※この作品はR-18です。

愛され過ぎた少女達   作:ウルハーツ

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2017年08月08日 投稿分


【英雄伝説】 フィー・クラウゼル☆

 フィー・クラウゼルにとって1匹の白い翼猫、ハクは家族の様な存在であった。出会いは数年前、西風の旅団という猟兵団の元に居た時。何でも無い場所で見つけ、不思議と惹かれた為に捕まえる事にしたフィーが、逃げようともしないハクを不思議に思いながらも飼い始めた事が始まりである。当然最初は仲間達に反対されたが、それでも結果的に許されたのは決して離そうとしなかったからなのだろう。そしてフィーの飼い猫となったハクだが、その後にあったとある出来事によってフィーはハクを常に傍へ置く様になる。

 

 それは西風の旅団の団長と、別の猟兵団である赤い星座の団長が一騎打ちをする前日であった。忙しさからフィーが目を離してしまった際、ハクは赤い星座の少女に追い掛け回されたのだ。相手は純粋に猫を追い掛けていた様だが、フィーから見れば飼い猫を奪われるかも知れないという光景。当然助ける為に現れ、戦う戦わないの瀬戸際にまで発展してしまった。最終的に戦闘になる事は無かったものの、フィーはその日以降、ハクから目を離さない事を決めたのである。

 

 西風の旅団と赤い星座の団長同士の一騎打ちが終わった後、フィーの傍から気付けば仲間達は姿を消してしまっていた。まるで今までの時間が夢であったかの様に取り残されてしまったフィー。だがハクという1匹の翼猫がそれを夢では無いと示し、その後フィーは1人の女性に拾われる事となった。そしてそこから待つのは今までとは全く違う環境と、全く違う仲間。激動の時代とまで言われるその時を、1匹の猫を連れてフィー・クラウゼルは歩み続ける事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第3学生寮。日差しが窓を通して入り込む部屋の1室にて、フィーは眠っていた。そしてそんな彼女の腕の中に抱えられるのは1匹の翼猫、ハク。既にハクは目を覚ましている様で、目を開けた状態で対象的に目を瞑りながら吐息を漏らすフィーを見続ける。現在ハクは拘束される様に抱かれている為、自らの意思でその腕から逃げだすことは不可能であった。フィーが目を覚ますまで、その体勢で居続けるしかないのだ。

 

 数分、数十分と経った頃。ゆっくりと目を覚ましたフィーはまず最初に目を開けていたハクと視線を合わせる。何を言うでも無くそのまま数秒見つめ合うが、やがてフィーは身体を起こすとベッドから足を出してハクを持ち上げた。

 

「おはよう」

 

『……』

 

 フィーの言葉に猫の姿故に頷いて返すハク。だがそれでは不満な様子のフィーは自分の横にハクを置くと、もう1度同じ様に挨拶を行う。全く違う反応を求められているのは明白であり、それは既にハクにとって慣れたもの。猫の姿から人の姿へと変わった時、ハクはフィーと目を合わせて静かにもう1度返す。

 

「……おはよう」

 

 ハクの言葉に満足した様に頷いた後、フィーは時間を確認する。第3学生寮はその名の通りに寮であり、気付けば長い時を共に過ごし共に戦った仲間達が同じ様に住んでいる場所である。時間が来れば全員で朝食を食べ、全員で登校する。規則正しい生活を送る為に決められている朝食の時間まではまだ少し時間があり、フィーはそれを確認すると自分の行動を待つハクを見る。思い至った次の行動は1つだけだった。

 

「二度寝、しよっか」

 

「……平気?」

 

「多分、問題ない」

 

 告げられた提案に首を傾げ乍らもハクが気にすれば、少々不安の残る答えを出しながらもフィーは再び横になり始める。だがそのまま眠るのではなく、両手を横に向けて広げ始めた事でハクは小さく溜息を吐いてその腕の中に背を向けながらも自ら入り始める。するとハクが中に入った事で腕はそのままハクを抱きしめ、フィーはハクの髪に自らの顔を埋め乍ら安心した様に眠り始めた。そして抱きしめられたハクもまた、その暖かさを感じてゆっくりと目を閉じる。……次に2人が目を覚ました時、既に朝食の時間を過ぎていた事で焦る事になるのは余談である。

 

 トールズ士官学院。フィーを始め、沢山の生徒達が通う士官学校である。今でも新しい生徒達を受け入れ、数多くの有能な者達を輩出するこの学院でフィーは限られた残り少ない日々を仲間と共に過ごす。卒業は近く、その後の事も考えなくてはいけないフィー。目的は既に決めており、進む先も考えていた彼女だが、1つだけ気になる事が存在していた。それはハクという存在が唯の猫では無いと知った時、それでも受け入れたフィーにハク本人が告げた言葉。

 

『……私は……何時か、居なくなる』

 

 ハクが何を目的としているかは定かでないが、フィーが求める事はその殆どを受け入れていた。だからこそハクという存在を気付けば必要とし、当然としていたフィーにとって、何時か居なくなってしまうという事は恐怖以外の何物でも無い。自分がこれから何処に行こうとも、ハクを連れて行くことは既にフィーの中では決定事項である。だが、これから先もハクが居なくなる事に恐怖し続けられるかと言えばきっとそれは難しいだろう。嘗て自分を置いて行ってしまった仲間達の様に、また自分を置いて行ってしまうのかと思えば、それは耐えられる事では無かった。

 

「……切れた」

 

「だね。確か、体育倉庫にあった筈」

 

 フィーは学院内の花壇を世話する園芸部の部長となっていた。放課後になり、前部長のエーデルから託された花壇の世話をしている途中で肥料が切れた事をハクが空の袋を見せ乍ら告げる。フィーはそれに頷いた後、グラウンドの方角を見ながら呟いて肥料を取る為に2人で体育倉庫へと向かい始める。その途中、乗馬をしている仲間やラクロスをしている仲間を見掛けながらもやがてたどり着いた体育倉庫内は狭くも広くも無い空間であった。普段から使われる道具は入り口近くに配置されているが、余り使われない道具は奥へとしまわれている為にフィーとハクは体育倉庫の奥へと入り込む。

 

「園芸部の道具はこの辺り」

 

「……あった」

 

 跳び箱なども使われていない事で奥に存在する体育倉庫内で、園芸部の道具が置かれている場所を見つけたフィーの言葉にハクが奥へと入り込んで肥料を見つける。そしてそれを手に戻って来た時、体育倉庫の入り口に違う部活を行っているであろう学生の気配を感じた2人。余り知っている相手ではない様で、無駄に変な空気になっては嫌だと思ったフィー。しかし学生たちは奥に居る2人に気付く事も無くその場を後にした事で、少しだけ安心しながらも2人は体育倉庫の入り口へと向かう。

 

「……気付かれない……?」

 

「?」

 

「施錠は両側……」

 

 体育倉庫から外に出た時、何かを思い付いた様に呟くフィーの姿にハクが首を傾げる。だがそれに反応することも無く、肥料を手に考え事をし乍ら花壇の世話を再開したフィー。結局フィーが何を考えていたのかハクが知る事も無く、そのまま夕方になれば部活を終えて第3学生寮へ戻る。そして仲間達と夕食を食べ、部屋に戻ってそのまま1日が終わればまた新しい日が始まる。何事も無い1日だが、ハクは気付く事が出来なかった。フィーがハクを自分の元に留まらせる為に、作戦を練り始めている事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ」

 

 それは何時もの様に放課後、花壇の手入れをしている時であった。手を滑らせたのか小さな声と共に地面へと撒き散らされる肥料を前に、フィーが無表情乍らも首を横に振る。誰にでも失敗はあるだろう。ハクはフィーに心配そうに視線を向けながらも、散らばってしまった肥料を集める。砂利や砂と交じってしまった物は余り使わない方が良い為、かなり少なくなってしまった肥料。フィーは溜息を吐きながらも「新しいのが必要、だね」と言ってハクに視線を向けた。

 

「ん……取りに行く」

 

「片づけるから、先に行ってて」

 

 そう言って駄目になってしまった肥料を捨てる為にそれを集めた塵取りを手にしたフィーにハクは頷くと、1人体育倉庫へと向かい始める。そうして別れたフィーは捨てる為に移動する……様に見せかけて途中で引き返すと、花壇の前に持った塵取りを置いた。そして何も持たぬまま、ハクを追う様に体育倉庫へと向かい始める。

 

 体育倉庫の中は前回と変わらず、しかし明かりが無い為に外から入る光だけが中を照らしていた。肥料のある場所は奥側。薄暗いものの前回取った為にその周辺を探せばすぐに見つける事が出来るだろう。ハクは数日前にあった場所を思いだしながら奥へと入り、確認をする。だが前回肥料が置いてあった場所に、肥料は置かれていなかった。場所は間違っていない為、何かの理由で場所が移動したのかと首を傾げたハク。その時、ハクの背後に人影が現れる。

 

「!?」

 

「黙って」

 

 それは一瞬であった。気付けば背後に立っていた人物に口を塞がれ、ハクは抵抗する暇さえ与えられずに体育倉庫の奥へと引きずり込まれる。体育倉庫の外で部活をしていた生徒の声が奥に入る事で完全に消え去り、何も音の無い暗闇の中で固い何かの上に倒されたハク。猫特有の目によって、ハクは自分を襲った相手を確認する事が出来た。色は見えないが、その姿形は紛れも無い自分の飼い主……フィー・クラウゼルであった。

 

「……フィー?」

 

「! すぐばれた」

 

「……降りて」

 

「駄目。用意した意味が無い」

 

 名前を呼べば驚きながらも声を出したフィー。何故自分を襲ったのかは定かでなくとも、何かの悪ふざけだと判断してお願いしたハクはすぐに拒否された事で今度は自分が驚く事となった。周りを見れば狭いながらもマットが敷かれている今の空間にそれが用意された空間だと理解することは容易く、今までの経験からハクはフィーが何をしたいのかを理解し始める。そしてそれがフィーの欲であるのか、確認を取る為に視線を再度合わせた。

 

「……したい、の?」

 

「何を?」

 

「……違う?」

 

「意味が分からない。私は唯、約束させたいだけ」

 

「? ……約束?」

 

「そう。ずっと一緒に居る、約束」

 

 ハクの質問に首を傾げて本当に分からないと言う様に返したフィー。違う事に安心しながらも、告げられた言葉に今度はハクが首を傾げた。しかし次に言われた言葉にハクは再び目を見開き、だがやがて首を横に振って答える。

 

「……ずっとは……」

 

「教えて。ハクは、何処へ行くの?」

 

「……」

 

「何かあるなら、手伝うから……」

 

 フィーの言葉に答えようとした時、続けられた質問にハクは黙ってしまう。そして無表情乍らもその目に見える不安と言葉を聞いた時、ハクの瞳に生まれたのは紛れも無い【迷い】であった。それは気付けば長い時をフィーと共に過ごしていたからこそ生まれる感情。その迷いは目の前で見ていたフィーにも伝わったのだろう。フィーは突然ハクが横になっているマットの上、ハクの真横に手を付いて強く見つめる。そして告げた。

 

「何時もハクは、私の望みに答えてくれた」

 

「……」

 

「最後で良い……他に要らない。だから、消えないで」

 

 最後の一押しとばかりに言い切ったフィーの言葉に、ハクの中に浮かんだ迷いは確固たる物へと変わり始める。何時になったら帰れるのかも分からない自分の世界を諦め、この世界に。フィーの元に居続ける覚悟。それが生まれた時、その思いを聞いたフィーの瞳に浮かんで落ちたのは綺麗な一滴の雫であった。

 

 

 

 

 

「愛は……どう示せば良い?」

 

「は?」

 

 ある日の夜、第3学生寮の自室にてサラ・バレスタインは何気なしに聞かれた質問に酒を片手に口をポカンと開けた状態で固まってしまう。傍には僅かに首を傾げながらも考え事をしているフィーが居り、彼女こそが質問をした張本人である。

 

 ハクが世界に留まり、フィーの傍に居続けると決めてから数日。フィーは何時も通りでありながらも決して居なくならないと言う安心感が心に大きな余裕を持たせていた。だがそんな中で、何も変わらない現状に不満に近い感情も抱き始めていた。何も変わらないのは当然だが、それでもハクとの関係は強いものとなっただろう。ハクが覚悟を決めたなら、今まで以上に何かをしたいと思うのは飼い主としてなのか、家族としてなのか、特別な存在故なのか。フィーには分からなかった。

 

「突然何よ? まさか、好きな相手が出来たとか?」

 

「……ん。そんな感じだと思う」

 

「え? 嘘」

 

 懐疑な表情で聞き返し、すぐに揶揄う様に笑みを浮かべて質問したサラ。だが少し考える様な仕草をした後に頷いて答えるフィーの言葉にサラは2度目の硬直を見せる。そして少しの間硬直し続け、解けると同時に難しい顔をし乍ら頬を掻き始めた。言葉では言わずとも、何を言って良いか分からないとその姿が物語っており、フィーはサラの姿を見て溜息を吐く。

 

「サラには分からないか」

 

「フィー、それはどう言う意味かしら?」

 

 だがフィーの言葉に微かに青筋を浮かばせ、怒気を含みながらサラは口を開くと続け始める。

 

「愛を示すなんて簡単よ。……そうね、とりあえず押し倒しなさい」

 

「押し倒す?」

 

「えぇ。相手もその気なら、返してくれるわ。駄目なら諦める。簡単でしょ?」

 

「押し倒す……」

 

『……したい、の?』

 

 サラの助言にフィーは興味深そうに聞き返し、説明を受けて思いだしたのは体育倉庫でハクと話をしようとした際に言われた言葉であった。思い返せばその時も押し倒していたが、サラの言う押し倒すが別の意味である事は理解出来たフィー。今の会話によって、ハクが聞いた事の意味を理解したフィーは微かに眉を潜めて悩み始める。一方、助言をしたサラは勢いで言ったが為に考え始めてしまったフィーを見て少しだけ何かを言い難そうにした後、持っていたお酒を飲んで息を吐きだす。

 

「そろそろ寝なさい」

 

「分かった。……お休み」

 

「えぇ、お休み」

 

 トールズ士官学院の教師であるサラがお酒を飲めるのはその時間が終わった時、故に今の時間は夜であり生徒達が寝る前の時間であった。サラの言葉にフィーは頷くと、最後に告げてからサラの部屋を後にする。そうして1人だけ残ったサラはドッと押し寄せる疲れを感じながらも溜息を吐いた。その心に浮かぶ感情はフィーが恋をしたと言う事への複雑さと、少しだけムキになって送ってしまったアドバイスへの後悔であった。

 

「大丈夫かしら……ま、大丈夫よね」

 

 だがその思いも次の日には消えてしまう。浴びる程に飲み始めた酒の効果で、翌日サラの記憶は飛んでしまうのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 サラの部屋から出たフィーは真っ直ぐに自分の部屋へと向かう。自分の部屋故にノックをする事も無く扉を開ければ、ベッドの上で猫の姿になって丸まっていたハクが顔を上げて出迎える。ごく当たり前の光景だが、やはり今までとは違う感覚を感じたフィーはベッドに向かうとそのまま座り込んだ。と同時にハクがフィーの膝の上へと移動し、その身体を撫で始めるのもまた何時もの事である。

 

「ハク……一緒に寝よ」

 

『……』

 

「今日は人の姿で」

 

『?』

 

 既に寝てもおかしく無い時間な為、フィーに言われた言葉で枕元へ移動したハク。その姿は明らかに猫の状態で寝ようとしており、フィーはそれを見て首を横に振りながら指定する。普段はハクの気分で人と猫を変えている為、指定された事に少々疑問に思いながらも言われた通りに人の姿にハクは変わる。っと、フィーはベッドへ横向きに寝た後に抱きしめられる様に両手を広げた。そこにハクは誘われる様に入り、後ろから抱きしめられる。

 

「ハク……したい」

 

「!」

 

 優しくハクを包み込んだまま、小さな声で静かに告げられた言葉にハクは一瞬身体を振るわせて反応を示す。だがその後断る事も、逃げる事もしないその姿にフィーは了承したと判断して抱きしめていた腕を動かしてハクの頭を撫で始めた。後ろから抱きしめている為にフィーには見えないが、ハクの瞳は気持ちよさそうに細められていた。ハク自身、フィーの望みを受け入れるつもりなのだ。そしてそれを合図にフィーはハクを少し横に倒すと上に覆いかぶさる様にして何時かと同じ様な体勢になる。しかしあの時と違うのは、話をする為では無く『する為』であるという事。何も言わずに見つめ合い、やがて先に動いたのは意外にもハクであった。

 

「……ん」

 

「んっ……!」

 

 身体を上げて、上に被さるフィーに自分から口づけをしたハク。触れ合うだけの軽い口づけだが、フィーはされた事に驚いた後に離れるハクへ追い掛ける様に今度は自分から口づけを行った。それが始まりの合図のように、2人はお互いを求める様に口づけを続ける。何方かが息継ぎをする様に離れれば、何方かが更に求める為に近づく。それが数度繰り返され、やがてハクが離れた時。頬を染めて息を荒くするフィーの姿がそこにはあった。ハクの行動が、火を着けてしまったのだ。

 

「もっと、しよ」

 

 フィーの言葉にハクが頷いて目を閉じた時、されるのは口づけでは無かった。優しい手の感触を髪越しに感じ、纏っていた服が降ろされて肩が曝け出される。気づけば身体が熱くなっていたのだと、外の空気に触れて初めてハクは気付いた。ハクの上半身を脱がしたフィーは一度身体を起き上がらせると、自分の胸元に付いているリボンを始めとして同じ様に脱ぎ始める。そして2人は上半身だけ裸になると、フィーが再びハクを上に覆い被さった。

 

「面倒だから、上だけでいいや……にしても、大きい……えいっ」

 

「ん……ぁ!」

 

 肌と肌が触れ合う感覚を感じ、フィーは満足すると同時に曝け出されたハクの胸へ視線を向ける。そして次に自分のへと視線を向ければ、その大きさの違いに少しだけ瞳から光を消して容赦無くハクの胸を掴み始めた。しかし既にハクは予想してのか、フィーの行動を驚く事もなく受け入れる。するとハクの胸を掴んだフィーが、今度は驚いた様な表情を見せた。

 

「凄い、フワフワする。気持ち良いかも」

 

 胸の感触に驚き、ゆさゆさと揺らして弄ぶフィーの手をハクは目を強く閉じて感じ続ける。するとフィーは何を思ったのか、ハクの胸の谷間へと顔を入れ始めた。感じる吐息で声が漏れそうになりながらも我慢する中、フィーは顔を埋めて擦りつけながらやがて安心した様にため息を吐いた。

 

「ハクの胸、安心するね」

 

「……そう……なの?」

 

「ん。……?」

 

 フィーの感想にハクは少しだけ息を乱しながらも首を傾げて聞き、それにフィーが頷いて肯定した時。ふと足に感じた蒸れのある暖かさに気付いた。現在ハクの上に被さっているフィーの片足は足の間にあり、その上から感じる暖かさにフィーはそれがなんなのか少しだけ考えてから理解する。そしてゆっくりとハクの足元へと下がり始めた事で、ハクは気付かれたことを察した。

 

 ハクの足元に近付いたフィーは太ももから上を隠す布を捲り上げた。そこにあったのは明らかな水気を帯びたハクの下着であり、それはハクが濡らしている証拠。フィーはその光景に一度ハクを見た後、徐にハクの下着の両端へ手を掛けた。何をされるのか等、考える暇も無く降ろされ始めた下着にハクは恥ずかしさからか顔を逸らす。

 

「これが、ハクの……! 駄目」

 

 興味深そうに注がれるフィーの視線に、やがて耐えられなくなったハクは内股にして隠そうとした。だが完全に隠されるよりも早く、フィーがその足の間に手を入れて無理やり開かせてしまう。別の人間の秘部を見ることなど、普通は無いだろう。それはフィーも同じであり、目の前に存在する水気を帯びた毛の無いハクの秘部を見つめ続けた。そして何を思ったのか、突然フィーはその秘部へ顔を近づけ始める。ハクの位置からは自分の股間へ近づくフィーが見え、何をされるのかは明白であった。

 

「ひ、あぁぁんん!?」

 

「静かに」

 

 学生寮は防音設備などを一切持たないため、大きな声を出そうものなら向かいの部屋や隣の部屋に丸聞こえである。秘部を舐められたことで大きな声を出してしまったハクは、空かさずフィーに口を塞がれる事でくぐもった声へと変化させられた。幸い今の声で誰かが気付く事は無かったが、フィーはこのまま攻めて良いものかと少しだけ悩み始めた。が、それは即決で決まってしまう。強い快感と抑えられた口によって弱々しい瞳で微かに涙を零すハクを見て。

 

 気づけばベッドの端で丸まっていた布団を手にしたフィーは自分とハクの上に頭からそれを被せることで中に入り込む。真っ暗闇の中でもハクは猫特有の目によって見える中、フィーもまたハクの位置などを身体全体で感じることによって把握する。布団を被った事で声は籠り、同時に声を漏らさない様に気を付ければ……準備万端である。

 

「触るから、キスして」

 

「! んっ!」

 

 ハク自身も声が漏れ出てしまえば誰かがこの場に来てしまう事を察し、声を殺す為にフィーの言葉通り自分から口づけを行う。首元に手を回して自分の口をフィーの口でしっかり塞ぐ中、フィーは乗っている事でハクの身体を抑える必要が無い為、右手でハクの胸を。左手で秘部を弄り始める。当然ハクは快感に身体をビクつかせるが、フィーの体重と塞がれた口によって影響は殆ど無かった。

 

 時を掛ければ掛ける程に増していく行為。気付けば強くフィーを引き寄せて舌を絡め合うハクを前に胸を揉みしだく手も、秘部へ指を挿入して掻き回す手も激しくなっていく。頭の中に靄が掛かる様な感覚を受け乍ら、やがて一際強くハクがフィーの首元へ強く抱き着いた。声にならない声が響き、身体が跳ねる様に数回痙攣し始めた事でフィーはハクが至った事を理解する。

 

「はぁ……はぁ……」

 

「気持ちよかったの?」

 

「…………ん」

 

「そっか。……それじゃあ、交代しよ?」

 

 フィーの言葉に恥ずかしそうにしながらも答えた時、告げられた提案にハクはこの時間がまだしばらくは終わらないと察する。その後、お互いにイかせあった2人。その日以降、度々部屋の中から微かに声が聞こえる様になるのは最早必然であった。




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