「みこーん!」
「?」
突然聞こえて来る女性の声にハクは周囲を見回した。現在居るのはとある建物の廊下であり、自室となっている場所に向かって歩いていたハク。しかしその声に足を止めた彼女はしばらく黙って周りを見た後、やがて静かに口を開いた。
「……玉藻」
「はいっ! 呼ばれて登場、貴女の玉藻の前ですよ!」
「……」
静かに呼んだその名前に反応して突如姿を見せた女性、玉藻の前がハクの背後から抱き着こうとし始める。だがそれを寸前でしゃがむ事で回避したハクは、頭の上で空を抱きしめる玉藻の前を見上げてから横へ移動する。
「何で逃げるんですか~っ!」
「……面倒」
とても残念そうな顔をしながら文句を言う玉藻の前へ静かに答えたハクは自分に何の用があるのかを質問する。が、それに対する答えは単純明快であった。
「そこに貴女が居たからです!」
「……そう」
出会った当初からマスター以上にハクを気に入った様子を見せていた玉藻の前は度々こうしてハクを見つけては抱き着こうとしていた。先程避ける事が出来たのは、何度もされた事でタイミング等を分かる様にハクがなっていたからである。
「……部屋、来る?」
「っ! それは、この後一緒に寝るお誘いですかっ!?」
「……」
「あぁ~! 無視して行かないでくださいよ~! 行きますから!」
ハクの問いに目を輝かせて動揺した様な仕草をする玉藻の前だが、それに何の反応も見せずに背中を向けて離れて行くハクを前に彼女は急いで後を追い掛ける。
辿り着いた部屋は人が住んでいるとは余り思えないとても質素な部屋であった。何時かこの世界を去るからと、ハクは多く荷物を持たない。あってベッドや本棚といった家具のみであり、椅子もテーブルも無いその部屋でハクは唯一座って足を降ろせるベッドへ腰を下ろした。
「相手を前にベッドへ座る。はっ! これはもう、あれのお誘いなのではっ!?」
「……」
「そんな冷たい目で見ないでくださいよぉ。まだ、あの事を怒ってるんですか?」
「……当たり前」
「あら、思った以上に根に持つタイプだったんですね~。まぁ確かに、大事な
悪気は無さそうに告げる玉藻の前を前に、ハクは過去に彼女からされた出来事を思い返す。
それは何の予兆も無い余りに突然の出来事であった。
真夜中。マスターが明日まで不在な中、自室で眠っていたハクの元へ来客が訪れる。それは玉藻の前であり、彼女は「ちょっとお話したい事が」と言って部屋に入りたがった。自分を何故かとても気に入っていて、抱き着いて来る事は多いものの害は無いと思っていたハクは玉藻の前の入室を受け入れる。
その時点でもう、ハクは手遅れであった。
「……ぇ」
突如として自分の居た部屋が謎の空間に切り替わり、唯一変わらないのはベッドだけ。開けた筈の扉は消え去っており、入って来る筈の玉藻の前も姿は無い。
それがこの世界における魔術の一種である事をハクは理解出来た。自分には真面に扱えなくとも、周りに扱える人物が居た事で僅かに知識はあったのだ。果たしてその下手人は誰なのか……空間に入れられる前に訪れた玉藻の前が偽物で無ければ、彼女しかハクには考えられなかった。
「玉藻……?」
「うふふ……今日はマスターを含めて誰もが不在。いいえ、例え居たとしてもここに入った以上、誰も私と貴女を認識出来ないのです。ここは私達だけの空間。あぁ、滾ってきましたよぉ~!」
何時もと変わらぬ声音にも関わらず何か嫌な予感を感じたハクだったが、既に逃げ場は何処にも無かった。何処からともなく響き渡る様に聞こえる玉藻の前の声は徐々に近づいて来ており、やがてその声は
「っ!」
「ふふっ、捕まえました♪」
気付いた時にはもう遅い。ハクは背後から一瞬にして現れた玉藻の前に抱き着かれ、そのまま持ち上げられてしまう。地に足が付かなくなった事で真面に抵抗出来ないまま、玉藻の前が向かい始めたのは唯一あるベッド。そこへハク共々倒れ込むと、謎の手が突然ハクの周囲に現れてベッドへ両腕を押さえつけてしまう。
「っ! なに、を……!」
「狐に化かされたと思って、受け入れてくださいね? 今日は貴女をたぁっぷり味わうつもりですから♪」
部屋全てが見知らぬ空間になり、謎の手が身体を押さえつける。それが果たして本当に幻覚なのか、ハクには分からなかった。例え実体の無い幻だったとしても、ハクには抵抗する術が無い。今まで小動物を可愛がる様に接して来た玉藻の前が今から自分にしようとしている事は決して優しいものでは無いと嫌でも感じた時、ハクは恐怖した。
「むふ、むふふ、それでは待望の脱ぎ脱ぎタ~イム、ですよ! じゅるり」
玉藻の前はハクの上に跨り、来ていたパジャマのボタンを首元から順に外し始める。3つ目を外した辺りで見える様になった下着を前にその目は輝きを増し始め、やがてハクの上半身は前だけ露わな姿となる。
「あぁ、この柔肌っ! サワサワ~」
「んっ!」
「可愛い反応ですね~!もっともっと、可愛いところを見てあげますからね!」
脇腹を撫でる様に刺激すれば、微かに反応して身動ぎするハクの姿を前に更なる興奮を見せる玉藻の前。触る時もあれば肌に触れないギリギリで添わせるフェザータッチも繰り返して、彼女はハクの反応をジッと眺めながら堪能し続ける。
「ん、ぁ……どう、して……」
「どうして? あぁ、どうして私が急にこうして襲い掛かったかって事ですか? それなら答えは簡単です。他の誰にも取られたくないからですよ」
「……取、る……?」
「気付いていたかどうか知りませんけど、貴女を狙う人って結構多かったんですよ? 放っておいたらあっちにフラフラこっちにフラフラ。その内狼になった誰かにパクッ! と食べられちゃいそうで。なので、この際私がパクッ! としちゃった方が安心で手っ取り早いと思った訳です!」
そう言って一気にハクの目前へ顔を近づけた玉藻の前は笑みを絶やさずに続ける。
「一目見た瞬間から、私のハートは貴女に奪われちゃったんですよ? 本来は私が魅了する側なんですけどね~。私を魅了した責任、取ってくださいね♪」
「あの日はちょ~っと激しくヤり過ぎちゃったかな~、とは思ってますよ。待望の初夜でしたからね! 後悔はしてませんっ!」
同じ様にその日の出来事を思い出していた玉藻の前が舌を出しながら告げる。ある日突然襲われたハクは、そのまま彼女の手に寄って弄ばれた挙句に守っていた大事なモノを奪われる事になった。その結果、元の世界へ帰る事は愚か別の世界へ渡る事すら出来なくなってしまった。その全ての元凶は目の前に居る存在故に、ハクは玉藻の前に対して余り良い感情は抱いていない。
「でもでも、拒絶も出来ないんですよね~?」
「……」
全てを理解している様に、玉藻の前は笑みを浮かべたままハクの傍へと近づき始める。そしてハクはそれを拒めない。
全ては彼女がハクに掛けた
入り込む舌の感触がハクの身体を快感で震わせる。玉藻の前がする口付けは簡単に1人の少女から抵抗する意思を奪える程に上手いものであり、ハクが握り締めたシーツを掴む手は徐々に開いてしまう。それを横目で眺める事でハクの状況を理解して、玉藻の前は上機嫌になる。
「はむっ、じゅる。んふっ。最初はイヤイヤ言ってたのに、もう素直になっちゃいましたね~!」
「ん、ぁ……はぁ……はぁ……」
「今日は長く、深~く愛してあげますからね♪」
「……ぁ」
既に力が殆ど入らなくなってしまったハクの身体を軽々と持ち上げた玉藻の前は前身をベッドへ乗せて上で足を広げ、自分の前にハクを背中から寄り掛からせる様に座らせる。そしてハクの着ていた服を脱がし始めた。
ハクの服装は現在、この世界で飼い主となっている玉藻の前のマスターでもある人物に貰ったパジャマ。その前面はボタンで閉じられており、玉藻の前は楽しそうに上から順でボタンを外していく。見える鎖骨、胸の谷間、乳房の全体にお臍回り。完全に脱がせる訳では無く、ボタンを外して肩を出した状態で玉藻の前は服から手を離した。
「まずはお胸をたぁっぷり、た・ん・の・う。モミ、モミ~!」
「ひっ、んぁ……」
お椀を掬い上げる様に下から乳房を包み込んで揉みしだき始めれば、ハクは擦れる感触と人肌に微かな声を漏らす。そしてその手が自身の口元へと近づいて腕で口を隠しながら感じているのを我慢する仕草は、より玉藻の前を興奮させる材料となる。
彼女の攻めは執拗だった。何度も繰り返し揉みしだかれる乳房は玉藻の前の匙加減で色々な形に歪む。どれも痛みを与える事は無く、ハクの身体を刺激して震わせる。だが一向にその頂点である一番敏感な部分に玉藻の前は触れようとしなかった。
ハクは徐々に昂り、身体が熱くなるのを感じずにはいられない。
「ひ、ぁっ! も、ぅ……ぃぃ、かげん……に……」
「いい加減に、なんでしょう? はぁ~何時揉んでも飽きない揉み心地、最高ですね~!」
玉藻の前はハクの言葉を聞いてニヤニヤとした表情を見せながら恍けた様子で行為を止めない。もっと明確で強い刺激を求めているのを分かったまま、それでも焦らす玉藻の前にハクの中にある彼女への拒絶が解かされていく。嫌でも分かったのだ。自分から求めなければ、相手はこのまま同じ行為を続けるだけなのだと。
「ん、ふぅ……ぁ!」
「モ~ミモ~ミ!」
「ぅあっ! たま、も……んっ!」
「~~~~っ! 可愛いですよ。あぁ、早く……早く滅茶苦茶にさせてくださいよぉ~」
感じ続けるハクの声にも熱が籠り、名前を呼ばれた玉藻の前もまた自分の欲を抑えるのに必死な様子を見せる。だが折れる事無く、耳元で囁く様にしてハクに求めさせようとする玉藻の前。やがてもどかしい快感を与えられ続けたハクは彼女の思惑通り、耐え切れずに折れてしまう。
「ん、ぁ……た、まも……」
「何ですか? 貴女のお願いなら、なんだって聞いちゃいますよ?」
「……もっと、気持ちよく……して」
「っ! ふぅ、ふぅ……どんな風に、気持ち良くして欲しいんですか~?」
ハクの言葉に玉藻の前の瞳が僅かながら赤く血走り始めるが、それでも彼女は息を荒げたままハクが発する言葉の続きを待ち続ける。普段変わらぬ表情が微かに蕩けている様にも見える状態で、頬を染めて顔を振り返らせながら自分を見つめるハクの姿を前に玉藻の前もギリギリだった。
……そして。
「……乳、首……触って……っ!」
「はーい! 愛しい貴女のお願いなら、喜んで! えいっ!」
「ふあぁ! んんっ!」
ハクの懇願を聞いた瞬間、玉藻の前は笑顔でそれを受け入れて真っ先に乳首を摘み始める。親指と人差し指で摘み、残りの指で乳房を押しながら転がす様にこねくり回せば、ハクの口から普段の大人しい彼女とは程遠い嬌声が発される。今の今までずっと高められてきた身体が本格的に責められ始めた事で、ハクはもう自分の身体を抑える事が出来なくなっていた。
「イ、ク……っ! ~~~~っ!」
「ぁ……ふふっ、イっちゃいましたね?」
「はぁ……はぁ……」
「でも、まだまだこれからですよ?」
一際大きく身体を震わせて遂に絶頂を迎えてしまったハクだが、それに玉藻の前は気付いた上で胸への攻めを止めようとはしない。何度も執拗に揉み、摘み、弄り続ける彼女の手によって長時間ハクは弄ばれ続けた。
「そろそろ、私も気持ち良くなりたいので……みこっと姿勢チェ~ンジ!」
胸を攻められ続け、何度も繰り返し絶頂を迎えさせられたハクがうつ伏せに倒れるのを前に、今度はその上へ覆い被さる様に玉藻の前は姿勢を変える。そして彼女は自身の下腹部に触れると、そこから彼女の性別ではある筈の無いモノを取り出した。
「貴女の初めてを奪ったこれで、今日も愛し尽くしてあげますからね。妊娠、しましょう?」
「ぁ……ぅ……」
それは立派な男性器であり、ハクがこの世界に訪れるまで守り続けて来た
「はーい、ズッブーっとっ!」
「ひっ、あぁぁぁぁ!」
自分の膣内を分け入って来る硬く熱いモノの感覚にハクの口から声が溢れる。その小さな身体は後ろから完全に覆い被さられて全く動かせず、玉藻の前が全てを支配していた。うつ伏せのハクを抱く様にその頭と首に両腕を回して動かない様に固定。足をハクの足に絡めて開かせたまま、腰を浮かせて抽挿を開始する。
「あっ、あっ! んぁ! あぁ!」
「あぁ~、気持ち良いですよ~! 愛しい人のロリマンコ、まだキツキツですけど、これからずぅっと愛し続けて私専用に広げてあげます! ほぉら、ジュブジュブ!」
部屋に響く水音。子供の体型であるハクの膣内はその身体と比例して狭く、強引に入り込む事で膣壁を広げて行く。初めてを奪われた瞬間よりも少しだけ広がっているそこは、何時か玉藻の前が言った通りに彼女を喜ばせるためだけの場所となるだろう。他の誰が挿れても合わない、彼女専用の身体にされるのだ。
それをハクは幸せと感じる様になっていた。
「今日も溜まった呪い、発散するまで犯しますからっ! 取り敢えず、1発目……出ますよっ!」
「ひっ、あっ……んあああぁぁぁぁ!!!」
男性器が脈打ち、ハクの膣内に多量の子種が注ぎ込まれる。それと同時にうつ伏せになったハクの下腹部に淡い紫色の光が生じた。
それはハクの下腹部、秘部の上にあるお腹部分に存在する呪いの証。初めてを奪われたと同時に付けられた玉藻の前が残したその呪いは、定期的に呪いの主による攻めで絶頂をしなければ常時発情してしまう呪いであった。ハクがそれを回避するには、呪いを掛けた主である玉藻の前に犯して貰う以外に方法は無い。だからこそ、彼女は玉藻の前を拒絶出来ない。……そして、それを解除する方法は1つだけ。
「うーん、消えませんね~。妊娠出来なかった見たいですし、続けましょう♪」
「ぁ……ぅ……ぁ……」
繰り返した絶頂による疲労。
中に出される度に感じる妊娠への恐怖。
それからもう逃れる術の無い現実。
絶望するしかない状況に、ハクの瞳に最早光は残っていない。だが、そんな事は絶望させた張本人である玉藻の前になんの関係も無い事である。
ただ彼女に愛された事、それがハクの失敗であった。