小鳥遊 ホシノは寝ぼけ眼に目を覚ました。場所は学園の一室に置かれたソファの上。普段、許されるならばダラダラと惰眠を貪る事の多い彼女は自分が寝ていた事を朧気な思考で徐々に理解していく。そして、どの様にして眠る事になったのかを遡った時。自然とその視線は隣へ移動した。
「すぅ……すぅ……うぇへへー……」
「だらしない顔で寝てるねぇー」
同じソファで涎を垂らしながら幸せそうに眠るカナデ。その姿を見て、ホシノは優し気な笑みを浮かべてその髪に手を伸ばした。更に気持ち良さそうに、その手を無意識に求めながら眠り続ける姿を見続けている内、ホシノは嘗ての思い出を脳裏に蘇らせる。
『ホシノのばかー! ばかー! うわぁぁぁん!』
それは過去に自身が行った行為によって命の危険にも見舞われる事になった時の事。仲間や当時現れた先生によって救われたホシノは帰って来るなり泣きじゃくるカナデに飛びつかれる事になった。周りの視線など気にもせずに、只管ホシノの胸を叩きながら泣き続けるカナデを止める者は誰もいない。それを収めるのがホシノに与えられた罰の1つと捉えられたからだ。
『ずっと、ずっと一緒だったんだから。居なくなっちゃったら、私……ぐすっ』
『カナデには、おじさん以外にも沢山友達が』
『ホシノはホシノだけだもん!』
ホシノとカナデの関係は決して短くは無かった。今の自分を『おじさん』と呼称する怠惰な性格になる前から、カナデはホシノの事を知っている。気付けば数えるだけの人数しか残っていない学園で、気を許した最初の相手はお互いだった。だからこそ新しい友や仲間と出会っても、カナデにとってホシノは掛け替えのない存在。
「えへへ……ほしのー……」
「……こんなおじさんのどこが良いのかねぇ」
夢の中ですら自分と一緒に居るのだと察したホシノはその寝顔を眺めながら思った事を口にする。だがその声音には嬉しさの様な感情が。その表情は喜びに満ちていた。
目を覚ましたカナデは自前のお菓子を用意してホシノや仲間と共にほのぼのとした時間を楽しんでいた。だが各自にもやる事があり、徐々にその人数は減り続けて行く。やがて残ったのはカナデ、ホシノ、シロコの3人だけ。
「はい、あーん」
「はむっ! むふふ~! おいふぃいね!」
「ん、こっちも」
「まっふぇ! むぐむぐ」
「はぁ、可愛い……」
「襲っちゃ駄目だよ」
「…………ん。大丈夫」
「おじさん、謎の間が凄く気になるなぁ」
ホシノから差し出されたお菓子を食べて喜ぶカナデの姿に、シロコも同じ行動をしようとする。カナデ本人は余り理解出来ていないが、彼女は存分に甘やかされていた。『甘やかす』と言えば彼女達の仲間に思いつく人物が他にも居るが、カナデに関しては誰よりも甘やかしているのがこの2人である。つまり3人いると、カナデは溺れ気味になる。
既に眠った後のカナデとホシノはお菓子を食べても眠気に襲われる事は無かった。だがシロコは少し満たされた事で眠気を感じ、小さな欠伸をする。
「眠いの? なら、はい!」
「! 膝枕?」
「うん。ノノミがね、こうやって寝ると気持ちが良いんだって言ってたから!」
「ん。ありがとう。……苺か」
「ドサクサに紛れてスカートを捲るなー。はぁ、カナデは無防備過ぎておじさん心配になっちゃうよ」
「? ホシノも寝る?」
「さっきまで寝てたから平気だよ~。夜、寝れなくなっちゃうからねー」
膝枕を言われてシロコは驚きながらも喜んで彼女の膝へ頭を乗せようとする。だが乗せる前にヒラリとカナデのスカートを持ち上げて下着の柄を確認する姿にホシノは呆れた様子で注意した。された本人は特に気にした様子もなく、その無警戒な様子にホシノは思わず頭を抱える。
元々カナデとの仲が良かったホシノは過去の一件からより仲を深めた。しかしそれは他所から来た先生曰く、『少し過保護すぎる』との事。ホシノ自身もその通りだと思う反面、それぐらいがちょうど良いと思う事も多い。シロコの様な物静かだが、明らかにカナデに対して若干危なげな感情を向けている者が居るのだ。更に言えば、先生を通じて知り合った他の学校に通う生徒の中にもカナデへ危ない視線を向ける者が居たりするのだから仕方が無い。
「その内、食べられちゃいそうだよねぇ」
「? どれか食べたいなら、教えてくれれば残しておくよ? それか今食べちゃう?」
「……おじさんが食べちゃうのもありかな」
「どれが食べたいの?」
「お腹と太腿で、挟まれてる……柔らかい。……ん。今日からここに住む」
「それは止めといた方が良いと思うよ~」
夕方。学園から帰る時間となり、それぞれが別れて帰路へと向かう。ここで大事なのはホシノとカナデは決して同じ場所で寝泊まりをしている訳では無いという事。帰路すらも違う。にも関わらず、何故かホシノの帰り道にカナデは同行していた。
「どうしてついて来てるのかな~?」
「え? ホシノの家に泊まろうと思って!」
「そういう事は本人の許可を得るものだと思うんだけどねぇ」
「あ、そっか! 何か、最近普通だったから忘れてた!」
「……まぁ、おじさんもだけどさ」
カナデが一緒に帰っている。それは自分の家へ泊まりに来るつもりだから。ホシノの中で何時の間にかそれは当たり前の事になっていた。それでもこうして思い出した事で質問するが、カナデも同じだったのだろう。特に断る理由も無いとホシノは追い返す事はせず、共に同じ屋根の下へ。
「分かってると思うけど、明日は駄目だからね」
「大丈夫! バイト、頑張ろうー!」
抱えている問題を解決する為に、頑張る仲間の力になりたいとカナデもまたアルバイトをする事がある。危険の無い仕事だが、本人が非常に危なっかしいので心配してしまうホシノ。だがカナデ自身はやる気であり、明日の為にも早く寝て準備をするべきなのだろう。
「枕投げする?」
しかし残念ながら本人にそんな考えは全くない。お風呂上り、枕を手にワクワクした様子でホシノを見るカナデ。思わずため息をつきながら、ホシノは面倒そうに枕を持って布団へダイブする。それは言葉の無い『しない』という答え。カナデは理解すると、ホシノの隣へ同じ様に枕を並べてダイブする。
「そういえば、そのパジャマ新しいのだね」
「うん! ノノミがくれたんだ! でも、ちょっとブカブカ。楽だけどね!」
「そっか~。胸もそんなに空いて、上から下までそれ一枚だけとか……」
ホシノはカナデの両手を掴むと一瞬で馬乗りの姿勢になる。身体の大きさはホシノの方が少し大きい為、簡単にカナデへ覆い被さる事が出来た。突然の事に訳も分からず、だが自分がホシノに抑え込まれた事実だけが徐々にカナデにも分かる様になる。
「……ふぇ?」
「おじさんを誘ってるのかなぁ~?」
そこで初めて、カナデはホシノの
「いい加減にしないと、おじさんもそろそろ我慢の限界なんだよ?」
「ホシ、ノ……?」
徐々にホシノの息遣いは荒くなり始める。彼女自身は、こうして一度カナデを脅かすだけで最初は何もするつもりが無かった。だがカナデは戸惑いながらもホシノを退けようとする様子を見せず、不安げに見つめるその表情や激しい動きでブカブカのパジャマが肌蹴て見える胸元を前に抑えが効かなくなっていた。
「はぁ……おじさん、そっちの気があったのかなぁ? ううん、違うね。おじさんは女の子だから興奮してるんじゃなくて、カナデだから興奮してるのか~。もう、いいや。どうでも良い。嫌われても、もう我慢しない。……でも、嫌わないで欲しいなぁ~。だって全部、全部カナデが悪いんだからね」
ホシノの家でカナデが押し倒されてから数日。2人の関係はこれまでと異なるものになっていた。
「ホシノ―!」
「わぷっ。飛び込んで来たら危ないよ」
「ふふっ、今日も2人は仲良しですね~」
他人から見れば何も変わっていないのかもしれない。お菓子に囲まれながら、一緒に隣合って座るその姿はいつも通りの仲良しな2人。
だが、彼女達は仲間達にも知らせていない秘密を一緒に共有していた。
「あぅ! ほ、ホシノ~……!」
「ん~。ほら、次はこっちだよ~」
自ら近づいたにも関わらず、突然少しだけ恥ずかしそうに顔を染めるカナデ。彼女は他の仲間達から見えないところで、太腿の際をホシノに触られていた。今までのスキンシップとは違う、明らかな下心のある触り方。少し抗議する様にカナデはホシノへ視線を向けるが、それを受けてホシノは目を細めながらも手を止めない。それが『バレてはいけない事』だと聞かされているカナデは、普段通りを意識しながらお菓子を食べる。
表面的には平和でありながら、隠れて淫らな事が起こる時間。しかしそれもずっとは続かない。1人、また1人と仲間たちが退室して残ったのはカナデとホシノ。最後の1人が言葉を残して部屋から出た時、カナデの太腿を撫でていたホシノは即座に行動した。
「んっ……おじさんは我慢するのが大変だったよ~」
「前みたいな事、するの?」
「前みたいな事? どんな事だったかな~、おじさん分からないな~」
「えっと、おまた……じゃなくて、お、おまんこを触ったり……何か恥ずかしいっ!」
カナデはその手の話に関する内容が無知だった。だからこそ、ホシノに言われて覚えさせられた単語を口にする。それが卑猥なものである事をその場面で教えられた事もあり、恥ずかしさをしっかりと感じていた。普段、純粋な少女が卑猥な事を口にする場面にホシノは謎に来るモノを感じる。
「ほら、こっち向いて」
「う、うん……あ、むっ……ちゅっ」
ホシノはカナデとキスをする。片手をカナデと繋ぎ、ソファへ突きながら太腿を触っていた手は変わらずにその感触を堪能しようとし続ける。カナデはその全てを嫌がる事も無く、受け入れていた。
あの日、我慢出来なくなったホシノによって大人の階段を上る事になったカナデ。まだ全然なり切れてはいないが、仲間達や他の学園に在籍する少女達と比べれば確実に経験の回数が多い。ホシノに殆ど毎日の様に経験を積まされているのだから、当然である。
お互いに経験は無かったが、無知のカナデと知識のあるホシノではリードするのは決まっている。そもそも襲い掛かったのはホシノなのだから、当然とも言えた。嫌われる事を恐れながらも、カナデへの感情を抑えられなくなったホシノ。その結果、生まれた今の関係は彼女にとって最高の結果。
「あっ! ホシノ……もっと、触って?」
「仕方ないなぁ~。カナデは欲しがりさんだね~」
「うぅ、ホシノのせいだもん」
「そうだねぇ、おじさんのせいだよ。ちゃんと責任とってあげないとね~」
ニヤニヤといった音が似合う笑みを浮かべながら、ホシノは求めて来るカナデへの攻めを激しくする。優しい触れる様なキスは舌を絡める程に深く、太腿を撫でる手は下着の中へと入れられて直接大事な部分を弄り、カナデはホシノの身体にしがみつく様にして身体を震わせ続ける。
「んっ、責任、って……ひゃう! な、にぃ?」
「これから出来る日は毎日こうして可愛がってあげるって事だよ~。嬉しいでしょ?」
「ま、毎日……? ひぁ!」
「そう、毎日だよ。ほら、クチュクチュ~。はむっ」
静かな部屋に響くのは、2人のキス音とカナデの秘部から流れる愛液をホシノが指で掻き回す事で生じる水音ばかり。自慰も知らないカナデの身体は快感に対する耐性が全くなく、ホシノの慣れない攻めでも徐々に絶頂へと近づいていく。
「あ、あっ! あれ、来ちゃう……っ!」
「ちゃんと『イク』って言うんだよ~」
「ホ、シノっ! ひぁ! イ、ク……イっちゃうっ! あああぁぁぁっ!!!」
大きな声を上げてカナデはホシノの攻めにより、絶頂を迎える。大きく身体を震わせて、秘部を弄るホシノの手は溢れる愛液に濡れる。
震える身体がゆっくりと収まった時、カナデは力なくホシノの身体に倒れ掛かる。まだ意識はあるものの、立ち上がる事も出来ない程に疲れ切っていた。
「はぁ……はぁ……」
「良いイキっぷりだったよ~。それじゃあ、もう1回……っ!」
「ん、ここに居た。……? カナデ?」
「はぁ……ふぅ……シロコ、お菓子、食べる……?」
ホシノはまだ続けようとするが、そこで部屋の前に近づく気配を察知して身体を支える事に。すると、部屋にシロコが入って来る。普段の元気一杯とは違う弱ったカナデの姿を不審に思う彼女だったが、気丈に振る舞うカナデはシロコにお菓子を渡そうとする。明らかに様子のおかしいカナデの姿。そして部屋に漂う普段はしない特徴的な香りに気付いたシロコはやがて目を細めた。
「ん。用事思い出した。また来る」
「えっ? あ、うん」
「…………バレちゃったかなぁ」
シロコが何かに気付いた事をホシノは察する。普段からカナデにとても懐いているとも、欲情している様にも見えるシロコ。気付かれてはいけない存在に気付かれてしまったかもしれないと、ホシノは頭を抱えながらもカナデを優しく撫で続ける。それは結局カナデが疲れから眠ってしまうまで、続くのだった。