ハクを襲っていたインプとエルフは我に返った。そして自分たちがした事を思い出した彼女たちは一様に困惑して、取り乱した後にその場から逃げ出してしまう。裸のまま放置されてしまったハクはインプが魅了を解除した事で正気に戻っているが、弱ってしまった身体では立ち上がる事も出来なかった。
「そこに誰か居るのですか?」
すると、そんなハクの元へ女性の声が掛かる。やがて現れたのはハクを攫おうとしたモンスター娘よりも遥かに豪華な三俣の槍に盾を装備した鎧姿の女性。モンスター娘といっていいのか微妙ではあるが、彼女の名はワルキューレ。頭に浮かぶ紋章はおかしくなった者達と同じであり、倒れているハクを見つけたワルキューレは傍へと駆け寄った。
第4話・戦乙女の秘め事……ワルキューレ編
「一体何が……とにかく、安全な場所へお連れしますわ」
ハクを横抱きに抱え上げて、ワルキューレは移動する。彼女は本来、その強さと習性から封印区と呼ばれる場所で過ごしていた。だが時折封印は弱まり、自由に歩き回る事もある。封印が元に戻れば強制的にまた封印区へ戻されてしまい……このままハクを彼女が抱いていれば、それは封印区に連れ込まれてしまう事を意味していた。
幸いな事に、即座に封印区へ連れていかれる事は無かった。ワルキューレはこの第二区画の中で管理者よりも力のある存在。封印区から何度か出ている事もあり、彼女のテリトリーと言える場所が何ヵ所か存在する。ハクは封印区の外でワルキューレに介抱されるが、おかしくなってしまったモンスター娘達に共通している問題、ハクに対する劣情はワルキューレであっても同じであった。
「……あり、がとう」
「いいえ、困っている者を助けるのは当たり前の事ですわ。お礼は身体で構いませんので」
「ぇ……ぁ、むっ」
先程のインプと違い、完璧に他の誰も入って来れないようなワルキューレのテリトリーでハクは彼女に襲われ始める。身体は疲労で動けないまま、ワルキューレに優しくされる口付けは何処か不器用ながらもハクを感じさせようとしているのがよく分かる舌遣い。インプやエルフとも違うその行為は正常な思考であっても、ハクに恐怖を与えない。
「ふぅ……このまま神の国へ連れて行ってもいいのですが……他の誰かに取られるのも嫌、ですわね。地上で匿っておきましょう」
地上で見つけた男の英雄を自分の住む神の国へ連れて帰り、歓迎した後に子孫を残させる。それがワルキューレを始めとした神の国に住む者達の習性であり常識だが、ハクの場合は女性を相手に子孫を残す手段がない。神の御業に掛かれば容易い可能性もあるが、自身が気に入った様に他の者がハクを気に入る可能性を考えたワルキューレは独り占めをするために連れて帰らない事を決断した。
「悪魔に操られてしまったその身体は、私が清めて差し上げますわ」
ワルキューレはどこからか水の入った小瓶を取り出し、それを手に広げてからハクの身体へ塗り始める。第二区画にネットリとした水とは異なるそれを彼女達は聖水と呼んでいた。ハクの身体に染みついたインプやエルフの匂いはそれによって清められるが、いくら洗っても落ちない匂いが1つ。
「これは……そうですか。考えてみれば当然の事、既に貴女を気に入った存在が居るのですわね」
それがどうしようも無いと分かったワルキューレはハクの清めを終わらせてから、ハクの背中に手を回して上半身を再び介抱する様に抱き上げる。
「心を落ち着かせて、身を委ねるのですわ……大丈夫。貴女を傷つける者はどこにも居ませんわ」
不意の口付けに聖水を使った清めはハクが警戒をするのに十分な根拠であった。だが優しく告げるその声音と聖母の様な微笑みは敵であっても安心感を与える程。ハク自身も無意識の内に『ワルキューレは大丈夫』と考える様になり、それは英雄を連れ去る時に使い洗脳の一種でもあった。
「口付けを」
「ん……ぁ、むっ」
疲労で弱った身体に掛けられる安心感のある声と、貪る様な口付けとは正反対の優しい口付けはハクの心を溶かしていった。例えワルキューレの片手が自身の胸を知らぬ間に揉み始めていようと、それが当たり前の様にハクは受け入れてしまう。その触り方も優しいタッチで強い刺激は与えない。……しかし先程まで押し付けられる等の激しい攻めを受けていたハクには、それが逆にもどかしいものとなってしまう。
「む、ぐっ……もっと……」
「何をですか? しっかり、言葉で教えてください」
「……もっと……触って。激しく……して」
「~~~~っ! 分かりましたわ」
ハクからのおねだりとも言える言葉にワルキューレは溢れる感情だけで絶頂しかける。しかし何とか耐えて、彼女はハクを絶頂させるために激しく攻め始めた。ハクの背中へ回って後ろから抱きしめる様な姿勢になり、身を委ねるハクの背中を全身で感じながら下腹部へ手が移動。姿勢を低くして耳元に口を近づける。
「いきますよ」
「ん……ひ、あぁ!」
左手で胸を揉み、右手で秘部を弄り、舌を使って耳を舐める。小さな身体を後ろから抱いているため、包まれる様な状態で与えられる快感をハクは積極的に受け入れる。意図せずして効いてしまった飴と鞭にワルキューレは内心で歓喜しながら、外見は優しい微笑みを保ってハクを絶頂させるつもりで攻め立てた。
「あっ、あ! 我慢……出来、ない……っ!」
「我慢なんて、する必要ないのですよ。快感に素直になって、絶頂するのです」
「んあぁ! イ、ク……~~~~っ!」
ハクの弱った身体に3ヵ所からの同時攻めは殆ど耐えられなかった。本格的に攻められれば秒殺ともいえる速さでハクは絶頂させられてしまう。絶頂と同時に震える身体をワルキューレは抱きしめる事で押さえ込むと同時にその振動を感じて笑みを深める。
「このまま、封印区へ戻って一生可愛がってあげましょう……。? これは……」
気付いた時には周りに光が集まっていた。それを見たワルキューレの表情は戦士のものになるが、反応するよりも早く輝きが彼女とハクを包み込む。
イオ達は態勢を立て直して第二区画へ戻って来ていた。連れ去られてしまったハクが何処に居るのかは分からない。だが何としてでも助け出さなければいけないと進んだ先で……頭を抱えたインプと遭遇した。
「あ、あんたら……」
「ハクちゃんは何処ですか!」
「あの子は、その……」
「? 頭に紋章が無いわ」
「という事は、もう正気に戻っておる訳じゃな。わしと同じか」
「エッチな事したんだじぇ?」
「ぅ……し、したわよ! それで我に返って……」
もう敵意は見せないインプから話を聞いたイオ達。彼女が恥ずかしさも相まって逃げてしまった事を知り、若干責めた目を向けつつも共に行動する事で話は決着する。更に道中で今度は自分を責め、持っていた剣を自分に向けるエルフと遭遇した。
「待て待て! 何してるんだ!」
「止めないでください。私は許されない罪を犯しました。幼気な少女に劣情を抱き、淫らな行為を……完全なる死を持って償う他にありません!」
「この子も正気なのね」
「寧ろおかしくなっている様じゃが……」
自害しようとするエルフを何とか止めて、インプと一緒にハクを襲った事を赤裸々に語った彼女は同じ様な目を向けられながらも同行する。そしてハクを置いてきてしまった場所へ案内されたものの、そこにハクの姿は当然ながら無かった。
「ここに居た筈よ!」
「かなり弱っていましたから、自ら移動は出来ないと思います」
「つまり、誰かが連れて行っちゃったって事ですか?」
「おかしくなったモンスター娘じゃろうな。……ここの管理者やもしれんのぅ」
「あの攫おうとしてた子ね」
「もし違っても、管理者なら何処に居るのか絶対に分かるんだじぇ!」
向かうべき場所は第二区画の最奥。青肌の少女こそが管理者であり、彼女であれば第二区画のどこに居てもハクを見つけ出す事が出来る。目標を決めて、イオ達は奥へと進んで行った。
「なるほど。確かに私はおかしくなっていましたが、この少女のお陰で正気に戻れたと言う訳ですわね。……他の封印区にいる彼女達も同じ様におかしくなっているかもしれません。彼女たちが本気で暴れてしまえば、世界は一瞬で崩壊してしまう。神もそれは望みませんわ」