【もしもの話】
久遠は明日奈に招待されて彼女の家へ来ていた。普段から自分の家へ来て欲しいと久遠へ言っていた明日奈だが、ことごとくそれは久遠の姉である詩乃の許可が下りない事で叶わずにいた。だがそれも数日前までの事。
「いらっしゃい、久遠ちゃん」
「お邪魔します……ここが、明日奈の家」
明日奈がそれなりのお嬢様である事は周知の事実。だが想像はしていたとしても、実際に見る大きな家に久遠は改めて明日奈がお嬢様なのだと実感する。勿論、本人にとっては普段から帰っている家。久遠を招いた明日奈はそのまま真っ直ぐに自分の部屋へと導いた。
「挨拶、しなくて良い?」
「今日は私達以外、家に居ないの。明日の夜まではお母さん、帰って来ないんだ。久遠ちゃんは明日の午後には帰るつもりでしょ? だから多分お母さんに会う事は無いと思う」
「ん、分かった」
この日、明日奈念願のお泊りが行われようとしていた。全ては明日奈が久遠と付き合う事になったのが切っ掛け。姉として、家族として反対していた詩乃だが、久遠本人が自ら泊まりの誘いに行きたいと言い始めてしまえばどうしようも無い。まだ知り合って間もない相手なら、警戒をする事もあるだろう。しかし久遠にとって明日奈は長い付き合いの友達。そしてそれ以上の存在になったとなれば、もう詩乃には止められない。
「勉強、する?」
「そうだね。それじゃあ、私が見てあげる」
泊まりに来たのは何も遊ぶためだけでは無かった。勿論それも含まれており、明日奈としては久遠と一緒に居られればそれで良い。だが誘う名目として明日奈が提案したのは、勉強を教える事だった。久遠の習っている範囲は当然、年上の明日奈が数年前に習った場所だ。明日奈は復習も兼ねて久遠に教える事が出来る。
「今はどの辺りを勉強してるの?」
「ん。ここから」
「どれどれ。あぁ、そこなんだ。えっとね」
持ってきた教科書やノートを開いて真面目に勉強会を始めようとする久遠に明日奈は少し感心しながら、勉強を教えようとする。最初は明日奈の部屋にあったテーブルに道具を開いて並びながらだったが、その互いの肩は終始くっ付いていた。
「うーん。ちょっとやり難いかも。あ、そうだ!」
「っ! ビックリ、した」
途中で肩だけがくっ付いている事に物足りなくなったのか、明日奈は真面目に勉強をする久遠を前に思いついた様子で動き始めると、久遠の身体を持ち上げて自身の膝に座らせる。かなり視界が高くなり、身体の背面で明日奈の温かさを感じる事になった久遠は少し文句を言いつつも逃げようとはしない。ALOの世界で誰かに張り付かれている状況には慣れており、それが
「んー! ふふっ、温かい。それに、良い匂いもするね」
「……明日奈、くすぐったい」
勉強をしやすいようにと変えた姿勢。しかし明日奈は久遠の身体により密着出来る様になった事で、そのまま後ろから抱き締めて髪に鼻を埋めながら匂いを嗅ぎ始める。仮想世界では決して味わえない、本物の久遠から香る匂い。それは明日奈にとって最高の興奮材料でもあった。
慣れた煩わしさを感じながらも、真面目に勉強をしようとノートに書き込みを開始した久遠。教える筈の明日奈は気付けば久遠を堪能するのに夢中であり、久遠自身も勉強に誘われたといってもテストの点数等で困っている訳でもない事から問題にも悩まず放置する。
「……」
「すんすん。はぁ…………ねぇ、舐めて良いかな?」
「……良くない」
「そっか、そうだよね……。はむっ」
「んぁ!? 明日奈……っ!」
「ふふ、ごめんね?」
徐々に我慢出来なくなり始めた明日奈は悪戯をする様に、久遠の耳朶を甘噛みする。駄目と言われた上で行ったため、睨まれるのは当然の事。だが久遠の睨みで明日奈を怖がらせる事は出来ず、それどころかその睨みを見た明日奈は楽しそうに微笑んで久遠へのスキンシップを更にエスカレートさせ始める。もう、彼女に勉強を教える気は一切なかった。
「っ! 明日奈っ!」
「ほら、ちゃんと勉強しようね?」
膝に乗せられたまま、身体を抱き締められていた久遠は自分を着ている服の中に裾の部分から一本の手が入って来た事に気付いた。脇腹を撫でる様に経由しながらやがて辿り着いたのは、小さくとも下着を付ける程度には育ち始めている乳房。下着の上から優しく撫でる様に触れられるその感覚は、普段くっ付かれている久遠でも味わった事の無いものだった。
「真面目に……んっ!」
「ふふ、可愛い」
このままでは良くないと持っていたペンを置いて明日奈の手を止めようとした久遠だが、その隙にもう片方の手が同じ様に服の中へと侵入。そのまま服の中で下着越しに明日奈は久遠の両胸を揉みし抱く様な姿勢になる。
「ねぇ、このまま保険体育の勉強もしない? 実技で、ね?」
「しな、い……んぁ!」
明日奈の手が下着の中へと入り込み、直接乳房を揉み始める。久遠は本気で明日奈の手を止めるために自身の服の上からそれを抑えようとするが、明日奈とは体格差があり、力でも全く敵わない。このまま好きにされる訳にはいかないと逃げる為に今度は立ち上がろうとするが、明日奈はそれを察して片手を久遠の腹部へ。そのまま力強く抱いて拘束してから更に手を下へと降ろしていき、大事な場所を守る一枚の布に触れる。
「ひっ! 待って……」
「久遠ちゃん、ここを触った事はある?」
「っ!」
明日奈達と出会ったSAOの頃、久遠は性に関する知識が浅かった。しかし今は違う。その場所が何のためにあるのか、性行為についての知識をきちんと身に付けている。だが知ったところで自慰をした事も無ければする気も無く、更に言えば姉である詩乃と一緒に住んでいるので出来る訳もない。そんな全く未経験の大事な部分が今、明日奈に触られようとしていた。拒否では無く恐怖から、久遠は明日奈の言葉に必死で首を横に振る。
「それじゃあ久遠ちゃん本人よりも先に、私が触るんだね」
「まだ、駄目……っ!」
親密な関係になったのなら、久遠もいつかはその時が来ると思った事はある。しかしそれは今まで以上に明日奈との仲を深めてからの、もっとしっかりした場面でする事だと考えていた。始めてやって来た明日奈の家で、勉強しようという場面で襲われるとは露程も思っていなかった。
「しっかり濡らさないと、痛いかもしれないから……はむっ」
「んあぁ!」
再び明日奈に耳朶を甘噛みされながら、片手で乳首を摘まれて秘部の周りを優しく撫でられる。全ては秘部を弄る前の前戯であり、濡らす事が目的で明日奈は刺激を与えていた。慣れない快感を本格的に与えられ始めて、久遠の身体からは抵抗する力が徐々に失われていく。
「久遠ちゃん、凄い敏感だね? …………でも嘘をついてないと思うから……もしかしてお姉さんが……?」
「何をんっ、ぶつぶつ……言ってる?」
久遠を弄びながら、明日奈は感じているその姿を見て疑問に感じていた。それは久遠が余りにも敏感過ぎる事。久遠が自慰を普段からしていないと明日奈は疑う事もせず、他の理由を考える。その結果、即座に浮かんだのは久遠の姉である詩乃の仕業である可能性。しかしそれを確認する事は出来ず、明日奈は疑問を抱えながらも久遠を攻め立てる。
「あっ……ふふ。ほら、濡れて来たよ」
「ぅ、ぁ……」
秘部周りを触る手が水気を感じた事で、遂に久遠が愛液を流し始めた事に明日奈は気付いた。そして指に出来る限り付着させた愛液を、久遠の目の前へと持ってきて見せつける様に指同士で擦り合わせる。微かな水音と粘り気のある粘液である事を証明する指と指の間で繋がる橋の光景に、久遠は恥ずかしさから目を逸らす。
「手が止まっちゃってるよ?」
「こん、なの……出来る訳、ないっ!」
「それじゃあ、もう諦めて楽しもうよ。ね? ほら、キスしよ?」
「……ん、むっ……は、むっ」
もう勉強を続ける事は明日奈の言う通り出来ないだろう。諦めて明日奈の言う通りにしてしまうべきかと一瞬考えてしまった久遠は、自分の顔を覗き込む明日奈にそのままキスをされる事で考える余裕も無くしてしまう。口内へ入って来る舌が全てを味わい尽くそうと好き放題に動き回り、頭の中が真っ白に染め上げられる。胸への刺激は勿論、秘部周りを撫でていた指先は直接その入り口を刺激する。
「ジュルルっ! はむっ、ふふっ。美味しいよ」
「ひっ、あっ! 待っ、て……っ!」
唾液を味わいながら、久遠を攻める手は徐々に激しさを増す。自身の膝上で愛しく思う存在が思うままに感じて悶える様に明日奈は幸せと高揚感を感じずにはいられない。
それから長い時間を掛けて、久遠は明日奈の手に寄って弄ばれる。絶頂を知らない身体。そして明日奈も始めての行為だったためか、簡単にはその時に至らない。だが燻る快感の火は徐々に着々と燃え上がり続けている。
「はぁ……はぁ……んっ!」
「久遠ちゃん、んむっ」
久遠も勉強の事など完全に忘れて、先程と同様に明日奈の膝の上で、だが今は向かい合う形で互いを求め合う様にキスをし続けていた。明日奈からの一方的なキスではなく、自らも積極的に舌を絡める様にして。
「好き、好きだよ。久遠ちゃん」
「明日奈……ん、私も、好き。大好き」
最初から泊まる予定だったこの日、勉強会という名目で誘われた久遠は明日奈と求め合う様にして共に過ごし続けた。疲れ果てて眠る時も同じベッドで抱き合い、翌日も四六時中久遠に引っ付き続けた明日奈に中々帰れなくなってしまうのは当然とも言える事だった。