「ですから、時間の無駄なんですよ」
モンドのとある場所。ハクは1人の少女から冷たい声音で突き放す様にその言葉を告げられる。2人の間に漂う空気は傍から見ても悪く、ハクはそんな少女に無表情ながら何処か睨む様な視線を向けていた。が、向けられた本人は『やれやれ』と言いたげに両手を広げて首を横に振るだけ。
「何処に行くつもりですか?」
「……」
少女からやがて視線を逸らしてその場を後にしようとしたハクの背に再び声が掛けられる。だがハクはそれに一度足を止めるも、答えずにその場を後にしてしまった。
去って行くハクの後ろ姿を見ながらもう1度両手を広げて同じ動作をした少女。するとそんな彼女の元へハクと入れ違いに別の人物が姿を見せる。それは旅人、蛍であった。
「? モナ、何かあった?」
「あなたですか。まぁ、あったと言えばありましたね。……先程までハクとちょっとした議論をしていまして」
「議論?」
「えぇ。ハクが戦闘に参加する事に関して、ですね」
少女……モナは蛍へ告げる。だが意味が詳しく分からずに首を傾げる姿を前に、説明を始めた。
そもそも、ハクとモナが話をしていた内容。それはモンドの外へ出た際に現れる魔物やヒルチャール族といった危険な存在を前に、ハクが戦うか否かというものであった。
ハクの考えは、
『誰かの傍に居て守られ続けるよりも、共に戦う事で何かしらの役に立ちたい』
モナの考えは、
『下手に能力を使って戦えば、後で誰かの負担になる。その労力や掛かる時間は無駄でしかない』
2つの意見は互いに対立し合い、モナはハクが戦う必要が無い事を説明。だが納得出来なかったハクは到頭話を切り上げて出て行ってしまったのだ。
「それって、ハクを思っての事だよね?」
「……負担を担う可能性が私にもあると思っただけです」
戦闘力は確かにハクにもある。だが一時的なものであり、後の負担を考えれば止めさせようと考える人物が居ても無理はない話であった。……その真意に危険の真っ只中に居て欲しく無いという心配が混じっているのは蛍で無くても察する事が出来るだろう。
「ところで、ハクは何処に行ったの?」
「分かりません。話をしてそのまま出て行ってしまったので」
「……それって、ムキになって外に出てたりしないよね?」
「……」
「ハクって頑固な所があるから、もしかして……」
蛍の言葉にその可能性を感じて黙ってしまったモナ。やがて彼女はその場を離れる為に歩き始めると、その足でモンドから外へと出始める。共に蛍も行動を開始して、2人は何も言わずに出て行ってしまった可能性の高いハクを探す事にするのだった。
一方その頃、2人の予想通り外へ出ていたハクは魔物を相手にこの世界で手に入れた剣を使って戦っていた。まだヒルチャール族と違って知能の低い魔物を相手に、ハクは身体の敏捷性を活かした素早い攻撃で立ち向かう。憑依召喚を使ってしまえば動けなくなる事は分かっていた為、モナへの反抗もあって使わずに戦いを続けていた。
「……!」
魔物に止めの一撃を加えて安心したのも束の間、ハクは敵の気配を感じて警戒する。そして彼女の前に現れる、面を付けたヒルチャール族の3人。各々武器を構えて近づいて来る姿を前に、ハクは剣を握る手に力を籠める。
「っ!」
一気に距離を詰めて勢いと共に振り抜いた一撃はヒルチャール族の1人を弾き飛ばす。だが倒すまでには至らず立ち上がり、再び近づいて来る姿がそこにはあった。そして近づいた事で囲まれる様な状況になったハク。……まだ彼女は気付いていなかった。自分の元へ他のヒルチャール族が群れを成して近づいている事を。
モナは蛍と手分けをしてハクを探し回っていた。外は途轍もなく広いが、他の誰かと一緒に居ないならばそこまで遠くに行く事は無いと彼女は予想する。そもそもハクはモンドで何かの目的を持って誰かと一緒に居る事にモナは気付いていた。そしてそれは自分にも当て嵌っている事にも。
「全く、世話が焼けますね。……?」
呆れた様な声音で独り言を呟いたモナは、ふと何かが落ちているのに気付いて近づき始める。それは見覚えのある剣であり、周りにはヒルチャール族の面が欠けた物が散乱していた。モナは嫌な予感を感じながら、その剣を手に取る。……それはハクのものであった。
「っ! 本当に世話が焼けますね……!」
モナはその剣を拾った後、何処へ行ったのか分からないハクの居場所を探る手がかりを手に入れる為に占いを始める。適当に探している暇は無いと判断したのだろう。結果、出た場所を目指してモナは走り出した。水を扱い、それに乗る様にして徐々に速度を速めるモナ。
徐々に空には暗雲が立ち込め始める中、彼女が到着したのは丘の上にあったヒルチャール族の集落だった。近づいて来るモナの姿に気付いた見張りが声を張り上げようとした瞬間、彼女の放った水の弾丸がその面を破壊して身体ごと吹き飛ばす。
「数が少ない。いえ、何処かに集まっているのでしょうか。まだ、間に合う筈です」
通りすがりに現れるヒルチャール族を吹き飛ばしながら、モナは奥へと進んで行った。やがて集落の一番奥にあった建物を前に、モナはその足を止める。中からは大勢のヒルチャール族の声が響いており、モナはその中へ静かに足を踏み入れた。
「! ハク……まだ、無事ですね」
モナの視界に映ったのは、獲物を手に入れて喜ぶ複数のヒルチャール族の姿。そしてそんな彼らの中心でY型の板に両手を拘束されて吊るされるハクの姿だった。眼元には視界を塞ぐための布が巻かれており、意識も無いのかピクリとも動かない。だが生きているのは確かであり、恐らくこのまま放置すれば酷い目に遭うのは明らかだった。
『!』
ヒルチャール族の1人がモナの存在に気が付いた。そして連鎖的に全てのヒルチャール族がモナを認識した時、彼女は慌てる様子も無く手元に水を引き寄せる。
「貴方達の運命は既に決まりました。抗わず、逆らわず……受け入れてください!」
その静かな声音には確かな怒気が込められていた。そして少しの間を置いて建物の中から水で一斉に弾き出されたヒルチャール族達は地面に身体を叩きつけられた後、そのまま動かなくなる。
「さて……」
ヒルチャール族を全て倒し終えたモナは両手を広げる様に拘束されたハクの元へ近づき始める。身体に目立った外傷は無く、穢された様子も全くない事から安心して胸を撫で下ろしたモナ。そして彼女が次に抱いたのは、心配させたハクへの怒りだった。
「もし私が駆けつけなかったら、遅れていたらどうなっていたのか……」
「……ぅ、ん……ここ、は……?」
最悪の結果を想像して拳を握るモナを前に、ハクは目を覚ました様子で顔を上げる。しかし目元に巻かれた布のせいで、ハクはモナを認識する事が出来なかった。だが気配だけは感じる事が出来、自分が眠る前に何をしていたのかを思い出して……戦慄する。
「っ! ぃ、ゃ……」
「……(この際、少し
ヒルチャール族に負けて捕まった後に拘束されている事実を理解して怯え始めるハクを前に、モナは思い付いた事に納得した様子で頷き始める。そして無言でハクの目の前に立ち、顔を近づけてハクの身体をまずは嗅ぎ始めた。
「ゃ……っ!」
「すんすん(良い匂いがします。この匂い、香水にしたら売れそうですね)」
ハクからすれば、ヒルチャール族に匂いを嗅がれている事は恐怖だった。実際は違うのだが、彼女がそれを知る事は出来ず、一方嗅いでいたモナはハクの匂いに気分を良くしながら全く別の事を考える。だがそれについては後回しにして、モナはハクの服にその手を掛けるのだった。
「(私の事をヒルチャール族と勘違いしていますし、ここは少々強引に行きましょうか)」
「っ! ぃゃ……止め、て……!」
静かな建物の中にハクの声と布を破く様な音が響き渡る。それはモナがハクの服に手を掛けた後、それを強引に引き裂いたためであった。ヒルチャール族が優しく服を脱がす訳も無く、ハクの勘違いをそのままにしておきたかったモナは容赦無くハクの布をビリビリに破き続ける。
「……(これくらいで良いでしょうか)」
「ぁ……ぁ……ぃゃ……」
「(これは中々悪く無い光景ですね)」
気が済むまで服をボロボロにしたモナは無残な姿になったハクを見て内心で込み上げてくるものを抑え始める。肩や背には布が残っているものの、前は殆ど露わになってしまったハク。見えるのは彼女の柔肌と、大事な部分を隠す上下の下着のみ。自分が何をされるのか考えて恐怖するハクに、モナは罪悪感どころか興奮を覚え始めていた。
モナはハクの付けていたブラに手を掛けると、それを上にずらして遂にハクの乳房を露わにする。小さな身体には少々不釣り合いの大きな果実に息を呑みながらも、ゆっくりと手を伸ばしたモナは両手で下から掬い上げる様に左右の乳房を揉み始める。
「(フワフワ、ですね……)」
「んっ、ぁ! ぃ、ゃっ!」
「……」
思い通りに指が沈み込み、柔らかく形を変える乳房。押し返して来る弾力やその触り心地の良さにモナは無心で揉み続けた。嫌がりながらも身体が敏感なせいで明らかに感じてしまっているハクは、ヒルチャール族に襲われていると考えて悔し気に下唇を銜えては甘い声を漏らしてしまう。
「(もし私が駆けつけなかったら、彼らにこうして穢されていたんですよ)」
「ゃ! ぁ! んぁ!」
乱れるハクの姿を前にモナの手は徐々に激しさを増していく。何度も揉み潰す様にして弄り続ける乳房は徐々に赤くなり始めており、徐にモナはその先端である乳首を左右同時に摘み上げる。感じていたハクの乳首は既に隆起しており、モナは簡単に摘み上げる事が出来た。
「ひぁ! あぁぁぁぁ!」
「(っ! 今のはまさか、胸だけで絶頂したんですか……?)」
「ぁ……ぁ……イか、され、た……こんな、の……ぃや……」
絶頂した事実を嫌がるハクと、胸を攻めただけで絶頂したハクに驚愕するモナ。そんなモナを包み込む様に、ハクから発せられた匂いが広がる。その結果、ハクの意思とは関係なしに魅了の効果があるそれを全身に浴びてしまったモナは止めるどころか更にハクに対して劣情を抱く様になってしまう。
「(これは
「ひっ!」
モナはハクの太腿に触れる。体温で暖かいそこは絶頂した事で流れ出るハクの愛液が伝っており、僅かな水気を感じさせる。その場所を触られた事で、次に相手が何処に狙いを定め始めたのか嫌でも分かったハクは必死に身動ぎをするが、全て無駄な抵抗でしかない。
「(唇も、美味しそうです)……んむっ」
「んんっ!?」
唐突にモナはハクの唇を奪う。突然の事に驚き戸惑うハクだが、そんな彼女の困惑など無視して続け様に入り込み始めるモナの舌が口内を蹂躙し始める。強引な口付けへの抵抗にと、ハクが出来たのは入って来た舌を噛む事。しかし快感に弱り切ったハクの噛む行為は甘噛みにもならず、モナの舌に心地良い刺激を与える事しか出来ない。
その間にも太腿を撫でる手は愛撫を続けていた。最後の守りである下着に手が掛かり、やがて強引に引っ張って容易く破られてしまえば……晒される愛液を流した秘部。熱くなったそこに感じる冷たい空気にハクは脱がされた事を嫌でも実感して、必死に足を閉じようとする。だがモナは口付けを続けたまま、両手でハクの両足を強引に開いてしまった。
「んんっ! ん、ゃぁ! んっ!」
「(あぁ、ハク。可愛いですよ)」
『ハクに敗北の後に待つ恐怖を教える』という建前は既にモナの中に残ってはいない。ただモナは込み上げる感情のままにハクを求めて貪り続けた。
口付けを止めたモナはハクの広げた両足を持ち上げた。そして膝裏に両腕を入れてしゃがみ込むと、モナの前にはハクの濡れた秘部が鎮座する。熱い程の温度を放つ秘部からの熱気を顔で感じながら、寄り深くハクの香りを嗅ぎ続けたモナは躊躇もせずに秘部へ舌を伸ばす。
「はむっ、じゅる。れろっ」
「ひっ! ゃぁ! 止め、ひぁ!」
普段の静かなハクからは想像出来ない大きな嬌声を聞きながら、モナは夢中でハクの秘部を舐め上げる。時には躊躇もせずに膣内へ舌を挿入して、膣壁すらも舐め続けた。
「こん、な……もぅ……ひっ、ああぁぁぁっ!」
「んぶっ!? ……ん、ゴクッ」
二度目の絶頂。吹き出た愛液はモナに掛かり、それをモナは驚きながらも飲み込んでしまう。
ゆっくりとモナはハクから離れる。だがそれはハクに恐怖を与える行為だった。ヒルチャール族に襲われていると思っているハクは彼らが最終的に自分へ何をするのか嫌でも考えてしまうのだ。……女を攫った野蛮な雄たちがする行為を想像してしまう。
「(もし私が男だったら、抑えられずこのまま犯していたでしょうね。ですが私にハクを最後まで犯す事は出来ません)」
「ぃ、ゃ……ぉかさ、なぃ、で……」
「(……取り敢えず、もう少し弄りましょうか)」
「ひっ!」
再びハクの傍へ立ちながら近づいたモナは片手でハクの胸を鷲掴みにしながら、片手で秘部を弄り始める。犯される訳では無かったが、身体を触れられる事に声を上げながら感じてしまうハクはその後もモナによって何度もイかされる事となった。
「……やり過ぎましたか」
何度目かも分からない絶頂を感じたハクは遂に意識を失ってしまう。最初と同じ様に力無く吊るされるだけの小さな身体。その姿は無残なものとなっているが、彼女自身に目に見えた危険は無かった。ハクの意識が無くなった事で、ようやく冷静に戻ったモナは自分のした事に少し呆れた様子で頭を押さえながら首を振る。
「もう十分ですね。解放してあげましょう」
ハクの両腕に付けられた拘束を外してY型の板から遂に解放したその身体を横抱きに抱えたモナは、目隠しを取ってから自分の被っていたとんがり帽子をハクの身体に被せる。小さな身体に大きな帽子が置かれた事で、ハクの身体は殆どが隠された。
「モナ、ハクは……っ!」
「無事です。見た目は酷いですが、最悪の結果にはならなかった様です」
「本当!? 良かった……とにかく、戻ろう。モナはハクをお願い。邪魔する奴は私が倒す」
「分かりました。お願いします」
建物を出て即座に現れた蛍がハクの無残な姿に戦慄するが、モナの言葉を聞いて心底安心した様子を見せると、2人を守る為に傍で行動を開始し始めた。
無事にモンドへ到着すれば、蛍が普段寝泊りをする場所へ。そこへ現れたパイモンがハクの様子を見て騒ぎ始めるが、それを蛍が黙らせる脇でモナはベッドへハクを寝かせる。
「やっぱり、ハクに戦闘はさせない方が良いと思います。その結果がこれですから」
「うん、そうかも」
ハクがこうなった事で、蛍もモナの言葉を聞いて即座に賛同する。
その後、モナはハクを蛍に託してその場を後にした。そして陽が沈み、昇る。
「……モナ」
「ハクですか。もう大丈夫なんですか?」
「ん……ありがとう」
「私が焚き付けた様なものですから」
「……」
翌日になり、目覚めたハクはモナの元へお礼を告げに現れる。だがモナがそれに答えてから、ハクはジッとモナを見続け始めた。
「なんですか?」
「……私を、襲ったの……モナ?」
「な、なんの事ですか?」
「……あの時の、匂い……モナと、似てる」
目隠しをされながら、自分の身体を好き勝手に弄った相手の匂い。それをハクは覚えていた。人よりも嗅覚が優れている事もあり、モナの匂いとその匂いが同じ事に気付いたハク。最初の質問で僅かに動揺したモナの姿も見た事で、その目はジトっとした物へと変わる。
「…………はぁ、そうですよ。負けたらどうなるのか、貴女に理解してもらおうと思いまして」
「……えっち」
「ぐっ!」
モナの自白を聞いたハクは服の上から自分の胸を片腕で隠しながら、静かに告げる。それがモナの心にダメージを与えたのは言うまでも無かった。そしてそれから暫くの間、更に追い打ちの如くハクから避けられる様になるのは仕方の無い事である。