翌日。清浄なる布を手に全員で再び第五区画へやってきたハクはモカとマタリに合流して、イスターシャの居る場所へ向かう。彼女達の話によれば、謎の男が現れてイスターシャの頭上に変な刻印が生まれたとの事。ハクはそれが誰か分からないが、別行動をしていた際にイオ達は思い当たる人物に遭遇していた。リリア曰く『ストーカーで変態』との事で……その説明だけで少なくとも警戒する必要がある事は即座に分かる。
「この先にイスターシャ様が居るわ」
案内された場所で全員は気を引き締めて、イスターシャの元へ。そこにはハクの知らない男性と、見覚えのあるモンスター娘が立っていた。フェンリルロードのイスターシャ。伝説のモンスター娘とも呼ばれる存在であり、世界を作ったとも言われる強大な存在。そしてハクがこの世界で最初に出会った一時的な飼い主とも言える存在である。
「待っておったぞ、ハク」
「……イスターシャ」
隣で知らない男がイオやリリアと話をする中、頭の上に刻印を浮かばせたイスターシャはハクへ声を掛ける。その様子は嘗てのハクが知るイスターシャと変わらないが、『ふっ』と笑みを浮かべた瞬間、ハクは一瞬の内に距離を詰められていた。驚き目を見開いたハクが反応する隙も与えず、イスターシャはハクを自分の胸に抱いてしまう。
「ハクちゃん!」
「……ぁ」
「数年会えず募った思いの分だけ、存分に愛してやろうぞ」
その言葉と同時にハクを連れて消えてしまったイスターシャ。彼女を追い掛けようとするイオ達だが、そこに男が立ち塞がった。
第10話・潜む者。伝説との再会……イスターシャ編
ハクが連れて来られたのは見覚えのある場所であった。そこはイスターシャの寝室。ベッドがあり、片手で軽々と持ち上げられたハクはその上へ放られる。とても弾むベッドがハクを受け止め、身体を起こす前にイスターシャはハクの上に覆い被さった。
「予想通り、世界を回った事でモンスター娘の強さをその身で思い知った様じゃな。洗っておっても、こびり付いた多くの匂いがまだ残っておる」
「……」
「言った筈じゃ。気に入られれば最後、解放されない可能性もあったのじゃ。運がよかった様じゃが……それもこれまでじゃ」
イスターシャは話をするだけだったにも関わらず、目にも留まらぬ速さでハクの着ていた衣服を破ってしまう。残骸がベッドの上に散らばり、裸にされたハクの両腕を押さえ込んだイスターシャは額をハクの額へ当てながら、告げた。
「もう何処にも逃がさぬ。我の番にしてやろうぞ」
「つ、がい……」
昨日はミミックによって危ない目にあった。だが今回の相手はイスターシャ、伝説とも言われる存在だ。彼女ならミミックと同様に子種を相手に植え付ける手段を持っていても、不思議ではない。最初からそれを目当てにされるとすれば、ハクは処女を守るために必死で抵抗を始める。……当然、モンスター娘相手には無意味な抵抗だ。
全身で覆い被さるイスターシャ。ハクは自身の下腹部に何かが宛がわれている感触に必死で彼女の身体を押し返そうとする。イスターシャの尻尾がハクの身体を包み始めており、それを見る事も出来ない様に視界を遮っていた。まだ濡れてもいない秘部に挿入はされないだろう。しかしそれも時間の問題である。
「んっ……これ、顔を背けるで無い。我の口付けからは逃れられん」
「んむっ!? んんっ!」
イスターシャはハクの唇を奪うが、一度ハクは抵抗の意を示す様に顔を背ける事で強引に中断させた。だがイスターシャは不機嫌な様子で逸れてしまった唇を追い掛けると、今度はベッドへ押し込む様に舌を入れて深い口付けを始める。顔を動かせないまま、口内に入って来るイスターシャの舌に自らの舌を絡められて、ハクの身体はしっかりと快感を感じていた。イスターシャの舌は長く、ハクの口内全てを味わい尽くす。
しばらくハクの口内を蹂躙したイスターシャ。やがてゆっくりを顔を上げれば、もう力の抜けたハクが口からどちらとも分からぬ唾液を流しながら荒い呼吸をしていた。押さえ込む必要もなくなり、腕を押さえ込んでいた手をイスターシャは解放。その手でハクの胸を堪能し始める。
「ほぉ、良い弾力じゃな。母体としても十分じゃ。乳が出る様になったら、子の前にまずは我が味見をしてやろうぞ」
「ぁ! 揉まない、で……んぁ!」
「そう固い事を言うでない、主は我のモノじゃ。我の好きにさせてもらう」
「ち、が……ひあぁ!」
行為の拒否は許されても、立場についての拒否は許されなかった。イスターシャの中での絶対。それはハクが自分のモノであるという事。それは他の誰にも、ハク本人にも否定させない。言葉を遮る様に乳首を摘まみ上げて、そのまま彼女は胸に吸い付くと舌を使って舐め転がし始める。長い舌で乳輪を包みながら、先で弾く様に刺激。ハクの身体はその度に反応して身体を跳ねさせる。
「大分、解れてきた様じゃな」
「ぁ……ぁ……ぃ、ゃ……止め、て……」
「我と繋がるのじゃ、ハク」
下腹部に宛がわれていたものがハクの秘部に触れる。それがどんなモノなのか、説明は不要だろう。ハクが逃げられない様に腰を両手で掴んだイスターシャ。そして彼女が腰を突き上げようとしたその時、淡い紫の光がイスターシャとハクの間で輝き始める。
「これは、我の……っ!」
モンスター娘に襲われた後、必ず正気に戻していた光と酷似するそれに包まれたイスターシャ。彼女はそれを受けて怯みながら膝を突き、同時に2人はイオ達の居る場所へと戻る。裸にされたハクと膝を突くイスターシャ。すると、ハクの傍から1人の少女の声が響き渡る。
『今よ! 清浄なる布を彼女に!』
その声に反応したイオは取り出した……純白のパンツを。それこそが清浄なる布であり、当然その使い方は履かせるというもの。男である彼は出来ないため、モンスター娘の仲間達が一斉に履かせに掛かる。そしてイスターシャがそれを纏った時、彼女の頭に浮かんでいた刻印はゆっくりと消えていった。
『これで、大丈夫よ』
「っ!」
「ココ?」
再び響く少女の声。ハクが振り返れば、そこには銀の髪をツインテールにした幼女が立っていた。だがその身体は淡い色を放ちながら輝いており、イオは彼女の事を知っている。……清浄なる布について教えたのは彼女であり、ハクは今の今まで出会う事が無かった人物。しかしそれには理由があった。
『もう、これで大丈夫の筈。後は任せるわ、私。ハクを守ってね』
「……よくやったのじゃ、ココよ」
正気に戻ったイスターシャは幼女の言葉に返事をする。それで満足したのか幼女は目を閉じて、淡い光となってイスターシャの中へ還っていった。
「ココは……どうなったんだ?」
「ココは元々、ハクに宿した我の分身。危険があった際、ハクを守る為に潜ませておいたのじゃ」
「ハクちゃんの中に……?」
「しかし、我がおかしくなった事に気付いたのじゃろう。助けるために、そなた等に数々の助言をした様じゃな」
ハクが別行動をしている際にココはイオ達の前に姿を現していた。それはハクに姿を見せないためであり、今の今までモンスター娘を正気に戻した光は彼女がハクを守っていたのだろう。伝説のモンスター娘、イスターシャが正気に戻った事で世界は救われる。そう思い安心する全員だが、その安堵に水を差す様にイスターシャは告げる。『まだ世界は救われていない』と。
一度宿へと戻ったハク達。話は取り逃がしてしまったあの場にいたもう1人の男について。
簡単に説明すれば、イオは元々自身の負……煩悩に悩んでいた。そして彼はそれを強引に引き剥がすも、煩悩は実体化。モンスター娘達に負の感情をまき散らし、人間を敵と思わせる様にした。その結果、モンスター娘達はおかしくなってしまったのだ。伝説のモンスター娘であるイスターシャも彼に直接負の感情を与えられた事で抗う術をなくしてしまった。
「だが奴は1つのミスを犯した。この世界は我が作った世界じゃ。我の意思が世界のあちこちに広がっておる。……我が愛した者への思いもじゃ」
そう言ってハクを見つめたイスターシャ。男の行為によってモンスター娘達はその思惑通りに人間を敵視する様になったが、同時に世界全土のモンスター娘達がイスターシャの感情を僅かに共有。ハクに対する感情を特別化した。……結果、ハクを見た瞬間に好意を抱いて襲う様になっていたのだ。そしてハクがそれなりの事をされれば、彼女の中に潜んでいたココがモンスター娘を正気に戻していたのである。
「世界を救うなら、今回の元凶……イオの負の感情である煩悩を倒す必要があるという事じゃ」
「そいつは、何処に?」
「第六区画。ダンジョンの最奥じゃ」
「……藍綬」
「藍綬は無事じゃよ。ハクが居なくなって、かなり寂しがっておったぞ」
場所を聞いてハクは1人のモンスター娘を思い浮かべた。それはイスターシャと側近であるモカ、マタリとは別に仲が良かった存在。所謂世話係であり、実は3人よりもハクが一番にこの世界で信頼していたモンスター娘である。
第六区画へ向かう事になり、明日の為の準備をする事になった一行。するとイオ達が部屋を出る中、ハクはイスターシャに引き留められる。
「まだハクの中には僅かじゃが、あの力は残っておる。そこで1つ相談があるのじゃ」
「?」
「仲間になると心強いモンスター娘が一匹居る。恐らく奴のせいでおかしくはなっておるのじゃ。……戻して説得すれば、確実に奴に勝てる筈じゃ」
「……何処に、居る?」
「第五区画の封印区画じゃ。我なら封印を解ける」
「……なら、私もお願い……ある」
決戦の前の準備。それはハクにとって身体を張る内容であった。