奏には楽しみが沢山ある。彼女にとって美味しいものを食べる事は幸せであり、家族や友達といった近しい人達と過ごす事も幸せ。そんな彼女の放課後の過ごし方は最近、お気に入りのアイスを食べる事。
「あ、るるか!」
「お先に」
だがただアイスを食べる訳では無い。美味しいものを食べる幸せと、友達や近しい人と過ごす幸せは同時に享受する事が出来る。そしてアイスを買える場所で出会える少女、森亜 るるかがベンチに座っている姿を見つけて奏は嬉しそうに声を掛けた。
二人が出会ったのもこの場所。お互いに別々でアイスを購入して食べる為に訪れたそのベンチで相席したのが切っ掛けだった。ただ静かにアイスを食べるるるかとは対照的に、喋らずとも体を動かして美味しさを見せていた奏。やがてるるかが同じものを食べていると気付いた時、何の躊躇も無く『美味しいね!』と声を掛けたのが全ての始まりとも言えた。
「今日は何味にしたの?」
「これよ」
「うーん。ピンクと紫……イチゴとブルーベリー!」
「正解。そっちはバニラと……青って事はブルーハワイ辺りね」
「大正解! よいしょっと!」
お互いのアイスを見せ合って色から味を予想し合いながら、奏はるるかの座るベンチに腰掛ける。基本的にるるかは無口な方であり、話すと言っても奏が喋ってばかり。それでもるるかは嫌そうな顔をせず、アイスを食べながらそれを聞き続けていた。もし少しでも嫌がる素振りがあれば、奏も話す事を止めるだろう。過去には一度不安になり、奏は直接聞いた事もあった。
『平気よ。私も聞いていて楽しいから』
それがるるかの答えであり、それ以降奏は話し続ける様になった。今日学校で何があったのかを始め、飼っている猫の事や美味しいお菓子の話等。しかし一つだけ、奏は思いついても話には出さない事がある。それは友達との出来事。最初に出会った頃は出していた話題の一つだったが、それなりに繰り返した頃。ある日突然るるかがそれを遮ったのだ。
『貴女の好きな事の話を聞くのは良いわ。けれど、知らない誰かの話は止めて』
何かが癇に障ってしまったのか、奏は不安になりながらもそれ以降誰か別の人が関わる話をしなくなった。それでも一つの話題が消えただけで話は尽きず、特に猫の話が奏の話す主な内容となっている。
「溶けるわ」
「あっ! あわわっ!」
「全く」
話に夢中になっていた奏の手にはドロドロになったアイスが纏わりついていた。服へ落ちる前に何とかそれを舐めようと舌を伸ばしながら焦る姿を前に、るるかは少し呆れた様子でその姿を眺める。少しの間をおいて、奏の手は自らの唾液で濡れながらもアイスが地面の染みになる事は防がれた。
「危なかった!」
「……ふふっ……っ!」
危機を逃れた奏の姿にるるかは少しだけ声を出しながら微笑む。だが突然何かを感じ取った様に顔を上げると、椅子から立ち上がってその方角を見つめ始めた。
「? どうしたの?」
「急用が出来たわ」
「そっか。じゃあ、またね! るるか!」
「えぇ、また」
離れて行くるるかを見送ってから、奏も残りのコーンを食べ終えて帰宅する。短くとも殆ど毎日の様に繰り返すこの時は、確かに二人にとって大事な時間だった。
それは余りにも突然の出来事だった。
奏が自宅で夕食もお風呂も済ませ、後は寝るだけの状態にいた時。突然窓から入る風に振り返る。不用心にも鍵を閉めていなかったそこに立って居たのは一人の少女。杖を手に金色の長い髪を靡かせるその姿に奏は驚かずに居られない。
「だ、だれ?」
「……」
奏の問いに少女は答えなかった。飼っていた猫が威嚇し始めるが、その姿を前に少女は一瞥するのみで脅威にも感じていない。やがて一瞬風が吹いたと思えば、少女は奏の至近距離に立っていた。
「えっ」
――――――捕まえた
その声は目の前の少女なのか、他の誰かなのか。それが分からないくらい、奏には耳では無く頭で聞こえていた。逃げるどころか動く間もなく背中に回された腕に抱かれ、引き寄せられる。
そして……
またいつもの様にアイスを食べる時間がやって来る。奏よりも普段から先に来ていたるるかだが、今日は来ないかもしれないと思っていた。その理由を知るのは二人と一匹だけ。前回とは違うアイスの味を感じながら過ごす事少し、やがてるるかの視界に見覚えのある少女の姿が映り込んだ。
「ぁ……るるか」
「アイス、買い忘れてるわ」
「え……あ、うん。そうだった」
「はぁ。ほら、買いに行きましょう」
明らかに元気のない奏だが、るるかは心配する素振りを見せながらも追及はしない。何を食べるかも決められない奏だが、それでもここへは習慣の様に来てしまったのだろう。それだけこの時間が彼女にとって大事になっていた事に嬉しく思いながらも、るるかは奏をベンチに座らせる。
「今日は一個にしておきましょう」
「うん、ありがとう」
「それで、何があったの?」
普段は何も言わずとも話し始める奏だが、今回はるるかからその内容を自ら誘導する様にして聞き出し始める。何が行われたのかをその口から語らせるために。思い出したのか徐々に顔を赤くする奏だが、おかしい事は当に気付かれている為に誤魔化しようもない。学校ではどう対処したのかを疑問に思いながらも、るるかは彼女が話し出すのを待った。
「あの、ね。るるかの知らない人の話になるんだけど、良い? るるかのだけじゃなくて、私も知らない人……なんだけど」
「……良いわ。話して」
「昨日、夜にね。知らない人が家に来たの。いつの間にか中に居て、それで急に抱き着かれて……体を一杯触られて」
そんな内容を聞かされれば、大慌てになりながら奏の体を心配したり警察等に連絡する事を真っ先に考えるのが普通だろう。だがるるかはそれを聞いて何も言わない。だがその目がもっと詳しくと語り、奏は更に詳細に内容を話し始める。そこに確かな羞恥を感じながら。
捕まった後、奏は家にあったベッドへと押し倒された。抵抗しようとしても、少女の力には全く敵わない。少女の持つ杖で軽々と両腕を頭上に押さえ付けられてしまった後、その体を。主に胸をまずは服の上から撫でられ始める。
『ベッドへ押し倒されて胸を、ね。どんな感じだったの?』
『わ、わかんない。頭にビリって電気が走った感じ?』
ボタンで止める前開きのパジャマだったため、少女は器用に片手でボタンを外していく。やがて露わになったのは本の僅かな膨らみのある乳房。
『下着は付けて無いの?』
『寝る時は外してるの。普段は言われた事があるから、ちゃんと付けてるよ!』
少女は人差し指で弾く様に片乳の乳首を攻める。その感覚は衣服に擦れるのとは訳が違い、奏は思いっきり身動いだ。
『胸を触られるのとは全然違ったのね』
『ピリじゃなくてビリっ! って感じだった。頭真っ白になって、そしたら』
奏の反応を前に少女はゆっくりと顔を乳房へ近づけると、片手で同じ事を繰り返しながらもう片方の乳首を口に銜えて舐め転がし始める。弾かれる刺激とは全く違う滑る舌に舐め転がされる快感は経験も知識もない奏にとって理解できない物だった。
『何も考えられなくなって、なんか変な感じがしたの。何か身体の奥からあがって来るみたいな感じがして……』
『絶頂ね。イク、とも言うわ』
『イク? じゃあ、私……イっちゃったんだ』
両乳首を同時に刺激され続けて、奏の体は余りにも容易く絶頂を迎えてしまう。体が痙攣する様に震える中、少女は杖での拘束を止めた。もう必要が無いと判断したのだろう。乳首への刺激を止め、奏は終わりだと思う。だがそれは間違いだった。
『いきなりズボンを脱がされて、下着も取られちゃった』
『上半身は前だけ無くて、下半身は全部脱がされたのね』
下半身を丸出しにされた奏は込み上げて来る恥ずかしさから無意識に足を閉じようとするが、少女は遠慮なくその膝に手を掛けて強引に開いてしまう。見えるのはその体に相応の小さな割れ目。上には更に小さな突起が少しだけあり、少女は自らの体を足の間に入れて閉じられなくしてから優しく突起を弄り始める。
『もっと凄い電気が走ったみたいで、もう訳が分からなかった』
『そこは女性にとって一番敏感な部分だから、当然ね』
『あと、ね。お漏らししてたの。それも凄く恥ずかしかったんだ』
『いいえ、この状況だとそれは違うわ。愛液よ』
『愛液?』
『気持ち良いと出て来るの。あなたは気持ち良くされっぱなしだから、濡らしてしまっていたのね』
乳首での絶頂で既に濡れていた奏の秘部。その愛液を指先に馴染ませる事で、少女はより奏へ快感を与えやすくなる。そして突起だけでなく、秘部にまでその弄りは及び始めた。片手の指先で突起をなぞりながら、もう片方の指がゆっくりと奏の中へ侵入しようと始めたのだ。
『二ヵ所を同時に。貴女には耐えられ無さそうね』
『真っ白になって、それからは記憶も曖昧なの。でもおまたはずっとジンジンしてて』
『一応教えておくわ。弄られていた突起はクリトリス、穴がおまんこよ』
『クリトリスとおまんこ?』
『っ! えぇ、覚えておいて』
乳首を攻められて絶頂する奏がクリと膣を同時に攻められれば、容易く至るのは当然と言えた。寧ろ少女はそれを分かった上で、絶頂する奏の体を弄り続ける。
『意識が無いだけで、何度も絶頂したのね』
『朝、起き上がるのが大変だったの。気付いたら朝になってて、その人も居なくなってたよ』
赤裸々に昨晩の内容を語った奏の顔は真っ赤になっていた。それ程までに恥ずかしさを感じていたのだろう。るるかはコーンの最後を口に含むと、考える素振りをする。語られた内容の全てを彼女は知りながら、自身がされた事を奏に語らせる事に成功して満足しながら。
「あれ、るるか。足、怪我してる」
「え? あ……これは少し、擦りむいただけよ」
「でも引っ掻き傷みたい。そういえば、あの時
「そう、良い猫ね。でもこれとは関係ないわ」
「……うん、そうだよね! るるか、金髪じゃ無いもん。髪も長くないから、違うよね!」
意外なところで少し鋭かった事に驚きながらも、るるかは奏が単純な事もあって簡単に信じ込ませる事が出来た。そして今回の目的が達成できた事に満足しながらも、次について考え始める。
「何があったのかは分かった。また同じ事があるかもしれないから、気を付けて」
「でも、どうすれば良いのかな?」
「鍵を閉めるのが第一。それでも駄目なら、私が相談に乗るわ」
また同じ様にるるかは違う姿で奏の前に現れるだろう。そして自らがした事を友として相談に乗る形で聞く。奏の話をずっと聞いて来たるるかにとって、他人でも他のものでもない自身に関わる事を話されるその時間は、確かに奏を自分が染めている様に感じられた。快感でも思考でも、全てが自分の事で頭が一杯になる奏の姿を想像したるるかは本の僅かに笑みを浮かべる。