【ゼロ魔】 ルイズ
ルイズの使い魔として、彼女の元で過ごしていたハクは主人からの約束によって他の誰かと一緒に居る事を禁じられた。だが主人であるルイズが常にハクと一緒に居る訳では無い。極力約束を破らない様にしようとしても、ハクにはどうにもならない時は訪れるのだ。
「っ!」
その日、ルイズが学院で授業を受けている間、猫の姿で暇を持て余していたハクは地面から突如現れたある人物の使い魔によって運ばれてしまう。蜥蜴の様な姿をした真っ赤な生き物、サラマンダー。身体から炎を発している事もあって下手な抵抗は火傷の危険性すらある。何よりも、人間以外の声を聞けたハクはサラマンダーが主人の命令で動いている事を聞かされた。ルイズとの約束を守らなければいけない一方、サラマンダーが叱られない為には着いて行く他に無い。
『……分かった』
ハクが選んだのは後者だった。ルイズとの約束はとても大事だが、それ以上にハクはサラマンダーに……この学院に多く在籍する生徒達の使い魔達には助けられた経験があった故に。まだルイズからの躾が辛かった頃、逃げた先は使い魔たちの元だった事もあり、数々の大恩があったのだ。
授業が終わった頃、生徒達が出て来る姿を見ながらサラマンダーの上で揺られる。非常に可愛らしい光景に真面な生徒の殆どは驚き、次いで優し気な微笑みを浮かべる。やがて辿り着いたのは、生徒が過ごす寮の一室。サラマンダーが目の前へ立つと同時に、迎え入れる様にその扉は開かれた。
「ふふっ、いらっしゃい。可愛い子猫ちゃん」
『……』
制服を押し上げて上部が見える程に豊満な乳房を持ち、妖艶な姿でハクとサラマンダーを迎え入れる褐色肌の女性。年齢はルイズと変わらないものの、その姿は少女と呼ぶには相応しく無い程に大人びていた。……自分の主人が子供っぽい事もあり、ハクには余計にそう見えてしまう。
キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。ルイズと同じ様に長い名前を持つ彼女も、学院に通う生徒の1人。ルイズとは犬猿の仲だが、傍から見ればルイズが噛み付いている様にしか見えない。そんな相手であった。どうやら家同士で仲が良くない様子があり、ルイズからも特に彼女に対しては一緒に居ない様にと口を酸っぱくして言われ続けていた。だが、キュルケはハクに興味がある様子で事あるごとにサラマンダーを介すなどしてハクを自室へ招き入れる。
ハクを連れて来たサラマンダーを褒めて労いながら、キュルケは猫の姿だったハクを抱え上げる。まるで赤子を高い高いする様に持ち上げて、その後抱きしめた。ハクが服の布越しに伝わる彼女の柔らかな胸に包まれると同時に、キュルケもまたハクの毛並みを全身で堪能する。……これは一種の挨拶の様なものだった。
「ふぅ……さて、その姿だと会話も出来ないわ」
そう言って部屋にあったテーブルから座れる様に引かれた椅子の上へ降ろされたハクは、その言葉が要は人に成る事を求めていると分かった為に姿を変える。キュルケからすれば瞬きする程の一瞬。何時の間にか椅子に座る可憐な少女の姿に、キュルケは頬に手を当てて笑みを浮かべる。
「最近、来てくれないから寂しいのよ?」
「……ルイズ、怒るから」
「溺愛されてるものね、貴女。……それは私も同じかしら?」
「……」
微熱の二つ名を持つキュルケはその容姿を活かして様々な男を手玉に取ってきた。そんな彼女がある日この学院で目を付けたのは、女性。しかも子供であり、特殊な立場にあるその者の主人は犬猿の仲でもあるルイズ。仲が悪い理由の主は色恋沙汰だという事もあり、まるで呪いの様な事実にキュルケは最初苦笑するしか無かった。だが、抱いた感情を我慢する気も無かったキュルケはハクと接触。当初はルイズから言い扱いを受けなかった事もあり、彼女の心を開く事は容易かった。
「貴女が来てくれないから、ずっとご無沙汰よ? 私」
椅子に座るハクの頬に手を添えて、まるで誘う様に告げるキュルケの姿は同性であっても見惚れてしまう程に妖艶であった。
ハクを気にし始めてから、キュルケは一途だった。関わりを持った男達を蚊帳の外にして、ハクとの時間を増やす。その結果、ルイズと和解するよりも先にハクの心を掴んだのは自然とも言える。……ルイズは知らない。自分にとって特別な存在となった大事な使い魔が既に学友の、それも家規模で仲の悪い相手へ既に身体を許してしまっている事を。
キュルケは自分にとってとても自然な流れでベッドへハクを導いた。キュルケが何を望んでいるのか、何度か経験があった事で既に察しが付いていたハクは何も言わずに導かれるままベッドへ向かい、彼女と並んでその前へ立った時。両肩を掴まれて向かい合う様な姿勢を取らされる。そして始まるのは、キュルケの巧みな舌使いを使った口付け。敏感なハクの身体はそれをされただけで力が抜けてしまい、そうなる事を見越していたキュルケはハクの身体を抱きながら続ける。
「ふふっ、一瞬で蕩けちゃったわね?」
「ぁ……ぅ……」
見つめる瞳が怪しく光る中、ハクは弱々しくも彼女に身体を預ける。そのまま手慣れた様子でハクの服を脱がしたキュルケは、自分の服も脱いでベッドへ転がった。ハクを自分の下にしながら、自身の重さで潰さない様にしてキュルケはハクに迫る。ハクも受け入れる様に両腕を広げた時、2人は再び口付けを始める。
キュルケの手がハクの胸に触れる。普通の人に比べて体温が高いのか、キュルケの手はとても暖かかった。人肌であると分かりながらも感じる熱い程の感触。それが自分の胸を楽しむ様に揉みだした事で、ハクは快感を得ながら自らの手で口を塞いだ。音が部屋の外へ出ない様にする魔法はこの世界に存在するが、キュルケがそれをした形跡が無かったためだ。
「気持ち良いのね?」
「……んっ」
身体を反応させながら、肯定するハクの姿にキュルケは楽しそうに行為を続ける。必死に声を押さえる姿はとても愛らしく、それを見たいがために意図して魔法を使っていないキュルケはジッとハクの身悶える姿を眺め続ける。……キュルケとの関係はこの世界に来てから最初に。やがてルイズとの関係も始まり、何度も淫らな行為に巻き込まれる事があったハクの身体は元より敏感な事もあり、非常に快感に弱い身体となっていた。
「優しく揉むだけでも、イきそうね」
「ん、ぁ……だれ、の……せい……!」
「ふふ。そうね。ここだけでイケる様に開発したのは、私だったわね」
「っ! ~~~~っ!」
キュルケが意味深な笑みを浮かべながら、ハクの胸を揉んでいた手で特に敏感な部分を摘む。その瞬間、ハクは身体を大きく震わせて声を押さえながら絶頂を迎えた。胸だけで容易く絶頂してしまう様になってしまった身体は、少し攻められただけで抵抗出来なくなってしまう程に弱い。その主な原因がキュルケの様な日頃から自分を求める人物だった事もあり、ハクは恨みがましい視線をキュルケへ向けた。
「ここも準備万端ね。ほら、入れるわよ」
「っ! ひ、ぁ……んっ!」
しかしそんな視線を気にもせずにキュルケは細くしなやかな自身の指をハクへ見せつける様にしてから、絶頂した事もあって濡らし始めていたハクの秘部へ挿入し始める。指先にも確かな熱があり、とても熱い彼女の指が入って来る感触はとてつもない快感をハクへ齎す。すぐにでも次の絶頂を迎えてしまうと、強過ぎる快感にそれを予期してしまったハクは、身体の奥底から来る波に抗う事も出来なかった。
だが、そんな彼女の頭を一気に冷やす事態が起きる。
『ちょっと、キュルケ! 居るの!?』
「!?」
「ルイズ? ……何よ、急に」
扉越しに聞こえて来たのは、ルイズの声だった。今正に絶頂を迎えそうだった身体は、突然の事でキュルケの指も止まり、耐え忍ぶ。キュルケは何事かと扉を開けずに、ルイズと話を始めた。
『ハクが居ないのよ! ここに居るんじゃないの!?』
「知らないわよ。タバサのところじゃないの?」
『かも知れないけど、あんたが一番怪しいのよ!』
「本当に知らないわよ。……ふふっ」
「っ!? ぁ……ぅんっ!」
ルイズの目的はハクであった。キュルケが今この場に居る様に、ルイズも授業が終われば自室へ戻る。そして自身の使い魔であるハクが居なければ、探すのは当然と言えた。キュルケはルイズの目的を知り、嘘をつく。それは自身の為であり、ハクが攻められ無い為でもある。だがそこで面白そうに何も言わず、ハクの中に入れた指を動かし始めた事でハクは咄嗟に両手で口を塞ぎながら声を押さえた。
「ん、んぁ! ……んんっ!」
『何か聞こえるわ。やっぱり中に居るんじゃないの!?』
「
「んっ……ふぁ、んぅ!」
『信じられないわ! いいから開けなさいよ!』
「今、人前に出れる格好じゃないのよ。それとも何? 私の身体でも見たいのかしら?」
『そんな訳無いでしょ! ……本当に居ないのね?』
「えぇ。本当よ」
「~~~~っ!」
『……分かったわ。タバサのところにも確認しに行くから、見つけたら教えなさい』
「心配しなくても、ちゃんと貴女の元に帰るわよ。彼女は貴女の使い魔だもの」
扉の向こう側にあった気配が離れる中、キュルケは自身の手についたハクの愛液を見つめてから舐め取る様に口へ入れる。気付かれてはいけない状況と、それでも与えられる快感に逆らえなかった事で、普通とは違う絶頂を迎えてしまったハク。口に乗せていた手は力尽きた様に横へ広げられ、瞳からは我慢した証拠となる涙が零れていた。
「……酷、ぃ……」
「楽しかったでしょ? さて、一旦は満足したわ。またしたくなったらあの子に連れて来てもらうから、その時はよろしくね?」
「……」
愛液を舐め取ったキュルケが楽し気に告げる中、疲れから徐々に薄れる意識に抵抗しなかったハクは眠ってしまう。ハクの寝顔を確認して、キュルケは身体を拭く等の後始末を行う。貴族であるキュルケが自身の事を誰かに任せる事はあるが、ハクに関しては誰に頼む訳にもいかない。風邪を引かない様に気を遣いながら、出来る証拠の始末をしたキュルケの前にはここへ来た時と同じ服装をして穏やかに眠るハクの姿があった。
「匂いは……仕方ないわね。頑張りなさい」
自分の匂いがハクの身体に付いている事に気付くも、それをどうする事も出来ないキュルケは眠ったままのハクへ告げる。そしてルイズに気付かれない様にして、彼女の部屋へハクを運ぶ様にサラマンダーへ指示を出した。……匂いに気付いたルイズが明日にも文句を言いに来るか、苛立ちをそのままにハクへ躾と称して上書きをする様に淫らな行為に及ぶか。どちらにしても大変な未来しかないハクを、キュルケは察しながら優しい目で見送った。