あるところに決して新しい提督が派遣される事の無い鎮守府が存在した。嘗てそこは1人の提督が治めていたが、今そこに人間は存在しない。居るのは周辺の海域を守り続ける艦娘と呼ばれる一様に女性や少女の姿をした者達だけである。……何故なら既に人間は全員『始末』されてしまっている故に。
【ブラック鎮守府】。それは艦娘を従える提督が艦娘に対して非道な待遇を強い、それを当然としている場所。艦娘たちは自らを従える提督や人間に危害を加える事が出来ない様、建造されたその時から頭の中に枷を付けられている。故に例えどんなに酷い扱いを受けたとしても、提督や提督の部下である憲兵に手を出すことが出来ない……筈だった。1匹の白い翼猫が現れるまでは。
「……」
目前に広がる広大な海原を前に、ハクは唯黙ってその光景を見つめていた。頭の中に巡るのは、自分が新しい世界として今現在居る鎮守府の地に足を付けた時の事。猫の姿で鎮守府の中へ潜り込み、そこで涙を流す少女と出会ったのが全ての始まりだった。体中の至る所に傷を見せるその姿にそれを癒すため、ハクは力を使った。だがそれは傷だけでなく、彼女にとって有害となる枷をも外した。
「……」
それから起きたのは正に惨劇。連れ出そうとやって来た憲兵はハクを迷い込んだ野良猫と思って見向きもせずに少女へ近づいた。だが少女は抵抗し、その人間とは違う力で憲兵を意図も容易く物言わぬ屍へと変えた。最初は呆然とした少女だが、徐々にその事実に気づいた彼女はそれが出来た原因であろうハクへ視線を向けた。そしてハクをその場所から連れ出し、向かった先は同じ様に傷ついた仲間達の部屋。そこでハクは彼女達の傷も癒して欲しいとお願いされる。衝撃的な光景を見て怯えていたハクは必死な様子の少女と傷ついた少女達の姿に震えながらもその傷を癒し、枷の外れた少女達による反逆が鎮守府内で起きた。……そして数日後、鎮守府から人間は1人も居なくなった。
「……」
「見つけたわ。ふぅ、今日も良い風ね」
突然掛けられた声にハクは振り返る。そこに居たのは穏やかで優しい表情を浮かべながら、吹く風に髪を押さえて自分を見つめる1人の少女だった。ハクが最初に出会った少女であり、彼女の顔を見る度にハクは過去に見た血塗られた少女の呆然とした表情を思い出してしまう。
「もう少しでお昼よ。ほら」
「……分かった」
そっと差し出される手は同じ様に血で赤く染まった様に一瞬見え、だがすぐにそれは柔らかそうな小さい手に戻る。ハクは一度目を瞑った後、少女……天津風の手を取ると、彼女に引かれて食堂へ向かった。
鎮守府内で起きた艦娘に寄る惨劇から、既に1年が過ぎていた。
過去に鎮守府を治めていた提督は艦娘が兵器であり、化け物であると言い続けていた。自分に攻撃出来ない故に出撃や遠征でも無理を強い続け、だがその幕切れは呆気無いものであった。
提督亡き後、傷ついた艦娘達は反逆した者達に教えられてハクと出会う。中には今までの出来事から信用出来ない艦娘も居たが、1年と言う長い日々は心の傷をも癒し続けた。……気づけばハクは艦娘達にとって自分達を解放した救世主であり、ハクを含めて今の生活を永遠に守ると彼女達は決意していた。だからこそ、ハクのたった一言がその平和を破壊する。
「ぇ……い、今、何て……」
提督が居ない鎮守府で、鎮守府を回す為に当番制で代わりを務めていた榛名はハクから告げられた内容に持っていた紙を床へ落とした。彼女自身、ハクの言葉をしっかりと聞いていた。だがそれを拒絶する様に聞き返す榛名へ、ハクは無情にも告げる。
「……明後日。……ここを、出る」
榛名は衝撃のあまり言葉を出す事も出来ず、唯部屋を後にするハクの姿を眺める事しか出来なかった。欲望を満たし終えたハクが鎮守府に居られる日数は残り2日。その事実を長時間掛けてようやく受け止める事が出来た時、榛名は部屋を飛び出した。
「(伝えないと! 皆に伝えて、止める為に!)」
ハクが鎮守府内を歩く最中、全く別の場所では榛名によってハクが居なくなるという事実が広がり始める。やがてその言葉を聞いて何人もの艦娘が立ち上がった時、ハクは自室で1人時間を過ごしていた。
「……?」
最初に感じたのは自分の部屋へ誰かが急速に近づいてくる気配。通り過ぎる可能性もあったが、その気配は部屋の目の前で停止すると一時の静寂が訪れた。そして何かが外で動いている様な音が聞こえ、全てを理解したハクは部屋の窓から羽を出現させて飛び立つ。と同時にハクの部屋にあった扉は轟音と共に破壊された。
「ハク? あ! 逃げてる!」
入って来たのは1人の少女。彼女もまた艦娘であり、開いた窓の向こうで空を飛ぶハクの姿に気づいた少女は目にも留まらぬ速さで窓から外へ飛び出る。そして水上を走り、ハクとの距離を見る見る内に縮め始める。
「ハ~ク!」
「……島風。……何で?」
「ハクが居なくなろうとしてるって言うから、捕まえようと思って! 皆も同じみたい」
「!」
出来る限り高速で飛ぶハクに悠々と着いて来る笑顔の島風。彼女の言葉でハクが少し背後を確認すれば、既に遠くに見える鎮守府から艦娘であろう人影が何人も出てくる姿がその視界に映った。全員が一直線にハクの元へと向かい始めており、その光景にハクは思わず恐怖する。そして更にスピードを上げようと前を向き……目の前に島風の顔が映った。
「捕まえ、た! あれ?」
「!」
迫る手に何とか身を翻して回避したハクは改めてスピードを上げる。だが島風はその場で立ち止まって徐々に距離が出来ていくハクの後姿を眺め、目を細めた。先程まで見せていた笑顔は消え、あるのは無の表情のみ。やがて島風は走り始める前の体制になると、小さな声で呟いた。
「よーい……ドン」
「!?」
彼女の言葉と共にその姿が消え、気づけばハクの目の前に再び現れた島風。今度は逃げる事も出来ずにその腕に捕まれたハクは必死にもがき始めるも、人とは違う力を前にそれは無意味な事であった。強制的に鎮守府へ島風が進み始めた事で戻され始め、ハクを捕まえるために鎮守府を出た艦娘達とも合流されてしまう。逃げること叶わない現状に雲一つ無い空を見上げたハク。それが彼女が見た最後の空であった。
薄暗い部屋の中、窓も何も無いその部屋に唯一存在するベッドで横になっていたハクはこれからの事を考える。島風に鎮守府へ連れ戻されてすぐ、今居る部屋へハクは閉じ込められた。外からは鍵を掛けられている為に脱出する事も出来ず、時間の感覚も分からないまま過ごし続けていた時。突然聞こえてくる音と近づく気配にハクは身体を起こした。
「おはよう。時間は分からないだろうけど、あれから1日経った朝よ」
開かれた扉から姿を見せたのは天津風であった。彼女はハクへどれ程時間が経ったのか説明すると、さも当然の様に言葉を続ける。
「これから貴女は私達の監視下で過ごして貰うわ。二度と逃げ出そうとしない様に、私達で【躾】をする事も決まった」
「……」
「今日はこの後、私と貴女を捕まえた島風でしてあげる」
「……出して」
「駄目よ。絶対に逃がさない」
ハクの言葉に一切考える間も置かずに答えた天津風は、言うべき事を言い終えた為か部屋を後にする。天津風の言った躾と言う言葉に嘗て自分が躾と称してされた事を思い出し、嫌な予感を感じながらもハクはその場を出れない為に待つことしか出来ない。その気分は宛ら刑の執行を待つ囚人の様であった。
扉の開く音にハクは顔を上げた。無機質なベッドだけの部屋に訪れた2人の少女、島風と天津風。島風はハクが認識するよりも早く動き出しており、気付けばハクの隣に座っていた。そしてその身体を横から抱きしめて笑顔で身体に頬擦りを始める。
「シテ良いんだよね!? 今すぐシテ良いんだよね?」
「落ち着きなさい。焦ってもハクは逃げない。いいえ、逃げられないわ」
「でも早くやりたい!」
「はぁ。約束は覚えてるわね?」
「処女は奪っちゃ駄目なんでしょ? それで、ハクを堕とした人が貰えるんだよね? 速攻で堕としちゃうよ!」
2人の会話を聞いてハクは嫌な予感が的中した事に恐怖し、思わず身体を震わせる。躾とは過去に別の世界でされた事がある様に、身体へ行う行為。だがそれは主に性的な内容であり、今正に2人はこれから自分の身体を蹂躙しようとしていた。逃げ場の無い空間でハクに出来る事は無い。島風が天津風の頷きを確認した時、ハクは一瞬の内にベッドへ身体を押し倒されていた。両腕を押し倒した島風に押さえつけられ、苦しまない様に気を付けながら上に覆い被さって顔を胸の間に擦りつけ始める。
「あぁ、良い匂い。ハクの匂い!」
「ちょっと島風。私もするのよ」
「あ、そうだった! それじゃあ、よいしょっ!」
「っ……天津、風」
「ふふっ」
島風の暴走とも言える行為に天津風が咎めると、島風は思い出した様に身体を起こして素早くハクの上半身を起こす。そして自分は背後へ周り、ベッドの上でハクの背を受け止める体制に変わった。すると天津風は満足げにベッドへ身体を乗せ始め、近づく彼女の姿に思わずハクはその名前を呼ぶ。普段とは違う弱々しくて怯えている様にも見えるハクの姿は、彼女を欲する天津風にとって普段以上に魅力的に映った。
「それじゃあ、始めましょうか。まずは邪魔な服から」
普段ハクの衣服は同じ鎮守府で過ごす艦娘達の服を借りる事で解決していた。その日もある艦娘の服をハクは借りており、だがその服はもう二度と着る事が出来ない程に無残にも破かれ始める。今すぐにでもハクと行為に及びたい島風は雑に、天津風は綺麗に脱がせようとした結果、ハクの服装は所々に布切れが残るだけの裸よりも痛々しい姿へと変えられてしまう。隠すべき乳房や秘部は晒され、だが残骸やスカートが残っている為に捲らなければ見えない。前から眺める天津風がその官能的な姿に僅か乍ら生唾を飲んだ時、到頭我慢の限界を迎えた島風が背後から両手を伸ばしてハクの乳房を下から鷲掴みにした。
「んっ!」
「おぉ~! ハクのおっぱい、凄い柔らかいよ!」
「余り歪む程に揉むと痛いだけよ。優しくしなさい。ハク、私も触るわよ」
「ひ、ぁ……ん!」
目の前で島風の手によって形を変えるハクの乳房に少し注意しながらも僅かに近づいた天津風は、両手の指先でまだ固さを持たない乳房の天辺に存在する乳首へ触れ始める。優しく撫でる様に、だが稀に固さを確かめる為摘む様に。両腕は強制的に脇を閉める形で島風に押さえられ、身を捩る事しかハクには出来ない。やがて4本の手に胸を攻め続けられたハクの身体は本人の意思とは関係なく受け入れる為に変化し始める。天津風の攻める乳首に固さが生まれ、下腹部に僅か乍らの熱を感じずにはいられなくなってしまったのだ。
「そろそろ
「そうね。私もそろそろ気持ち良くなりたくなって来たところよ」
「はぁ……はぁ……何、を……?」
島風の言葉に攻めるのを止めて僅かに後ろへ下がった天津風は小さな瓶を取り出し始める。不思議な色の液体が入った瓶であり、数は2本。島風は素早くそれを受け取ると、蓋を開けて中身を飲み始める。天津風もハクと目を合わせた後、僅かに笑みを浮かべてその中身を飲み干した。
「んっ。ふぅ……意外に美味しいわね。……っ! なる、ほど……!」
「ふ、ぅぅ! あそこが熱くなって……苦しいっ!」
突然苦しみ始める2人にハクは困惑するが、それと同時に先程以上の悪い予感を感じ始める。だが2人に挟まれた現状で出来るのは苦しむ2人を眺める事だけ。やがて額に汗を掻きながら肩で呼吸をする様にして顔を上げた天津風とハクは目が合った。
「……何を……飲んだの……?」
「明石さんが色々作ってるのは知ってるわよね?」
「……ん」
「なら、彼女が貴女と繋がりたくて艦娘専用の薬を作った。と言えば伝わるかしら?」
「これでハクと繋がれる!」
「……い、や……駄目っ!」
天津風の言葉と島風の言葉で嫌でも全てを理解してしまったハクは無表情に恐怖を浮かべて拒絶する為に身体へ力を入れる。だが島風の抱擁と言う名の拘束にその抵抗は無意味でしか無かった。背後から抱きしめられたまま、その身体を僅かに持ちあげられたハク。最初の話から処女を奪うつもりが今は無いと分かっていたハクは島風が何をしようとしているか分かり、必死で抵抗を続ける。だが、やはりそれは無意味である。
「ハクの身体なら大丈夫だよね。挿入るよ」
「やめ、てっ……! 駄、目っ!」
島風の股間には何時の間にか大きな男性器が生えており、ハクのお尻の穴へ宛がわれていた。本来排出するべき穴は受け入れる様には出来ておらず、またハクはその箇所を普段使わないが為に途轍も無く敏感であった。
「私達と同じでハクはしないものね。何時入れても綺麗なのは良い事だわ」
「そぉれ、ズブズブズブズブ~!」
「ぃ、ぁ……ぁあ」
ハクに不幸でもあり幸いでもあるのは、今の身体が性的欲求を受けやすい身体である事であった。普通の人間がお尻に入れるのは決して容易い事では無い。だがハクの身体は苦しみよりも快感をハク自身へ与え、また島風の男性器を問題無く受け入れてしまったのだ。痛みに苦しむ事は無いが、拒絶する事も出来ない。果たしてハクには何方が幸せなのか……それは定かでは無かった。
「あはは! すっごい締め付けて来る! それにあったかい!」
「捕まえたのは島風だから、最初に繋がるのは譲るわ。私は……そうね。口でして貰おうかしら」
「……こん、なの……ぁ、んんっ!」
身体に突き刺さる島風の男性器の脈動を感じ乍ら絶望するハクの頭を優しく撫でる様にして天津風は告げると、ベッドの上に膝立ちとなって挿入されている為に前屈みとなっていたハクの口元へ自らの生えた男性器を近づけ始める。そして島風が僅かに動き出した事で半開きとなった口へ押し込む様に入れ始めた。亀頭の部分が口の中を占領し、堪らず舌で押し返そうとすれば逆にそれが天津風を気持ちよくさせる事になってしまう。そして島風と天津風は同時に腰を動かし始めた。ハクの両腕を掴んで腰を動かして輸送を繰り返す島風。ハクの頭を抑えて腰を振り、舌と頬肉の擦れる快感を感じる天津風。もう、ハクはされるがままであった。
躾、とは名ばかりの強姦。尻穴を、口内を蹂躙する2本の男性器に屈服されそうになりながらもハクはまだ今の世界に残ろうとは思わない。やがて島風の動きが速くなり始めれば、快感に呻く口を経由して天津風も快感を得る事で腰の動きを速くし始める。そして……。
無機質な部屋の中にはパンパンと肌のぶつかり合う音だけが響き続けていた。もう声を出す事も無く只管身体を穢され続けるハクと、夢中でその身体を貪る2人。今は天津風が正上位の体勢でハクの尻穴に挿入し、島風がハクの胸元に跨って左右の乳房を鷲掴みにしたままその間に男性器を挟んで腰を振り続けて居た。
既に部屋の中には恐ろしい程の精による悪臭が立ち込めており、それに気付かないのは同じ部屋に居続ける3人だけ。ハクの身体は何処も彼処も精液が付着しており、最初に掛けられた精液に至っては既に乾いてしまっている程に時間は過ぎていた。部屋には時計も窓も無い為、どれ程の時間をそうして過ごして居たのか3人の誰も分からなかった。
「出るよ! 顔に、掛ける! っ!」
「……」
「こっちも出すわ。またお腹に! くっ!」
「……っ」
島風の男性器から発射された精がハクの顔に掛かり、天津風の男性器から発射された精は溜まりに溜まったハクの腹部を更に満たす。島風と天津風は交互に位置を交代しており、その度にハクの中に出した精液が溢れない様に素早く行っていた。それは自分達がハクの中を満たしていると思えるからであり、何度も繰り返されたハクの腹部は溜まった精液によって膨らんでしまっていた。
「ふぅ。……これで終わりかしら」
「えぇ~! もっとやりたいよ~!」
「……」
「そうね。それじゃあ、もう1周したら終わりにしましょ」
そこにハクの意見などありはしない。もう幾度に渡って繰り返される2人の会話を聞きながら、やがて終わりを知らせる誰かが来るまでハクは2人の精を受け止め続けた。……その目にはもう、何も映さずに。