迷宮の中を歩きながら雑談をする。行きにあたしが皆殺しにしてきたせいか、帰りは全くゴブリンが出てこなかった。
「じゃあフォト君はあの二人と同じクランなんだ。」
「うん。仲良し。」
……会話が続かない。リーダー風の男も魔法使いの男もとっとと先に行きやがった。あたしがこの少年を見捨てていったらどうするつもりだったのか。
ちらり、と隣を歩く白髪の少年に視線を向ける。
病的とも言えるほど白い頚筋に浮かぶ健康的な汗。
彼の上半身は拘束具のようなゴム状のピッチリとした服で覆われていて、白い首筋と真っ黒なラバースーツが見事な対比だった。一方で下半身は挑発的なショートパンツを……
いや、なんか思考が危なくなっていた気がする。
慌てて首を振って思考を追いやる。
「フォト君は何の職業しているの?」
「シーカー。索敵と罠解除してる。」
ゲームで言う盗賊だろうか。本物の盗賊がいる世界でさすがに盗賊とは呼ばないようだ。確かに薄着に、ナイフだけを装備したフォト君はゲーム内ではシーフや盗賊と呼ばれる偵察職に見えた。
「ナイフ沢山持ってるんだね。」
「うん、エルシーは?」
「あたしは剣士かな?」
そういって背中の剣を指す。と言ってもまだこの迷宮で一度も使ってないけど。
「リーダーもソードマン。同じ。」
「そうなんだ。」
……会話が続かねぇ。
手持無沙汰にスベスベとした手を揉むと揉み返してきて可愛いが、これでは気不味い。
いや、向こうは気まずさなんて微塵も感じてなさそうだが。
ちらり、と視線を向けると視線に気づいたのかきょとんとした顔でこちらを見つめ返してきた。ゴムがあったら逆レしていたかもしれない。
「あっそうだ(唐突)、喉乾いたでしょ?これあげるわ。」
そういってあたしはポシェットに入れている牛乳瓶を取り出してフォト君に渡す。思考の暴走を止めるための雑な行動である。これゲロマズだけど、人にあげて良いものなのだろうか。
「……?くさい」
蓋を開けて臭いを嗅いで顔を歪めるフォト君。疑われる前に、毒性が無いアピールの為に瓶を取って飲んで見せる。
「あまり美味しくないけど、喉は潤う……かな?水分は採れるわよ?」
喉に粘液がねっとりと張り付くことは喉が潤うと言えるのか分からなかったので、誤魔化しながら渡す。
「なら頂きます。……ケホッ」
あーあ。直接舌の上に乗せちゃったみたい。
そんな事したらあの精液みたいな味が口の中に広がっちゃうのに。
内心ニヤニヤしながらフォト君を観察していると一瓶全てを飲み干していた。
正直、全部飲めるとは思わなかった。
「どうだった?」
「美味しいけど、リーダーは喜ばないと思う。」
「……そうね。」
解っていたことだが、ロブ爺さんのミルクは一般受けしない味である。これからは他の人にあげるのは辞めておこう。
しばらく手を繋ぎながら歩いているとゴブリンの死体が落ちていた。
「一太刀でばっさり。囲まれてなかったら余裕ってことね。」
「リーダー強い。」
目を輝かせながらリーダーの事を自慢してくる。あたしはリーダーの名前すら知らないんだけど。
「魔法使いの方はどうなの?」
「七画も入れてるからすごい」
「七画って何よ?」
「魔法に使う。普通は多くて5画」
魔方陣みたいな物かしら……?フォト君に詳しく聞いてもあまりわからなかった。
またしばらく歩いているとゴブリンが現れた。
「一体だけのようだし、フォト君が殺る?」
フォト君に聞くが、返事がない。
横をみてみると前屈みになって、短剣を抜いてプルプルと震えていた。
さっきも見た格好である。この子、凄い弱いんじゃないだろうか。
しょうがないのでナイフに魔力込めて、脳天に投げつけて殺す。
これは返り討ちにした盗賊から剥ぎ取ったものだ。
「大丈夫?」
「うん……。」
何かトラウマとか有るのだろうか?まぁこの迷宮を出るまでの関係だから深く踏み込んでもしょうがないが。
「構えるならちゃんと構えなさいよ」
「あっ。」
前屈みになってるため突き出ているお尻を、ぐいと前に押すとフォト君から色っぽいため息が漏れる。
急に横から聞こえてきた吐息にぎょっとしてフォト君の様子を窺ってみると、小さいけど確かに存在をアピールしているそれがショートパンツを押し上げていた。
「さ、さーてそろそろ出口かしら。」
気付かなかったふりをして声をかけるが、返事がない。
「フォト君?」
「……ごめん。」
結局フォト君のフォト君が収まるまで動けなかった。
しょうがないので待ってる間に、じっくりと舐めるようにフォト君を鑑定していた。
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氏名:フォルト
性別:男性【非処女】
種族:人間
Lv:13
SP:0
年齢:12
性欲:min350 max9999
身体状況:精液中毒(不可逆)
肉体開発度:350
称号:スラム街の肉便器 小鬼の肉便器 大豚の肉便器 傾街の美少年
パラメータ
体力:15
持久力:20
筋力:15
技量:30000
敏捷:20000
攻撃力:15
防御力:10
魔力:0
生体スキル
淫化変質の呪いLv3
淫魔の加護Lv3
戦闘スキル
淫華魔娼搾精術Lv3
枯精絶死殺術Lv2
発情誘発Lv72
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魔力がなかったらあたしも極大迷宮で、こんな感じの称号群を手に入れる羽目に成っていたのだろうか。
どことなく似通ったステータス表に思わずそう考えてしまう。
ピンク色に輝く称号達はフォト君のこれまでの人生をそれとなく教えてくれた。
技量のステータスがやたら高いが、戦闘スキル的に絶対武術の技量じゃないことはわかる。
でもなんというか雄に対しては、サキュバス的な強さを持っていそうな子だ。
だからさっきは戦えなかったのかな?
知らない女の子の前でゴブリンの陰茎くわえこんで腹上死させるなんて無理だろう。
というか誰もみてなくてもしたくないが。
それにしても、あの二人がフォト君を連れていた理由は性処理の道具としてだったのだろうか。
「フォト君は今のクランどう?あたしクラン入ったこと無いからわからないの。」
遠回しに聞いてみる。辛いのなら、こんなに可愛い子はあたしが拐ってしまおうか。
「助けてくれた。大切な家族。」
うん、そんなことは無かった。恐らく大豚の肉便器の称号をとる羽目になった後、あのクランの人達が助けてくれたんだろう。
でも言ってはアレだが、ゴブリンごときに苦戦してたあの人達でオークの住処からフォト君を助け出せるのだろうか?
「全部で7人。皆集まると凄い強い。」
あたしの疑問を感じ取ったのか、説明を加えてくる。
「なら何で別行動してたのよ。あたしが助けなかったら危なかったんじゃない?」
子供相手に大人げないかもしれないが、突っ込んでしまう。というかこんなにもクラン好き好きオーラ出してる少年を置いてスタコラと迷宮脱出してしまうあの二人はちょっとダメな感じがする。
「花エリアの花。壊さないと琥珀でない。」
どうやら迷宮には別エリアと連動しているギミックも有るようだ。まぁゲームで良く見たが。
「ならしょうがないかしら……」
まぁあまりよそ様のクランの作戦に、突っ込みを入れてフォト君に嫌われても嫌なのでスルーしておく。
そうこうしているうちに外に出れる魔方陣を見つけ、あたし達は脱出した。
「結局二人には追い付かなかったわね。」
「花エリアの方。リーダー応援に行った。」
出口用の魔方陣の周りにも目敏い商人によって広場が形成されているため、そこにあるベンチに座って会話をする。
「ならフォト君はどうするの?」
「クランの馬車に戻る。エルもそこにいる。」
「エル?」
「魔法使い。」
どうやらフォト君との別れの時間がやって来たようだ。
あたしは護衛費を貰いに、馬車まで送っていくことにした。
「ならあたしが送っていくわよ。護衛費の銀貨3枚もきちんと払ってもらわないと」
手を繋ぎながら広場を抜けていく。
手を握ると握り返してくるこの可愛い存在とも、もうお別れだと思うと少し寂しくなる。
「エルシーはその後どうするの?」
「花エリアに行くわよ。依頼の品をまだ手に入れて無いもの。」
花エリアに行けばフォト君の未だ見ぬクランのメンバーも見かけるかもしれない。また一人で迷宮に潜らなきゃ。
「リープリング。」
「何よ。それ?」
「このクラン。寂しかったらエルシーも入れば良い。」
ハッとしてフォト君の方を見ると、真剣な顔をして此方を見ていた。
フォト君の身体でも、楽しそうに過ごせるらしいクランにどこか憧れていたのかもしれない。
「そうね、もう少しして、まだ寂しかったらお邪魔するかもしれないわ。」
それともまだ、異世界に来た衝撃の方が大きくて、実感していなかったのかもしれない。
「待ってる。」
知り合いも友達も家族も近所の誰かも、もう誰も側に居ないことを。
「他の人は嫌がるかも。」
その実感が、真にあたしに差し迫った時。
「そんな人いない。」
フォト君のクランに入れてもらえたらなって少し思った。
「なら、最初に訪ねるかもね。」
断じて白髪白肌のむちむち淫乱ボディをしたショタに釣られた訳じゃない。
というか手を出したら間違いなく叩き出されるわ。
入る前に出禁になる。
「うん。待ってる。」
そんなあたしの邪な考えに微塵も気付かず、にっこりと笑いかけるフォト君の笑顔が眩しかった。
スキルは字数が多いほど強い設定作ったけど、鑑定能力持ってるの主人公だけたから役に立たねぇ