日光は遠い目をする。しかしそれも一瞬のことで。

 

「しかしそれに打ち勝ち、エール達と共に魔王の支配から世界を解放した人を……嫌いにはなれませんよ」

 

表情を和らげ微笑む。

 

「お、おおー。あの日光が男にここまでデレるなんてブリティシュ以来か?」

 

「……そうでもないですけど」

 

と小さい声で呟く。

 

「あっそうだ。ブリティシュといえば彼、今世界中を旅してるみたいよ」

 

「ほ~~お、そりゃまた」

 

「あなた達が魔王討伐を終えてここに来る前にね、立ち寄った村でそれっぽい人の噂を聞いたわ。水不足の解消とか、荒れた土地を豊かにしたりとか、慈善活動してるみたい」

 

「あの人らしいですね」

 

「でね、これも聞いた話なんだけど……」

 

くすりとカフェが笑う。

 

「その隣に絶世の美中年がいたらしいの」

 

「なんじゃい美中年って。美と中年は両立せんぞ」

 

「もしかして……」

 

「ふふ、それは分かんないけどね。いつかまた会いたいなって」

 

ふふ、とカフェが微笑む。テントの中をまったりとした時間が流れる。

 

「はぁ~~ほんと平和だね~~こんな毎日が続いたらオジサン錆ちゃうよ」

 

「あら別にいいのよ、そしたらまた潤わせてあげる♪」

 

「ぶっ!! お、おまえ!?!?」

 

「ふふ、余生なんて私達には無いものと思ってましたが……いいものですね」

 

「うぬぬ、日光お前さんはどーなんじゃ」

 

「私はエールが大人に――いえ、剣を置く時まで傍で見守るつもりですので、しばらくしたら彼女の元に帰りますよ」

 

「いやいや、そういうんじゃなくてなぁ――」

 

「?」

 

日光の反応にカオスは深く溜息をついた。

 

…………………………………………………………………………。

 

お茶会も解散といった流れになった時。

 

ドドドドドドドドド――。

 

地響きがテントを揺らす。

 

「ん?地震か?」

 

「外が騒がしいですね」

 

カオスを携え日光がテントを出る。

同じく異常を感じた人々が辺りを伺う。

 

「あ、あれは!?」

 

西の方を指差し一人が声を上げる。

ぼんやりとだが煙が上がっていた。

 

「あの方角は……マジノラインがある所だぞ?」

 

ざわざわと人々の間に動揺が広がる。

特にゼスの高官らしき人間は過去の出来事を思い出し、緊張と怯えを隠せずにいた。

 

「むぅ、仕方ない。日光」

 

「ええ」

 

カオスを持ったまま日光が異常のあった方角へ走る。

忍者顔負けの俊足で進むと大きな森へと出た。

 

そのまま高い木へ登り目を凝らす。

 

「確かにマジノラインから煙が見えますね」

 

「これ以上高い場所はないか――ええい、仕方ない日光、儂を投げろ」

 

日光は頷くとカオスを空へ投擲した。

 

「おおおおっーーーー!! ――っとっと、むっ!? あれは!?」

 

ひゅーーと落ちてきたカオスをそのままキャッチ。

 

「どうでしたか?」

 

「まずいぞ……儂の目が確かならありゃ――トッポスだ!」

 

「まさか――間違いないのですか?」

 

前回の魔人戦争でレッドアイに操られランス城を襲った魔物トッポス。

魔物の世界に住み、魔人すら圧倒する戦闘力を持つ怪物中の怪物。

 

ランスも一度はボロボロにされ、カオスも刀身を折られている。

 

「儂も何かの冗談だと思いたいけどねー。思いっきり砦壊れてるし、冗談じゃなさそうだ」

 

「不味いですね……トッポスも厄介ですがマジノラインが崩れたとなると他の魔物もやって来る」

 

大変な事態を冷静に分析する日光。

明らかに国レベルの案件であるのに関わらず落ち着いていられるわけ。

 

それは――

 

「幸か不幸か、こういう時にいるなんて……やはり英雄という器を持っているのでしょうね」

 

「むしろ呼び込んでるんじゃろ。まったく、こういう事態に遭遇する天性の才能があるのかね。トラブルレベル3とか」

 

 

…………………………………………………………………………。

 

「ああ、ランス様、すごいですっ!」

 

「がははは! シラセ君と言ったかね、君も素晴らしいモノをお持ちだ♪」

 

「あ、ありがとう、ございます――ああ!」

 

ランスのハイパー兵器を秘所に咥え込み乱れる娼婦シラセ・藤野。

ランスは上機嫌にシラセをバックで責める。

 

「ああああ! 私、こんなの初めてです!」

 

「のほほ! すごい乱れようだ! ふむふむ、よく開発されている」

 

ランスが腰を打ち付ける度にシラセが嬌声を上げる。

 

「あ、あ、あ、私もうっ!」

 

「きたきたきたきたっ! いくぞシラセっ!!」

 

「ランス君っ――――!!」

 

突然テントにカフェが乱入する。

 

「おうっ!?」

 

思わずビックリして振り返るランス。

その瞬間、スポンッと抜けるハイパー兵器。

 

「え?」

 

どぴゅどぴゅーーーー!!!!

 

すごい勢いで発射される皇帝液。

 

「キャーーーーーー!!!!」

 

カフェの顔にぶっかけられる。

 

「ほへほへ~~~~」

 

ランスが一通り出し終わるとそこは大惨事になっていた。

 

「ああ出た出た~。すまんすまん、大丈夫かカフェさん?」

 

「もう、酷いわよランス君!」

 

ゴシゴシと顔を拭くカフェ。

 

「がははは! いきなり乱入してくる君も悪いのだ! それにしてもわざわざ俺様の元に来るとはカフェちゃんも辛抱堪らず――」

 

「違うわよ。というより気付いていなのこの異変に?」

 

「む? ……そういえばなんか揺れてんなぁ」

 

「はい、夢中で気付きませんでしたわ――フフッ」

 

「おお! いいねぇその感じ~。もう一発――」

 

「もー、そんな場合じゃないわよ! いいから外に出て!」

 

外に出るランス。

 

「おー、なんだか騒がしいな。しかしただの地震だろ?」

 

「そうではありません」

 

「むっ、日光さん」

 

「……なんで裸なんですか?」

 

「仕方なかろうさっきまでセックスしてたんだぞ」

 

「いいから! 服を! 着て下さい!」

 

「へいへい」

 

着替えるランス。

 

「で、何があった?」

 

「マジノラインが突破されました……トッポスによって」

 

「トッポスですって!?」

 

「なんじゃいトッポスって?」

 

「おいおい心の友。お前さん、散々酷い目にあったろうが」

 

「………………港に住む双子の姉妹?」

 

「なにされたのよ……違うわ、昔レッドアイに操られてランス城を襲ってきた」

 

「……ああああーーーー!! 思い出したぞあの髭面のデカブツか!!」

 

「そうそうそれそれ。儂と心の友、両方バキバキにされたヤツ」

 

「ふん! あの時は手加減してやったのだ!」

 

「さいですかー。……ゴホンッ、さぁ心の友よ。あの時のリベンジマッチじゃ!」

 

「今のランスさんなら問題なく撃退出来るでしょう」

 

「……………………めんどい」

 

「……え?」

 

「別に遠くで暴れているだけだろう? わざわざ俺様が出張らんでも警備隊が……マジックがなんとかするだろう?」

 

「本気ですか? あなたが戦えばあっと言う間に事態が解決するのに――いや、はぁ、貴方はそういう方でしたね……」

 

日光が心底呆れる。

 

「マジノラインが完全に壊されればこの国は崩壊しますよ? 貴方の大切な方もいるのでは?」

 

「俺様の女はそんなやわじゃないが……むむ、…………ぴかーん!」

 

ランスがろくでもない事を閃く。

 

「ぐふふ、まぁ俺様も鬼じゃない。が、なんの見返りもなく働く俺様でもない、そういう方なのだ!」

 

「……なにが言いたいのですか」

 

「なに日光君が俺様の苦労をベッドでねぎらってくれるなら、トッポス退治をやってやろうというわけだ!!」

 

ヒュンとその場の温度が下がったような風が吹く。

 

「貴方って人は本当に……」

 

「お前さん……日光相手にようやるねぇ……」

 

「はぁランス君、空気読もう……」

 

呆れる元ヒーローチーム。

 

「ぬ、しかし俺は譲らんぞ! でなければ俺はシラセとセックスの続きをするだけだ!」

 

「ランス君、別に日光さんじゃなくてもウチにいる娘ならいくらでもサービスするわよ?」

 

「日光さん以上の美女がいるなら考えてやらんことでもない」

 

「それは……」

 

「はぁ――。分かりました……いいでしょう」

 

「日光さん……いいの?」

 

「大丈夫ですカフェ、今に始まったことではありませんし……わんわんに噛まれたと思えば」

 

「おい、聞こえてるぞ!」

 

むかむかランス。

 

「決めた。日光とのセックスはもう恋人みたいなアマアマのトロトロのやつでっ! 絶対あへあへ言わしたるっ!」

 

「まったく……」

 

「ハイハイ、行くぞ心の友」

 

…………………………………………………………………………。

 

マジノライン。

 

ゼス王国と魔物の世界を隔てる山脈に構築された巨大な魔法要塞線。

頑強な砦に対魔物自動迎撃を備え付けたゼス国防の要。

 

今その一部が一体の魔物に破壊されようとしていた。

 

「た、退避ーーーー!!!!」

 

マジノラインに配置された守備部隊の兵が絶叫する。

 

ズシーーーーン!!!!

 

大地が爆発したかのような落下音と共に地面が揺れる。

モクモクと砂煙が立ち込め、のっしりと落ちてきたモノが立ち上がった。

 

「――――」

 

起き上がったトッポスは何も語らずただ黙って空を見上げていた。

 

「なんだ!? なにが起こってるんだ!?」

 

突然現れたトッポスに混乱する現場の兵。

トッポスの行動は不可解で、砦によじ登ったと思えばその巨体からは想像出来ないほど高くジャンプ。

 

そして――

 

ズシーーーーン!!!!

 

とそのまま受け身も取らず砦に落下する。

やっていることはその繰り返しだけなのだが、落ちてくる度に砦は破壊され粉々に押し潰されていく。

 

「は、早く救援をーー!!」

 

「――――」

 

混乱する兵をよそにトッポスはただ空を見上げる。

 

 

…………………………………………………………………………。

 

トッポスのいる辺りから遥か上空。

 

飛行魔物兵一団がゆらゆらと旋回していた。

 

「ようし、近すぎず、遠すぎず、ギリギリの所を飛べよ!」

 

円盤型の飛行魔物にぶら下がる魔物隊長が激を飛ばす。

 

「りょーーかーーーい!」

 

返事をした四体の飛行魔物がホバリングしながら四方四か所を鎖で繋がれた四角い『檻』を運ぶ。

 

「――――来たぞ! 上昇!!」 

 

魔物隊長が叫ぶ。すると下から凄い勢いでトッポスが迫ってくる。

四体の飛行魔物達に繋がれた檻を奪おうとトッポスが腕を伸ばす。

 

が、寸前のところで届かず。

また地面に戻っていく。

 

ズシーーーーン!!!!

 

ガラガラと崩れる砦。人間の悲鳴。

 

「くっくっくっ! フーハッハッハッ! いいぞ素晴らしい戦果だ!」

 

「凄い作戦ですね隊長!まさかトッポスを利用するなんて」

 

飛行魔物はトッポスによって破壊されたマジノラインを見て感嘆の声を上げる。

 

「フフ、それもこれもこいつのおかげよ」

 

檻に閉じ込められている小さい小さい子供サイズのトッポス。

 

「――――ZZZ――……?」

 

「おおっと――眠れ~眠れ~スリープ!」

 

「……。――ZZZ――ZZZ」

 

魔物隊長が催眠魔法をかけ子供トッポスを眠らす。

 

「ふぅ――。ひやひやしますな隊長」

 

「子供とはいえトッポス。この体躯で戦闘力は我々以上だが、しかしそこは未熟な子供よ。まだ魔法の耐性が低い。そして俺は催眠魔法にかけては誰よりも得意な魔物!」

 

「誘拐したトッポスの子供を餌にトッポスを人間世界まで誘い人間共にぶつける。いや~~こんな卑怯――いえ素晴らしい作戦を思いつくのは隊長ぐらいですよ!」

 

「ふふふ、そうだろうな。こんな素晴らしい作戦を考えらえるのは俺くらいだろうな!」

 

得意気に笑う魔物隊長。

 

「いや~、しかしよくトッポスの子供を誘拐出来ましたね」

 

「……うむ、まぁ俺程の実力があれば容易いことよ」

 

(本当は女の子モンスターを睡眠レイプしようと罠をしかてたら偶然かかっただけなんだが……)

 

「まぁいい。この調子でこの忌々しい砦を破壊して大群を呼ぶぞ。この国を崩壊させ新たな魔物の国を作るのだ!」

 

「はい! 今の魔物界は正直つまらないですからね」

 

「あぁ。魔人、いや元魔人達が仕切っているが……やれ大人しくしろだ、やれ人間を襲うなとか」

 

悲鳴を上げる人々を空から眺め、口元を吊り上げる。

 

「これぞ魔物の本懐よ」

 

さてもう一度とトッポスを飛ばす指示を出そうとするが、そこでトッポスの様子が変わったことに気付く。

 

「なんだ?」

 

 

…………………………………………………………………………。

 

トッポスが再び飛び上がろうと砦に手を掛けた時。

トッポスは動きを止めた。

 

砦に掛けた手を戻し、体ごと既に空いた壁の向こうを見据える。

 

「――――」

 

「おうおう派手に暴れたな」

 

瓦礫の奥から現れた男は両手に剣を携え、ゆっくりとこちらに近付いてくる。

 

「――――」

 

トッポスは相手の力量を敏感に察知し――構える。

魔物界で最強と謳われるモンスターが無視出来きぬ相手の存在を認めた。

 

「さてさてちゃっちゃっと終わらすぞ。そして日光とセックスだ!」

 

「心の友よ、何故に二刀流なんぞ……」

 

「そうです。トッポスを相手に慣れない事を……」

 

「がははは! まぁ見てろ」

 

ランスがトッポスの間合いに悠々と一歩踏み入れる。

瞬間――。

 

「――――!!」

 

トッポスがランスに向かい突進する。

 

「ふん!」

 

ガキーーンっと派手な金属音が辺りに響いた。

 

「――――!?」

 

ランスがカオスの刀身でトッポスの攻撃を華麗に受け止める。

 

「どーーーりゃああああ!!」

 

片手で日光を振るいズバッとトッポスを切りつけた。

 

「――――!!」

 

鮮血が上がる。岩盤より硬いトッポスの体を一太刀で傷つける。

 

「な、なんだあの方は――!!??」

 

見ていた兵士が驚愕の声を上げる。

 

「まだまだ行くぞ!!」

 

ガキガキガキンと二刀を振るいトッポスの体を削るように攻め立てる。

 

「し、信じられん……人間でトッポスと渡り合うなんて」

 

「渡り合うというか、完全に押しているぞ!」

 

 

 

空中で待機していた魔物達も驚く。

 

「馬鹿な!? 魔人すら敵わない化け物だぞ!! 人間如きに!?」

 

「魔人でさえ勝てないトッポスを圧倒する人間……まさか!?」

 

魔物隊長がわなわなと震える。

 

「ま、魔王ランス!!??」

 

 

 

「どおおおりゃあああああ!! ランスあたたたっーーーく!!×2」

 

「――――!!」

 

二刀で振るわれたランスアタックがトッポスを吹っ飛ばしダウンさせる。

 

「がははは! どんなもんじゃい!」

 

「いやお前さん確かにデタラメに強いけど……」

 

「えぇ、さっきの攻撃もですが二刀のせいで逆に一回の攻撃力が下がってます。正直あまり二刀の意味がないのでは……」

 

「えーーいうるさい! カッコイイからオッケーなのだ!」

 

ぐいっと近くの瓦礫を掴みトッポスが立ち上がる。

 

「フン、しつこい奴め。いい加減死ね!!」

 

再び二刀でのランスアタック。

 

「――――!!!!」

 

が、トッポスは大きな腕を前にし防御態勢で受け止める。

 

「むっ!?」

 

ランスアタックを受け止め出来た隙をトッポスは見逃さず。

 

「――――!!!!」

 

剣を受け流しつつ、渾身の拳をランスに打ち込んだ。

 

「ぐむおっ!?」

 

トッポスの意地の一発が入り体重差で吹っ飛ばされるランス。

 

「あだっ、あだっ、あだだだーー!!」

 

ゴロゴロと瓦礫の上を転がり無様に倒れる。

 

「おいおい大丈夫か心の友!?」

 

「ぐ、ぐぐぐぐ、ぐおおおおーーーー!! も~~~~う怒ったぞ!!」

 

すぐさま立ち上がり、日光を鞘に納め腰に戻す。

 

「俺様を怒らせたことを後悔させ、あの世に送ってやるわ!!」

 

「いやいやそれ完全に魔王の台詞だから」

 

両手でカオスを構え飛び上がる。

 

「くらえ! 正真正銘のランスあたたたっーーーーく!!!!」

 

渾身の一撃がトッポスに叩きこまれた。

 

「――――!!!!」

 

閃光が走りその後爆発したかのような轟音と共に衝撃波が巻き起こる。

 

「うおおおおーーーー!!??」

 

あまりの威力に周りの兵が吹き飛ばされないよう瓦礫に隠れる。

しばらくして衝撃もおさまり、恐る恐る顔を出す。

 

「お、おおおおーーーー!!!!」

 

クレーター状に陥没した地面にトッポスが横たわっている。

 

「がははははは! 昔の借りを返してやったわ! イエーイ! 俺様サイキョー!!」

 

胸を張り高笑いするランス。

 

「す、すげぇ。これが元魔王の力かよ……」

 

「さすがスシヌ様のお父上……」

 

称賛を通り越して畏怖されるランス。

それでも戦いの立役者であるランスを称えようと兵が近付いた。

 

その時――。

 

ガラッ……

 

「………………マジか」

 

「わわわわわわ――!?!?」

 

膝を杖にし、ボロボロになった体に鞭打ち、トッポスが立ち上がる。

 

「バ、バケモノだーーーー!!!!」

 

再び逃げ惑う兵。

 

「おいおい本当にしつこいぞ……」

 

「……妙です」

 

腰に備えた日光が声を上げる。

 

「先ほどの戦いから、あの魔物からは戦意はあっても悪意を感じられません。それどころか何かを必死で守ってるような――」

 

「と言ってもなぁ――――むっ?」

 

トッポスは上を見上げ、傷だらけの体を無視して必死で砦に登ろうとする。

 

「なんだ?」

 

ランスも上を見上げる。

 

「ん? 何かいるぞ? よし! ら~~~~んすアイ!!」

 

ただ普通に目を凝らす。

 

「ま、不味い!?」

 

上空で戦いの経緯を見守っていた飛行魔物が慌てだす。

 

「あれは……魔物か? あと檻みたいのに……あれは……ん~~ちっこいトッポス?」

 

「……そういう事ですか」

 

「なるほどね」

 

日光とカオスが唸る。

 

「おい唸ってないで説明しろ」

 

「恐らくあの魔物達がトッポスの子供を人質にこの砦を破壊させたのでしょう」

 

「なんだと?」

 

トッポスを見るランス。

体中傷だらけになりながらも少しでも我が子に近付こうと懸命に砦を登っている。

 

「――――ちっ」

 

…………………………………………………………………………。

 

「ど、どうしますか隊長!? トッポスのやつ負けちゃいましたよ!?」

 

「くそ~~元魔王めっ!!」

 

伝説の魔物トッポスが敗れるという事態に混乱する魔物達。

 

「落ち着け!! トッポスは敗れたが砦は壊れた! ならばあとは数で押し切れる!……はず」

 

激励したはいいが魔物隊長本人もこの事態は想定外でなんとか士気を保とうとする。

 

(ようやくきた俺の出世のチャンスを今更ふいに出来るかよ!)

 

「そ、そうだ! この国には魔王の! 魔王ランスの娘がいる! そいつを人質にすれば――!!」

 

「た、隊長!? あそこ!!」

 

「――!!!?」

 

 

…………………………………………………………………………。

 

「ふぅ。ここまでくればよかろう」

 

一番高い砦の頂上に立つランス。

 

「さ~~てと、ふむ。こんな感じか?」

 

「あの……心の友? なんで儂を振りかぶるの?」

 

「がははは! 何でだろうな~♪ 正解は二秒後!!」

 

「いや~~~~日光! 変わって変わってーーーー!!」

 

「…………骨は拾ってあげます」

 

「いや儂ホネありませんから~~~~!!」

 

「いくぞ!!――――シーラ直伝スーパーホーク消えるヘルマン魔球二号おおおおおおおお!!!!!」

 

「ぎゃああああああああぁぁぁぁ―――!!!!」

 

元魔王ランスの全力でぶん投げられるカオス。

 

 

…………………………………………………………………………。

 

「えーと、えーと、マジノラインに着いたらまず人命救助と原因の排除と――」

 

魔法で空を飛びながら凄い速さでマジノラインを目指しているスシヌ。

ゼスの一大事に対応する為、今いる魔法使いで最強、かつ信頼のおける者として先陣を切って派遣された。

 

母に教えらえた手順を声に出して復習しながらブツブツと空を飛ぶ。

恥ずかしがり屋なスシヌでも魔王討伐を終えてからは少しずつ表に出て活躍できるようになった。

 

「スシヌちゃんスシヌちゃん。それも大事だけどもっと大事なことがあるんじゃないかな?」

 

杖に憑りついているパセリが小言を言う。

 

「えー、だってあれはその……恥ずかしいよ……」

 

「大丈夫大丈夫。ほらあんなに練習したじゃない?」

 

「それは……おばあちゃんがこれからの魔法使いはこういう事が必要だって言ったから……」

 

空を飛びながら器用に体をくねくねさせる。

 

「ほら、さんはい♪」

 

「ど、どんなトラブルも魔法一つでびびっと解決、愛ある限り戦いましょう。魔力、燃え尽きるまで」

 

空中でポーズを決めるスシヌ。

 

「れ、レベル3魔法少女、スシヌ・ザ・ガンジー。アニスに代わって、お、お仕置きしてあげる☆」

 

バキューン!!

 

「ひゅーひゅー♪」

 

パセリが賑やかす。

 

「う、う、う~~~~恥ずかしい~~~~~~!!!!」

 

びゅーーーーんと顔を手で隠し飛んでくスシヌ。

 

「あ! スシヌちゃん! 前、前ーーーー!!!!」

 

「え?」

 

「ぎゃああああああああ!! どこ飛ばしてんNOーーーー!!」

 

ランスの大暴投であらぬ方向へ飛んできたカオス。

 

「きゃあああああああああああ!!??」

 

ギリギリの所で曲がり緊急回避に成功する。

 

「な、なにいまの~~~~」

 

――――――が!

 

「へ?」

 

「え?」

 

突然目の前に魔物が現れる。

 

「きゃあああああ!!??」

 

「あああああああ!!!!」

 

空中で大激突。

 

 

…………………………………………………………………………。

 

「な~~に~~!!??」

 

大暴投にホッとしたのも束の間。

突然飛んできた少女にぶつかり子供トッポスの檻を運んでいた飛行魔物がビリヤードの玉のように弾けていった。

 

「――――!!」

 

落ちる檻。トッポスは最後の力を込めジャンプする。

 

「く、くそおおお!! せめてこれだけはーーーー!!」

 

魔物隊長が必死に檻を追う。

 

「――――!?」

 

トッポスが掴む寸前、魔物隊長が檻をキャッチしてトッポスをかわす。

 

「よーーーし!! だが、くそ! 残念だがこのまま撤退だ!」

 

「――――――」

 

哀しい目を浮かべトッポスは勢いを失い地面に落ちていく。

 

 

 

BGM♪ ガンガンいく

 

 

 

「――――全力でやるぞ。いいのか日光さん?」

 

「――――はい。構いません。全力でやって下さい」

 

「よし!」

 

ランスが砦から飛び出す。

 

「鬼畜うううう――――あたたたたああああっーーーーく!!!!」

 

刃を寝かせトッポスの背中を刀に乗せる形で再び打ち上げた。

瞬間パキンッと聖刀日光が折れてしまう。

 

「いっけえええええええーーーー!!!!」

 

空を飛ぶように魔物隊長に迫るトッポス。

 

「な、なにいいいいいいいいいい!!??」

 

檻を無事キャッチし――

 

「――――!!!!」

 

魔物隊長を全力でぶん殴る。

 

「ぶべええええぇぇぇぇーーーー!!!!」

 

殴られた勢いのまま魔物隊長は空の彼方に消えていった。

 

「へーいオーライオーライ――っと!」

 

ランスもトッポスのキャッチに合わせ落ちてきたスシヌを優しくキャッチする。

 

「う~~ん……ムニャムニャ」

 

「まったくぼんやりしてんなぁ……」

 

少し間があってからズシーーーーンと子供の檻を抱えたトッポスがランスの後ろに落ちて来た。

簡単に檻をねじ切ると中の子供と対面する。

 

「……???――――!!!!」

 

気付いた子供は親トッポスに抱きつく。

親トッポスも子供を抱きしめた。

 

ランスとトッポス。お互いに子供を抱きながら対面する。

 

「――――――――ペコリ」

 

トッポスはランスにお辞儀するとダダダダと子供と一緒に魔物の世界へと帰っていった。

 

「ふん。もう捕まんなよ」

 

「……あれ?……ここは……えっ…お父さん?」

 

「……ったく、寝坊すけはお仕置きじゃ」

 

むにゅ~と抱えたままおっぱいを揉むランス。

 

「ほうほう、これはなかなか……」

 

「――――ッ!?」

 

スシヌの甲高い叫び声とランスのバカ笑いがマジノラインに響いた。

 

 

…………………………………………………………………………。

 

シーウィード VIPテント

 

 

マジノラインのごたごたはスシヌと現場の兵に任せランスはシーウィードに戻ってきた。

 

VIP用の特別テントに備え付けられた風呂に浸かるランス。

売春宿らしく最初から風呂場でプレイ出来るよう大きめに設計されている。

 

「あーあー疲れた。久々に全力出したわ」

 

「…………」

 

「しか~~し、これもこの時の為と思えば苦でないわ!」

 

「…………」

 

「お~~い。いつまでその姿のままなのだ」

 

折れたまま鞘に納められた日光は脱衣所に置かれていた。

 

「……帰ってくるなり有無を言わさず風呂場に連れて来られれば黙りたくもなります」

 

「ほぅ、汗だくのままのセックスがお好みか! まぁそういうのも悪くないが――」

 

「そうではなくて……はぁ……」

 

日光は諦め人間の姿をとる。

 

「おおーー♪ ここからはカーテン越しにしか見えんがシルエットはバッチリだ!」

 

「…………」

 

着物に手を掛けるが躊躇う日光。

 

「おい、約束だぞ。トッポス退治したらセックスだと!」

 

やっくそく!やっくそく!とランスが囃し立てる。

 

「むぅ――それとも何か? 折れてるから出来ないとか?」

 

「いえ……それは……むしろ……ランスさんはカオスから聞いてないのですか?」

 

「はぁ? いや知らんが。ん、いや待て、確かカオスも折れた事があったな、えーーとそん時は……」

 

「…………」

 

「そうだ! セルさんに預けてエロパワーで復活させたのだ。うんうん昔のことなのによく覚えてたな俺。……あれ? そんな昔でもなかったか?」

 

首をひねるランス。

 

「待てよ……ということは日光さんも!?」

 

何も言わない日光だが、それが語るべくもなく認めていた。

 

「ほほーう! それはそれは。なおさら俺様が頑張らんとな~~♪」

 

「っ――」

 

そう、どちらにしろこのままではいられない。

その思いからか、日光が恥ずかし気に着物に手を掛ける。

 

――しゅる

 

着物を脱ぐ際の掠れた音が風呂場に響く。

風呂場と脱衣所の間にある一枚のカーテンが日光のストリップを遮ってはいるが、部屋の明かりで影がくっきり映される。

 

(これはいいぞ! 影しか見えないが逆にそれがエロい!)

 

ムククとハイパー兵器が起き上がる。

 

――しゅる――しゅる。

 

カーテン越しに見える影はもうほとんど日光の体のラインを映していた。

 

「ぐふふ、さぁ早く入ってきなさい!」

 

「…………」

 

カーテンがめくられ一糸纏わぬ日光が入って来た。

 

「たまらんなぁ♪ 前は薄暗い部屋で服を着てやったからな。裸をじっくり拝めなかったが、ムフフ、今回はバッチリだ。――しっかし綺麗な肌だな」

 

幾人の女の裸を見てきたランスでも感心する肌の美しさだった。

 

「――――っ、今のこの状況で褒められてもあまり嬉しくはないですね」

 

無駄な抵抗でしかないが胸と秘所を隠す腕をよりきつく抱きしめる。

 

「そうか? こういう状況で褒めるもんだと思うが……まぁ前置きはいい。ささ、一緒に風呂に浸かるぞ」

 

「先に体を……」

 

「構わん構わん。どうせこの後汚れる事になるしな」

 

「…………」

 

ランスの命令など素直に聞く必要はないのであるが、日光自身の律義な性格と約束という言葉にほだされ。

 

ハァ、と何度目かの溜息と共に風呂に足を浸けた。

 

ランスの隣に座り胸まで浸かる。

大きく作られた浴槽であっても二人では少しきつくランスと日光の肩が当たった。

 

「はぁああ~~極楽極楽~~。やはり戦った後の風呂は格別だな~~~~」

 

ランスが馴れ馴れしく日光の肩に手を回す。

日光は眉をひそめる、が。

 

「――ふぅ」 

 

風呂の心地良さに誤魔化され大人しく受け入れる。二人はしばらく無言で風呂に浸かっていた。

 

「ん~~~~えい」

 

「――ん、ランスさん」

 

無言に飽きてきたランスが肩から回した手で日光の胸に触る。

 

「がはは、やわやわ。色っぽいぞ日光さん」

 

「そうですか」

 

「うむうむ正直今すぐ致したいところだぞ」

 

「……ここでは……せめて閨で……」

 

「う~~ん~~どうしよっかな~~♪」

 

いつもの悪ガキ顔になるランス。

 

「ふむ、では俺様のちんこがベッドまで我慢できるよう日光さんの手で押さえてくれ」

 

「な――」

 

ランスの提案に日光が呆れる。

 

「俺様はここでやっても構わんぞ?」

 

「…………」

 

日光は少し迷い、仕方なくランスのハイパー兵器に触れる。

 

「っ!?」

 

もうすでにランスのハイパー兵器はギンギンにいきり立っていた。

 

「そんなソフトタッチで俺様のハイパー兵器は押さえられんぞ?」

 

戸惑いながらも日光は勃起したサオに手を回すと軽く握る。

風呂に浸かっていてもランスのモノは熱く昂ってるのが分かる。

 

「ほへほへ~~うむいいぞ」

 

ランスは再び日光の胸を揉む。

 

「――ランスさん」

 

「あ~~気持ちええ~~」

 

日光の抗議も無視しご満悦のランス。

 

「…………」

 

無視された日光は握っていたランスのハイパー兵器を少し強めに握った。

 

「お、いいぞ。そのまま軽くしごいてくれ」

 

「そういうわけでは……」

 

「ん~~というか日光さん男のちんちんそんな触ったことない?」

 

「何を……そもそもあまり女性が触れるものではないのでは?」

 

「うーむ。先程から、いや、前抱いた時も思ったが、日光さんってあまり男と寝たことない?」

 

「……私の契約の儀は知っているでしょう」

 

「いやいやそういう堅苦しいものじゃなくて。もっとこう恋人がやる感じのヤツ」

 

「それは……」

 

日光は押し黙る。

 

「いいから喋れ」

 

「このまま握り潰しますよ」

 

「それは困る。だが約束は恋人みたいなアマアマのやつだぞ? 恋人同士はそういう事を話す義務があるのだ」

 

「恋人……ですか」

 

ランスに対しそういう感情はないが、恋人という言葉が日光の過去の琴線に触れた。

 

「……男の人を好きになったことはありますが……恋仲までになった人はいません」

 

「ええ!? だってお前さん何百年生きてんの!?」

 

「もう千年は超えてます」

 

「うへーー。ではセックスは刀になってからか?」

 

日光は何も言わない。

 

「はぁよく我慢出来るな。俺様にはまったく理解出来ん」

 

「我慢というより……この身には使命しかありませんでしたから」

 

「使命?」

 

「魔王を倒す。聖刀としての力を得たのも全てはその為」

 

「しかし魔王はもういないぞ?」

 

「……そうですね。それは、ランスさんに感謝してます」

 

日光はそこで初めて胸の内を晒したような態度をとった。

遠い目で何か思い詰めた表情を浮かべる。

 

「使命は果たされ、美樹ちゃんも健太郎君も自分達の世界に帰ることが出来ました。思い残すことはなく。私は……今とても幸せです……」

 

「まるで遺言みたいだな――――くだらん。それは君の幸せではない」

 

「え?」

 

「その幸せは美樹ちゃんとその他大勢のもので、それはもう、日光さんのものじゃなくて、そいつらのもんだ」

 

「…………」

 

「日光さんの幸せはこれから手に入れるのだ」

 

「私は……」

 

「恋人でも、セックスでも、うむ冒険もいい。何か夢中で楽しめるもんがなけば長生きしてもつまらん」

 

「なんだか随分極端なような」

 

「例えば俺なぞおすすめだ。千年とはいかんが向こう百年は飽きさせんぞ!」

 

がははは!と笑うランス。日光は隣のランスを見る。

初めてきちんとランスを見た気がした。

 

「ふふ――」

 

日光が笑う。

 

「おお、いいね。それだ!」

 

「え?」

 

「よしよし!早速実戦だ!」

 

先程まで触れていたハイパー兵器が更に斜度を上げドクドクと脈動する。

 

「そんな、まだ大きく――」

 

ざぱーーんと風呂から勢いよく上がるランス。

 

「きゃっ!?」

 

「がははは! 今すぐベッドへGOだ!」

 

 

BGM♪ 甘エロ、、

 

 

キングサイズのベッドの縁に、お互い裸のまま座る。

 

「祝! 日光幸せへの第一歩の巻!」

 

「なんですかそれは……」

 

「ぐふふ、まずは日光に恋人同士のセックスというものを教えてやろう」

 

「気が乗りませんね」

 

「では……」

 

と日光の体を引き寄せ顎に手を添える。

ランスが日光の瞳を覗くと日光は何度かためらい……しかし意を決して瞼を閉じる。

 

(これはこの方への感謝の為……)

 

そう誤魔化す日光の唇にランスの唇が重なる。

優しい口づけから段々と相手を求める貪欲なキスへと変わる。

 

「んん――」

 

初心な声を漏らす日光。

過去にこのような男女のキスから始まるセックスがあっただろうか。

記憶を辿るがランスの大きく男性的な手が日光の思案を邪魔する。

 

「んっ、あぁ――」

 

胸を揉まれ吐息が漏れる。

 

前にランスとした乱暴なセックスと違い、優しい愛撫。

徐々に押し倒されベッドに寝かされる。

 

「はぁ――はぁ――」

 

「ほう――」

 

ランスが日光の秘所に手を伸ばす。

くちゃりと風呂のお湯ではなく日光から溢れた蜜に触れる。

 

「あ――――」

 

そこで初めて自分の体が興奮していることを知る。

 

「これはっ!」

 

「なに、当然の反応だ。うむ」

 

ランスは体を下げ秘所に顔を近づける。

 

「だ、だめです!?」

 

慌てる日光が股を閉じようとするがランスに体で遮られ阻止される。

 

「俺様は普段ここまでせんが、今日は特別だ」

 

ランスの大きな口が日光の秘所に当てられる。

 

「いや――――」

 

舌を入れられ、なぶるように舐め回される。

 

「ああぁぁっ――!!」

 

恥ずかしさのあまり顔を覆う。

男に至近距離で見られる恥ずかしさと自分がそれをされて気持ち良く感じていることに堪らない羞恥を覚える。

 

「ぐふふ、どんどん溢れてくるな」

 

日光の反応に気を良くしたランスが舌を硬くしクリトリスを突く。

 

「あぁ! ダメです! お願いっ――あぁ!」

 

頭を押し離そうとする日光だが、脚に腕を回しがっちり押さえ込んだランスはびくともしない。

それでも本気で嫌がれば無理矢理外せるはずだったが。

 

(体に力が入らない、本体が折れてる、せいで――)

 

なされるがままされ続ける日光。

ランスは溢れる蜜を吸い上げ、またクリトリスを嬲り日光を絶頂へと誘う。

 

「あっ、あぁ、いや、ほんとうにっ、だめ、――ああああ!」

 

甘い絶叫と共にビクンビクンと腰を浮かし日光が果てる。

しかしそれでもランスは止めない。

 

「あっああっ、――――あ!?」

 

止まらぬ快楽に一瞬目が真っ白になる。

クリトリスはこれ以上なく固くなり、秘所から愛液が溢れ出す。乳首の先も痛いくらい勃起していた。

 

「あ、う、ああっ――――うぅ――――」

 

赤ん坊の言葉のような声しか出なくなり。

そのまましばらくイキ続けようやく解放された。

 

「おーおー派手にいったな」

 

口を拭うランス。日光は四肢をだらりとさせ汗のかいた胸を上下させながら息をする。

 

「はぁ――はぁ――ひどい、です」

 

「うむ、すっかり出来上がってるな。がははは! ハッスルしたかいあったぞ!」

 

ランスが笑い。ちんこに手を添える。

 

「さて本番だ!」

 

その言葉の意味にぞくりとする。

 

「――――」

 

折れてる状態で、さらにいかされ続け敏感になってる自分の体。

 

「あ、あぁ――――」

 

ランスのそそり立ったペニスを見て震える。

 

「いくぞ日光!」

 

「い、いや……おねがい……まだ……からだ……」

 

 

例のBGM♪

 

 

正面からランスのハイパー兵器が日光のぐちゃぐちゃの秘所に挿入される

 

「だめっ――――んっ、ああっ!?」

 

最初から甲高い声を上げる日光。思った以上に奥までペニスを侵入され驚く。

 

「おお、いきなり奥までずっぽりだ! これは凄い!」

 

そのままゆっくりとストロークし日光の秘所にハイパー兵器を馴染ませる。

 

「あ、ああっ――う、う、ああっ――!?」

 

ランスが腰を動かす度、今まで刺激されても反応がなかった箇所が反応し、その快楽に日光が戸惑う。

 

(こんなに違うものなのですかっ、ちゃんと準備された男女の性交とは――)

 

ランスのクンニよって起こされた興奮と日光の身体が持つ本来の女の体としてのポテンシャルが合わさり。

かつてないほどに日光の豊満な体は女の快楽に悦んでいた。

 

「いやっ――はぁ、だめです、おかしいです、ああ! わたしのっ、からだっ!」

 

徐々に激しさを増すランスの挿入に合わせ、日光の嬌声も大きくなる。

 

「がははは! 凄く気持ちいいぞ! なんだ日光、ノリノリじゃないか!」

 

「そんなこと――!?」

 

「がははは! 恥ずかしがることないぞ日光。俺達は今は恋人同士! そのつもりで楽しむのだ!」

 

「わ、私はそん――なぁっ!?」

 

否定の言葉を言う前にランスが挿入の勢いを上げる。

 

……………………………………………………。

…………………………………………。

………………………………。

 

それから長い時間パンパンと肉を打ち付ける音がテントに響く。

 

「あっ、あっ、あっ、ああぁ――――!!」

 

目に涙を浮かべ、もう自分が悲鳴のような嬌声を上げていることすら気付かず。

ランスにされるがまま、それを受け入れる。

 

前から――。

バックから――。

 

途中何度も日光は達し。ランスも何度か射精するがおさまらない。

 

秘所は愛液と精液でぐちょぐちょで。

白く豊満なお尻も力強く打ち付けられたせいでランスの腰の形に赤く染まる。

 

「けしからんエロボディだ! こんな体を何百年も持て余していたなど! 大罪だぞ!」

 

「はぁ――はぁ――あ、ああああ!!」

 

向かい合わせでランスが日光を言葉攻めするが、もうその言葉も届かず。

いつの間にか日光の手、両方ともがランスの手と繋ぎ合い。お互いの指を絡めていた。

 

手を繋げたままセックスする様は恋人そのものだった。

 

「おーしきたきたきたーーーー! いくぞ日光ーーーー!!」

 

「あぁっーーーーランスっ!!」

 

ランスが片手を空け日光を抱きしめる。

抱きしめ合ったまま――

 

どぴゅどぴゅ!!!!

 

大量の皇帝液が日光の秘所に注がれた。

 

「あ、ああああ――」

 

ランスの精液を子宮に受けながら日光が達する。

お互い快楽にまどろみながら体を預けあう。

 

繋がれたもう一つの手がぎゅっと強く結ばれた。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「つーーーーん」

 

「おい、いい加減機嫌直せ」

 

「つーーーーーーーーん」

 

「あぁもう悪かった悪かった! 俺様が悪かった! これでいいだろ!?」

 

 

――――カオスは抗議するようにトイレのドアに刺さっていた。

 

 

「この! 離れろ! 大きい方のだっ! 漏れるっ!」

 

「カフェが拾ってくれるまで丸一日…。儂がどんな思いで岩に刺さっていたか…」

 

「だああああーー貴様五年間岩に刺さってたらしいではないか! それに比べれば屁みたいなもんだろう!」

 

「二回目だぞ! 二回目! これはあれですな誰かしらの美女のパンツを――」

 

「ええーーい調子に乗るなっ!!」

 

ランスキッーーク!!

 

「あ~~れ~~」

 

「……何やってんだか」

 

「はぁ……」

 

カフェと日光が呆れながらその光景を遠くで見ていた。

 

「それより――もう帰っちゃうの? まだ話し足りないのに」

 

「私も名残惜しいですが……今はエールの傍で彼女を支えたいので」

 

「そう…残念ね……」

 

「…カフェ、私達には無限の時間がありますが……その分後悔もいっぱいあります。これからそれを取り戻すのにどれほど時間がかかるかは分かりませんが……」

 

笑顔を見せる日光。

 

「私も頑張ってみようと思います。私なりに」

 

「…………うん。私も。お互いに」

 

お互いに笑い合う。

 

「ふぅ――ああ出た出た。快便快便」

 

「もぅ! ランス君たらっ!」

 

別れの挨拶を台無しにされ怒るカフェ。

 

「なんだなんだ? 手はきちんと洗ったぞ?」

 

「なんでもありません。行きましょうランス」

 

日光が刀に戻りランスの腰にぶら下がる。

 

「ここから自由都市まで遠いし、なんならウチのうし車で送るけど?」

 

「いや構わん。俺が日光さんのうし車代わりだ。ついでに直った日光さんでモンスターを試し斬りじゃ!」

 

「ふふふ、そっか。うん。また遊びに来てね! 今度はブリティシュとホ・ラガも連れて全員でお茶会しましょう!」

 

「ええ。楽しみです!」

 

「がははは! いい女も用意しとけよーー!!」

 

ランス達を見送るカフェ。あっ、と気付いて落ちていたカオスを拾う。

 

「うう、まったく酷い目にあったぞい」

 

「ほんとランス君とカオスって仲良しね~~」

 

パッパッとカオスに付いた土を払う。

 

「ぐふふ、しかしさっきのやり取り聞いたか?」

 

「ん?」

 

「あいつ、ランスだって!」

 

「…………あっ!」

 

 

カフェ達から別れてしばらく。

日光が人間の姿に戻る。

 

「ん? 歩くのか?」

 

「はい、天気もいいですし、そういう気分なので……」

 

爽やかな風がランス達の間を流れる。

 

「ここから自由都市に帰るまでまぁまぁの長旅だな」

 

「そうですね」

 

「とりあえずここから一番近い村まで行くか……」

 

ふむ、とランスは空を見上げる。

 

「で、だ。今晩の宿だが……宿代は一人分か、二人分か?」

 

ランスが口元に笑みを浮かべ日光に振り返った。

 

「それは――――」

 

空は晴れ。

白い雲が風に吹かれ、ゆっくり動き出す。

 

 

 




リクエストで書き始めた日光さんのエピソードです。
ぶっちゃけご要望の内容とは大分というか全く離れた話になりましたがHシーンはそういうテイストで書きました。ご勘弁!

今までの書いた流れで二部後日談SSで日光さん出すならカオスとカフェは必須かな、との考えで出しましたが……もうとりあえずランスと冷静に話せるってだけ書きやすいのなんの。

ランスがセックスしたいと我が儘言っても、しょうがないか……で済ませられるなんて。
カフェちゃん可愛い。カオス折れろ。

日光さんに関しても見方が変わりましたね。お姉さんキャラというより未亡人キャラみたいなスタンスで見ると大分エロいことに気付きました。

だらだらと長く書きましたが、漫才、バトル、エロとランス作品要素を十分に書けたので私的に大変満足でした。

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