大観衆の中、アークは自分へ迫る凶器を必死に剣で防ぎ続けていた。繰り返される連撃には防御しか出来ず、だが徐々に追い詰められていく。やがて一撃を受け止める剣を伝わって柄を握る両手に痺れを感じた時、相手はその瞬間を見逃さない。
「これで、終わりですわ!」
「っ!」
強く大きく下から上へと振るわれた鎌が火花を散らしながらアークの剣にぶつかり、やがて握る力を上回る威力となって剣を空へと舞い上げる。何度も繰り返し回転しながら、やがてその剣が地面へ突き刺さった時。アークの首元には死神が命を刈り取るかの様に鎌が添えられていた。
響き渡る大歓声。勝敗が決まったのを誰もが悟り、アークが戦っていた相手、死霊のアイリも同様に自分が勝った事を確信して満足気に笑みを浮かべる。そして鎌を添えたまま、アークへと顔を近づけて声を掛ける。
「私の勝利。そして敗者は勝者に絶対服従、ですわ」
「……」
アークは自分が負けた事を受け入れるしかない。そしてアイリに告げられた言葉に、彼女はこの先どうなるのかを想像する。決して自らが望んだ喜ばしい未来は無いだろう。一体アイリが自分に何をしようとするのか分からない事への恐怖が心の中に生まれ、それを感じ取ったアイリは微笑みながらアークの頬を愛おしそうに撫でる。
アイリは仕えている存在に突然、とある街の大会へと出場する様に命じられた。四年に一度開催される大会、クイーンズブレイドを模した違う大会。名声や様々な目的をもって数多くの存在が出場するが、どれだけ盛り上がっても本物のクイーンズブレイドではない。そこへ出る意図が分からないアイリに彼女の主は告げる。『そこにお前の望む者がある』と。占い等で物事を決める事もある主の言葉。不思議に思いながらも、アイリは疑わずに言われた通り大会へと出場した。
「ご主人様の言う通りでしたわ。まさか、これ程素晴らしい精気を持ち主に出会えるなんて」
死霊として生きる者の精気を吸う事で存在し続けるアイリ。それは彼女にとって人間の食事と同義であり、当然ながら好みも存在する。彼女が好むのは主に美女・美少女の精気であり、大会に出る事で美しく美味しい女達に出会う事への期待もあった。触れるだけで精気を吸う事も出来る為、戦いの最中にその味を確認しながら、気に入った存在が居れば勝者の特権として自分のモノに。
今回の大会へ出場するに当たって街へと到着したアイリは、出場者の中にどんな存在が居るのかと吟味する。そして、目に留まったアークから目を離せなくなった。美味しそう、だけでは済まない程にアイリはアークから感じる精気に魅了される。その姿をも一目で気に入り、彼女は即座に主人の話していた自分の望む者がアークだと気付いた。
「私のモノになるまで、他の誰にも手を付けられなくて良かったですわ」
アークと相対するまで、他の参加者と何度か戦う事にはなった。その中には美女も美少女もしっかり存在していたが、一度アークとその精気を見てしまったアイリには他の全てが安く質の悪いものにしか見えない。もしアークが誰かに負けた場合、自分がその勝者を倒してアークだけを奪うつもりで彼女は戦い続けた。手に入らない未来は想像もせずに。
「私に……何するつもり?」
「ふふっ、何となく分かっているんじゃありませんの? 同性とはいえ、同じ部屋でベッドは一つ」
アイリはベッドの上で自分を睨みつける様に見つめるアークの姿を見て、興奮を抑えられなかった。触れるだけで精気を吸う事は出来るが、もっと効率良く精気を手に入れる手段が彼女にはある。しかも楽しく、気持ち良く食事を出来るとなればしない手は無い。相手が好みとなれば、楽しさも膨れ上がるだろう。アークは逃げられないかと周囲を見回しているものの、武器も無い状況。出来るのは抵抗するだけだが、それすらもアイリは許すつもりは無かった。
「いきなさい」
「!?」
アークに向けてアイリが放つのは、低級の霊達。それは一瞬でアークの身体を纏い、やがてその動きを縛り付ける。身体の全てを思い通りに動かせなくなった時、アークの身体を押し倒して仰向けにしたアイリはその手で服を脱がし始める。上下共に全てを脱がして丸裸にしてから、今度はアイリも自らの服を消し始めた。彼女の服は彼女自身の力で作られているため、脱ぐ必要はない。
「ふふっ、いただきますわ」
「ひっ! ぁん、んむっ!」
アイリはアークの身体へ覆い被さり、全身を触れさせながらキスを始める。死霊だからかその身体は冷たく、生きているからこそアークの身体は温かい。身体が冷える感覚と共にアイリへ僅かに精気を奪われながら、舌を絡め合う事で口移しの様にアークの精気は吸い取られていく。
「はぁ、ふぅ……触れて、キスをしただけでこんな。もう戻れませんわね」
「ぅ……ぁ……」
「ふふっ、精気を吸われる感覚はどうですか?」
「こわ、ぃ……」
「大丈夫ですわ。吸い過ぎてしまったら死んでしまいますが、塩梅は分かっています」
自分の身体から生きる活力ともいえるものが吸われているのだ、アークが恐怖するのも当然だろう。全てを奪われれば命が無い事を本能的に感じても、それを吸うアイリから逃げる術はなく、殺されるかもしれないと思う恐怖を感じながらではアイリの言葉で安心出来る筈もない。
「気持ち良く、してさしあげましょう」
「な、に……それ……」
「まずは入り易い様、ヌルヌルにしておきますわ」
今度はアークに快感を与える為に、アイリは自らの腕を見せる。指先から徐々に形を変えたその手は触手の様にヌルヌルと蠢き始め、それを見せつけたアイリはまず自分の口でそれを官能的に舐め始める。音を立て、全体に唾液をたっぷりと付着させるために。
「これで準備万端ですわ。これだけヌルヌルにしておけば……」
「う、そ……待って……っ!」
「挿入しやすい、ですわね」
「ぅあぁぁぁ!」
いやらしい水音を響かせながら、アークの秘部にアイリの触手腕が挿入される。破瓜の証がベッドのシーツを赤く染めるが、アーク自身痛みを感じている様子は無かった。アイリはアークの身体が入った異物に慣れるまで、触手腕を動かさずにその身体を抱き続ける。
「貴女の初めて、いただきましたわ」
「あ……ぁ……」
初めてを奪われた事実、身体の中に入って来る異物の感覚。アークが何も言えずに恐れる中、アイリは再びキスを始める。舌を絡めて精気を吸い出したい気持ちを抑えながら。すると挿入しただけで動かしていなかったアークの秘部から微かな水音が響き始める。それはアイリの付けた唾液とは違う、彼女の身体が異物を受け入れる準備を整えた合図。
「んむっ、じゅる……私を受け入れなさい」
「あっ! んあぁ! ひっあぁぁぁ!」
アイリは少しだけアークの膣内で触手腕の先を動かし始める。それで痛みを訴えるどころか明らかに快感を得ている姿に満足して、キスを続けながらも触手腕を動かしてまるで性行為をする様に抽挿を始めた。聞こえていた水音は大きく、激しさを増す。
「あぁっ! なに、か……来る……っ!」
「良いですわ。そのまま身を委ねて、私に最高の精気を!」
「あっ、ひっ、んむっ、んんっ~~~!」
絶頂の瞬間、アイリはアークの口を自らの口で塞いで舌を絡めながら吸い上げる。人間が絶頂する瞬間が最も精気を発している時であり、アークの中から溢れ出る精気を吸い尽くす勢いで。勿論、命の危険はない様に気を付けながらも。
何度か身体を痙攣させながら、次第に大人しくなっていったアークはそのまま眠る様にして意識を失ってしまう。口づけをしたまま、しばらくの時間をその状態で維持し続けていたアイリはやがてゆっくりとその顔を上げる。はしたなくも口元に唾液を付けたまま、その表情は恍惚としていた。
「はぁ……これは、美味し過ぎますわ。本当にもう、戻れませんわね」
触手腕を引き抜けば、小さな身体にぽっかりと空いた膣穴がゆっくり時間を掛けて閉まる。一度で満足したのか、アイリは霊を戻してそのままアークの身体を抱き、満足した様子で眠る様に目を閉じた。そしてそのまま翌日の朝まで二人は眠り続ける。
偽物の大会でアークを手に入れたアイリ。目的の存在を手に入れた以上、もう大会に出続ける理由が彼女には無かった。何かの拍子でアークが奪われるくらいならと、彼女は残る戦いを放棄して別の街へと移動してしまう。
「これから貴女は私の精奴隷ですわ。毎日私にその精気を捧げなさい。その代わり、それ以外は自由にして構いませんわ」
大会で負けた者が勝者の奴隷となり、酷い事をされる事も普通の世界。毎日気持ち良くされて精気を奪われるが、それ以外は自由というのは優しいともいえる。自分が敗者である事を受け入れているアークからすれば、絶望していた事から変わって比較的平和な内容に安心出来た。勿論、まだ身体を許す事への抵抗感はあるが……求められれば応じる他ない。
「徐々に、自ずと私を求める様になりますわ」
「……」
アイリを主人として、アークは今後の日々を殆ど彼女と共に過ごす。彼女に毎日喘がされて精気を吸われ続ける毎日。その言葉通り、心を許し始める頃には……立派な精奴隷となっているのだろう。