【プリコネR】 クロエ
「これ、どうすんの」
運動会と文化祭を混ぜた様な大きな催しであった聖学祭が終わり、クロエは自分の手に残るそれを見ながら困り果てていた。
給仕服。メイド服。色々な言い方はあるが、一部の人間には大人気の服だ。クロエは聖学祭にて、問題を抱えてしまった女生徒を助ける為に代わりを務める事になった。彼女の想定は運動系の競技へ代わりに出場する事だったが、実際には手にあるそれを着用して接客する事に。一度受けた手前断れず、渋々それに袖を通したクロエだが……催しが終わった時、彼女はそれを譲り受けてしまった。
『是非貰ってください!』
「いや、必死過ぎ。明らかになんか狙ってんじゃん……ってか、うちが着てたのより小さくね?」
クロエに給仕服を押し付ける様に譲ったのは、彼女が助けた女生徒とは全く違う女生徒だった。何でも給仕服を手に入れた張本人であり、クロエが受け取ったそれは彼女の言う通りサイズが小さい。まるで自分よりも小さな誰かが着れる様な大きさだ。自然とクロエの頭に1人の存在が浮かび上がる。
「うわぁ、流石に無いっしょ。無い……うん、無い」
給仕服を着て自分にご奉仕するその姿を思い浮かべ、首を横に振ってその考えを振り払う。決して思い浮かべた光景が醜かった訳では無い。ただ自分の明らかに邪な考えを否定して、クロエは自分に嫌悪した。だが思い浮かんだ事は何度振り払っても蘇り、また彼女のその考えを邪魔するものは誰も居ない。相手が断らなければだが、絶対に受け入れてもらえる事をクロエは確信している。そうなる様にしたのだから。
「……」
気付けば家の前。聖学祭を見にやって来ていた家族やその存在を思い浮かべて、クロエは帰宅する。『お疲れ様!』とクロエの活躍を見ていた家族が労いながら迎える中、クロエは普段通りに過ごした。
夜。家族が寝静まった頃、クロエはハクにそれを手渡す。
「いや、何か無理矢理渡されただけだから。別にうちがもらいたくて貰った訳じゃ無いから」
「……そう」
「サイズ合わないしハクなら合いそうだから、あげる」
「ん、ありがとう。……着て、見る?」
「別に興味無いし。でもハクが着たいなら、良んじゃない?」
少しソワソワしながらも、興味が無い様に振る舞うクロエの姿にハクは全てを察しながら着替え始める。……目の前で。
「ぁ……」
「?」
「いや……別に、何でも無い」
「……ん」
既に一緒に過ごして長い。自分達が家族以上の触れ合いをした事もあり、何よりもクロエに対する警戒心を欠片も持たない状態となったハクは彼女へ肌を晒す事に一切の抵抗が無かった。縞模様の下着を見せながら、ハクはクロエから受け取った給仕服にゆっくると袖を通し始める。
白と黒の布地にフリルが可愛らしいその服を纏ったハクの姿に、クロエはボーっと視線を向ける。それがどんな人物が着る様な服なのかハクは実際に見ていた事もあり、分かっていた。だからこそ彼女は自分の飼い主であるクロエの前に立ち、両手を前で重ねてお辞儀をする。
「ご主人、様……ご奉仕……致します」
「っ!」
それは正しく不意打ちだった。愛おしく想う相手に奉仕すると告げられて、滾らない者は少ないだろう。クロエは滾る者の1人であり、自分が似た格好で誰かを相手に接客していた事実を客観的に見て恥ずかしくも思う。だがその羞恥心を上回る程に、彼女はハクに対して湧き上がる思いを抑えるので必死だった。
「悪く無いじゃん。んじゃ、奉仕よろしく」
明確な内容をクロエは決して伝えない。果たしてそれを聞いたハクがどんな行動をすれば奉仕に値すると考えるのかが気になり、自分にどの様な事をするのかが気になったからだ。
「ん」
ハクが言われて真っ先にしたのは、ベッドへ座ってクロエの頭を膝に乗せる事だった。一瞬訳が分からずに呆けてしまったクロエだが、自分が膝枕されている事に気付いて納得する。とても健全な奉仕と癒しを齎すハクの健気な行動。余計にそんな彼女を好き放題にしたいと滾るものはあるが、まだ抑えられた。
「で、次は?」
「……こう」
続きを促せば、頭を撫でられる。自分よりも小さな子供にまるで甘やかされる様な状況にクロエは何とも言えない表情を浮かべた。別にそれが嫌な訳では無かったが、恥ずかしさと物足りなさを感じてしまったのだ。普段から隠れてコソコソと淫らな行為に及んでいたのが原因だろう。
「これで満足? んなわけないっしょ」
「……えっちな事、したいの?」
「っ!?」
だが焚き付けるには十分な行為でもあった。今すぐにでも襲い掛かりたい衝動に駆られながら、クロエは更にハクがどうするのかを見ようとする。しかし直球に質問されてしまった事で、クロエの顔が少しだけ赤くなった。本心を言えばハクとこのまま始めたいと思っていたクロエだが、聞かれて肯定するのは彼女のプライドが許さない。
「別に。そっちがしたいだけっしょ。うちはどっちでも良いから」
「そう……」
結果、クロエは素直に答えられなかった。ハクは彼女の言葉を聞いて、頭を撫でていたその手を止める。そして給仕服に両手を掛けると……胸だけを露出させた。
「……へ?」
「ん……」
突如自分の目の前に現れたハクの乳房。少し抱え込む様にしてハクが胸を近づければ、クロエの頬に乳房が当たって歪む。その柔らかさを感じながら、クロエは自分が今置かれている状況を整理した。
奉仕をお願いしたら膝枕をされて、更に要求したらえっちな事をしたいのか問われて胸を宛がわれた。非常に簡潔だ。胸が顔に当たる度、ハクの悩ましい吐息が聞こえる。クロエは少し困惑した末に、それがハクの奉仕なのだと受け入れて……ハクの乳房に口を付けた。
「んっ……クロ、エ……赤ちゃん、みたい」
「はむっ……やらせたあんたが、言うな……んちゅ」
所謂授乳の姿勢。まるで赤ん坊に戻った様な姿勢でハクの乳首を口に含んだクロエは吸い付きながら舌を使ってハクを感じさせる。既にハクは何度も胸を弄られた経験があり、またクロエは弄った経験もある為、弱点はお互いに分かり切っていた。どの様に攻めればハクが感じるのか、クロエは熟知していた。
「ウケる。奉仕してるのに、自分だけ気持ち良くなるとか」
「んあっ! クロ、エ……」
「ほんと、チョロ過ぎ。しかも胸だけでイクとか、弱過ぎだから」
「んっ、あ……んん~~~~っ!」
ここはクロエの自宅で違う場所には彼女の家族も居る。故にハクは自らの手で自分の口を塞ぎ、絶頂の声を押さえ込んだ。そして身体をビクビクと震わせながら力無くベッドへ倒れれば、膝に残ったクロエが頭を上げてハクの元へ近づき始める。
「『主人より先にイって満足しました』は、流石にメイド失格っしょ」
「ご、めん……な、さい」
「駄目。お仕置きって事で、次はうちがやる」
ベッドに転がったハクの上へ覆い被さり、顔の横に手を付いて見下ろしながらクロエは告げる。そんな彼女の言葉にハクは一切の拒絶はせず、寧ろ受け入れる様に両腕を開いてクロエを迎えた。
翌日。攻めが激し過ぎて腰が抜けたまま動けなくなってしまった給仕服姿のハクを、ご主人様であるクロエが介抱するという明らかに真逆な光景があるのだった。