異世界から帰った俺は銀髪巫女になっていた【R18番外編】 作:瀬戸こうへい
本編の前の時間軸で、アリシアが恥ずかしい思いをするだけの話です。
アリシアがスライムに襲われるだけの話
わたしはアリシア・ヘレニ・ミンスティアと申します。
水の精霊神たるミンスティア様の巫女として、異世界から来た勇者様であるイクトさんと魔王を倒す為の旅をしております。
「……この辺りで大丈夫ですかね?」
今わたしはイクトさんと離れてひとり森の茂みにきていました。理由は……その……生理現象です。
周囲を見回しながら、わたしは法衣の中に手を入れて左の下着の紐を解き、残った紐で右のふとももに引っ掛けるようにして下ろします。
そのときのわたしは本当に余裕がありませんでした。
昼間、森で見つけた甘瓜の果汁をつい飲みすぎてしまったのが原因だと思います。
――だから、わたしは忍び寄るそれの気配に気がつかなかったのです。
腰を降ろそうとした瞬間、足元を何かに引っ張られてわたしは態勢を崩してしまいました。
「きゃあああ!? ……んぐぅ!」
森の中に響くわたしの悲鳴は、突然口に入ってきたモノで強制的に中断させられます。
「んんっ! ……ふぐぅ!?」
それは透明でブヨブヨとした柔らかいクラゲのような塊でした。表面がドロドロとして粘度の高い液体で覆われていて、口の中を縦横無尽に暴れます。口の中で広がる生臭さに思わずわたしは涙目でえずいてしまいました。
「んんんっ……!?」
口の中を暴れまわるそれをわたしは噛み切ろうとしますが、全く歯が立ちません。身体強化を掛けているというのに……
気がつくとわたしは全身を透明な粘性のブヨブヨとしたものに巻きつかれて捕らわれていました。
……スライム!?
襲ってきたのは中位魔獣であるスライム。
攻撃能力は低いものの、対象をその体で捕らえて弱らせてから捕食する特徴を持つやっかいな相手です。
「んんっ……!?」
背中から体がずぶずぶとスライムに沈んで飲み込まれていきます。スライムの一部が触手のように体中に絡みついていて悲鳴をあげる事も身動きをする事もままなりません。
やがて、わたしは完全にスライムの体内に捕らえられてしまいました。普通の人であれば数分もしないうちに呼吸ができなくなって息絶えてしまう絶体絶命のピンチです。
しかし、
全身体内に取り込んだからか、口内を蹂躙して体を締め上げていた触手のようなものの拘束は外れました。
頭を冷静にしてわたしは現状打破の手段を考えます。
スライムは水属性の耐性が高く、わたしの魔法では倒せないでしょう……正直なところ、わたしひとりでは手詰まりと言わざるを得ません。
ですが、時間が経てば異変に気づいたイクトさんが駆けつけてくれる筈です。そうすればスライムなどものの敵ではありません。
つまり、それまで耐えればいいだけのことです。
スライムの攻撃能力はそこまで強く無いので、耐えるだけであれば問題ないはず……
とはいえ、魔獣の体内に居るというのは気持ちの良いものではありません。口の中もいがいがとした粘液が残っていて喉に絡みついていて、不快な苦さと生臭さが酷いですし……少し飲んでしまったのは大丈夫でしょうか。
スライムは体内に取り込んだ私が苦しみ悶えない事を不審に思ったらしく、様子を見るように私の肌が触れる部分を蠢かします。
「……んっ……ひゃあ!?」
全く思いもよらないところが次々に動くので、不意を突かれて思わず声が出てしまいました。
そして、その刺激でわたしはここに来た理由を思い出してしまいました。
「ふ……ふぁ……!?」
一度それを思い出してしまうと、もう意識して力を入れていないと堪える事ができないくらいに切羽詰まった波が襲ってきます。スライムに捕らわれていることよりもよっぽどピンチです。
わたしは何とか我慢しようとお腹に力を込めます。
ですが、その瞬間、スライムは狙ったかのように脇腹あたりを蠢いかせてきて、くすぐったさに力が抜けてしまいそうになります。
「だ、だめぇぇぇ……」
……何とか踏みとどまることができました。
だけど、そんなわたしの様子を見て、弱点を見つけたと思ったのかスライムは同じところを再び動かしてきます。
こそばゆさに身をよじらせて逃げようとしますが、スライムの体内に捕らわれたわたしに逃げ場なんてありませんでした。
「んっ! ……くぅ……」
執拗に蠢く粘性体にわたしは息も絶え絶えになりながら歯を食いしばって耐えます。
だけど反応が芳しくないと思ったのか、他の箇所を探るように弄っていたスライムが全身を舐るように刺激してきて、わたしは頭の中が真っ白になります。
「くっ……っ……ふぅ……っ!」
さらに、ブラシのように細い糸のような先端をもつ触手のような器官がわたしのへそをチロチロと掻き回してきて、あまりのことに体の力が抜けてしまいます。
「ああっ……ふぁ、くぅ……あ、あああ……いやぁぁぁ……!?」
……耐えられませんでした。
堰を切ったように体内から漏れ出てくる感覚。チロチロと音を立ててわたしの体の内から液体があふれ出てきます。
「あ、ああ……いやぁ……」
ああ、スライムの中でお漏らししちゃってます……
仰向けに拘束された上に法衣がめくれあがってしまっていて、まるで赤ちゃんみたいに出ている様子が丸見えになってしまっています……我慢をしていたからなのか、なかなか勢いが収まりません。
透明なスライムが少し黄色く色付いているのが生々しくて、わたしは恥ずかしくて死にそうです。
「んっ……ふぅ……」
しばらくして、ようやく、全部出し終えたわたしは脱力してぐったりとなってしまいました。口から溜息がこぼれます。
スライムはブヨブヨの体をわきわきと動かしていて心なしか喜んでいるように見えます。
スライムは人間の体液を好物にしていると聞いた事があります。人間を窒息死させて血液等の体液を吸収して養分にしてしまうとか。
……だからでしょうか。
もっとよこせとばかりにスライムが蠢いて。
「ひぁ!? やっ、やぁ!?」
その動きによって刺激されたところから伝わる感覚にわたしは思わず声をあげます。
そして、そこが狙われているという事実にわたしは恐怖します。
「……!? 大丈夫か、アリシア!」
そのときでした。
待望の助けであるイクトさんがやってきたのは。
『イクトさぁぁんっ!』
わたしはなりふり構わず念話で助けを求めます。
「アリシアっ! ってうわあああ!?」
スライムに捕らわれたわたしのあられもない姿にイクトさんは驚いて声を上げました。
……み、見られちゃいました!?
でも、そんな事を気にしてる余裕なんてありません。
わたしは今貞操の危機に遭遇しています。
スライムに純潔を奪われるなんて絶対に嫌です!
はじめてはイクトさんに……その……って、そんなこと考えてる場合じゃないのです!?
『は、早く助けて下さいぃぃ! スライムに雷撃をっ!』
「わ、わかった!」
イクトさんはなるべく視線をこちらに向けないようにしてくれながら、わたしの言葉に答えて詠唱を始めます。
イクトさんの詠唱に合わせてわたしも
「
イクトさんが作り出した雷がスライムを貫いてスライムは生体活動を停止しました。
「……大丈夫だったか? アリシア」
戦いが終わって。
どろどろに溶けたスライムの中でぐちゃぐちゃになったわたしにイクトさんは手を差し伸べて引き上げてくれました。
「ありがとうございます、イクトさん。何とか体は無事です……」
わたしは
うう、この悪臭が残らないといいのですけど……
「……見ましたか?」
真っ赤になって顔を逸らしているイクトさんに尋ねます。助けて貰ったというのに恥ずかしくて少し恨みがましい口調になってしまいました。
「み、見てないよ。俺は何も……」
「それなら良かったです」
それ以上はもう触れません。わたしの精神衛生上にも見られなかったことにしておいた方が良いですから。
……だけど、いつか。
この旅が終ってイクトさんが自分の世界に戻るときに、もう一度聞いてみようかなと思っています。
そのときには、ちゃんと責任取って貰えたら嬉しいなと思うのです。