イオ達が準備をする夜、ハクはイスターシャと共に第五区画の封印区へやって来ていた。イスターシャの持つ鍵を使って封印を解除すれば、今まで進めなかったその中へ入る事が出来る様になる。無事に封印が解除された事を確認したイスターシャは、ハクに向き直った。
「我の守りはココが消えても尚、未だ健在じゃ。ハクなら奴を元に戻せる」
「ん……行ってくる」
「気を付けるのじゃぞ。……我も約束を果たすとするかの」
イスターシャはハクと共には入らない。彼女はハクとの約束を果たすために別の区画へ向かい、ハクは1人で第五区画の封印区へ入る事に。ハクを守るイスターシャの力はモンスター娘は寄せ付けてしまっても、普通のモンスターは寄せ付けない。故に危険なのはモンスター娘のみであり、ハクは気配を探りながら目的の存在を探して奥へと進む。
第11話・封印されし絶望の巨鳥……ジズ編
「はぁ……絶望した」
「……」
目的のモンスター娘は即座に見つかった。腕から篭手の様に広がる巨大な羽。先は青く根元は赤く、その中間は紫に近い髪色をした長いツインテールのモンスター娘はおかしくなった第五区画の空を眺めていた。彼女の周りに漂う重苦しい空気は重力すらも強く感じさせる。
「……貴女が……ジズ?」
「誰? ……ジズを、知ってるの?」
「ん……探してた」
「ジズを? どうして……いいえ、答えないで。絶望した」
「?」
ハクが声を掛ければ、驚いた様子で振り返ったモンスター娘のジズ。どうやらかなりネガティブな性格の様で、ハクの答えを聞かずに自分の中で答えを出して後ろ向きに考えてしまうようだ。だがその頭上にはやはりおかしくなった証の刻印があり、ジズはゆっくりとハクに近づき始める。
「話が……んむっ!?」
「喋らないで。どうせ貴女も、ジズに酷い事を言うのよ……だったら、もう何も言わせない」
話をしようとしたハクの口を片手で塞ぎ、ジズはそのまま床へハクを押し倒した。イスターシャよりも強い力。封印されていた者の中でも特に近い能力を持つジズは正しく最強のモンスター娘である。彼女を正気に戻せば決戦で心強い味方となるだろう。しかしその為にハクは彼女に襲われる必要があった。
「……」
「受け入れるの? どうして?」
ハクが自ら積極的にえっちな事をしようとした事は無い。しかし必要な事であれば、グッと堪えて身を捧げる事もある。今回は世界を救うために必要な事であり、世界が滅んでしまえば欲望も満たせない故にハクは覚悟を決めていた。……今まで何度も襲われた事で、慣れてしまった部分もあるのだろう。
「後悔するわ。ジズを受け入れるなんて…………本当に、良いの?」
「……ん」
襲い掛かる自分を受け入れるハクの姿にジズは困惑していた。だが彼女は自分の中で大きくなるハクへの劣情を抑えきれなくなり、その鋭い爪でハクの服を首元から縦に引き裂いた。ブラジャーも同時に引き裂かれており、拍子で僅かに揺れる乳房を見てジズは一度手を止める。
「キス、して……」
「……ん……ちゅ……」
ハクが抵抗しない姿にまだ疑いが拭えないジズは、キスをする様にいう。するとハクはジズの首に自ら両手を回して身体を起こしながら口付けをする。自身の口に感じる柔らかな感覚に目を見開いて、ジズは舌を少しだけ伸ばす。それはハクの唇に触れ、まるで受け入れる様にハクから口を開いた。
「んっ、じゅる……は、むっ……」
「あ、ん……好き。好きよ……ジズを、本当に受け入れてくれるのね」
それがおかしくなったところにイスターシャの感情が混じったものだとしても、ジズには分からない。まるでずっと知っていた相手、慕っていた相手と結ばれた乙女の様にジズは口付けを続ける。爪を立てない様に気を付けてハクの肌に触れれば、感じるハクを見てジズの心は満たされていった。
ジズはハクの身体を抱いて姿勢を変える。押し倒していた姿勢から、ハクを自身の腹部に乗せる様に。背中に回した手で変わらずにハクを前屈みにさせて、口付けは一向に止めない。
ハクを乗せたまま口付けを続けて、ジズは履いていたパンツを脱ぎ始めた。既に興奮から濡れ始めており、ハクもそれは同じ事。ジズは徐にハクの腰を両手でガッシリ掴むと、自らの秘部にハクの秘部を押し付け始める。貝合わせと呼ばれる行為であり、その刺激は両者が同時に途轍もない快感を得る様になる。
「ああぁ! 気持ち良い……っ! もっと、ジズと一緒に……!」
「ひぁ! 激、しい……っ!」
擦れ合う事で微かに聞こえ始める水音が時間を追う毎に大きくなっていく。無意識の内にハク自身も自ら腰を動かす様になっており、ジズは再びハクの背中に手を回して口付けをしながら快感を享受していた。
「あっ! ああぁ! 来ちゃう、凄い波が……来るの! ああぁぁぁぁ!!!」
「私、も……イ、クっ……んあぁぁぁ!!!」
ハクとジズは同時に絶頂を迎えた。力を無くした様にジズの上で横になってしまったハク。そんな彼女の周りに光が生まれ……ジズはハクを抱いたまま、片手を大きく振るった。
「ぇ……」
「ジズの邪魔、しないで……」
光は途轍もない風を受けて遠くは飛ばされる。そして離れた場所で強く発行するも、ジズを包む事は無かった。当然ジズを正気に戻す事も出来ない。
「もっといっぱい、愛し合うわ。……ジズを受け入れてくれるでしょう?」
「ぁ……んっ!」
再び口付けをされながら、ハクの身体に刺激が走る。最強のモンスター娘はイスターシャの加護を容易に無効化出来てしまったのだ。全く予想していなかった現状にハクは一気に絶望する。行為が終わるとすれば、ジズのスタミナが切れた時だろう。しかしモンスター娘のスタミナは人間とは比べ物にならない故に、終わりが何時になるのか全く予想も出来ない。
数時間後。ハクは脱力した状態でジズに抱かれていた。もう数え切れない程の絶頂を迎えたものの、その度に現れる光をジズは吹き飛ばしてしまう。気絶しても強い快感で強制的に覚醒させられ、終わる事の無い快楽地獄をハクは繰り返していた。
そんな2人の元に突然、三俣の槍が飛来する。ジズはハクを抱いたままそれを回避するが、一瞬だけ抱きしめる腕から力が抜けた。そしてそれを逃さずに目にも留まらぬ速さで何かがハクを掻っ攫う。ジズは即座にそれを捕まえ様とするが、振り返った先には……イスターシャが片手を向けて待ち構えていた。
「やはりかなりの曲者だったようじゃな。だが、少々やり過ぎた様じゃ」
「ぁ……」
ハクから生まれた光と似た光がジズを包み込む。その瞬間見せた表情は正に絶望した少女のモノであり、やがて光が拡散した後に見える様になったジズの頭上に刻印はもう残っていなかった。
「彼女は無事ですか?」
「えぇ、平気ですの。……ふふ、また会えましたわ」
ジズからハクを掻っ攫ったのは第三区画で出会った封印されしモンスター娘、グリフォン。そしてジズに隙を作ったのは第二区画で出会った封印されしモンスター娘、ワルキューレ。
ハクがイスターシャにしたお願いとは、彼女達の封印を解除する事であった。約束の通りにイスターシャは2人を解放。自分達を解き放った理由を聞いた2人はハクの元へ行こうとして、イスターシャと共にここへ来たのだ。
「ぁ……ぁ……あぁぁぁぁ! ジズは、ジズはぁぁぁ!」
正気に戻った事で、自分のした事を理解したジズは頭を抱えて叫び始める。ネガティブな彼女がハクを襲い掛かった事実を認識すれば、余計に悪い方向で考えてしまうのも無理はないだろう。何とか落ち着かせようとするも、腐ったって最強の存在だ。暴れそうな彼女の雰囲気だけで全員は押されてしまう。
「本人に頼る他にありませんわ。今直ぐに治療を」
「怪我してる訳ではありませんの。疲労さえ取れれば、きっと目も覚めますの」
「説明は良いから早くしてくれぬか!? 我でも何時まで押さえられるか分からぬのじゃ!」
暴走するジズを相手にするイスターシャの声にワルキューレとグリフォンは急いでハクの疲労を取るために魔法を使う。
それから少しして目を覚ましたハク本人から話しかける事で、ジズは徐々に落ち着きを取り戻した。決して怒ってはいないこと。一緒に世界を救ってほしい事。
「ハクは……ジズが必要、なの?」
「ん……お願い」
「……分かったわ」
自分を必要としてくれている。その事実にジズは喜んでいた。そしてハクの為になろうと協力することを約束。予想外の事はあったが、イスターシャはこの世界で何よりも心強い存在を仲間に出来た事で満足げな様子を見せた。
「ところで、他の区画に居る封印されたモンスター娘達はどうするんですの?」
「これ以上は過剰戦力じゃ。世界を安定させてから、また会いに行けば良いじゃろう。それにハクが解放してほしいと頼んだのは主らだけじゃぞ」
イスターシャの言葉を聞いてグリフォンとワルキューレは何処か嬉しそうに笑みを浮かべる。
ジズを仲間に出来たハクとイスターシャは更に仲間となったワルキューレとグリフォンを連れて宿に帰る。決戦の準備をしていたイオ達は、連れて帰ってきた余りにも強すぎる3種類のモンスター娘達の存在に驚愕する事となる。