暁の堕姫~堕ちていく人妻~ 作:人妻大好き
退屈を持て余している。
面白いこと、何かないかなといつも考えている。
教室の机に座って、友達と話をするのも悪くはないが、どこか物足りない。部活に入っているわけでもなく、習い事と言っても面倒な塾ばかりで楽しいとは思えない。嫌いではないが、つまらないのだ。家に帰ってきたところで、父も母もいないのが当たり前になってしまった。どちらも忙しい。それどころか、最近は家族で顔をそろえていないし、父は様々な女性を浮名を流しているくらいだ。
まあ、それは大人の都合である。自由にすればいい――――そう、零菜は考える。
思春期から来る不自由さと息苦しさは、零菜の心に陰りをもたらしている。父と母の関係がギクシャクしているようで、それも心苦しい。正面から問い質す勇気はまったくないし、振り返れば、ここしばらく両親とは口も利いていない。
家に帰っても誰もいない。そんな日常が当たり前になってしまった。もう零菜は一人でもやっていけると思われているのだろうか。それが、できないとは思わないが、寂しいとは思った。
「暇」
その一言に尽きる。
自宅のベッドの上で、暇つぶしにスマホを弄っていても、同じような話題ばかりだ。一応、立場に気をつけているので、あまり表立って悪ふざけもできない。
「ん……」
零菜はスマホの画面を見ながら、股に手を伸ばす。下着の内側に手を入れて、秘裂を指で愛撫する。画面の中では見知らぬ男女が大袈裟な声を挙げながら、快楽を求めて交じり合っている。キスをして、フェラをして、セックスに耽っている。
数年前に始めてオナニーをした。
それが恥ずかしいことだと何となく分かっていたが、詳しいことは分からないままに気持ちいいという思いだけが先行していた。性的関心は年々高まる一方だった。オナニーもセックスも、今はもうきちんと知っている。興味があるなどという恥ずかしいことを誰かに言えるはずもなく、両親が不在なのをいいことに、こうして一人で身体を慰めている。
どうせ家に人はいない。とはいえ、母が帰ってくるかもしれないし、部屋に入ってくるかもしれないので必ず鍵はかける。その上で、声を抑えながらベッドの上で密やかに悶える。
「……ん……んん、ん、ふう……ふ、ぁ……ぅ……っ」
身体中の筋肉が不随意に痙攣する。
高まる欲望が一気に弾けて、心臓がドクドクと脈打つ。
(気持ちイイ……)
オーガズムの快感が膣奥に残っていて、じんわりと温かい。
零菜は自分の指を眺める。愛液で濡れた指が、如何に自分の身体が淫らかを物語っている。人と比較したことはないし、性の話をしたこともない。よくて恋バナ程度だ。それも零菜はとんと縁がないので話を聞くだけだが、本物の経験がある娘もちらほら出てきている。彼氏と初体験を済ませたといった話をここ数ヶ月で度々聞くようになった。
それを内心では羨ましく思っている。
できることなら普通に恋愛してみたいし、セックスもしてみたい。だが、曲がりなりにも第四真祖の娘である。自制しなければならないことも多々あった。
画面の中では、男優と女優が未だに貪りあっている。零菜が一人でイクよりも長い時間を、ああして犯しあっている。
「気持ち、よさそう」
男優のペニスが、女優の膣を貫いている。演技も多分に入っているのだろうが、それでも見ている零菜の気分すら高揚させる激しいセックスは、きっととても気持ちイイのだろう。
何をしても退屈で、つまらない。だからこそ、目先の快感に飛びついてしまう。いつの間にか、オナニーは日課になっていた。二日から三日に一度、寝る前にこうして自分を慰める。一回イクだけでは足りないので、二度、三度とオーガズムを味わってしまう。それだけではない。朝、起きてから学校に行くまでの短い時間にも、ついしてしまうこともある。ともかく、不意に身体を持て余して、気持ちイイことをしたくなるのだ。
鬱屈した日々を過ごす中、友達から興味を引く情報を入手した。
何でも、性感マッサージなるサービスがあるという。
女性向けの性サービスというかなりグレーな業界だそうだ。そういうのは、男性向けばかりだと思っていたが、ネットで調べてみたところ、かなり女性向けも普及しているらしい。
寂しい大人が体験するものだろうが、密かに若い女性も利用している。零菜の友人がそうであるように、学生でも年齢を偽って利用している人は一定数いるようで、業者側もグレーな環境下でやっているなと思う。
「ちょっとくらいなら、いいか」
と、思った。
興味本位でホームページを眺めてみると小難しいサービスの説明が羅列されている。動画で見たことのある、しかし使ったことのない玩具の説明まで画像つきで載っている。それを見て、零菜はあれこれと想像を膨らませる。
自分でするのと人にしてもらうのとで、どこまで気持ちよさに違いがあるのか。結局、やっていることは一緒のはずだ。それでも、友人は違うという。その道のプロに「マッサージ」してもらうほうが、ずっと気持ちイイと力説していた。彼女はよほど気に入ったのか、すでに何度かサービスを利用していると言っていた。
値段はそこそこする。
しかし、手が届かないほどではない。
こう見えて、零菜にはそれなりの収入がある。お小遣いだけでなく、彼女の眷獣の力が求められる場面が度々あるからだ。
呪術的な事件に対して、零菜の能力は高い対応能力を見せる。危険を伴うバイトなだけあって、収入は悪くない。
ちょっと、お高い遊びをしても懐は痛まない。
かくして、零菜はある店に予約の電話を入れた。
お店に行くのはハードルが高かったので、ホテルで落ち合うデリバリーを選んだ。
「前の部屋と違うんだ」
ラブホに入った零菜は自分が選んだ部屋の内装を見て、そう呟いた。
以前、一度だけラブホに入ったことがある。
どんなところか気になって、一人で中に入っただけだったが、初めてなだけあって緊張した。ここは男女がセックスをするためのホテルだ。足を踏み入れるということは、そういう行為をすると宣言しているようなものだ。年頃の零菜にとっては、興味関心を引かれる対象であると同時に羞恥心を多分に刺激されるところでもあった。
室内は薄らとオレンジ色のライトに照らされている。円形の大きなベッドは、日常生活ではまずお目にかかることがない。
零菜は興味津々の表情で、一通り室内を見て回った。
風呂はさほど大きくない。自宅のほうが広いくらいだ。ガラス張りなのが特殊といえば特殊か。浴槽は浅めで、緩やかに背中を預けられる構造である。寝そべって湯に浸かれるので、少ない水で済むのかな、という程度の認識であった。
その他に特筆するようなものは特にない。大型モニターをつけると、普通のテレビ番組だ。適当にチャンネルを回していると、唐突にピンク色のチャンネルが現れる。
「うわ……」
零菜は驚いて、しかしすぐにチャンネルを変えはしなかった。
先輩と後輩ものの純愛シチュエーションで、体操着を着た女優が淫らに喘いでいる。零菜の好むジャンルではないが、これはこれでと思わなくもない。
「やっぱり、こういうのもあるんだ」
零菜は瞳を紅に染めて、食い入るように女優の痴態を眺めた。
身体がムラムラしてくるのを感じている。
これから、性感マッサージの人が来るというのに、すでに零菜は出来上がってしまいそうだ。
(初対面なのに、変態だって思われたら……)
興味本位とはいえ、こんなサービスを利用する時点でどうかとは思う。しかし、それはそれとして初めて会う異姓に低評価を下されるのは、さすがに堪える。
零菜はチャンネルを一般番組に切り替えた。
心を落ち着かせて、時計を見る。
約束の時間まで、十分を切っていた。
急に緊張してきた。
手持ち無沙汰でソシャゲでもすればいいのかもしれないが、緊張感の所為でまったく楽しめない。たった十分がとてつもなく長く感じられてしまった。
緊張に固くなりながら、その時を待った。やがてインターホンが鳴って、マッサージ師がやって来る。
実年齢は分からないが、見た目は若く、優しげな男性だった。身なりも整っていて、好感が持てる。
男性は零菜を見るなり一瞬だけ驚いたような表情を見せた後、にこやかに自己紹介をしてきた。
「初めまして、零さんで間違いないですか? 私は綾瀬と申します」
「はい、間違いないです。よろしく、お願いします」
今になってガチガチに緊張してきた。
何せ風俗は初めての利用で、男性経験すら皆無である。性的関心は高く、しかしクラスの男子を誘って処女を卒業するというわけにもいかない。妙な噂が立たないようにするには、守秘義務のある業者のほうが安全だと零菜は自分を納得させている。
「当店のご利用は初めてですよね? 他店の利用はありますか?」
「いいえ、その、まったくの初めてです」
「そうなんですね。ありがとうございます」
それから、サービスの説明が行われる。
予め、利用するサービスや時間は予約時に伝えてある。だから、これは後のトラブルを防ぐための確認作業だ。
「それでは始めますね」
「ぉ、お願いします」
零菜はまずシャワーで身を清めた。
裸になるといよいよその時が来たのかと緊張感を高めさせる。
バスローブを身体に巻きつけて、綾瀬の前に戻ると頬が紅潮してしまった。生まれて初めて、家族以外の前に素肌を曝す。それも初対面の相手だ。これでいいのだろうかと思ったが、性感が頭につくとはいえマッサージだ。処女を捧げるわけでもない。もうお金も払ってしまったし、今更退くことはできない。ここで拒否しても、相手の顔に泥を塗ることになるだけで、それはそれで申し訳ない。
零菜は、綾瀬に指示されてベッドの上にうつ伏せになった。
バスローブが外されて、背中が完全に露出する。
恥ずかしさがこみ上げてきて、目を瞑ってしまう。
(マッサージでも、初対面の男の人に……っ)
とても気持ちがいいという性感マッサージ。それが本当かどうか、興味があった。試してみようと思い立つにはそれなりに時間を必要としたが、やってみれば電話一本で済む話だった。そして、あれよあれよと話が進んで綾瀬に背中を見せている。
「では、アロマから使っていきますね」
零菜の緊張を分かっている綾瀬は優しい声でゆっくりと話しかける。初対面の女の子だ。その反応から男性経験がないのも読み取れる。こうした女性は実のところ、そこそこ利用があるのだ。性に関心があるが、友人付き合いの中では解消できないとか、知っている人だと恥ずかしくて性の対象にできないとか、理由は様々だ。零菜もその中の一人であろうと予想を立てる。
常連客に顔立ちが瓜二つなので、一瞬戸惑ったがそれはそれ。珍しいことだが、皆無ではない。たとえ親族だとしてもプライバシーには踏み込まない。藪を突いて蛇を出す必要もないし、仕事は仕事としてこなすだけだ。
綾瀬は零菜の背にアロマオイルを垂らす。白く染み一つない玉のような素肌が、妖艶に輝きだした。
「あ、なんかいい香り……これがイランイラン?」
「そうです。緊張を和らげたり、美肌効果があったりと女性に嬉しい効能がたくさんですよ。本日は、ラベンダーも少しばかりブレンドしました」
「そうなんですか……わたしは、あまりアロマは詳しくなくて、でもラベンダーは聞いたことありますけど」
「花としては特に有名ですからね。イランイランは、そうでもないでしょうが」
「聞いたことないです」
「そうですよね。アロマオイルの代表的な香りではあるのですが、花としてはマイナーでしょうね」
アロマの香りは良く分からない。香水ならば、ときどき試すこともあるが、まだまだそう言った面には疎いのが実状だ。日常生活でアロマを焚くことはまずないし、オイルでマッサージもしたことがない。
ラベンダーすら名前は聞いたことがあるが、香りまでは知らないといった有様である。そもそも、この国には土がないので、花自体も比較的高級品だったりする。
「背中の筋肉から解していきますね」
綾瀬の手が零菜の背筋に触れる。親指がぐいと筋肉に埋め込まれるように沈む。
「ん……っ」
肺が圧迫されて、小さく声が漏れる。
綾瀬の手の平が優しく背中で円を描く。オイルを全体に満遍なく塗りこんでいるようだ。肩甲骨をぐりぐりと押される。まるで関節そのものが動かされているようだ。肩の筋肉から首筋までが絞り込まれるようにマッサージされる。
(確かに、けっこう気持ちー……)
アロマの香りや綾瀬との軽いやり取りもあって、零菜の緊張は大分解れていた。精神的に余裕が出てきたところで、綾瀬のマッサージが背中を解している。
普段から運動をしている零菜の身体は柔らかい。程よく鍛えられた筋肉は瑞々しく若い身体に彩りを与えてくれる。
身体の痛みはトレーニングとここ第二次性長期に急激に大きくなったバストサイズに原因が求められるだろう。零菜にとっては自慢であると同時に男子の視線を集める厄介者だ。
「バランスよく鍛えているんですね。無駄な肉がまるでない。色々な方の身体を見てきましたが、零さんはいい運動をされているようですね」
「違いますよ。マ……母の言いつけで仕方なくです。最近は、あまり真面目にやってないですから」
「そうなんですね。ちなみにどういったスポーツを?」
「スポーツっていうか……古武術、みないなのです」
「古武術ですか。それはさすがに耳馴染みがない」
「ですよね。今時、そんなことやってる人……同年代じゃ全然いないですよ。それで、貴重な休みが潰れることも珍しくないんですから、勘弁して欲しいですよ…んっ!」
綾瀬が太ももの裏側をマッサージし始める。
くすぐった居場所で、ツボもある。太ももはさすがに、痛気持ちイイ。
「んんっ……っ! ん、いてて……っ」
「殷門といいます。身体の疲れに効果があるんです」
「そ、そうですか。ん、うぅ」
確かに痛いは痛いが、綾瀬が手を離すとそこからじんわりと熱が伝わってくるような気はする。
目が覚めるような気持ちになったが、これは痛みによるショックではないだろうか。
それでも、確かに疲れでずっしりとしていた身体がどこかすっきりするような感覚はある。痛みと緊張で麻痺しているのかもしれないが、このマッサージは悪くない。少し、思っていたのと違うが。
太ももからふくらはぎまでマッサージを終えてから、綾瀬は言う。
「零さん、仰向けになってください」
「はい……っ」
今度はうつ伏せから仰向けになる。
胸も秘所も相手に晒すことになる。零菜は気恥ずかしさに手で局部を隠してしまう。
「零さん、両手は身体の横に置いてくださいね」
「う……はい」
綺麗な身体である。
同年代でも大きいほうの乳房は、しっかりと形が整っていてハリがある。
綾瀬は常連客であり肉体関係を持つ雪菜を幼くしたような顔立ちの零菜が、雪菜を上回る巨乳であることに若干の衝撃を抱いている。とても女性的で魅力のある身体付きである。それを惜しげもなく曝されているのだから、綾瀬も興奮してしまう。それを、抑えて務めに集中する。今回はセックスは封印し、零菜に性感マッサージを施すだけに留めなければならない。
「リンパの流れをよくしますね」
零菜の首から肩にかけて筋肉をマッサージしていく。
彼女は吸血鬼だ。
不死の呪いをその身に宿す吸血鬼は、生命力が極めて強い。身体の不調など瞬く間に治してしまう。しかし、日常生活で生じるコリの類は対象外だ。筋肉の正常な活動の一つで再生云々の対象に入らないのだ。
アロマオイルを手に馴染ませて、ゆっくりと筋と筋肉を解していく。
そして、乳房を手の平で包み込む。
「ん……っ。そこ……」
「ここからが性感マッサージですよ」
「はい……」
男性の手に触れられるのに慣れていない零菜は気恥ずかしさに震える。しかし、拒否はしない。それが嫌なら初めからこのサービスを利用していない。不慣れであるというただそれだけだ。
「ふ、ん……ぁ……ん」
零菜の身体に負担をかけないよう、綾瀬はゆっくりと乳房を揉む。
まだ、零菜の性感帯を把握していない。ここからマッサージをしながら、零菜がどこをどのくらい感じるのかを見極めていく作業だ。
脇の下からアンダーバストに沿って指を這わせて、乳房を持ち上げる。
「んんっ……ん、くすぐったいです……ん、ん、ふう、はあ……」
「ここも性感帯なんですよ。まだ、零さんのここは眠ったままのようですけどね」
スペンス乳腺と呼ばれる性感帯が脇の下から乳房にかけて存在する。
感度は人によってまちまちだが、普段から感じるトレーニングをしていると、挿入に匹敵する快感を得られる場合もあるという。もちろん、零菜はそんなことは知らないし、まだ開発されてもいない部位だ。
「今日は、そういう性感帯もあるという程度でいいでしょう。続けますね」
「は、はい……んんっ」
スペンス乳腺への刺激を綾瀬は継続する。
くすぐったい気持ちと少しの性的快感がある。しかし、初対面の男性が相手という緊張感から感度が下がっているのも事実だった。
よって、まずは性感帯の開発よりも綾瀬に触れられることに慣れてもらわなければならない。
背中側のマッサージだけでは足りない。きちんと性器に触れても身を委ねられるというくらいに心と身体を開いてもらうのが理想だ。
警戒心があると感度が下がる。そうなると時間とお金を無駄にしたという感想を抱かせてしまうだろう。それは、プロとしてあってはならないことである。
「ふ――――ん、ん」
綾瀬は五指を使い、乳房の表面を触れるか触れないかという力加減で乳首に向かってなぞっていく。肌をくすぐるようにしてアロマオイルを塗るのだ。
それを何度か繰り返す。
(くすぐった……それに、これ、おっぱいが、熱くなる)
乳房を優しく触られているうちに、肌が敏感になってくる。ただ肌表面をなぞられているだけだというのに、乳房がぞくぞくしてくる。
(わたし、自分で触るときには全然、こんなんじゃなかったのに)
と、零菜は内心で驚愕する。
乳房は元来鈍感だ。乳首に比べれば性感帯としては使えない。しかし、綾瀬が触れているうちに少しずつ感覚が鋭くなってきている。
「ふぅ、ん……ぁ……ん……ん……ぅ、ふう……はあ……」
零菜の口から切ないため息が漏れ始める。小さく身じろぎするのも、快感の蓄積でじっとしていられなくなってきた証だ。性感が強くなり乳首が立ってきた。秘所も少しぬめりを帯びてきている。
綾瀬は乳房を手の平で包み込んで、大きく五指を動かして揉んだ。これまでと違う強い刺激で零菜は思わず声を上げてしまう。
「あん、んんっ」
はっとした零菜は慌てて口をつぐんだ。自分でも想像以上に大きな声が出てしまったのだ。
ずいぶんと感じてきたようで、綾瀬は安堵する。
それにしても、零菜の乳房の柔らかさとハリには目を見張る。
ぎゅっと掴んでも指を押し返してくるし、痕も残らない。きめ細かい肌は、もちもちとしていて触れていて心地よい。
先端に向けて、零菜の乳房を絞っていく。二度、それを繰り返してから乳首を責める。ピン、と勃った乳首が愛らしく自己主張している。それを指先でまずはゆっくりとくすぐる。
「ふうぅ、ん、そ、そこ……ん、ふ、ん……ぁ……恥ずかしい、です……んんっ……ぁぅ……ふぅん♡ ん、ぁ……んぁ……ぅ……」
零菜はもじもじと身体を揺する。
二つの乳首から与えられる快感が、身体を加熱している。
「大丈夫。恥ずかしいのは分かりますが、ここは私に任せてください。零さんは、私が触れているところに意識を集中してください」
「そんなこと言っても……んん、あっ……ふ、はっ……あ……ぅ……んふう……く、ぅ……はぁ……ぅぅ……」
綾瀬の指がいやらしく零菜の胸を弄っている。
敏感な乳首がより一層敏感にされてしまっていて、それを優しく愛撫されるのが切なくて堪らない。
(ほんとに、自分で触るのよりずっとイイ。けど、まだ弱い……いっそ、もっと強くしてほしい。これ、焦らすってヤツ?)
身体がどんどん切なくなって、下腹部がきゅんとしてしまう。
愛撫されているのは胸だが、その影響は全身に及んでいるのだ。
呼吸が徐々に荒くなってきて、頭がぼうっとしてくる。綾瀬の人差し指が乳首を弾き、手の平が乳房の形を変えている。
胸がこんなにも気持ちイイとは知らなかった。ただ触るだけでなく緩急をつけて、少しずつ快感を蓄積していくようにしている。
「少し、強くいきますよ」
「ふ、ぁ……!?」
くい、と零菜の乳首を綾瀬が摘む。
焦らしに焦らされた乳首は急に強い刺激を与えられて、一気に弾けた。
「ふ――――ひぃあっ!? あ、ふあっ!?」
がっくん、と身体が跳ねる。
一瞬、頭の中に火花が飛んだような気がした。まさしく電流のように一瞬だけ快感が身体中を巡った。
「はあ、ぅあ……今、の……イッた。わたし、胸だけで……すごい」
思わず、大きな声を出してしまった。
軽いオーガズムではあったが、衝撃的でもあった。今まで胸でここまで感じたことはなかった。胸だけで絶頂した回数は皆無と言ってもいいくらいだ。
それが、今の一瞬零菜の乳首はクリトリスに近しい感度で快感を脳に届けた。
(まだ、ビリビリしてる……綾瀬さん、すごい……)
胸が綾瀬によって性感帯に作り変えられてしまったようだ。今なら、自分で弄っても強い快感を得ることができるだろう。
「マッサージ、続けていきますね」
綾瀬はそう言って、手を零菜の下にずらしていく。腹部から臍の当たりをなぞり、そして太ももに達する。
ぞくり、と背筋が震える。
太ももの内側はもともと敏感な場所だ。そこに人の手が入る。まして、秘所が丸見えの状態だ。
「ふ……ん、ふっ……ぅ……」
零菜は唇を噛んで登ってくる快感を堪えた。
綾瀬は右の太ももから責めてくる。マッサージはマッサージだが、それは同時に性的快感を伴うものでもあった。綾瀬の手で筋肉が解されたかと思えば、ソフトタッチで肌を敏感にされてしまう。触れるか触れないかのギリギリを攻める綾瀬の指は、零菜が思わずもっと触ってと強請りたくなるいやらしさだ。
(もう少し、もう少しでもっと気持ちよくなるのに……あそこの近くばかりで)
零菜の胸に去来するのはただただ切ないという感情ばかりだ。ここまで来ると異性に触れられているという羞恥心はなくなっていて、もっと触れて欲しいという欲求ばかりが溢れてくる。
「はあ……はあ……ふう……んふう……んうぅ……はあぁ……はあ……ふ……ぅ……ん、ふう……ぁぁ」
頬が熱いし、頭も限界が近い。
零菜の秘裂は、綾瀬に触れられる前から涎を垂らしているくらいなのに、綾瀬はそれを分かってまだ弄ってくれないのだ。
そんな零菜の葛藤を綾瀬は読み取っている。そろそろ、身体のほうが快感に屈し始める頃合だと触れた感触で分かる。
「ここを触っていきますからね」
と、綾瀬が言う。
指先でクリトリスを擦る。
「んにぃ、んあ♡」
(き、来たっ、やっと……そこっ)
待ちに待った快感に零菜の身体が悲鳴を上げた。
クリトリスの皮を剥いて、ころころと指先で転がしてやる。すると、零菜は目に見えて色気のある喘ぎ声を漏らし始めた。
「んんぅぅ♡ はあ、あふあ……はぁ、あ……ひぃん♡ ふ、ふ、ふひっ、あ、んあ……んあ、あ、んあぁ♡ あ、強い、あ、あ、んん♡」
零菜が悶えて、シーツに皺ができる。
「クリトリスが、ずいぶんと敏感なんですね」
「そ、れは……んんんっ、んあ、分かりませんっ。く、比べたことないですからっ……ん、ふう、ああっ!」
綾瀬は零菜の反応を見ながら、彼女に適した力加減を探る。幸い、零菜は不感症の類ではなく、むしろかなり鋭敏な感覚を持っている。綾瀬の指使いに合わせて声を上げてくれるので、とても分かりやすい。
桃の表皮に傷をつけない程度の力加減でクリトリスを愛撫する。
「ふうう……はああぁ♡ んあ、ふ、ぐ……ひぁ、あ、あ、あぁん♡ う、うう、ふぐ、そこばかり、やあ……あ、あん……んあっ」
「いいですよ、零さん。もっと声を出していいんですよ」
「声なんて、そんな……んっ、恥ずかしいのにっ……ん、くう、はあん♡」
(どうしよう。声、止まらないよ……思ってたよりもずっと、気持ちイイ。声が我慢できないなんて、思わなかった)
零菜はクリトリスを弄られながら何度も軽いオーガズムを経験した。
綾瀬の指はいつの間にか零菜の愛液で汚れている。
「それでは、膣内のマッサージを始めますね」
まさに零菜に止めを刺す宣言だ。
充血した膣の入口を押し分けて、綾瀬の指が内部に入る。くちゅくちゅと綾瀬の指をくわえ込んだ膣が音を立てる。
「んふぅあ♡ あ、あ、あ、ああっ♡ 指、入って……んふぅぅ♡ はあ、あ、膣内、そんなにっ……!」
零菜の膣内は愛液でぬるぬるになっている。たっぷりと焦らしたため、指を入れるのも楽だった。
零菜は処女だ。だから、膣は挿入そのものに慣れていない。いきなり指で激しくかき回すのは苦痛だろう。ここも、じっくりと優しく愛撫していく。
「あ――――ぁ、ん……ん、んぐぅ、あっ……くうぅ♡」
零菜はぐっと快感を堪えるように歯を食い縛る。
膣肉がしっかりと綾瀬の指を締め付けてくる。
零菜は快感で今にも蕩けてしまいそうな表情を浮かべた。
足と腰が勝手に動いてしまう。綾瀬の指が膣肉に触れると電流が走ったように神経が焼ける。堪らず腰を捻り、太ももを閉じ合わせてしまいそうになる。それを綾瀬は無理矢理阻止して、愛撫を続けている。
「んあ、あ、あ、ああっ……ん、んぐぅぅ♡ ひ、ひぐ、んあ、あ、ああ、んはあ♡」
じゅくじゅく、と愛液が掻き出される。
腰が跳ね上がり、身体が反り返る。
(き、気持ちイイ――――っ)
「何、これ……い、すご……あひっ、ん、ひあっ……はへあっ……あぎ、ぃあっ、あ、はあ、い、イクっ……んひぃっ♡」
まるで釣られた魚のようだ。綾瀬の指が釣り針で、零菜が魚。吊り上げられて愛液を噴き出した。
それこそ打ち上げられた魚のように、零菜はベッドの上でびくんびくんとのたうつばかりだ。
「あ、あ、あ――――♡」
(頭、真っ白……こんなのおかしいよぉ♡)
自我が溶けるような錯覚をする。
今まで繰り返してきたオナニーがどれほど幼稚だったのか思い知らされた気分だ。
「はっ、はっ、はっ、んひっ……これ、イクの、止まんない、よぉ♡」
気持ちよさのレベルが違った。
友達が最高だったと話したのも頷ける。
ただ指で性感帯を愛撫されただけだというのに、快感で頭がどうになかってしまいそうだった。瞳もすっかり紅に染まって、血を吸いたくなってしまう。まさか、綾瀬から血を吸わせてもらうわけにもいかない。
時計を見ると、時間までもう少しだ。とりあえず、落ち着くまで待とうと額に腕を乗せて深呼吸する。
「零さん、こちらをどうぞ」
「え?」
綾瀬が差し出してきたのは血液パックだった。
「吸血鬼の皆さんには無料オプションです」
「ありがとうございます」
準備のいいことだ。
性感で吸血衝動が強まるのはおよそすべての吸血鬼の特徴である。
性感マッサージを受けた吸血鬼に吸血衝動が発生するのは当然であった。
零菜に差し出されたのも吸血鬼が血を摂取するために販売されている一般的な血液パックで、零菜はここから血を飲むことにした。
血を飲んで、吸血衝動を抑えてからシャワーを浴びて、服を着る。
寂しさを紛らわすためとはいえ、とんでもない火遊びをしてしまったと後悔した。母にばれたら、間違いなく雷を落とされる。
男性とラブホで落ち合ったなんて、それこそ口外できることではない。
零菜はこの日の出来事を胸に仕舞いこみ、こっそりとラブホから家に帰ったのだった。