おはようございます。無事異世界での一日目を生き延びることができた転生エルシーちゃんです。思いの外熟睡してしまった蔦と落ち葉で作った寝床から這い出て伸びをする。
「ふぁー。いい天気」
気温は体感的に27度といった所だろうか。取り合えず今日の目標を決めることにする。
1木の実を同時に食べさせて、なんのスキルが手に入るか調べる。
2食料をもっとあつめる
3レベル上げのために魔物を見つける
ぐらいしか思い付かなかった。まだこの森ではゴブリンと夜上空で鳴いていた謎の存在ぐらいしか生物を見つけてない。昨日すっかり熟睡してしまっても無事だったこの巨木を仮の拠点として整えて、森の調査をするのも良いかもしれない。
実は昨日ここらで一番大きい木の上から辺りを見渡したが、途切れぬ緑の絨毯の他には天をつく山脈ぐらいしか見つけられなかったのだ。
この森に長期間滞在するかもしれない。その覚悟を決める勇気はまだ無かった。
「さて、取り合えず下に降りなきゃ」
ティラスの両手剣を背中に背負い、巨木を降り始める。木登りなんて小学生の時すらしなかった。それでも表面にある窪みや蔦を巧みに使いながら降りていくことが出来る。
一番上でも無いのに高さは30メートル有るだろうか。落下したら、頑丈さは並み以下のエルシーボディでは即死に違いない。もちろん前世ボディでも即死だろう。
昨日すっかり暗くなってから登るのは怖かったが、異世界の森の中に一人地上で寝るのはそれ以上に恐ろしかった。早々に活動拠点を作る必要がある。岩の洞窟とか都合よく存在しないだろうか。
地上に付くと同時に辺りを警戒する。森の癖に生命が少なすぎるなんて昨日は思っていたが、そこらから生き物の気配を感じる。恐らく夕方には皆姿を隠すのだろう。その原因が昨日の夜、空に居た生き物なのかはたまた別の何かが原因なのかは解らないが。
「昨日のゴブリンはハグレてたのかしらね」
広大な森のなかで一人ぼっちでさ迷ってたゴブリンを思い出す。やはり一人ぼっち寂しいものだ。一人ぼっちを解消するために天使の加護を強化しなければならない。あたしは森の中の探索を始めた。
取り合えず仮の拠点とした巨木が乱立する巨木エリアを離れ、あたしは黒い樹肌の木が乱立する黒木エリアに来た。
因みにこの黒い木は、昨日拾ったスペルの実とウォーヴァの実を落とす木でもある。昨日収穫した木の実は全て巨木のウロに隠して来たので、追加にと拾っては皮袋の中に入れていく。そしてひょいと一つ木の実を口の中に放り込んだ。
「うぇー。やっぱり苦いー」
気分転換にスペルの実を食べたがやはり生臭い。実を舌で潰すと出てくるどろりとした汁を楽しむ。絶対に美味しくないのに病み付きに成ってしまう味だ。そうしていると下腹部が熱を帯はじめてたまらなくなってくる。
「この感覚癖になったら大変ね…」
ウォーヴァの実は甘くて美味しいので皮袋の中に仕舞っていく。そうして黒い木のエリアを歩いていくと、向こうの方でゴブリンがウォーヴァの実を拾って食べていた。
「ゆ、ゆるせない。」
あたしは激怒した。あたしは我慢してスペルの実も食べているのに、そのゴブリンはウォーヴァの実しか食べていないのだ。偏食なんて許されざる贅沢である。この贅沢はもはや死をもって償ってもらう他無い。
夢中になってウォーヴァの実を食べているゴブリンの首を跳ねることは簡単に実行できるだろう。しかしあたしは今日の目標を思い出した。
そうだ。あのゴブリンに、同時にスペルの実とウォーヴァの実を食べさせよう。そしてなんのスキルが発現するか解ったら殺してしまおう。ウォーヴァの実しか食べないなんて甘ったれたゴブリンには丁度良い役目である。
そう思い付いた私はまず魔力を目に宿した。ゴブリンは未だこちらに気が付いていないので、不意の戦闘用ではなく全鑑定である。
――――――――
種族:ゴブリン
氏名:ギョ=フォンティーヌ五世
性別:雄
年齢:6
Lv2
体力:10
持久力:7
筋力:1
技量:6
敏捷:3
攻撃力:8
防御力:2
魔力:0
生体スキル
絶倫Lv11
生殖強化Lv31
催淫Lv41
攻撃スキル
棍棒Lv0
―――――――――
……昨日のゴブリンの息子やん。ソレはさておき昨日のゴブリンより弱く見える。多分年齢も低いのでまだ子供のゴブリンなのだろう。不意をついたのなら確実に組伏せることが出きるはずだ。そうしたらスペルの実とウォーヴァの実を同時に食べさせられる。
あたしは……
まずウォーヴァの実を食べて発情を解除した
そのままゴブリンへ奇襲をしかけた
➡まずウォーヴァの実を食べて発情を解除した。
そう言えばさっきスペルの実を食べていた事を思い出した。性的呪いの多重債務者と化してるエルシーボディで、発情したままの戦闘は死を招く。
皮袋からウォーヴァの実を取り出して食べると思考が冴え渡り気分が落ち着く。どうやら発情して頭が悪くなっていた様だ。態々気持ち悪いゴブリンを組伏せる必要はない。木の実を食べるには口さえ残ってれば良いのだ。
剣を抜き放ち、ウォーヴァの実をしゃがんで食べているゴブリンの後ろに立つ。魔力を十分に通したティラスの両手剣を横に構えると、切り飛ばさないようにゴブリンの腰を両断した。
「グギッ!?ギャァァ!」
突如真っ二つされたゴブリンが悲鳴を上げている。
「五月蝿いですね。とっととこれを食べてください。」
ウォーヴァの実の窪みにスペルの実の出っ張りを嵌め込んで一つにしたものをゴブリンの喉奥に螺込み、顎を蹴り上げる。
その反動で実が喉の奥を通過していく。よし、これで同時に食べた筈だ。あたしは鑑定を使った。
――――――――
種族:ゴブリン
氏名:ギョ=フォンティーヌ五世
性別:雄
年齢:6
Lv2
体力:1/10
持久力:7
筋力:1
技量:6
敏捷:3
攻撃力:8
防御力:2
魔力:0
生体スキル
絶倫Lv11
生殖強化Lv31
催淫Lv41
生命力強化Lv1(New)
攻撃スキル
棍棒Lv0
―――――――――
……結構便利そうなスキルに思える。名前の雰囲気的に怪我の治りが速くなったりしそうだ。新しいスキルが発動していないか足元のゴブリンを見たが、両断されたゴブリンはもう事切れていた。
実験に犠牲はつき物だ。緑肌の化けものの命の代わりにまた一つ知識を増やしたあたしだった。
➡そのままゴブリンへ奇襲をしかけた
剣を仕舞い、後ろからゴブリンを組伏せる。
「グギャギャー!」
「あはは!貴方こんな小さな女の子にも力で勝てないのね。」
自分の下でジタバタ暴れているゴブリンを見ていると嗜虐心が湧いてくる。
「全くしょうがないわね!貴方のために新しいスキルを上げるわよ!」
と言ってもあたしも何のスキルが手には入るのか知らないんだけど、そう言って実を同時にゴブリンの口の中に入れる。
「グゲェッゲェッ」
ゴブリンは苦かったのか、スペルの実を必死に吐き出そうとしている。
「駄目よ。キチンと両方飲み込みなさい。」
あたしはそう言うとゴブリンの顔を押さえて付け舌を捩じ込んだ。こうすれば何れ息が苦しくなって飲み込むに違いない。
「グギッ?ギギッ!ギャッギャッ」
口で口を塞ぐと、何故かゴブリンは抵抗を止めた。諦めたのだろうか。私が飲み込めるようにと大量の唾液をゴブリンの口に流し込むと、ゴブリンは長い舌を私の口に入れてきた。
「んんっ?んんー!!!」
舌と舌が絡み合った瞬間。全身が震えてしまう。慌てて口を離そうとしたが、舌がねちっこく絡み合ってて離す事ができない。
それでも全身の力を振り絞るとなんとかゴブリンを振り解く事が出来た。
「全く、なんて事をするのよ……」
森のなかで暴れまわっていたせいでゴブリンの腰についていた襤褸切れはすっかり何処かに行ってしまった。
ガチガチに硬くなった生殖器が目に入る。
「そう言えばおちんちんってスペルの実にそっくりね。」
逃げようと後退りしているゴブリンに跨がりアソコ目掛けデコピンをする。
「グギャッ」
短い悲鳴と共に黄ばんだ白い液体が飛び散った。試しに手に付いた雫を飲んでみる。
「ほんとそっくりな味ね」
それにこれは刺激を与えればいくらでも液が出てくるからスペルの実より便利な筈だ。あたしはこれを巨木エリアの拠点に持ち帰ることにした。
朝。起きると蔦に縛られたゴブリンが視界に飛び込んでくる。寝起きの一杯のためにゴブリンの実を頬張り刺激を与える。しばらくすると限界まで膨れ上がったゴブリンの実が大量の汁を放出するので木を削って作ったコップで受け止める。一気に飲むと喉に引っ掛かるためユックリと飲み干していく。やっぱり美味しい。
昼。最近ゴブリンの実の汁の出が少なく感じてきたので新しいゴブリンの実を採取することにした。年齢が低く、一人ぼっちで歩いているゴブリンが狙い目だ。この前は欲張って三匹収穫しようとして二匹殺してしまった。
夜。日が沈んだ森は寒いのでゴブリン達に埋もれて眠る。少し臭いが暖かい。ここに縛り付けたゴブリンはもう冷たくなっている。明日の朝棄てることにした。
ある日。力が入らず倒れる。可笑しい、毎日きちんと食事をしていたのに。なんども力を入れようとしたが戻らず、そのままあたしの意識は闇に溶けた。
END2偏食の果て