「ハク、何処にいるの?」
『……』
モンスター娘と人間が共存する街、アルテノンの宿屋で1人のモンスター娘がハクを探していた。数多くのモンスター娘が世界を救う為にと集められて部屋を借りる中に、ハクも同じ様にして自分の部屋を借りていたのだ。当然寝泊まりはそこでしており、ハクを探しに来た存在はベッドの上で猫の姿になって何処か眠たげに自身を見上げるハクの姿に気付いた。
「おはよう。早速だけど、神殿に行くわよ。巫女組として、やる事はいっぱいだもの」
『……』
「自分は必要ない、って思ってるわね? でも残念。貴女が居た方が効率は良いのよ。ルルシィもそれなりにやる気になるの」
ハクを迎えに来たモンスター娘、緋乃芽は嘗てこの世界における重要な人物……巫女と呼ばれていた。しかし色々な理由から追放されるに至り、そして1人の青年とモンスター娘達によって世界を救う過程で彼女は巫女として帰って来たのだ。あくまでも先代巫女であり、今代の補佐兼新たな派閥『巫女組』として。
諦めた様に身体を起こしたハクは一瞬で人の姿へと変わる。それを前に満足そうな笑みを浮かべた緋乃芽は無言で片手を差し出した。何も言わずにハクは手を繋ぎ、彼女と共に宿屋を後にする。
ハクはこの世界で緋乃芽と共に長い時を過ごした。彼女に降り掛かった災難を自分にはどうする事も出来ず、ただ傷つく彼女の心を少しでも癒そうと。それは使命の為であり、自分を見つけて居場所をくれる彼女への恩返しでもあった。
しかし何時の日か、彼女は復讐を考える様になる。そこでハクに出来たのは彼女の曲がってしまった決意を出来る限り元通りになる様に支えつつ、敵対する相手の前へ時折人の姿で現れては手助けをするスパイの様な行為。当時、緋乃芽はハクが人の姿に成れる事を知らなかったのだ。
その甲斐もあってか、ヨーコと名乗っていた緋乃芽はその正体を明かして蟠りをなくした時、即座に受け入れられた。ハクが人に成れると知り、頭の良かった飼い猫が自らの意思で自分を守ろうとした事を知った緋乃芽は世界の危機を乗り越えて以降、ハクにベッタリといっても過言ではない。寝床は別にしても、朝になれば迎えに来て夜まで一日中一緒なのだ。彼女曰く、ハクを傍に置く事でストレスの解消にも繋がるとの事である。
「わらわから離れるんじゃないわよ。ルルシィが来ても話すだけ。絶対連れて行かれたりしないでよね」
「……」
現代の巫女、ルルシィと共に仕事をする過程で毎日の様に緋乃芽はハクをせがまれていた。抱きしめさせて欲しい、撫でさせて欲しい等々。緋乃芽はハクを自身の傍から離さない行為なら許すものの、抱きしめる等の確実に自分の元から離れる行為は許さない。一度ハクが可哀そうに思って自ら移動したが、その日の夜は散々な目に遭ってしまった。
「そういえば、またご無沙汰ね。わらわ達」
街の中を移動する最中、ハクは緋乃芽の言葉を聞いて顔を上げる。微かに妖艶な笑みを浮かべてハクを見つめるその姿は人を弄ぶ狐そのもの。そしてそれが数日に一度、夜に疲れる事となる合図でもある。様々なモンスター娘達と出会ったが、あくまでもハクの飼い主は緋乃芽だ。彼女が求めるなら、ハクにそれを断る事は出来ない。なにより、本人に断ろうという気持ちすら無かった。
一日の仕事とも言える時間を終えた緋乃芽はルルシィに告げて神殿を後にする。現代の巫女も先代の巫女も、昔は神殿から外へ出る事が殆ど許されなかった。しかし改革が始まって以降、彼女達は外で自由に出る事が出来る様になった。宿には緋乃芽の部屋もあるが、今回彼女は真っ直ぐにハクの部屋へと向かう。
ハクの部屋は部屋の種類でも最高級のロイヤルクラスである。これはハクを気に入った多くのモンスター娘達が協力した結果であり、それと同時に緋乃芽が仲間になる前には常に誰かが入り浸っていた。防音設備が十分に施されているため、色々と都合が良いのだ。緋乃芽との関係が発覚して以降は配慮もあって来客も少なくなったが……徐々に我慢が限界に近づいているモンスター娘が居る事を緋乃芽は知らない。
「はぁ~、今日も疲れたわ。ハク、マッサージでもしてくれない?」
「……分かった」
嘗ては猫の状態で背中に乗る等してマッサージを行っていたハクだが、人に成れる事を知られてからは人の姿で懸命にするのが当たり前になっていた。自分よりも小さな子が頑張って奉仕をする姿は緋乃芽にとって幸せそのもの。問題はまだあったとしても、復讐といった負の感情が無くなった彼女は幸福を噛み締めていた。
「? ぁぷ……」
「あら? 尻尾が勝手に……ふふ。これも良いわね」
九尾のモンスター娘である緋乃芽にはその名の通り、9本の尾がある。彼女の意思で動かす事も出来るそれを彼女は基本的に自然動作で任せていた。ハクにマッサージされて幸福を感じた事で無意識に動いてしまった尻尾が一斉にハクの身体を包みこんでしまい、それに気付いた緋乃芽は止めるどころか自らの意思で操作してハクに纏わりつかせる。
「ぁ……服、が」
「どうせ脱ぐんだから、構わないわよね?」
尻尾の全てが緋乃芽の意思に従ってハクの身体に群がる。脇や裾から服の中に入り込めば、両手を絡まれて自在に動かされながらハクは徐々に脱がされていった。腕に力を込めても、緋乃芽の尻尾には敵わない。やがて下着も剥ぎ取られて生まれたままの姿にされた時、緋乃芽はハクを正面から座った姿勢のまま自分の身体を跨がせる様にして抱きしめる。
「こうしているだけで、疲れが抜けていくみたい。だけど同時に欲求不満にも感じるのよね」
「…………する?」
「えぇ。勿論。しないなんて選択し、最初からないわ。ほら、キスするわよ」
「ん……来て……っ!」
ハクは緋乃芽を受け入れる。彼女が言った言葉に頷いて、近づいてくる唇に目を閉じて自らも近づけた。自然と緋乃芽の両腕がハクの背中に回れば、それに反応する様に尻尾が一斉にハクの身体を包み込む。尻尾の中で緋乃芽はハクと抱き合い、口付けをし合う。舌を絡めて聞こえる卑猥な水音が、余計に興奮を煽り続けていた。
「んっ、ぁ……尻尾、が……んん!」
「尻尾に弄ばれるの、好きでしょ?」
柔らかな尻尾の毛がハクを全身を包みながら刺激し始める。決して強くはないものの、背筋から感じるゾワゾワとした言い換える事の出来ない快感にハクは小さな嬌声を上げる。自分の上で身体を仰け反らせながら、尻尾と両腕に抱かれて暴れる身体を押さえ込まれたまま感じるハクの姿を緋乃芽は楽しそうに眺め続ける。
尻尾はハクの身体を外側から撫でていた。つまり内側にはその刺激がなく、脱がされて露になった乳房や大事な部分には刺激を与えない。そしてそれを補う様に、ゆっくりと抱くためにハクの背中へ回していた両腕を解放した緋乃芽は下から掬い上げる様な形でハクの両胸に触れて揉み始めた。
「あぁ、気持ちいいわ」
「ん、ぁ! ひの、め……っ!」
更なる嬌声を上げて弱々しい目を緋乃芽へ向けるハク。そんな光景が緋乃芽を精神的に気持ち良くしていた。手にはハクの胸の柔らかな弾力の心地良さ。その日溜まったストレスも鬱憤も、今この時間が全てが発散されていく気がした緋乃芽はそれだけで絶頂しそうにすらなる。
「ぁ……ここももう濡れちゃってるのね。弄ってあげるわ」
「ひ、ぁ!」
緋乃芽はハクが裸の状態で跨いでいたため、その秘部から愛液を流し始めているのに一目で気付いた。何度か経験している事とはいえ、好いた相手が自身の攻めで感じて愛液を流す姿に緋乃芽の想いは溢れて止まらない。本能のままに再び口付けをすれば、その攻めは本格的にハクを絶頂させる為のものへと変わる。
「今日はそうね……5回くらい、イかせてあげる」
「来、ちゃう……イ、クっ!」
その言葉にハクは驚く余裕もない。だが既にそれもまた経験済みであり、1度では終わらない事などハクには分かりきっていた。絶頂の瞬間にはまた口付けと抱擁が行われて、ハクはこの世界で出会った愛する存在の腕の中で絶頂を迎える。優しい尻尾の刺激を感じながら、再び始まる刺激にその身を委ねるのだった。