森の中に少女が一人。
「やべぇ、詰んだ。」
転生して直ぐに、声に出してしまう。
直前に見た神の顔から推測すると、どうやら神ですら泣きそうな人生が待っているらしい。
当然のごとく私の身体は女性のものになっていた。
「エルシーちゃんの声はこんな感じだったのね…」
プリンセスティアーズはボイス無しのノベルゲーだったので実は主人公の声を知らなかったのだ。少し強気な感じがするが、可愛らしい少女の声である。
「脳内CVは釘宮さんにしていたけど中々良い声ね」
流石にこの声で男の時の口調で話す気にはならない。そう意識した瞬間口調が女のものに変わる。おそらくガバ特典システムの一部だろう。
「そうね、ゲームの中では普通の女の子みたいに喋ってたもの。これも描写された能力の一種ね。」
なんて地味な部分まで反映してくれるのか、これではゲームではメインのエロステータスがどこまで反映されているかおそろしくて夜も寝れない。が何時までも怖れていてもしょうがない。
「鑑定能力を使いましょう。使い方は、どうやら目に魔力を込めればいいのね。」
どうやら特典の一部は、既に身体に染み付いているものもあるらしい。地球では存在すらしなかった魔力を、やり込んでいた格ゲーの操作より手慣れた感じで操ることが出来る。
「まぁエルシーちゃんはかなり優秀な魔法剣士として描写がされていたし、当然と言えるわね。」
さっそく目に魔力を込めて自分の身体を見てみる。
―――――――――――――――――――――――
氏名:エルシオーネ・イル・ステアリート・エキュ
性別:女性【処女】
Lv:14
年齢:14
生理周期:18
身体状況:安全日
肉体開発度:120
子宮状況:未使用且つ屈服済
―――――――――――――――――――――――
「なんてエロゲーちっくな鑑定能力を渡してきたのよあの神様…」
虚空に浮かんできたステータス表に思わず突っ込みをいれる。それに周回プレイを何回かしたせいか矛盾したステータスになっている。
「どこの世界に身体を完全に開発されて、子宮が精子に屈服している処女がいるのよ…」
はやくもこの人生の行く末が心配になる。がしかし私に降りかかる災難はこれだけではないことを覚えている。更に瞳に魔力を込めて鑑定を続ける。
―――――――
パラメータ
体力:50
持久力:10
筋力:30
技量:35000
敏捷:10000
攻撃力:40000
防御力:25
魔力:99999
―――――――
…めちゃくちゃなパラメータだ。確かエルシーちゃんは魔力を込めることで切れ味が増していく特殊な両手剣を使っていたから、こんな歪なステータスになっているのだろう。魔力を込めないと簡単に砕けてしまう剣を使いこなす技量にそれを叩き込める敏捷性。ついでに膨大な魔力。やはり強さとしてはエルシーちゃんは中々に優秀な存在である。少し嬉しくなった俺は鑑定を続けた。
―――――――――――――――――――――――――
生体スキル
天使の加護Lv1
羞恥の呪いLv1
霊獣契印(2刻)Lv1
羞恥魅了の呪いLv1
少女性徴の呪いLv1
生殖力アップの呪い(+10)Lv1
魔法キーLv1
避妊魔法強制無効化Lv1
魔法キー強制解放Lv1
危険日強制告知Lv1
鑑定能力Lv1
―――――――――――――――――――――――――
浮かんできた生体スキル郡に思わず頭が痛くなる。自分のプレイの結果とはいえあまりにも過酷すぎやしないか。 涙で歪みそうになる視界を保ちながらステータスを見ていると疑問が湧いてくる。
「レベル表記なんてあったかしら…?」
いや、無かったはずだ。何せエロステータスのLvが上がるイベントなんてあったら覚えていない筈がない。つまりこれはあれだろう。神様のガバ特典シリーズの一部であると。何かメッセージがないか、自分の服を探るとスカートに紙切れが挟んであった。
「何々…ごめんなさい。サプライズでつけておいたスキルレベルシステム外し忘れました。スキルのレベルが上がると効果が増えるので、気を付けてください…ですって!?」
思わず頭を抱えて泣き叫びたくなる。只でさえ呪いでしかないスキルがLvアップするのだ。というか何でステータスじゃなくてスキル扱いなのだ。まともなスキルは天使の加護と魔法キーと特典の鑑定能力ぐらいしかない。それも前者二つは呪いでほぼ無効化されてしまっているが…。
「そうよ!この天使の加護のスキルレベルを上げれば良いじゃない!」
唐突に良い考えが浮かぶ。天使の加護とは、本来エルシーちゃんに危険回避能力や幸運など様々なプラスの効果を与えるスーパースキルである。しかしゲーム内ではこれまで多くかけられてきた呪いによって効果が減少している設定だったのだ。
つまりLv制度で天使の加護のレベルを上げて出力を増加させることができれば、呪いを消し飛ばすことができる!(多分)。
「これが私の生き残る手段よ!」
少しだけ生きる術を見つけたと思う。がしかしどうやってスキルを上げるかが解らない。駄神様からの手紙を読み進める。
「スキルは効果を何回も発動して熟練を積む様にあげる方法と、魔物との戦闘などで経験を積むと貰えるスキルポイントを降る方法の二つがあります…はぁ…」
救済と絶望が同時に襲ってきた気分になる。むしろ絶望の方が強い気もする。
基本的に呪いはエルシーちゃんを日常的に性的に嫌な目に合わせるような内容である。なので男性に見られただけでも発動したり無意識下で発動するようなものが多い。
つまり、人の多いところにのこのこと出ていったらあっという間にスキルレベルがあがり、呪いの効果が増え肉便器ENDを回収してしまう。
「こんなのどうすればいいのよ…」
たしかエルシーちゃんは中で出されれば絶対孕んでしまう体質だった筈。つまり呪いの影響で少しだけエッチをするなんて選択をしてしまったら一発で的中し、10カ月身動きが取れなくなってしまうのだ。
「これじゃ人の町になんて到底行けないわね…」
そもそも身体が開発されきってしまっているのだ、性行なんてすればどんな目に会うかわからない。なら人のいない辺境にてひたすら魔物を倒して天使の加護を上げれば良い?
「それも駄目ね。私の身体は全ての雄を受け入れてしまうわ。」
この世界の魔物に雄と雌の区別があるのなら、その時点で私は母体になる資格を得てしまう。エロ有るところに呪いあり、スキルレベルは上がってしまうだろう。こうして色々と考えていくと、レベル上げで一番安全そうなのは、視認外からの一撃必殺。これに限られる気がする。
「そうね、先ずは人里離れた地でレベルをあげないと…。でも本当に戦えるのかしら」
確かに転生特典によって、エルシーちゃんの装備であるティラス製特製両手剣は十全に使いこなす自信がある。それでもやはり元は平和な日本男児。いくら力を与えられたとはいえ、知覚外から一撃で相手を倒すなんてことは出来そうになかった。
「そう言えばまだ鑑定が終わってなかったわね。」
これがなかったら詰んでいたが、そもそも表示される情報が多すぎて参ってしまう。鑑定能力のレベルが上がればもう少しすっきりするのだろうか。そんなことを考えながら更に目に魔力を灯した。
―――――――――――
戦闘スキル
剣術Lv99
両手剣術Lv99
魔導剣術Lv99
魔力操作Lv99
体術Lv03
魔道具知識Lv20
疾走Lv65
―――――――――――
なんだこれはたまげたなぁ…。思わずたまげてしまう。恐らく描写された能力を特典にするシステムがまた発動したのだろう。体術レベルがやたら低いのはたまにわざと(無意識なのだが)転んで、相手に性的アピールする選択を選びまくってたからだろう。
「うぐぐ、もうすこしまともなプレイをしてれば良かったかしら…でもそうね。全ての敵を剣で斬り倒したりもしたのだからやっぱり私のデータのエルシーちゃんって強いわね。」
何回か処女プレイをしてなかったら余り剣術スキルとか高くなかった気がし、初めて自分のプレイングスタイルに救われた気分になる。
「とりあえず現在地がどこなのか把握しましょう。」
何の世界に転生したか知らないが、取り合えず森を進み始めるのだった。
スキルは思い付いたら増えます(雑)