※この作品はR-18です。

転生者の涙   作:私の矢が貴方を貫く

17 / 27
16

 やってしまった。

 全身の筋肉をフル活用した反動で、スタミナ切れをおこしたあたしは巨木のウロの中に隠れていた。

 

 「「「「「「プギィィィィ!!!プギィィィィ!!!」」」」」」」

 

 下の方からオーク達があたりを捜索している音がする。オークのリーダーらしき者を殺し、周りの護衛も殺し逃げたのだが、その後予想外の事が起きたのだ。

 

 『『『Bhuuuuu!GOBAAAAAAAAA!!!!!!!!!』』』

 

 突然金属の鎧を着ていたオーク達が蹲ったかと思うと、みるみるうちに巨大化していき、先程倒したオークのリーダーそっくりの見た目になったのだ。

 

 変身している間にとっととあたしは上空に逃げたが。

 

 結局のところプレートメイルを装備していたオークは全てオークリーダー(仮)であり、あたしが倒したのは別にそこまで強い存在ではなかったかもしれない。一撃で殺せたし。

 一応黄金の剣を持っていたから、一番強かったのだろうが。

 

 なにより最悪なのは、倒したはずのオークの群れの統率者が生き残ったままだということだ。

 オーク語で何を言っているのか解らなかったが、オークリーダー達が叫び声を上げた瞬間、北に流れていたオークの波が逆流し始め、こちらに戻り始めたのだ。

 おそらくあたしを探すように指示を出したのだろう。

 

 ちらり、とウロから顔をだし下を覗く。

 所詮オークの浅知恵か、あたしが空を飛んでいたのを見たと言うのに地上しか探していない。

 それでも雲霞の様に集いつつあるオーク達には辟易する。

 

 「完全に山狩りされる身ね。」

 

 皮袋には何粒かスペルの実もいれてあるし、長期戦もある程度はできるだろう。むしろオーク達の方がもたないはずだ。オークを500体以上も維持できる食料は辺りにない。

 

 「オークが草食だったらどうしようかしら。」

 

 他愛のない事を考えながらウロの中で足を投げ出し、体力の回復に努める。

 手持無沙汰に辺りを見渡していると、ふと戦利品が目につく。

 

 「アホそうなオークが持ってたんだし、さぞ頑丈なものでしょうね」

 

 

―――――――――

クリューソスの巨人片手半剣

太陽の力を宿した黄金の剣。破魔の性質をもち、あらゆる魔法を断つ。柔らかい黄金で出来ているため魔力を持たない物には弱い。

レア度:S

攻撃力:500~10000

許容魔力:0

備考:魔力を断つため、ゴーストなどの実体を持たない魔物によくきく。また、魔武器と打ち合うと魔の機能を破壊できる。

―――――――――

 

 ……!?

 慌ててティラスの両手剣をクリューソスの剣から遠ざける。

 

 「た、対ティラスの両手剣専用武器かしら……」

 

 最初の一撃の時に、この剣で防がれたら終わっていた。そう思うと震えてくる。この剣と戦っていたら、魔装精製で作った武器も全て砕かれていただろう。

 

 「鑑定は大事なのに、なんで見てからにしなかったのかしら。」

 

 危うく死にかけていたのだ。

 その軽率な行為に対して、自制の念を込めスペルの実を味わって食べる。

 何時も限界まで避けている汁があたしの口腔内の粘膜を蹂躙しつくし、やっとのことで喉の奥に消えていった。

 よし、これでもうあのような行為はしない。

 二度と味わってスペルの実を食べるものか。

反省が終わる頃には、ウロの中が精液の匂いで充満してしまっていた。

 

 それにしても随分ピーキーな武器である。こんな武器を使って何を狩るつもりだったのだろうか。思わず視線が北の森の方へ向かう。

 

 雪が積もっている以外にも、危険な何かがあるに違いない。なにせオーク達は軍と呼べるくらいの装備と集団でその地に向かっていたのだから。

 あたしが向かうとしても、西も南も東も全部探索を終えきってからだろう。もしくは今下で蠢いているオークの軍団を正面から倒せるようになってからか。

 

 食事も終え、体力もある程度は戻ってきたので立ちあがり伸びをする。

 

 「さて、これどうしようかしらね。」

 

 ウロの床に置いてある黄金の剣を見つめる。魔を破壊する機能があると知って、ティラスの両手剣と重ねて背中に背負う気はしない。

 

 かといって手に持ったまま移動するには目立ちすぎるだろうし、大体バランスが崩れる。

 

 「もういっそのこと、魔力を大量に流してしまおうかしら。」

 

 魔力で変質して別の装備に変化したら運べるようになるかもしれない。

 かつて、ししとんきー君が残していった漆黒の戦槌が、小さなエクスタシスロッドに変わったように。

 クリューソスの剣許容魔力0って書いてあるけど。

 まぁ、捨てていくより実験である。

 

 「どうせなら防具に成らないかしら。」

 

 破魔の防具とかになったら、かなりつよそうである。武器はそれなりに揃ってきたので、そろそろ防具の方をエロゲーのペラペラ防具から一歩進みたい。

 

 考えがまとまったので両手に魔力を込め、クリューソスの剣を握る。

 防具になれ!防具になれ!防具になーれ!

 あたしの祈りに応じたのか、クリューソスの剣が目映い桃色の光に包まれ変形し始めた。

 

 その間ものすごい勢いで魔力を持っていかれる。

あわててスペルの実を食べて回復した魔力も全て根刮ぎ奪われていった。

 

 この手応えはかなりよい装備になった筈である。

光が収まってきたソレに向かって、鑑定を発動させた。

  

―――――――――――――

祝福されたクリューソスの貞操帯(女)

太陽の力を宿した黄金の貞操帯。破魔の性質をもち、アンデッドに犯されることはなくなるだろう。非常に柔らかい黄金で出来ているため肌は傷付かない。処女専用装備。

レア度:SSSSS

効果:清潔 俊足付与 自慰防止 挿入防止 魅了

防御力:150

許容魔力:0

備考:穢れ無き者がした己の純潔を守りたいという祈りに処女神が応えて産み出したもの。

 装備者に身体を清潔にし保つ効果と悪しき者から逃れるための俊足の能力が授けられる。

―――――――――――――

 

 ……臍の上辺りにベルトをはめ、股通しの部分をしっかり女性器に当たるように通し、おしりの谷間を抜けさせる。途中から左右に別れたチェーンに変わるのでそれをしっかりとウェストのベルトに固定し、かちりと鍵をかけたところで装備判定が出たのか全身が光に包まれる。

 

 光が収まると、三日以上お風呂に入れていなかったのでかなりべたついていた汚れが消えていた。

 

 「……よし。良い装備ね。流石、神様お手製。」

 

 防具とは(哲学)とかしたくなる気分である。折角レア度が頭の悪い感じがするほど高くなっているのに、これではあんまりじゃないか。

 

 ためしにすこし動いてみるが、動きを全く阻害しない。それどころか、俊足の効果か、いつもより身体が動かしやすかった。……無駄に性能が高いのも泣ける。

 

 何より見た目が悪趣味である。黄金の、一部鎖状になっている貞操帯なんて転生前ですら見たことがなかった。というかなんで付け方がわかったんだ……?

 

 でも使えるものはなんでも使う主義のあたしは、これを装備し続けるだろう。思わずうつ向いていると、まだ地面に落ちているものがあった。

 

――――――――――

黄金の鍵のチェーンネックレス

とある錠を開けるための鍵がついた黄金のネックレス

レア度:SS

効果:自己再生Lv9

備考:金なので壊れやすいが、壊れても直る。ついでに装備者にも再生能力を授ける

――――――――――

 

 「――――ッ!?」

 

 自分の貞操帯の鍵を首から提げていろというのか。

 その余りにも、なんだろうか、誘っているような真似をしなくてはならないかと思うと顔が真っ赤になってくる。

 

 「これですか?ふふ、大切な鍵なんです」

 

 なんて、自分の服の下を貞操帯で締め付けながら鍵の説明をするのか?

 この世界の処女神も中々良い趣味をしている。

 

 絶対に人間がいるところに行ったら、まともな装備を整える。

 クリューソスの変質で魔力を使いすぎたあたしは、薄れる意識の中そう誓ったのだった。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。