※この作品はR-18です。

愛され過ぎた少女達   作:ウルハーツ

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2016年03月20日 投稿分


【DOA】 マリー・ローズ☆

 その日、ハクは街の中を人の姿で歩いていた。真っ白なワンピースに真っ白なつばの広いキャベリンと呼ばれる帽子を被り、その髪色と肌の色も合わせて白で統一した様な服装で歩く彼女の姿は通り過ぎる誰もを一様に驚かせる。幼さはあれど、確実に可愛らしいその少女の姿は余りにも異様であり、素晴らしい物であったからだ。故にハクは知らぬ内に、自分の周りに何時の間にか聖域を作っていた。誰も触れる事の出来ない、見守るべき存在として。

 

「ハク~! 何処に居るの~!」

 

 街を歩いていたハクは自分を呼ぶ声に振り返る。そこにはハクと服装は違うものの、やはり異様な少女が存在していた。ハクより少々身長は高いが、平均的に見れば小柄なツインテールの少女。その服装は黒を基調とした所謂ゴスロリと呼ばれる物であり、普通街中で着る物では決して無い。故にその少女もまた周りから視線を受けており、やがてハクの姿に気付いた少女が走って近づいて来る事で白と黒が向かい会う様になる。

 

「勝手に行っちゃわないでよ、もう。一応エレナ様に頼まれた物は買い終えたし、何処か行きたいところとかある?」

 

「……」

 

 実は先程まで2人は同じ店に入っており、ハクが少女を置いて出て来てしまっていたのだ。故に置いて行ってしまったハクに文句を言いながらも、少女はこれからについての話をする。買い物を終えた、と言う割に手には何も持っていない少女。その事から、買い物の荷物は持たなくても問題ない。つまり配達か何かで済む様にしたのだろう。そうしてハクに行きたい場所を聞くも、ハクは唯静かに首を横に振って『無い』と言う意思を示す。そんな姿に少女は少し困った顔をした後、溜息をついた。

 

「何処でも良いんだよ? 何処か無い?」

 

「……何処でも……マリーとなら」

 

「へ? あ、うん。そう、なんだ……じゃ、じゃあ適当に回りましょっか? はい」

 

 特に無いハクに再び聞けば、帰って来た答えに少女……マリー・ローズは驚き戸惑ってしまう。しかしすぐに平常心を取り戻すと、ハクに右手を差し出した。ハクもマリーも傍から見れば子供でしか無く、街は言う程では無い物のそこそこ人混みがある。故に逸れる対策を考え、マリーはハクと手を繋ぐことで解決することにしたのだ。既にこの様な行為は過去にもあったのか、ハクは当たり前の様にその手を取る。髪色や顔は違えど、その姿は幼げな妹とそんな妹を守ろうと頑張る姉。と言った所だろう。

 

 本来、マリーは先程名前の出たエレナと言う人物に仕えている言わば召使いである。そんな彼女が今日街に居るのは主人であるエレナからお使いを頼まれたからであり、ハクはマリーに誘われて一緒に来る事となったのだ。既にハクとマリーの付き合いは長く、マリー自身。ハクが猫である事も、欲を満たすために存在して居る事も知っていた。それでもこうして仲良く出来ているのはハクが存在する意味では無く、ハク自身を見ている彼女の根本的な優しさなのだろう。

 

「今の時間は……13時。エレナ様から17時までは自由時間を貰ってるし、何しようかな~?」

 

 ハクの手をしっかりと握り、開いた手を顎に当ててこれから行く場所に付いて考えるマリー。と、そんなマリーに引っ張られる様に歩いていたハクの身体に同じく歩いていた街の人がぶつかってしまう。小さいハクは大きく仰け反り、その手を引っ張っていたマリーもまたハクがぶつかった事に気付く。そして透かさずハクの心配をし始め、ハクはぶつかった相手の方に静かに視線を向けた。一言で表すなら、柄の悪い男性。とでも言うべき姿をした男であり、その見た目通りにぶつかったハクの姿にイラついた様に声を上げる。

 

「何処見て歩いてんだぁ? あぁ?」

 

「……」

 

 大声で脅すかの様に言う男性。しかしハクはそれに怯える様子を見せず、唯静かに頭を下げた。それは謝罪の意を示すものであるが、男性はぶつかられた事に怒り心頭に発していた様で声を出さない謝罪に更にその思いを膨らませる。幼げな少女が絡まれているその光景は非常に恐ろしい物であるが、厄介事を避けたいと言う思いから周りに居る誰もが止めようとしない。……ハクと共に居たマリーを除いて。

 

「女の子に、それもこんな小さな子に随分と大人げないです」

 

「あぁ? おい餓鬼。テメェ、舐めてんのか?」

 

「そっちこそ。餓鬼だなんて、小さいからって舐めないでよね。ハク、行きましょ?」

 

 男性は身長も高く、その容姿や言葉の中に含まれる怒気も相まってかなりの恐怖を感じさせる。感情が表に出にくいハクは仕方が無いが、感情表現に乏しく無いマリーすらも恐怖しないその状況に見ていた周りは困惑する。子供故の無謀さなのか、何か策があるのか。普通に考えれば前者であろう。何であれ、ハクの手を再び握って男性を置き去りに歩き始めたマリーの姿に男性は更なる怒りを覚える。そしてその後姿を追い、その拳を振り上げた。見ていた誰もが恐れていた事であり、声を上げる物も居た。が、次に起きた出来事に見ていた者全てが唖然とする。

 

「が……あ……」

 

「まったく、やれやれです」

 

 男性の拳が何事も無く決まっていれば、マリーの後頭部を殴り付けていたことだろう。しかし、結果は誰も想像しなかった【男が地に伏せる】と言う物。背後からの攻撃をマリーは見ずとも簡単に躱し、その勢いを利用して男の腹に回し蹴りをお見舞いしたのだ。普通の子供が行うには余りにも凄い高等テクニックであり、男性は蹴られた腹を抑えて目を見開き乍ら膝から地面に倒れ伏した。そしてそんな男の姿を見降ろしながら、片手を横に広げて興味無さそうにマリーは告げるとハクの手を引いて再び足を進める。後に残ったのは騒然とする住人達と、子供だと油断して返り討ちにあった哀れな男性の姿だけであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マリーに手を引かれ、街の中を巡りながら共に時間を潰したハク。やがてマリーの自由時間終了が近づくにつれ、住んでいる場所へと徐々に足を向け乍ら寄り道をする様になっていた。街の中にはお店を始め、色々な物が存在している。マリーは少しでもハクに楽しんでもらおうと、服を見たり食べ物を食べたり等をして共に楽しい自由時間を過ごす。しかし時間が止まる事等ある訳も無く、自由時間が終了する頃にはしっかりと住んでいる建物へと無事に帰還を果たしていた。

 

「今日はここまで。また今度、一緒に出掛けよ?」

 

「ん…………ありがとう」

 

「あ……ど、どう致しまして!」

 

 玄関先でマリーは手を離すと、ハクに振り返って告げる。ハクは言われた言葉に静かに頷いた後、今日のお礼を口にした。そのお礼の中には自分を連れて行ってくれた事や男性から守ってくれた事等様々な思いが含まれており、マリーはそれに気付きながらも少し驚いた様な表情をした後に笑顔で返す。そうして2人は別れ、ハクは猫の姿に。マリーは召使いとして行動を開始する。

 

 マリーは自分に与えられている仕事を熟し乍ら、今日の出来事を振り返る。ハクと共に街に出かけた楽しい時間や、最後に言われた感謝の言葉。それを思い出すだけで自然とその頬は緩み、心が温かみを増していた。そしてその理由が楽しかったから……だけでは無い事を彼女自身、理解していた。だが、マリーはその思いを感じる度に必死に抑え込む。例え自身が戦いにおいて強くとも、今の関係性を失うかもしれないと言う心の恐怖に勝てる訳では無いのだ。もしもハクに思いを打ち明け、結果的に拒まれた時の事を考える。それだけで心が声にならない悲鳴を上げるのだから。

 

「……はぁ~」

 

 悩ましく、それでいて重い溜息がマリーの口から漏れる。そしてそんな彼女の様子を陰から見て居る主人の姿があるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「休暇……ですか?」

 

「えぇ。偶には羽を伸ばしてきなさい」

 

 翌日。マリーは仕事の途中で主人であるエレナに呼び出しを受ける。呼ばれて訪れたエレナの部屋で告げられたのは『休暇』と言う余りに突然の内容であった。マリーは思わず聞き返し、それにエレナは薄く微笑みながら返す。そしてそのままその視線を自分の部屋のソファの上で自分達を静かに見つめるハクにも移し、「あの子も連れて行ってあげて」と続ける。マリーは休暇の時点で驚いていたにも関わらず、ハクを連れて行くと言う事に更に驚いてエレナ同様ハクに視線を向ける。が、すぐにその視線を戻した。

 

「で、ですが私は十分休みや自由時間を貰っています」

 

「仕事の合間合間では無く、丸数日の休みよ。つまり完全なる別物。もう既に手配も住んでいるし、断られると私が困るの」

 

 「だから行きなさい」とエレナはマリーに告げる。『休まれない方が困る』。等と言われてしまってはマリーも断る訳には行かない。しばらく困った様な表情を浮かべた後、「承りました」と告げると一度お辞儀をする。そして今まで事の成り行きを見守っていたハクへと足を進めた。当然同じ部屋に居た以上、ハクも話を全て聞いていた。マリーは忙しいと言えど、疲れた様子がある訳では無い。エレナが何を思って今回の休暇をマリーに命令したのか、その事を考えながらもハクは近づくマリーに視線を向ける。

 

「余りに突然の事でマリーも吃驚だけど、聞いていた通り。一緒に休暇、行ってくれる?」

 

 不安そうな表情で聞いて来るマリーの姿に、ハクは静かに頷いて返す。マリー自身、自分と数日間一緒に居ると言う事にもしも断られたらと思うと不安だったのだろう。ハクのその行動に花の咲く様な笑みを浮かべて「ありがとう!」とお礼を言う。そして突然の事乍ら、与えられた休暇に何をしようかと胸を躍らせるマリーの背後で微笑みを浮かべるエレナの姿にハクは深く考える事を止める。何かあるのではなく、彼女が心からマリーに休みを与えたかった。そんな彼女なりの優しさからなのだと結論付けて。

 

 マリーの休暇は明日からであり、日数は2泊3日。今日中に支度をする様に再び指示を受けたマリーはエレナにお辞儀をした後、部屋を後にする。そうして部屋から出て行ったマリーの姿を見送った後、エレナは座っていた椅子から立ち上がるとハクの傍へと移動し始める。そしてハクが座っていたソファに腰掛けると、その身体を抱き上げて自らの腕の中に移動させる。

 

「あの子は元気な良い子だけれど、どうにも奥手なところがある。こうして背中を押してあげるのも主人の務め……ね。あの子の事、お願いね?」

 

 自らの身体を撫でながら呟き続けるエレナの顔をハクは静かに見つめ続けていた。マリーには切っ掛けがあって自分の正体を明かしているハク。だがエレナは現状、自分が人の姿に成れる事に付いて知らない……筈であった。にも関わらず、エレナはまるで【人に言う様に】呟いた。まるで全てを見透かしている様なエレナの行動にハクは少々の恐怖を感じるが、それでもマリーの為を思って言っている彼女の姿を見て静かに頷く事で了承を意を示すのであった。何が奥手なのか疑問を抱きながら……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2泊3日の休暇。エレナによって手配などを済まされたその場所は非常に喉かな島にある街であった。羽を伸ばす場所として最適と言うべき場所であり、山や海等の自然。動物園や水族館などの娯楽場等、全てに置いて傍にある街。何故かその街の名前等の詳しい事は分からず、不思議な事に到着したマリーとハク以外に人の存在すら見受けられない。その理由を当然2人は知る由も無く、動物たちの鳴き声を聞きながらその街の中を歩き続けていた。歓迎する様に吹く風が、マリーの金色に輝くツインテールを。ハクの長く流れる様な白い長髪を揺らす。

 

「う~ん! 良い所!」

 

「……でも……静か」

 

「何でもエレナ様の知り合いが所有してる土地なんだって。人が居ないのは……マリーも分かんない」

 

 街を歩き、夜寝る時等に過ごす事になる3日間の家へと辿りついたマリーとハク。マリーは外の空気を吸いながら大きく伸びをして、ハクは人の姿になって街に誰も居ない事に関して疑問を言う。そのハクの言葉にマリーは上げていた腕を降ろしながら振り返り、知っている情報を言う。だがどうやらマリー自身、答えに関しては分からない様子である。

 

 マリーの言う通り、2人が居るこの土地はエレナの知り合いが所有する島に存在する街である。マリーもハクも知らないが、この街に人は【元から】住んで居ない。その理由は今現在この島が建設を終えたばかりの場所であり、エレナの知り合いがここを近く娯楽島として開放する予定なのだ。だが人を招く様になるその前に2人に休暇と共に楽しんで貰おうと考えたのだ。当然それ以外にも目的はあるが、2人はそれを知る由も無い。因みに貸しきりに出来たのはエレナと言う存在の大きさ故に出来た貸しと、楽しんだ2人に後日感想を聞く約束だからである。娯楽場などを開く上で必要なのは、やはり満足度。それを知る上で、実際に体験した人間の感想は非常に貴重なものである。

 

「誰も居ないんだから特に遠慮する必要も無い……せっかく貰えた休暇だもの。ハク、思いっきり遊びましょ!」

 

「ん」

 

 持って来ていた荷物を置き、笑顔で手を差し伸べるマリー。ハクもまたそれに頷くと、その手を取って家の外へ足を進める。

 

 一昨日の頻繁とは言わない物の何度かは訪れている街とは違い、完全に来た事の無い新しい場所。最初に行くことになったのは動物園であり、どうやって飼育されているかは分からない物の様々な動物をその目に納めて鑑賞し続ける。人の気配は一切無いが、動物などを放置している訳が無い。恐らく隠れて居るか、もしくはマリーたちが来ている間のみ島から出ているのかもしれない。動物たちの檻の中には1日では到底食べきれない食料などが置かれている事から、後者であろう。

 

 ハクと手を繋いで歩き続けるマリー。動物園に来ているにも関わらず、彼女は現在動物と触れ合うつもり等一切無かった。まず第一にハクと言う存在は自分も住んでいるエレナ宅ではほぼ常に猫の姿を取って居る。故に動物と触れ合う事に飢えている等と言った思いを、ハク以外の可愛い動物を愛でたい等と言う思いを抱いていないのだ。既に満たされている故に。第二にハクと共に手を繋いで歩くと言う行為は本来、逸れてしまわないために行っていた行為である。街の中では常にそうして来た事から当たり前の様に手を繋いだが、マリーは気付いてしまったのだ。人の居ないこの場所で、手を繋ぐ必要性など無い事に。だが気付いたところでそれを離す気にはなれず、無駄に意識しながらもその手を繋いだままにしていた。

 

「……マリー?」

 

「へ? ど、どうしたの? ハク」

 

 一度意識し始めてしまった事は、他の事も含めて様々な思いを浮上させる。そしてマリーは気付けば手から伝わるハクの温もりに、今居る土地には自分達2人だけだと言う事に顔が赤くなり始め、身体が熱くなり始めていた。やがて無意識に静かになり、俯いていたマリー。その変化に気付き、ハクが声を掛ければ慌てた様にすぐ顔を上げて平気そうに取り繕いながら返事をする。だがどう見ても普通じゃないのは確かであり、ハクはそれに気付くとマリーに近づく。そしてマリーが認識できるよりも早く、その額をマリーの額に押し当てた。

 

「は、ハク!?」

 

「……熱い……」

 

 余りに突然の事だったため、声を上げて驚くマリー。そんな彼女を尻目にハクは額を離すと、その手を引いて来た道を引き返し始める。休暇を貰って遊びに来た……にも関わらず、やがてマリーはハクに連れられて家へと引き返させられる事となってしまうのだった。

 

 

 

 

 

 家へと連れ戻されてしまったマリー。ハクに元気である事を伝えるも、マリーの性格から無理をしていると結論付けてしまったハクはそれを聞き入れず、部屋のベッドで安静にさせようとする。そしてあれよあれよと言う間にマリーはベッドに寝かされてしまった。

 

「ね、熱なんて無いから! マリーは平気だから!」

 

「……」

 

 連れてこられたベッドの上で座り、マリーはハクに言う。しかしハクはその言葉に無言のまま首を横に振ると、熱を測るためか自分の額を再びマリーの額に当てた。本来マリーは本人が言う通り熱を出している訳では無い。が、その様な事をされてしまえば強制的に体温が急上昇してしまう。その結果、ハクが当てたその時だけ熱を出してしまい、ハクはやはり熱があると結論付けてしまった。恥ずかしさの余りあたふたし始めてしまえば、それも熱が出てるからと考えて寝かせようとするハク。そんな彼女の行動に到頭マリーは限界を迎える。

 

「もう! 本当に元気なの! こうなったら……えい!」

 

「!」

 

 2泊3日の休日。自由に遊ぶことも出来る様になった貴重な時間の全てをベッドの上で寝て過ごす等、マリーは絶対に嫌だった。だからこそ自分をベッドに押し込もうとするハクをどうにかしなければと考え、マリーは行動に移す。要は元気である事をハクに証明すれば良い。そう考えたマリーは素早くハクをベッドに引きずり込むと、ハクを下にする様に体制を瞬時に入れ替える。それにより、マリーはハクを押し倒した様にベッドの上に四つん這いに近い形となった。

 

「こんなに動けるんだからマリーは平……気……っ!」

 

 目を見開いて驚くハクを見下ろす様にしてマリーは笑顔で言う。しかしその途中、マリーは急激に何かに襲われた様な感覚に支配された。物理的では無く、精神的なその攻撃は目の前に居るハクへの感情を変化させる。今まで恐怖故に抑えていたその思いが溢れる様に、今まで存在していた抑えが無くなるかの様に、マリーの心は急激に変化し始める。そして目の前で固まるマリーの姿を見て、ハクは再び目を見開いて驚いた。

 

【マリー・ローズ 恭順欲 72/100・支配欲 0/100】

 

 ハクの頭の中に入って来た満たすべき欲望に関する情報に本来無かった筈のそれが生まれた時、マリーの心もまた違う思いが生まれていた。目の前に居る少女に恋い焦がれるだけで我慢していた心はそれが嘘の様にハクの存在を渇望し、その身体を。心を。自分の物にしろと騒ぎ立てる。他の誰にも渡してはいけない、と。違う世界になど行かせては行けない、と。何も居ない筈の身体の中で言われ続ける様な感覚を受け続けていたマリー。やがてその言葉に……自らの欲望に、マリーは動き始めていた。

 

「ねぇ、もしマリーがハクの事を好きだって言ったら……ハクはどうする?」

 

「……ずっとここには……居られない」

 

 動き始めた口と共に、必死になって欲望を抑え続けるマリーはハクに質問する。しかし帰って来た答えは結果的にマリーの心を深く突き刺す棘となってしまう。痛みすら伴う胸の苦しみに耐えようとしていた時、突然自分を包むようにしてハクの手が伸びて来る事に気付いた。やがて抑えが聞かなくなる程になった時、マリーの中にあった思いは少しだけ形を変えた。

 

「この世界に居る時で良いから、今だけで良いから……【マリーの者】になって……!」

 

 支配したいと思っても、ハクはいずれ居なくなる。だからその時が来るまでの間だけで良い。そんな形へと思いを変え、言った一言にハクは唯静かに……頷いた。そしてそれを見た瞬間、今の今まで抑えていたマリーはその身体を動かし始める。まず最初に自分を抱きしめているハクの身体を持ち上げる事でお互いに座って向き合う様に体制を変えた。マリーはその体制でハクを抱きしめ、お互いに抱き合う。ハクの身体の暖かさを感じるマリー。反対にハクもまたマリーの暖かさを感じ続け、2人はお互いにお互いの温もりを感じ合う。そうして存在を確かめあった後、無意識の内にその唇を合わせ始めていた。唯触れあうだけのキスだが、マリーの心はそれだけで急激に満たされて行く。

 

「マリーのファーストキス、あげちゃった」

 

 頬を染めて照れながらマリーが笑うと、ハクの背中に回していた手を一度引く。そしてハクが着ているワンピースの肩袖に触れ、ずらす様にしてゆっくりと脱がし始める。抵抗も何もせず、受け入れる様に見つめるハクの瞳にマリーはこれからする事もあって内心で興奮し続ける。やがて胸辺りまで服を脱がした時、ハクの体格に似合わぬ胸がその続きを妨害した。が、ふと気づく。肘辺りに肩袖が落ち、胸をギリギリで隠す位置となっているハクの恰好。それは余りにも……愛らしいと。思わず再び抱きしめてしまったのは仕方の無い事だろう。

 

「可愛過ぎて、うぅ……辛い」

 

「……苦しい」

 

「あ、ごめん……その、良い?」

 

 強めに抱きしめたため、ハクは無理矢理締められる形となってしまう。故に抗議し、マリーはその声を聞いて申し訳なさそうにすぐ力を緩める。そしてハクの顔を伺い、聞いた。『何が』等と考える必要も無く、ハクはマリーの問いに頷いて返す。それを合図にマリーは止めた手を再び動かし、引っかかっていた胸の部分も少し強めに降ろす。そうして晒されたのは白く綺麗なハクの上半身と胸を覆う下着。腰の位置でワンピースは既に嵩張る様になり、見えるその光景に思わずマリーは生唾を飲んだ。

 

 もう1度マリーはハクに問う。脱がすことに聞いた時同様、ハクはその問いに頷いて返す。マリーはその返答と同時にハクの背後に腕を回し、胸を覆っていた最後の一枚を取る。やがて上半身を全て外へと晒したハクにマリーは興奮の余り手を振るわせながらも背に片手を回し、もう片方の手でハクの胸に触れる。声にならないか細い吐息が微かに漏れ、それがマリーの興奮を更に大きくさせる。

 

「ハク」

 

「んっ!」

 

 名前を呼ばれ、顔を上げたと同時にキスを受けるハク。先程とは違う舌を絡めた濃厚なキスは口元を刺激し、マリーの手はハクの背を摩りながら胸を揉む。やがて天辺の突起に触れた時、マリーは少し驚きながら笑みを浮かべた。離れた口元からはお互いの唾液が橋を作り、落ちる。

 

「起ってる……ちゃんと感じてくれてるんだ」

 

 マリーの言葉にハクは顔を背ける。何時もなら無表情なその表情が微かに赤みを増した様な気がして、マリーはよりハクを欲して口づけをする。何時の間にか座っていた体制から再び横になった状態へと変わり、ハクの口を口で。胸を片手で揉みしだく。背中を抑える必要が無くなった事で開いた手はそれでも触り心地の良い背中を撫で続けていた。

 

「ん!?」

 

「ここも……そろそろかな?」

 

 突然マリーはハクの足の間に自分の膝を入れると、布越しに秘部へ刺激を与え始める。急に来た感覚に声を上げるハクを尻目に、少し濡れたそこをグリグリと弄り続けていれば、やがて少しだった水はその量を増していく。マリーの膝は水浸しになり、下に引いてあったベッドのシーツもまた水を吸い込み続けて湿りに湿った状態となる。十分に濡れそぼったそこは所謂出来上がった状態。マリーは一度身体を上げると、ハクの身体を軽々と持ち上げる。そして再び座り、自分に背中から持たれる様にしてハクの体制を変えさせた。背後から抱きしめ、自分の手が胸にも秘部にも届く様に。

 

 ハクは既に上下から来る快感に力を失い、少し荒い息使いをしているのみ。マリーはその身体を何度目かも分からず抱きしめると、首元に舌を這わせる。そして片手を胸に、片手を既に意味を成していない下着の中に直接入れて秘部を触る。3カ所から来る強い快感にハクは思わず親指を噛んで漏れ出る声を抑えようとする。だがその行為はマリーに取って可愛すぎたらしく、より快感を強める事になってしまう。既に秘部からは布越しに水音が響き、必死に抑えようとしている声は抑えきれずに漏れ出ていた。

 

「ひぁ!」

 

「可愛い。可愛いよ、ハク」

 

 秘部の上側にある敏感なそこを触った瞬間、大きな声を上げてハクは仰け反る。それは間違いなく絶頂を迎えた証であり、マリーはそれが分かると同時に再び満たされた様な気分になる。今まで好きだった相手が今自分の腕の中で絶頂を迎えたのだ、当然だろう。ハクは絶頂と共に意識を失ってしまい、頬を微かに染めて眠る。そんな微かに染まったハクの頬を、マリーは愛おしそうに撫でた。

 

「後1日。楽しみだね?」

 

 妖艶な笑みと共に呟くマリーの言葉がハクに届く事は無い。まだ休みは丸1日、残っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、マリーに連れられてハクがたどり着いたのは広大に広がる海に隣接する砂浜であった。身体に問題が無かったことでマリーは無事に外に出られる様になり、こうしてまた遊ぼうとしているのだ。潮風がハクのワンピースを揺らし、飛びそうになる帽子を咄嗟にハクは抑える。そんな彼女の姿は余りにも幻想的な物であり、マリーは思わず見入ってしまった。が、すぐ我に返ると何処からともなくそれを取り出す。海に来たのだ。服装は当然決まっている。

 

「ハク、水着に着替えましょ!」

 

「……」

 

 ハクは目の前に差し出された水着を持たされ、固まってしまう。それは世間一般でスクール水着と呼ばれる物であり、腰の部分で別れている旧型。ご丁寧に胸の場所には平仮名で『はく』とまで書いてあり、背中は殆ど開いている変わった水着であった。当然疑問に思い、ハクはマリーに視線を向けた。ハクの感情を読んだのか、マリーは頬を掻きながら「クローゼットに入ってたの。だから……持ってきちゃった♪」と答える。ハクは分からないが、マリーは何で入っていたのか何となく理解していた。と言うよりも、自分達をここに寄越した張本人しか思い当たらなかったのだ。

 

 他に水着は存在しない。マリーは既に着替え始めてしまい、残されたハクも仕方無くそれを着る事にする。他に人が居ない事で隠す必要も無いため、更衣室等には行かずにその場で着替える事が出来た。お互い一度裸になり、その後再び水着を着用。マリーはビキニで上下両方が水玉の下にスカートが小さくついた水着を。ハクはスクール水着だが、胸が大きいため少し不釣り合いの形となった。そんなハクの光景に再び見入ってしまうマリー。と、ハクは着替え終わったために脱いだ服を一纏めにして抱える。マリーも同様に抱え、飛ばされない様に近く安全な場所へそれを置く事にした。

 

「ハク! 行こう!」

 

「……体操」

 

 マリーは目の前に広がる海へと入ろうとするが、その前にハクに言われて足を止める。海に入る前にまず身体を慣らしておかなければ危ないのだ。振り返れば屈伸を始めていたハクの姿。前かがみになる度に布から零れ落ちそうになるそれに思わず視線を向けてしまったマリーだが、すぐに言われた通りに向かい合う形で体操を開始する。前屈みや仰向けになる度、視線が集中してしまって上手く体操自体に集中することが出来ないマリー。それでも何とか体操を終えた後、今度こそマリーは海の中に足を踏み入れる。冷たすぎない温度の水がマリーの足を濡らす。

 

「ふふ! それっ!」

 

「!?」

 

 マリーは足元に広がる水を見た後、微笑むと同時に同じ様にして徐々に入ろうとしていたハクの身体に思い切り水を掛ける。余りに突然の事にハクは反応も出来ず、手で庇った所で水故に意味も無い。結果、髪も含めて水浸しになってしまう。と同時にハクは赤い目を少しばかり細めると、突然羽を巨大にして広げる。怒ってしまったと思ってマリーはすぐに謝ろうと声を出すが、その前にマリーの身体を猛烈な勢いで水が襲い掛かった。ハクは別に怒った訳では無い。唯羽ばたきを利用してマリーに仕返しをしたのだ。

 

 普通の人間に比べて闘争心が高いマリー。返されたことを理解し、再びハクに水を掛ける。同じ様にハクも水を掛け、美少女2人に寄る水の掛け合いはしばらく続いた。やがてお互いに息切れをする程に疲れた時、マリーは思わず笑ってしまう。そしてハクもまた、無表情な顔に本の微かな笑顔を浮かべた。笑っていたマリーはその事に気付くと、ハクの笑顔に顔を赤くしてしまう。理由も分からず赤くなったマリーの姿に首を傾げるハクだが、マリーは「一回出よっか?」と言うとハクの手を取って海から外の砂場へ上がる事にした。

 

 海に来ることを見越して最初から設置されていたビーチパラソルの下へと入り、そこに並んでいた横になれる椅子に2人は並んで横になる。天気は快晴、気分は最高。そんな状態の中、マリーは横に居るハクの存在を見て嬉しく思う。昨日の一件もあり、自分とハクは間違いなく『特別』な関係にある。その事への幸福感とこうして一緒に居られる幸福感でマリーは満たされ続けていた。しかしその反面、不安な事も当然ある。

 

「ハク、こっち来て」

 

 マリーに呼ばれ、首を傾げながらも近づいて来るハク。マリーは横になる体制から少し腰を奥にして座った後、足を広げて近づいて来たハクをその間に座らせる。小さなハクが同じ椅子に座ったところでそこまで狭くなる事は無く、ハクが伸ばす足に並ぶようにマリーも足を伸ばした。腕はハクを後ろから抱きしめ、鼻はハクの湿った髪に触れると同時に大きく吸い込んだ。

 

「ん」

 

「ねぇハク……しよ?」

 

 髪の匂いを嗅がれて擽ったそうにするハクの姿にマリーは我慢出来ずに提案すると、背中が開いている事で入れる事が出来た為に手を入れてその胸を揉み始める。こんな場所でされるとは思っていなかったのか、大きく反応した後にマリーを見つめるハク。だがマリーは自分を見つめるハクのその顔すら愛おしく感じ、後ろから抱きしめたままキスを始めた。舌も入れ、海の音と一緒に2人の間でジュルジュルと水音が響く。胸も乳房だけでなく、突起を摘むなどして攻め立てる故にキスをしていても稀にハクは感じる様に声を出していた。

 

 マリーは胸に入れていた片手を引き抜き、腰の別れている下部分へ手を入れる。海に入ったのとは確実に違う濡れ具合にマリーは嬉しく思いながら、割れ目をそっと指でなぞり始めた。と、3カ所を攻められて限界が来たのだろう。ハクは大きく痙攣して絶頂を迎える……が、昨日とは違って気絶することは無かった。そしてマリーは昨日は行わなかった行動に出る。

 

 既にハクの身体に力が入る事は無く、マリーが椅子から降りれば背もたれに身体を預ける様になる。マリーはハクを奥側に座らせると、椅子の前に膝をついてハクの足の間に顔を近づけた。海の水では無く愛液の香りに恍惚とした表情をし乍らマリーは力の出ないハクのスクール水着を腰の下部分のみ脱がし始める。剥がれる布と秘部の間で銀色の粘液で出来た橋が出来上がり、椅子の上へと落ちて行く。そうして晒された場所にマリーは嫌悪感等一切見せずに顔を近づけ……その割れ目を舌で舐め上げた。

 

「んぁ!」

 

「ハクのここ、甘いよ」

 

 マリーはハクに告げると、今度は割れ目の中に舌を入れ始める。指とは違うそれはハクの身体に刺激を与え、マリー曰く甘い愛液を更に分泌する。口を大きく開いて秘部に押し当てて舌を入れられる限界まで伸ばせば、マリーの舌はハクの膜にギリギリで接触する。破る事は出来ず、破るつもりも無いそれ。しかしそれに触れられた事にマリーは内心歓喜していた。とその時、ハクが再び絶頂を迎える。

 

「駄……目……っ!」

 

「ん!? んぐっ……ふぅ」

 

 絶頂と共に溢れ出たそれはマリーの口の中に広がり、マリーはそれに驚いた後に迷うことなく飲み始める。全て飲み終えて呼吸を整えると、肩で呼吸をしているハクに前から抱き着く様にして抱きしめる。足をハクの下に入れ、半分持ち上げる様な体制で。

 

 徐にマリーは腰紐を外し、自らの秘部を曝け出す。既に洪水と言っても過言では無い程に濡れそぼったそこは目の前に居るハクを求める様にヒクヒクと動き、マリーは腰を突き出してハクの秘部と自分の秘部を合わせる。

 

「あぁ! 凄い! 気持ち、良い! ハク! ハク!」

 

「マ……リ……ィ……ひぁ!」

 

 先程までハクだけが得ていた快感を自分も受け、思わず声を出して喜ぶマリー。ハクは自分をまるで犯す様に行為に及ぼうとするマリーに驚くが、同じ様に快感に襲われて深く考える余裕も無くなってしまう。秘部の上にある豆がお互いの物を擦り合い、異常な程の快感を共有する2人。逃げる事が無いと分かっていても、マリーはハクの身体を抱きしめる。その結果胸の突起もまた擦れ合い、2人は同じ快感を同じ様に受け続けた。やがて来る絶頂もまた当然同じであり、マリーとハクは一気に身体を仰け反らせる。

 

≪あぁぁぁぁぁ!≫

 

 絶頂によって力の抜けたマリーの身体はハクの上に乗り、ハクもその身体を胸で受け止める形となる。それからしばらくの間、2人の間にはお互いの息遣いと海の音だけが響き続けていた。そしてその後、帰ってからもマリーの攻めは終わらない。明日の迎えが来るその時まで、ハクはマリーによってイかされ続けるのだ。この世界に居る間。マリーの傍に居る間。ハクの日々は変わるのだった。




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