「
「っ!」
大剣を手にハクと対峙するのは長い青髪を1つに纏めて降ろす女性。その名をラウラ・S・アルゼイドと言い、ハクは彼女の言葉に両手で握ったキリトの剣を構える。大剣を使った彼女の攻撃はその一撃がとても重く、ハクの力でそれを受け止めるのは不可能であった。故にその攻撃に関する唯一の対処法は避ける事。振り下ろされた一撃を横に避けて回避した後に攻撃を仕掛けるが、重いであろう大剣を持っているとは思えない反応速度でラウラはハクからの攻撃を回避する。
「はぁ!」
微かに距離を取ったのも束の間。大きく飛びあがったラウラは大剣を地面へ叩きつける様に振り下ろした。ハクの身体にも握る剣にも当たらない一撃。だがその衝撃は凄まじく、ハクは着地したラウラの周囲から放たれる衝撃に怯んだ。そしてその隙を見逃す事無く、ラウラは大剣を横に一閃。ハクの持っていた剣を2本とも弾き飛ばした。
「……ぁ」
「ふぅ……怪我は無いか?」
「ん……平気」
勝敗は決した。深く息を吐いて闘気を沈めたラウラはハクの手を見ながら質問する。強い一撃で剣が弾かれれば、握っていた手にも相応の衝撃が走ると身を持って知っている為に。だが特に大きな怪我も無く、手に感じる痺れも時間が経てば収まると考えたハクは頷いて答えた。……そして弾かれ床に落ちる剣を見て思う。
「……もう……勝てない」
「確かその力は借り物だと言っていたな。昔は私が負けていたが……私はその力の持ち主を超える事が出来たと言う事か」
再び肯定する様にハクが頷いた時、落ちていた剣が光と共に消滅。ハクの服装と髪色も元に戻り、その身体はゆっくり前へ倒れ始める。だが想定済みだったラウラは素早くその身体を抱き留めると、その身体を軽々と横抱きに持ち上げる。現在2人が居る場所はとある島であり、修業の為にそこへ訪れていた。寝床として使える洞窟は既に探し終えており、食材に関しても調達済み。故にハクが倒れる事を分かり乍らラウラは戦う事を願ったのだ。
嘗てラウラがまだ学生だった頃、キリトの力を借りたハクとの戦いでは負ける事が多かった。だが徐々に力を付けた彼女は善戦する様になって行き、今では9割程の確率で勝利する様になっていた。素早い動きと連撃の多い相手との対峙はラウラにとって修業相手に丁度良く、だが既に超えられた事でハクはもうその修業も終わりが近い事を悟る。が、ラウラは勝てる様になって尚未だにハクと対峙する事を望む事が多かった。彼女に弱者を甚振る趣味は無く、故にハクは疑問に思う。
「……私は……必要ない」
「……」
強くなるのが目的ならば、自分を連れて来る必要は無い。寧ろ食材の量や寝床など面倒事が増えるだけである。それでも連れて来る理由は何なのか。そんな思いを込めてハクが告げた時、それを聞いたラウラは運んでいた足を止める。そして顔を下げてハクと目を合わせると、少し目を閉じた後に歩みを再開しながら口を開いた。
「其方を連れて来る理由ならある。……私が、私が其方と一緒に居たいからだ」
「……」
「トールズ士官学院で出会い、皆と共に過ごした時間は掛け替えの無いものだ。そしてその中で其方との時間は特別と言っても良い」
ラウラが思い出すのはトールズ士官学院に入学して数日経った頃に出会った1匹の猫。唯街の誰かが飼っている猫だと最初は思っていたが、特別実習の先にまで姿を見せる等した事でⅦ組が気にする中に含まれる存在となった。やがて唯の猫では無い事を知り、Ⅶ組の仲間として正式に拾われたハクは少年少女達と時間を共にする。……そして一番心を通わせた相手として、ラウラの元に卒業後も着いて行く事となった。
「着いたな。まずは火を起こさなくては。テントを張るから、少しそこの岩場に降ろそう」
「…………大丈、夫」
予め見つけて置いた洞窟に到着したラウラがハクを岩場に降ろそうとするが、それを断ってふらふらしながらも立ったハクは手伝う為に行動を開始する。先程ラウラに告げられた言葉を思い出しながら。普段から思った事は率直に告げる彼女の言葉。プロポーズと考えても不思議では無いが、果たしてその意が彼女にあるのか定かでは無い。……いや、ハクには分かっていた。何故ならラウラの中にはそれを裏付ける欲望がある故に。問題は、それを受け入れる自分の意思である。
大きな戦いを翌日に控えたその日、ハクはラウラと共にミシュラムで過ごしていた。最初は別行動となり、同じ猫でありながら人の姿にもなれるセリーヌと過ごしていたハクはその後も色々な人物に誘われてアトラクションを楽しんだ。そして遊び疲れ始めた頃、ハクの前にラウラが姿を現す。その手には他の者達同様にアトラクションに乗れるチケットがあり、ラウラはハクを観覧車へ誘った。乗って眺めるだけの観覧車はとても楽であり、既に何度も乗ってはいるものの綺麗な景色は飽きる訳でも無い為に承諾したハクはラウラと共に観覧車に乗る。
「綺麗だな」
「ん……」
小さな籠の中で互いに対面する形で座る2人。外の景色を眺めながら感想を言うラウラにハクが頷いた時、外へ向いていたラウラの視線が真っ直ぐハクの目に向けられる。
「ハク。この後の時間、私と共に過ごしてはくれないだろうか?」
「……」
明日に決戦を控えている為、大事な相手が居る者達は最後の時間をその相手と過ごす事だろう。ラウラにとってそれはハクであり、ハクはそれを理解した上で頷いた。観覧車が1周して地上に降りた2人は遊ぶ事を止め、鏡の城と呼ばれる建物の前にある道から海を眺める。不可視の結界に守られたミシュラムから見える光景は観覧車から見えた景色とはまた違う美しさがあり、2人はそれを眺め続ける。そして何も喋らず、唯黙って同じ景色を眺めていた2人はやがて何も喋らず、黙って同時に目を合わせた。
「ハク。1つ、其方に求めたいものがある。其方にしか出来ない、其方にしか無いものだ」
「……ん。教えて」
気付けば長い付き合いであり、過去の出来事やラウラの中にある欲望を知る故にハクは彼女が求めるものに察しが付いていた。そしてそれを受け入れる準備もまた、出来ていた。
「明日、全てを乗り越える事が出来た暁には……これから生きる其方の時間を、私に譲って欲しい。共に、生きて欲しい」
それは友愛を超えて親愛をも超えた思い。嘗ての頃とは違う、答えを求めるプロポーズ。答えを待ち続けるラウラの姿にハクは少し目を瞑って間を置いた後、自分よりも大きな身体に身を寄り掛からせて行動で答えた。負けられない大きな理由を新たに、その日の夜を超えたラウラはハクや仲間達と共に死地へ挑む事になるのだった。
壁を乗り越えた末に笑顔溢れる大団円を迎える事が出来て数日。後始末などで忙しい日々に少しだけ余裕が出来た頃、夜を迎えたハクはラウラと共に普段通り眠りに付こうとする。が、ラウラは横になったハクの姿を前に腕を組んで目を閉じ続けていた。
「……ラウラ?」
「ハク。思ったのだが……関係が変わって約1月。らしい事を1つもして居ない気がするのだ」
ミシュラムでの約束は果たされ、ハクはラウラに残る全ての時間を捧げる事を決めた。今まで通り彼女の傍で過ごし続けるその日々は何も変わらない様で、しかし帰る事を求めなくなった生活には大きな新鮮味も感じていた。だが今までハクが傍に居るのが当たり前であったラウラからすれば、あの日以降特別な関係になったと言われても変化を感じる要素が何も無かった。……故にそれを感じたいラウラはハクと目を合わせる。
「何か分かり易い、変化を感じたい…………
「……」
何が、と聞くのは余りにも野暮な事。ハクは言われた言葉に少し黙った後、静かに頷いてベッドの中央に人の姿で座り込む。そして着ていた白夜叉から貰った甘ロリを脱ごうとした時、ベッドに膝を乗せて身を乗り出す様に近づいたラウラがその手を止めた。
「私に、やらせて欲しい」
「……分かった」
普通に生きている中でその特徴的な服の着方脱ぎ方を知る必要は無い。だが共に過ごして来たラウラにはハクがそれを着ている姿を何度も見た経験があり、任されたラウラは少しだけ高鳴る胸の鼓動を感じ乍らハクの肩にその手を置いた。白夜叉が用意した甘ロリは肩からずらす事でも脱がす事が出来る為、その手に力を込めて布を横に動かせば、ハクの白い肌が露出される。そして両肩から腹部まで降ろせば、白の下着がその目には映った。
「……っ!」
「……」
普段から平常心を維持して戦いに望んでいるラウラもこれから行う経験は初めての事であり、思わず生唾を飲んで目に見えて緊張した面持ちでその身体を全てベッドに乗せる。だが脱がしたハクを前に、ラウラの手は止まってしまった。……実は既に少女では無く女性と言っても過言では無いラウラだが、彼女はこれまでの人生を武に身を捧げて来たが為に困惑していた。知識はあるが、実際に何をすれば良いのか分からなかったのだ。
「済まない」
「……仕方、無い」
自分を不甲斐なく感じ乍ら謝るラウラに首を横に振って慰める様に告げたハクは再び少しの間を置いた後、何も言わずに突然ラウラの頬に触れ始める。驚き目を見開く姿を前にその顔へ自らの顔を近づけたハクが口付けを行った時、更にその目は大きく見開かれた。柔らかく暖かい感触を唇に感じたラウラは余りの出来事に一時固まってしまい、だが我に返ると同時に顔を離したハクと目を合わせる。先程と違い、ラウラの目に緊張を色は浮かばない。あるのは……ハクの魅了によって引き上げられた支配欲だった。
「ハク」
「ん……」
今度はラウラが離れ行くハクの唇へ追い掛ける様に口付けを行い、それと同時に晒された肩を押してハクをベッドに倒す。やり方が分からないならば、本能が感じたままに動けばいい。そんな思いでラウラはハクの晒された胸に手を伸ばした。大きさは自分と余り変わらず、だがその身体からすれば十分なそれはラウラの指を受け入れる様に歪む。その度に合わせる口元から微かに声を漏らすハクの姿が、更にラウラの心を刺激した。
「気持ち、良いのか?」
「……ぅ、ん」
「そうか。それなら」
確認する様にした質問にハクが肯定した時、何をするべきか理解した様子のラウラはハクの上半身を持ち上げて背後に座る。そして後ろから両手を回し、乳房を揉みしだき始めた。服越しに自らの胸にハクを寄り掛からせ、その柔らかさを堪能する様に長時間に渡ってそれを続けたラウラ。気付けばハクの吐息は熱を帯び始め、ラウラも完全に興奮し始めていた。説明を受けなくても次にする事が頭の中に浮かびあがり、ラウラは胸を弄っていた右手をハクのスカートの中へ入れ始める。既に濡れて湿り始めた下着越しに秘部を撫でれば、胸を弄る以上の反応をハクは示した。
「これは……直接触ったらどうなるのだろうな」
「! ひっ、んぁ!」
ハクの反応にそう呟いて下着の中に手を入れたラウラは、伸びる下着に押さえられ乍らもその指を直接秘部の中へ挿入した。入ったのは1本だけ。だが膣壁を微かに擦るその指が齎す快感にハクは堪らず喘いでしまう。ラウラの望んだ特別な関係だからこそ出来る行為。自分の手の中で喘ぐハクの姿は正しくそれであり、快感の果てがある事も知っていたラウラはまずハクをそこに至らせる事にする。片手で乳房を揉み、片手で秘部の中を弄り続ける事2,3分。その時は訪れた。
「ひ、ぁ……も、う……っ!」
「我慢せずとも良い。私の手で、達するが良い」
その言葉を聞いたハクは言われた通りに大きく身体を痙攣させる。心許した相手でも声を聞かれるのは恥ずかしいものであり、脱ぎ掛け故に服で腕を軽く拘束されていたハクは強引に口元へ服の襟部分を寄せて強く銜え込む。ハクの絶頂を身体で感じて理解したラウラはその手を止める……事無く、上下の攻めを継続した。
「んんっ! イって、る……か、らぁ……!」
「あぁ、そうだな。それがどうしたのだ?」
それも魅了に寄る影響なのか、ハクには定かでは無い。唯困るラウラの背を押す為に行った行為が彼女の心に火を付けた事は間違い無く、その日が途轍もない速さで燃え上がったのだろう。瞬く間に白く染められる思考の影で微かな後悔を感じ乍ら、ラウラが満足するまでの数時間。ハクは数え切れない程に絶頂を迎える事となった。
「その、済まない。自分で自分を抑えられなかったのだ」
翌日。肩に乗るハクはラウラと目を合わせようとせず、2人きりであっても人の姿になろうとしない。自分にも責はあると分かっているが故にラウラと上手く接する事が出来なかったのだ。だがそれを知らないラウラは昨日の件で怒っているのだと考え、謝罪を続ける。その後、結局その日の内に2人の気まずい空気は解消されるが、稀に2人は特別な関係であるが為に行為に及ぶ。……徐々に上達するラウラの腕は武術同様凄まじいものとなり、後にハクは彼女に改めて心も身体も完全に奪われる事となるのであった。