只管、唯只管に私は走る。人の間を通り抜けて、細い道を通って。捕まったら最後、最悪な未来しか想像出来ないから。
「鬼ごっこか? ふふ、私から逃げられるとでも思っているのか。……10秒だけ待ってやろう」
後ろから人の声に交じって聞こえる鮮明な声に私は恐怖を感じ乍らとにかく距離を取る。相手は普通の人間では無い。だから今は私に出来る全てを持って逃げるべき。故に私は迷わず力を使って空へと駆け上がる。かなりの速さは出ている為、一般人に気付かれた可能性は低い筈。とりあえず飛べる時間は1分だから、その間に何処か遠くへ……!
遥か下から何かが物凄い速度で急接近しているのが分かった。その速さ故に私がそれを理解した時には遅く、それは私の身体に大きな衝撃を与えて通過して行く。強烈な痛みと共に自由落下を始めてしまった私の身体は既に私自信の制御も効いてくれず、そうして落ちて行く私の身体はやがて地面に接触……する前に現れた女性の豊満な胸をクッションにしてその腕に抱き留められる。痛みは来なかった。が、今の状況にそれ以上の絶望が私の中を今現在渦巻き始めている。
「5秒も掛からなかったな。さて」
見上げた女性の顔は歪んだ笑顔を見せる。そうして私はその女性に抱えられながら連れて行かれる事になった。
私がここ【川神市】に来て既に数年が経過していた。当初何も無い所に居た私は言わば野良猫の様に存在していたが、そんなある日私を拾ったのが今私を抱きかかえている女性……【川神 百代】。期待の笑顔を見せる彼女の笑顔は同性でも分かるぐらいに美人なのだけれど、その中身は一言で言えば人外みたいな物。怪我を瞬時に直したり、手から衝撃波を出したりとゲームの世界や特殊な力がある世界では無いのにも関わらず、己の肉体だけでそれを成し遂げる超人。
彼女は私を拾った時、『不思議な感じがする』と言う理由だけで私を飼おうとし始めた。正直な話、何もしていないのに色々見抜かれた気がして内心は冷や汗が止まらなかった。だけどどうやら私は彼女の欲を満たさなければいけず、何だかんだで彼女の住む道場で飼われる様になった……のだが、彼女は非常に苛々が募ると何かにぶつける性格らしく、私はその日から彼女に苛々が溜まっていたりすると唯只管に身体を触られる様になった。彼女曰く、私をもふもふすると他の何かをやるよりも癒されるらしい。
そんな日々を送り続けて数年。何時の間にか百代にも友達と言うべきか後輩と言うべきか、とにかく一緒に居る相手が出来る様になった。そうしてどんどん成長していく彼女達を見て行く傍らで、同じ様にドンドン増えて行く相手の欲を満たそうと動いていた私。だけどある日、百代は私に向けて言い放った。
『最近、他の奴と一緒に居過ぎだぞ』
実は百代が学校に行っている間、私は人の姿で同じ様に学校に行く様になっていた。それは私の飼い主である百代の祖父が私の正体を知り、百代に内緒で入学させたことが理由。当然百代は知らず、私を同じ学校の生徒としか見ていなかった。かなり頻繁に絡んできたりはしたけれど、それも私を私と気付かずの行動。だけどそんなある日、百代は家で私の身体を持ち上げた際に顔を顰めた後、私の身体に鼻を押し付け始めた。そうして言った言葉が先程の言葉。それから私は度々百代に学校に連れて行かれる様になってしまい、当然ながら私が百代の場所に居れば学校に出席して居た私は欠席に。そして最初は偶然だと思っていても頭の良い人や感が良い人の中にはそれに気付いてしまう者も居て、その気付いた中には百代の弟分も含まれていた。結果、当然乍らその法則は百代の耳にも入る事に。
百代は私が普通の猫では無い、不思議な猫だと拾った当初からずっと思っていたらしい。そして今日、私は百代に質問された。
『お前は人に成れるのか?』と。
状況を理解していただけに、私はそれに肯定することが出来なかった。肯定したら最後、恐ろしい何かが待っていると分かっていたから。だけど百代は何も答えない私を猫の気まぐれでは無く、意識的に答えないのだと理解した様子で『答えないつもりなんだな』と呟き、そうして始まったのが先程の一瞬で終わってしまう鬼ごっこ。百代は手加減などせず私に『なら徹底的に調べてやろう』と言って襲い掛かって来たのだ。すぐに私は逃げだしたけれど、結果は百代持ち前の超人的な力で私を文字通り撃ち落として終了。今に至る訳で……
「さて、もう逃げられないのは分かるだろ? 観念して正体を明かせ」
『……』
「ほぅ、そこまで私に調べて欲しいか。そうかそうか……なら望みどおりにしてやろう」
百代の部屋の中に部屋の主事閉じ込められた状態になった私に逃げる場所は当然無い。ゆっくりと近づいて来る百代に同じ様にして後ろに下がり続けるけれど、最終的に私の背中は当然乍ら壁と接触してしまう。普通の相手なら猫の身軽さを生かして走り回るなりすればそうそう捕まらないだろう。だけど相手はそんな普通とは程遠い存在。私は再び簡単に百代の腕の中に捕まると、百代はそのまま私共々部屋の中にあったベッドの中へと入る。何をしてくるのか何となく想像は付くけれど、この後私はその想像が甘い物だと思い知る事になる。
「まずは普段通りに」
百代はそう言うと猫の姿の私の身体に手を這わせる様にして触り始める。この姿の場合は敏感ではある物の、その感覚はどちらかと言えば『くすぐったい』。つまり私がこの姿のまま撫でまわされたところで我慢は出来る筈。百代の撫で方は京や小雪と違ってかなり乱暴なため、その点からも問題は起きそうにない。この世界の主人が細かい事が苦手なそういう性格で良かったと思う。
彼方此方を撫でまわされるけれど、結局唯愛でられるだけの行為。この分なら安心だと思った時、百代は「さて、もう良いか」と呟いた。何がもう良いのかと疑問に思うが、先程同様に伸ばされた手が私の『羽の付け根』を触った事で一気に理解する。今まではいつも通りにしただけで、百代はこれから本気で攻めて来るのだと。だけど既に羽を掴まれた私は油断故に力を出せる状況では無くなってしまっていた。
「やはり羽は弱点なんだな。少し触っただけでこの反応……なるほど、京の言葉はそう言う意味か」
私の姿に唯々納得した表情で頷く百代。私は顔だけ上げてどう言う事なのかと視線を向ける。私の意思を理解したのか、百代は少し笑いながら「動物の愛で方の話しをした時、京が『普通の動物とハクの愛で方は違う』と言っていたんだ」と答えた。……確かに百代に比べれば京の方が狙った様に痒い所などを撫でて来る。だけど愛で方が普通と違うと言うのはつまり、私が普通じゃないと思われているって事?
「ハクの羽が弱点なのは知っている。しかしそこを乱暴に触れば感じさせる以前に痛みを与えてしまう。そこで少し練習したんだ。と、言う訳で……覚悟しろ?」
確認も何も、百代が最初から私を普通では無いと考えた上で行動をしているのをある程度予想していた。それでも見て見ぬ振り……と言うよりは確証が無かったと言う方が良いのかも知れない。とにかく今の今までは何もしてこなかったけれど、今回の件。本気で私の正体を明かそうとしているらしい。そして先程の様な余裕は既に私には無かった。羽を触られるのは人の姿であの場所を触られると同じような快感が襲って来る。そして今現在、百代がそこだけを責めようとしている事は目に見えていた。
「ゆっくりと身体を撫でて流れる様に……羽を撫でる」
『!』
「次にお腹をこちょこちょしながら……羽をこちょこちょ」
『!!』
「羽を摩りながら……羽を摩る!」
『!!!』
百代の私を拘束する力は加減されているけれど、逃げようとすればすぐに力を入れられてしまう。そうして羽を弄られ続けた私はついに脱力してしまう。逃げる力も無くなった事を理解した百代はそこで私を離し、高い場所から私を見降ろす様にして聞いて来る。「正体を明かす気になったか?」と。既に満身創痍に近い現状の私はその事に唯頷くしか無かった。
「……」
「や、やはりお、お前だったか。やや、大和の言う通り……だな」
自分から正体を明かせと言っておきながら、いざ人の姿になった時。百代は驚いた顔をし乍ら私を見つめてそう答える。言い方は完全にカクカクで、どう考えても目の前の現状を信じられないと言った目。常識的に猫が人になるのは可笑しいから仕方が無い事……なのかも知れない。うん、可笑しい事。ロボットは別だから間違いない。あぁ、あれは『人型』か。
「本当に人に……しかも大和の言う通りだったとは……ふ、ふふふ、これは好機だ! 普段行いの良い私へのご褒美に違いない!」
普段行いが良い事が本当かどうかはともかくとして、何かをブツブツと言い続けていた百代は突然そう言うと私に目線を向けて来る。そして見つめて来るその目は私が学校に居た時に私を私と気付かずに接していた百代の目と同じ。そう、欲しい獲物を見つけた様な目。
「まず最初に言って置こう。学校でお前を見つめた時、私は惹かれた。言うなれば一目惚れだ」
「……」
「それはお前がハクだったからかは定かではないが……ハクがお前だった以上、つまりお前は私の物だ」
出来る事なら今すぐ逃げたい。せめて百代から離れたい。だけど力は人の姿になったところで戻らないし、百代も逃がしてくれる雰囲気は当然無い。まるで覆いかぶさる様にして百代は私を抱きしめると、私の耳元に口を近づける。百代の息が私の耳をくすぐり、身体を捩りたくなるのを唯目を強く握って我慢。だけど百代はそんな私の顔をみて表情をニヤリと笑って見せる。
「私の物が私に秘め事をしていた訳だ。こういう場合、主人として【お仕置き】が必要だよな?」
今この時、私の未来は百代の手に掛かっていた。
緊張しているのか、ゴクリと唾を飲む音が聞こえる。百代の手は今、私の制服のボタンを外せる位置にある。だけどそれを外すことに百代は戸惑い……と言うよりは勇気の様な物を絞り出そうとしている様子。今まで欲しかった物がいざ手に入ったらどうしていいか分からなくなってしまう様な、そんな現状に直面している……そんな所だろう。
「あ~、ちょ、ちょっと待ってくれ! ……どうしたんだ私は。何時もやっている事じゃないか」
動けない私に向かって待つ様にお願いをし、小さく呟き始める百代。過去に百代はよく同性を対象に発散している時があり、女性を気持ちよくする事にはそこそこ慣れているのかも知れない。にも関わらず、どうやら行動出来ないらしい。ある意味これは運が良いのかも知れない。そのまま混乱なりなんなりすれば、私へのお仕置きは無くなる可能性がある。身体も先程の羽根への刺激で動かないけれど、流石に数分間何もされなければ動かせる様になる筈。
「落ち着け私。あの少女がハクだったと言う事は、何時でも関係を持つ事は出来る訳だ。つまりやりたい放題……そう。つまり何をしてもハクは私のであり、特に問題は無い。ふふ、ふははははっ!」
突然笑い出す百代。そして今の今まで動かずに止まっていた手が容赦なく私の制服のボタンを【引き千切った】。弾け飛ぶボタンは勢いよく私や百代の顔の傍を通過し、私の前は一瞬で解放される。一応下着は付けているけれど、行動を開始されては時間の問題だろう。露わになった私の上半身の一部を見て、百代が再びゴクリと音を立てた。
「ハクの生乳が今目前に……ここで触らなければ一生後悔しそうだな。と決まれば」
百代は下着によって隠されている私の胸をその下着越しに鷲掴みにしてくる。乱暴で感じさせるのとは違う自分が堪能したいだけの触り方。今は文字通り欲望に身をゆだねていると言った所だろう。来るのは痛みぐらいで気持ちよさを感じるには程遠い。が、揉んでいる百代は自分の指が沈みこむ私の胸の感触に「おぉ!」と驚愕の声を上げた。
痛みなら力が抜ける事も無く、私の手はようやく動かせる様になる。そこで私はすぐに百代を突き飛ばし、部屋から出ようと行動を開始する。だけど相手は言ってしまえば最強。こんな事で逃げられるわけが無かった。
「危ない危ない。油断も隙も無いな、お前は」
それは一瞬だった。逃げようとした私は一瞬にして片手を関節技を決める様に背中へと回され、掴まれたままその腕の中に抱きしめられる。目の前には百代の大きな胸があり、結果的に両手は片手を百代の手によって痛みを伴う曲げ方で防がれてもう片方の手は抱きしめられる体制故にその二の腕事拘束されてしまった。そんな私をニヤリと笑いながら見下ろして来ていた百代はゆっくりとその顔を近づけて来る。
「! んんっ!」
私の手は両手とも塞がれているけれど、百代は今現在片手で私の手を掴んでそのままその腕でもう片方の手も拘束して居る。つまり彼女には自由に使える腕が1本存在して居た。そしてその自由な手で私の後頭部を抑え、逃げられない上に回避も出来ない状態にして百代は私の唇を奪う。それだけでなく、まるでこじ開ける様に口の中へと舌を入れて来た百代は私の口内を隅から隅まで舐め始める。
思わず力が入る身体だが、当然ながら拘束された私は彼女の思うがまま。好き放題に私の口内を貪る百代の舌は荒い乍らも確実に私の力を吸い取る様に動いた。狙い通り徐々に力が抜けて行けば、百代は私の身体に自らの体重を掛けて来る。立って居た体制からどんどん下がって行き、気付けば両手が解放されているにも関わらず百代の身体の上に座らされたままキスを続けさせられていた。
「んじゅ! あぁ、お前の舌は美味いな」
ようやく頭を抑えつけていた手が離れるが、その頃には百代の上に力なく横たわる事しか出来ない状態にされていた私。大きく息を吸って再び私の頭を抑えてキスを再開した百代は今度、曝け出されたままの私の胸を揉み始めた。先程とは違う快感を伴うその触り方は、百代が欲求不満だった際に学校の女子に手を出していた事の証拠だろう。最近はしてなかったらしいが、それでも培われて来た技量は衰えないらしい。
「っと。ハク、手を首に。足を腰に回せ。逆らえば、分かるな?」
再び口を離した百代は倒れる私の身体を起き上がらせてそう命令してくる。そしてやりやすい位置に私を固定して、腰に手を回して来た。最後に繋がれた言葉は恐怖を連想させるような声音であり、私は言われるがまま百代の首に両手を。腰に足を回す。この体制、確かだいしゅきホールドと言うらしい。百代は私が言われたとおりにすれば、立ち上がった後に左手で軽く私の身体を持ち上げたまま右手を自由にする。
「ひぃあ!」
思わず出てしまった声に百代は笑いながら行動を再開する。百代は自由になった右手を私のスカートの中へと入れ、何の予備動作も無く人差し指で下着をずらして私の膣内へと挿入して来たから。そして何を思ったのか百代は腰辺りを浮かせ、手を自分の股間辺りに配置。私の顔を見て笑った後、その腰を動かし始めた。
指一本が入るぐらいでは膜が敗れる事は無いだろう。だがその様な動かし方をすれば、破れずともまるで入れられている様な感覚を感じざる負えない。体制も首と腰に手足を回さなければ、百代の腕だけ故に落ちてしまう可能性がある。だから離れる事も出来ずに抜けて行く力で必死に落ちない様に私は身体を支える。が、百代はそんな私の苦痛が分かった上で腰を動かして疑似交尾をし続ける。
「んっ! も、う……!」
「イってしまえ。あぁ、力は抜くなよ? 落ちるぞ?」
「そんな……の……無理っ!」
苦しむ私の状況を、感じさせている状況を心底楽しむ百代に文句等を言う余裕も無い私は唯必死に来る快感から力を奪われない様にし続ける。だがやがて限界に達する私の身体に力は一気に抜けて行き、やがて頂点に上ると同時に私は意識すらも落とすことになる。当然その際、身体は完全に力を失ってしまって落下を開始。寸前のところで百代に抱き留められたのを最後に私の意識は落ちた。
「……やり過ぎたか」
百代は気絶してしまったハクの身体を持ち上げて自らのベッドの上へと運ぶ。その際、服を元に戻すなどの事はせずに運んだ為にハクの姿は完全には何も脱がずに胸を曝け出して下着も見える様にずれた状態のままである。その姿は百代では無くても情欲を掻きたてるには十分であり、百代は時間を確認した後に自分の服を全て脱いでハクの眠るベッドへ横になる。
「眠る幼気な少女に悪戯……良いな」
その後。ハクの身体はハク本人の意識が無い中で好き勝手されるのだが、それは百代だけの秘密である。