※この作品はR-18です。

転生者の涙   作:私の矢が貴方を貫く

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 人は、何らかのストレスを受けるとそれから逃れるために防衛機制が働くらしい。

 

 朝、目元に隈を携えたあたしは小屋の外に積んである角材に腰を下ろして前世で学んだ知識を思い出していた。

 

 逃避、同一視、昇華、様々な防衛機制があるらしいがあたしの心が今、発動している防衛機制は反動形成に違いない。

 昨日、あんなに恐ろしかったあの青い木のことを考えると頭に血が上ってくる。

 思わず手に力が入るが、握っているエクスタシスロッドが軋む音を立てはじめたので慌ててやめる。

 

 それともこれは防衛機制ではなく、鑑定が効かないという異質な物を排除したいという心理がそうさせるのだろうか。

 

 どちらにしても、

 

 「一度、破壊してみないと。」

 

 あの青い木が、他の木と同じ様に砕かれ、地に伏す物だと己の目で確認しないと夜も眠れない。

 鑑定能力のレベルが届くようになるまで待っていたら恐怖で心が壊れてしまいそうだ。

 

 「でもどうやって破壊してやろうかしら。」

 

 片手でロッドを弄びながら考える。近づいて剣で切るなんて真っ平御免である。

 なら弓で撃ってみようか?ロッドから弓を展開し考える。

 遥か上空から撃ってみるなど良いかもしれない。だが森の影に隠れられない空は、別の危険を呼びかねない。

 

 「あー。もう。どうすればいいのよ」

 

 思わずロッドを投げ捨て横になると、有るものが目につく。

 

 「超巨大回転刃草……これよ!」

 

 巨木ですらなぎ倒して行ったタンブルウィードをあの青木エリアにぶちこんでやればいい。あの強大な質量は必ず青い木を粉砕してくれる。あの木が有害なのか、あたしに役に立つ存在なのか、そんなのはどうだっていい。

 

 「木だけに木端微塵にしてあげるわ」

 

 角材の山から立ちあがり、木屑を払うと小屋に戻りいつもの装備を身に付ける。そしてウロにむかい、ジャンブ台用にエルシズロッドを13本皮袋につめる。

 

 「20本もあれば青木エリアに届くジャンブ台も作れるわね。」

 

 細かい計算は西の草原エリアまでの距離を図って調節すればいいだろう。あたしはうきうき気分で西に向かった。

 

 ◆◇◆◇

 

 

 深紅の長剣を構えたまま、草原エリアに向かって姿勢を低くしたまま走るあたし。

 

 一つだけぽつんと生えている木を見つけ、影に飛びこみ呼吸を整える。

 

 「白木エリアの木、ほぼ全滅しているじゃない…。」

 

 この前あたしが99本引き抜いて作ってしまった森の中の小さな砂漠。その後あたしがいない間に何が起こったのか予想できないが、木の生えていない場所が全体にまで広がってしまっていた。

 

 「もはや白木エリアじゃなくて腐葉土砂漠エリアかしら。」

 

 ため息をつきながら上を見つめると、獲物を探しているのか旋回している生き物が何匹も見ることができる。鑑定能力は届かなかった。

 

 しょうがないのでしばらく木陰で隙を伺っていると、

 

 「プギギィ!!」

 

 と声がした。

 

 声のした方を見てみると、不用意にも巨木エリアの中から出てきたオークが翼を持つ化け物に襲われていた。

 オークが犠牲になっている隙に鑑定を使う。

 

 

――――――――――

 種族:レッサーグリフォン

 氏名:ポチ

 性別:雄

 Lv:15

 年齢:15

パラメータ

 体力:150

 持久力:230

 筋力:70

 技量:17

 敏捷:3000

 攻撃力:225

 防御力:309

 魔力:2100

生体スキル

 飛行Lv20

 高速飛行Lv3

 集団飛行Lv1

 毒の爪Lv15

戦闘スキル

 怪力Lv20

 

―――――――――――――――――

 

 ……あんまり強くないな。レッサーグリフォンのステータスを見て思う。

 

 現にオークも巧みにこん棒を使い善戦している。やはり武器が持てると格上にも善戦できるようだ。

 

 同じ武器を使うよしみで少しだけオークを応援しながら眺めていると、オークの振り抜いたこん棒がレッサーグリフォンの頭を打ち砕いた。

 

 善戦どころか勝ってしまった…。

 

 まぁゲームのように後から出てくる魔物が強いわけではないのでむしろこれが普通かもしれない。

 

 などと考えていたらいつの間にか、オークの後ろに降りてきていたレッサーグリフォンがオークの首を強力な爪で跳ねた。

 

 あーあ。折角勝てたのに油断しすぎだよ。

 

 まぁ一匹レッサーグリフォンを倒してくれたので良しとしよう。

 あたしとしてはこのままレッサーグリフォンが此方に気づく前に、西に向かいたいのだができない理由がある。

 

 アンデッド化である。

 このままではレッサーグリフォンとオークが混ざったアンデッドが西での実験を済ませた後、襲いかかって来る可能性があるのだ。

 

 その為には死体をきちんと処理しなければ成らないのだが、上空にはレッサーグリフォンが三匹、地上に一匹いてひじょーに厄介である。

 

 まぁあたしが産み出してしまった、ししとんきー君よりは弱いので纏めて相手をしてやってもそこそこの疲労で済むだろうが。

 

 あたしは……

 地上のレッサーグリフォンに襲いかかった。

 まぁ大丈夫だろう。西に進む。

 

 

 ➡地上のレッサーグリフォンに襲いかかった。

 

 天使の小羽の良い所は、空中を駆けることで足音が全くしなくなることである。

 

 あたしはトップスピードに乗りながらも、音を立てずにグリフォンの真後ろにまで接近していた。

 

 そのスピードを殺さず、そのままグリフォンの太い首に深紅の両手剣を射し込む。

 

 「クルァッ……」

 

 ―――スルリ

 

 何の手応えを感じることもなく、グリフォンの頚を撥ね飛ばす。

 

 すぐに手元を見て深紅の長剣が霧散しかけているのを確認し、ティラスの両手剣に持ち変える。

 

 「「「ケラァルルルル」」」

 

 先程の断末魔の叫びを聴いたのか、三匹のグリフォンが甲高い叫び声を上げながら、空から襲いかかってる!

 

 ティラスの両手剣に魔力を流し込むと同時に、三方向から前足が降り下ろされる。

 

 あたし目掛けて風を切って迫る獅子の脚――!

 

 「ふっ……!」

 

 余裕をもって全てを交わしたあたしは、ティラスの両手剣を思いきり振り抜く。

 

 ぼとり。ぼとり。ぼとり。

 

三本、獅子の脚が地に落ちる音がした。

 

 「これでおわりね!」

 

 機動力は完全に奪ったが、手負いの獅子が一番恐ろしい。

 

 あたしは距離を取ると、深紅の手槍を作り出しては投げつけ、全く近寄らずに封殺した。

 

 

 「ロマンが無いかしら……?」

 

 結局傷一つ負わずに四体のレッサーグリフォンを討ち果たした。

 回復魔法も使えない身だと、どうも不意打ちめいた戦いかたになってしまう。

 これでは戦いではなく、暗殺か狩りのどちらかだろう。

 まぁ呪いのせいで、暗殺推奨の体質になってるから回復魔法が使えたとしても結局このスタイルに落ち着きそうだが。

 

 ……因みに死体の処理には30分くらいかかった。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 元白木エリアの最西端、草原エリアの入口まで来てようやくあたしは気づく。そういえばここもろくに調査しないで逃げ出したんだった。

 

 「相変わらず丘より手前は平和ね……」

 

 エクスタシスロッドでヴェスタ色の長剣を創り、辺りを警戒しながら進む。ころころと小さなタンブルウィードが転がってくるが以前より簡単に真っ二つにできた。

 

 「そういえばこれ、どうやってうごいているのかしら……」

 

 地球のタンブルウィードは風で動いていたが、草原エリアは現在全くの無風である。なにか情報はないか、魔力を瞳に込めて見ても全く解らない。

 

 「一日ぐらい鑑定をつけっぱなしにして、スキル上げとかしたほうが良いのかしら。」

 

 効率良さげなスキルの練習など、まだ一度もしてないことに気がつく。

 そろそろ魔力でごり押して戦うのも危険かもしれない。

 そう思いつつも、魔力を込めた瞳に更に魔力を込めて二重鑑定を起動してみる。

 

 

――――――――

回転刃草

枯れると転がりながら広範囲に種を巻く。

茎の部分が魔導回路を形成しているため、枯れた後大気の魔力を利用して転がることができる。

またより魔力の強い生命体の血管内に種を植え付けるようプログラムされている。

―――――――

 

……最初から全ての情報を素直に渡してくれないかと言いたくなる。

 この情報を先に見れていたら絶対に用もなく草原エリアに入らなかった。今回は用があるから入るのだが。

 

 そういえば拠点の巨大回転刃草は、衝突で回路が壊れたから転がらないのだろうか。

 そう考えると、青木エリアにつっこませた後超巨大回転刃草の回路が壊れていなかったら、東の地にやっかいなものが残ることになる。

 

 「まぁいっか。」

 

 その対処は未来のあたしが頑張るだろう。今のあたしは青い木を破壊したくてしょうがないのだ。

 皮袋からロッドを取り出しつつ緩やかな丘を登り終えると、遠くに見える超巨大回転刃草が此方に転がり始めるのが見えた。

 

 ひとつの獲物にひとつの草が行くように出来てたりするのだろうか。そんなことを考えながらエルシズロッドで以前作ったときよりも大きいジャンプ台を作っていく。

 巨大で滑らかな板が出来上がったので、支えにエクスタシスロッドを使い、あたしはその影に隠れた。

 

 とんでもなく大きな植物が此方に向かって猛スピードで突っ込んでくるのを、透明な魔力でできた赤い板越しに眺める。そう言えば前回は弾いた後霧散していたが、今回は大丈夫なのだろうか。念のためティラスの両手剣にも魔力を込めておく。

 

 「―――――」

 

 前回作ったジャンプ台より落ち着いて滑らかに作ったお陰か、特に衝撃を感じることもなく第二の巨大回転刃草は東の空に消えていった。

 

 「さて、次の回転草が突っ込んでくる前に移動しないと。」

 

 ジャンプ台の展開を解除しロッドを袋に詰めてとっとと逃げ出す。恐らく実験は大成功だ!

 

 

 

 

 ➡まぁ大丈夫だろう。西に進む。

 

 「いけない。遅くなっちゃったわ…。」

 暗闇のなか少々小走りに移動するあたし。

 

 あの後、タンブルウィードを東の空に撥ね飛ばす実験を成功させたのだが、ついでに途中空で飛んでいたレッサーグリフォンをタンブルウィードで撃ち落とそうとして色々としていたらすっかり日がくれてしまったのだ。

 

 「こんな時に星一つ見えないなんて…」 

 

 いつの間にか出てきた分厚い雲によって星や月の光は遮られ、あたりは漆黒の帳に包まれていた。

 進む方向にエルシズロッドを魔力を込めて投げては、魔力光を目印に進んでいく。

 

 「はぁ、そろそろ巨木エリアね…あら。」

 

 投げつけたエルシズロッドがぽつんと残っていた木に当たり、放物線を描きながらあらぬ方向に飛んでいく。

 

 「全く、進路がずれるじゃない。」

 

 ピンク色の光をぼんやりと放つエルシズロッドを回収しに行く。

 

 

 ――視線の先に、人影が映った。

 

 「……!?」

 

 あたしは立ち止まり、エクスタシスロッドに魔力を流し込む。

 

 ヴェスタ色の光があたりを照らすが、何も見当たらない。

 

 「気のせいかしら。」

 

 確かに見たような気がしたのだけれど…。

 

 エルシズロッドを回収し、巨木エリアに向かって投げつける。

 

―――パキィン!

 

 黒い影が飛来したかと思うと、何かがエルシズロッドを砕いた。

 

 

 「何か解らないけど何かヤバイわ!」

 

 あわてて腰から七本のエルシズロッドを引き抜くと、魔力を込め回りにばら蒔く。

 

 延々と続く闇の地平線の彼方から、ゆっくりとこちらへ進み出てくる影が映る。

 

 

 

――――――――――

 種族:死ニ豚獅子飛行種

 氏名:NONAME

 性別:雄

 Lv:15

 年齢:1

 称号:新種

パラメータ

 体力:∞

 持久力:∞

 筋力:140

 技量:89000

 敏捷:3600

 攻撃力:30000

 防御力:1500

 魔力:3000

 耐久度:600

死体スキル

 飛行Lv20

 高速飛行Lv3

 淫毒の爪Lv20

 不浄絶倫Lv30

 生命汚染Lv30

 腐毒催淫Lv30

戦闘スキル 

 怪力Lv20

 こん棒Lv72

 再生Lv15

―――――――――――――――――

 

 ――――不味ッ!

 焦りのあまり全鑑定を行使してしまったあたしは、視界を鑑定結果で埋めつくしてしまう。

 

 その隙にふわぁ……と風に吹かれる木の葉のような移動方法、静と動が混ざり合う独特な歩みで距離を詰められる。

 既に化け物は目の前に居た。

 あたし目掛けて振るわれる、黒の戦鎚。

 

 「……ッ!?」

 

 あたしはとっさに、ティラスの両手剣を盾にしてその一撃を受けていた。

 

 ポキンと魔力を通し忘れた刀身が、割り箸のように簡単にへし折れ、剣の先っぽが後方に吹っ飛んでいく。

 もちろん戦鎚の威力は、全く軽減できてきない。

 あたしも吹き飛ばされ、地面に背中を強打してしまう。

 バカみたいな威力、そのまま受けていたら即死だった……いや即死した方がましだったかもしれない…。

 

 暗闇のなかから翼を持つオークがやってくる。

 暗くてよく見えないが、据えた臭いが腐っていることを知らせてくる。

 

 倒れているあたしに化け物が覆い被さってくる。

 

 じたばたと抵抗している間に、アソコはじっとりと受け入れる準備を済ませていた。

 

 「イヤァァァァァ!」

 

 腐ったペニスを捩じ込まれる。

 

 「放してっ!」

 

 思いきり暴れるが、それが気持ちいいのか陰茎が更に膨れ上がる。

 

 「くそっ!放せって!ひゃんっ」

 

 しばらく暴れ続けていたが、気が付くと自分で腰を動かしていた。

 

 「えっ?あれっ。どうしてっ」

 

 思考と行動が全く一致しない。

 

 「あぁぁ……」

 

 中で出された冷たい精子が全身を汚染していき、思考は行動に呑まれた。

 

ED7 横着者世に憚らず

 

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