※この作品はR-18です。

暁の堕姫~堕ちていく人妻~   作:人妻大好き

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21話

 真っ暗闇の中で零菜は目を覚ます。

 零菜が暮らす街は暁の帝国の首都に当たる。世界的にも有数の大都会だ。深夜であろうとも、星明かりがかき消される程度には明るいので、暗闇を求めて遮光カーテンを取り入れる家庭も少なくない。零菜の部屋もその例に漏れず、最新の技術を用いた遮光カーテンで真っ暗になっていた。

 

「眠れない」

 

 ごろり、と零菜は寝返りを打つ。

 壁に掛けてあるアナログ時計を見れば、深夜の二時を回ったところだった。一応、夜行性とされる吸血鬼は、夜の闇を軽々と見通すことができる。

 ベッドに横になって、二時間近くが経過していた。

 寝つきはいいほうの零菜だが、この日は珍しく眠気がやってこなかった。

 体力を使うこともほとんどなかったからだろうか。エネルギーを持て余している感じがするのだ。頭が妙に冴えてしまって困る。こういう時は本を読むかゲームをするかして眠気がやってくるのを待つのが常である。また、あるいは、声を殺して自慰をすることもあるだろう。

 年頃の零菜は「そういうこと」にも興味がある。特定の相手はいないものの、風俗店で初体験を済ませていた。人に知られてはいけない危険な遊びに手を出して、零菜はすっかりその虜だ。綾瀬が教えた性的快感は、思春期に入り好奇心と性欲を持て余していた零菜にとって極上の愉しみとなった。

 単純に気持ちイイというだけではない。人に知られては不味いという背徳感が、興奮のスパイスになっている。恋愛らしい恋愛はしたことがないが、ただ快楽を貪るだけの関係というのは気楽なものだし、二度、三度店に通えば、気心も知れてくる。

 綾瀬の店に行くことが、日ごろの息苦しさを解消するのに都合のよい逃げ場になっているのも事実であった。

 とはいえ、零菜の本分は学生である。

 その能力からバイト代で潤っているとはいえ、本当は大人に監督されるべき年頃であり、皇帝の娘という立場もある。綾瀬の店など、本来は足を踏み入れていいはずはなく、軽々しく扉を潜るわけにもいかない。行きたいという思いを抱えつつ、タイミングを見る必要があった。

 このところ、店には行っていない。

 単純に、忙しかったからだ。

 零菜は決して暇ではない。仕事をしている大人からすれば気楽なものかもしれないが、学生というのはそれはそれで忙しいのである。とりわけ、テスト週間ともなれば、勉強に熱を入れる学校の学生は――――特に零菜のように目に見える結果を求められている者にとっては辛い時間となる。

 

「ふ、ぅ……」

 

 悩みは勉学だけではない。将来のこともそうだし、家族のこともそうだ。家族の関係性が変わってきているのを、零菜は実感していた。それは、仕方のないことなのかもしれない。父は、一国の皇帝であり、複数の美姫を囲うハレムの主である。母を異にする姉妹も何人かいるし、ごく自然と女性と仲良くなる才能がある。零菜の目から見ても魅力的な男性ではあるが、だからこそ普通の家庭とは言えない状況ではあった。

 吸血鬼にとって血の従者は力そのものだ。

 経済力や立場のある吸血鬼はある程度のハレムを形成するのは許容される。第四真祖、一国の皇帝ともなれば、多数の力ある女性を抱えても非難されることはないのだ。とはいえ、零菜にとっては父は一人で母も一人だ。話を聞くに、雪菜はかつては父と四六時中一緒にいた第一のパートナーだったし、仲もとてもよかったというが、最近は一緒にいるところを見たことがない。仕事なのか別の女性のところに行っているのか知らないが、家庭人としては父は落第だと思う今日この頃。

 もっとも、その母も零菜が手を離れる歳になったからか今まで以上に仕事に邁進しているようで、帰宅時間が遅くなっているし、泊まり込みになる日も増えている。

 子どもならではの感性で家族がバラバラになっていくのを寂しさと諦観を綯い交ぜにしながら眺めている。

 

「ん……ぁ、ん……」

 

 ベッドの上で小さく呻く。

 寝つきの悪さと不意に湧き上がってきた家庭へのいら立ちから逃れるように、零菜は身体を慰める。寝巻と一緒にショーツをひざ下まで下ろして、涎をまぶした指先で自分の花弁に触れる。さわさわと割れ物を扱うようにゆっくりと丁寧に表面をなぞる。細い指先でクリトリスを愛撫して、痺れるような快感が股座を熱くする。

 

「はあ……ぁ……んっ……ふう、ぁ……ぁ、ぅ……んんっ、ううん……はあ、ふ、ぅ……」

 

 甘い痺れ。

 指を少し動かすだけで、蕩けるような熱が身体に溜まる。

 零菜は掛布団を払いのけて、Tシャツをまくり上げ、乳房に手を伸ばす。

 秘所と乳首を両方同時に愛撫する。突き刺すような鋭い快感がクリトリスから脳に届く。乳首はじんわりとした包まれるような快感で、二種類の快感が同時に零菜の身体に染み込んでいく。

 

「はあ……はあ……んふう……ぁ、はあ……ふう……ん、ん……ん……ふ、んんっ、はあ……ん」

 

 零菜は唇を引き結んで声を殺す。 

 隣の部屋には雪菜がいる。一時間くらい前に帰ってきて、部屋に入ったのを物音で確認している。下手に声を漏らすと聞かれてしまうから、零菜はうつ伏せになって、顔を枕に押し付けてオナニーする。

 

「ふう……ふう……ふう……んふう……うっ、ん……はふぅ、ん……んあ……ぁ、んくぅ♡」

 

 くちゅくちゅと股から愛液が滴る。膝を立てて、腰をひくつかせる様はまるで後背位をしているかのようだ。

 零菜の指はより深いところまで入っている。

 自分の身体なので、どこを触れば気持ちイイか分かっている。敏感な場所に触れて、嬲って、擦る。びくん、びくん、と身体が跳ねる。

 

「はぁ……あ、はあ、んふう、んん♡」

 

 じわりと涙を浮かぶ。 

 

(気持ちイイのに、物足りない)

 

 オナニーは気持ちイイ。それは事実だ。オーガズムは不安を消し飛ばし、辛い気持ちを切り替えるきっかけをくれる。そうでなくとも、とりあえず暇ならばしてしまう。手が汚れてしまうのが難点だが、そこに目を瞑れば道具も必要としないストレス解消法なのだ。

 しかし、それでも足りないと思ってしまう。

 

「ん、はあ、ふ……本物、欲しいよ……ふ、ぁ……ん♡」

 

 脳裏を過る綾瀬のペニス。あのグロテスクでたくましい一物を想像した途端に零菜の身体が痙攣する。

 オーガズムによる痙攣は、じんわりと身体の奥を熱くして零菜の息を荒げさせる。

 ベッドの上に倒れ込む。

 綺麗な指先は、生々しいオナニーの形跡がべっとりを付着している。

 

(本物はもっと、奥まで来たのに)

 

 身体の奥深くに押し入ってきた綾瀬のペニスを思い出す。貫かれた痛みとそれが苦にならないほどの快感は、オナニーではついぞ得られていない。

 あれから、道具を使ってみたり、指で工夫してみたりとあれこれ試してみたが、セックスほどの充足感は得られなかった。

 やはり、男の物に貫かれなければ感じれないものもあるということか。

 ネット知識でしかないが、確かに本物のセックスはオナニーよりも精神的充足感が大きいのだとか。

 それは、そうだろうなと思う。

 零菜以上に零菜の身体を知り尽くしているとすら思えた綾瀬。そのペニスの熱と存在感を自分で再現するのは不可能だ。

 零菜にできることと言えば、自分好みの状況設定を頭の中でして、それに沿って指かあるいは道具を動かすことだけだ。すべてが相手任せだった初体験は、すべてが不意打ち。それもオナニーとは異なる点だ。

 

「トイレ行こ……」

 

 オーガズムの余韻が引いて、手をティッシュで拭いた後で零菜はベッドから降りた。さすがにこのままで寝るわけにはいかない。ほどほどに体力を使ったからか眠気が出てきたので、さっさと手を洗って寝ようと思った。

 音を立てないようにすり足で息を殺して部屋を出る。

 疲れて寝ているであろう雪菜を起こすのは忍びない。夜目の利く零菜は、廊下の電気をつける必要すらない。

 

(やっぱり暗いのって不気味だよね)

 

 見えるか見えないかは別として暗いというのは気味が悪い。小さいころはそれこそ寝る前に部屋の電気を消すことすら嫌で、常夜灯にしていた時期もある。夜闇に不慣れな普通の人間はきっと、もっと怖い思いをしているのだろうと不憫に思う。

 ミシッと木材が軋むような音がした。

 零菜は音を立ててしまったと思い、ドキッとした。しかし、それは零菜が発した音ではなかった。

 また、ギシッと小さく軋む音。それはベッドが軋んだ音だと分かった。

 

「ふぅ……ん、ふぁ……ふう……」

 

 微かに人の呻き声が耳に届く。蚊の羽ばたきのように小さな声。しかし、零菜の聴覚はそれを聞き逃さなかった。

 

(え……?)

 

 声は隣の部屋から聞こえていた。ギシギシという音も同じである。

 

「はぁ……ん……ん……ふう……はあ……ぁ……ぁ……んんぅ……はあ……」

 

 声を殺して、今にも弾けそうな感情を堪えているかのような女の呻き。それが、僅かに開いたドアの向こうから聞こえてくる。

 

(何……これ……)

 

 緊張感が一気に高まった。冷や汗が出る。何が起こっているのか、なんとなく想像がついてしまった。すぐに引き返そう。そう思ったが、身体は意に反してドアに近づいていく。

 

(うそ、ママが……)

 

 果たして、そこには想像した通りの光景が広がっていた。

 月明りの差し込むベッドの上で仰向けの雪菜が一人で悶えている。先ほどの零菜と同じだ。衣服をはだけて形のいい胸を露出し、乳首をつねり上げている。もう一方の手には黒い物体が握られていて、雪菜はそれを自らの膣に挿入している。

 雪菜の胎内に潜り込む物体の全体像は見えない。しかし、それがディルド型バイブであることは一目瞭然だ。

 母のオナニーを見てしまった罪悪感と衝撃もさることながら、零菜を驚かせたのはその激しさだ。まさか、雪菜が性具を用いて、それもベッドの上でのたうつようなオナニーに耽るとは想像の埒外であった。使っているバイブも大きく撓んだ形状をしているようだ。単なる棒状のものではない。快楽を貪るために最適化されたもの。オナニーのために作られた、それ以外の用途のない品だ。そんなものをまさか雪菜が所有しているとは思いもよらなかった。

 

「んふう……あふ……んあ……はあ……ふ……ぐぅ……んん……はあ、はあ、んぁ……あ……」

 

 雪菜の喘ぎ声が徐々に大きくなっていく。

 

「はあ、ぁ、ぁ、ぁ、んん……はあ、ん……はあ……んあ……あん……気持ち、イイ……あ、はあ……あ、んあ、んふうぁ♡」

 

 雪菜の腰が跳ねる。零菜が覗いているとも知らず、オナニーは激しさを増していく。その光景をまじまじと眺めて零菜はごくりと生唾を飲んだ。

 

(あのママが、まさかこんな)

 

 雪菜とて女だ。セックスをして零菜を産んでいる。だから当たり前ではあるのだが、零菜はまさか雪菜がこんなに「行儀の悪いこと」をしているとは思わなかった。

 零案にとっての雪菜は優しくも厳しい母であり、女ではなかった。

 能力が高く、強く、そして美しい自慢の母であり、同時に素直になれない相手でもある。ともなくとして零菜の中の雪菜は厳格で規則に厳しい、およそ自慰行為とは無縁の存在だった。

 それが、目の前で一人で乱れている。その衝撃に零菜は固まって動けなくなってしまった。雪菜が初めて見せる女の顔は、零菜を硬直させるに十分すぎる威力があったのだ。

 

「ふう、あ、あふうっ、んっ、あ、すご……んん、もっと、んあ、もっと深いの、んあ、はあう♡」

 

 嬌声に交じり雪菜の呟く声が聞こえる。

 それはきっと雪菜の今日のおかずなのだろう。

 雪菜が何を求めているのか、今の零菜はよく分かる。何せ自分もつい先ほどまで同じものを想像していたのだから。

 

(セックスしたいんだ。ママも、あんなになるくらい。なんて、いやらしい人……)

 

 雪菜の指が秘所の中で暴れている。

 顔に似合わない激しいオナニーだ。きっと雪菜の股はぐっしょりと濡れて、いつでも男を迎え入れられるような状況に違いない。

 セックスの気持ちよさは零菜も知るところである。

 

(ママ、欲求不満なのかな。セックスレスっぽかったし)

 

 自分の母が性欲に溺れる様をまじまじと眺めるのは、本来嫌悪感を抱くところだろう。憧憬すら抱いていた相手でもあるのだから、それは失望に繋がってもおかしくはない。

 しかし、零菜に去来したのはある種の安心感だった。

 

(そっか、ママだってしたいんだ。そうだよね)

 

 きっちりした隙のない母よりも、愛欲を表に出す母のほうが好感が持てた。

 雪菜は今、妄想の中でセックスをしている。あの綺麗な膣に男の醜い一物を挿入されて喘いでいるのだ。

 セックスを覚えたばかりの零菜は、その快感の虜だ。雪菜も同じように、男を求めている。少し前の零菜なら今の雪菜を軽蔑しただろうが、今となっては共感と安堵を覚える。

 

「は――――あ、んふあっ、あ、んふう……あふ、んあ……はあう……ん、ん、んんっ」

 

 淫らな声が状況を加速する。

 零菜はいつの間にかしゃがみこんで自分も自慰を始めていた。

 雪菜の腰がひくつき、跳ねると零菜の媚肉も一緒に痙攣した。

 

(イキそうなんだ)

 

 愛欲に蕩け、自分の本能に翻弄される母はどうしてか美しかった。月光に照らし出されるそれ。汗の雫も上気した頬も蕩けた顔も、普段零菜に見せるそれとはまったく異なっていた。

 あそこにいるのは母ではなく、一匹の発情したメスだ。

 快楽に歪む顔すら美しいのは反則だと思いながら、零菜は雪菜が果てるまでの一部始終を見つめていた。

 

 

 

 ■

 

 

 

 零菜は雪菜をはじめとする周囲の目を盗んで久しぶりに綾瀬の店を訪れた。

 学校も勉強も基本は毎日だ。そんな中で人目をはばかっていると、そう自由に訪れることはできない。

 扉を潜れば、落ち着いたバーの雰囲気。落ち着いた大人の世界を印象付ける内装は、零菜の好むところである。彼女が普段、友人や家族と利用するのはファミレスのような大衆店か、会員制の静かな高級飲食店くらいのもの。この店のようなアンティーク調のバーというのは年齢面もあって物珍しく見える。

 準備時間すらもどかしい。

 雪菜のオナニーを見てからというもの、零菜の性への関心はさらに強くなっていた。もともと好奇心はあったし、だからこそ綾瀬の店を利用していたのだが、より多彩な経験をしてみたいと思うようになったのである。試せるだけ試したい――――そういう思いに駆られている。

 

「ふ、う……ん」

 

 零菜が身じろぎする。

 一糸纏わぬ白い肌が、橙色の明かりの中で妖しく輝いている。ベッドの上で惜しげもなく美しい裸体を晒す零菜は、綾瀬の腕の中にいる。

 ベッド上に二人で座る。

 綾瀬が零菜を後ろから抱きかかえるようにして、零菜の背中に肌を密着させる。すっぽりと股の間に納まった小柄な少女のさらさらとした髪が胸を撫でる。まるでブラックパールのように綺麗な髪で、シャンプーとアロマのフローラルな香りがする。

 零菜の身体を綾瀬は太ももで挟み込んで固定する。さらに、身体の前から抱きかかえて密着感を高める。あたかも恋人のように優しく零菜を扱う。

 

「綾瀬さん……そろそろ、触ってください」

 

 零菜は恥ずかしげに俯きながら、そう頼む。長くこの体勢をとっていたわけではない。零菜が待ちきれなくなったのである。

 

「それでは、始めますね」

「ん……」

 

 耳元でささやかれて零菜はぞくりと背筋を震わせる。

 綾瀬の吐息と太い声が耳を愛撫したようであった。その直後、綾瀬の大きな手が零菜の乳房を包み込み、表皮を撫でるように柔らかいタッチで乳房を持ち上げる。同時にもう片方の手が太ももを撫でて、零菜の希望通りの部位に伸びる。

 

「は、あ……んっ」

 

 零菜が熱い吐息を漏らした。

 零菜の乳首を綾瀬の人差し指を愛撫する。円を描くように、表面を優しく擦ってくる。弱い刺激がじわじわと零菜の胸を虐めている。

 そして、クリトリス。この敏感な部位を、乳首と同じく割れ物を扱うかのように慎重に優しく愛撫してくる。期待で血流が加速して、弄ってもいないのでぷっくりと膨らんだ恥部の上部。快楽を得るためだけに存在しているとも言われるクリトリスは敏感であるが故に痛みを感じやすいのだが綾瀬がそんなミスをするはずもなく、零菜には適切な快楽が与えられていく。

 

「はふう……ん……んん……はあぁ♡ あ、んん……んあ……はあ……んっ、あ、はふっ、ん……ああ……ん……」

 

 綾瀬が指を動かす度に零菜から愛らしい声が漏れ出る。

 綾瀬の指がクリトリスからゆっくりと割れ目をなぞる動きに代わる。

 

(あ……綾瀬さんの指、入ってきそう)

 

 そう期待を抱く。

 膣の中に余計な力が籠っているのを感じている。綾瀬の指が入ってくるという期待感でいっぱいなのだ。

 目で見なくても分かるくらいに、零菜の陰部は濡れていた。まさしく蜜壺という表現がお似合いだ。

 

「あ、ん? 綾瀬さん? どうして……」

 

 零菜から綾瀬は手を離したのだ。今か今かと待ち望んでいた挿入が先延ばしになり、零菜は困惑する。そんな零菜の頬に綾瀬は口づけて、それからベッド脇のテーブルの上に置いてあった小箱を開ける。中にはいくつかの性具が入っていて、そこから綾瀬は脇差のような形状の棒を取り出した。

 黒色で刀身に当たる部分に楕円形の球が付いているようであった。一般的なバイブのような円柱状ではない。その独特の刀身の途中にいくつもの膨らみを作った脇差というような形状はなかなかお目にかかれない。

 

(あれ、これ、どこかで……)

 

 綾瀬が取り出したバイブを見て零菜は既視感に捕らわれる。

 

「これを今日は使っていきますよ」

「あ……はい」

 

 零菜の膣口に切っ先を宛がったとき、不意に零菜は思い出した。

 

(これ、ママが使ってたのと同じ――――ッ)

 

 零菜が息を飲み、そうとは知らない綾瀬はそのままずぶりと零菜を突き通す。

 

「ふ――――ぅ、んは♡」

 

 ごり、と刀身の球が膣肉を抉る。

 零菜が唇を引き結ぶも二つ目の球が挿入されると堪らず身体を揺すり、深く息を吐いた。

 

「は、あふっ、ん、あ、これ……すご、い♡」

 

 じゅぶじゅぶ、と愛液が零れ落ちる。

 脇差型バイブがゆっくりと零菜の膣肉を広げ、奥に進んでいく。腰が蕩けそうな快感が零菜を痺れさせる。

 

「ふう、んふう……はあ……ん、あん♡ う、ふう……んふう……あ、ふあ……ん、ん、あ、ん……んふ♡ あふ、んあ、あ、ん、くふう……♡」

 

 零菜に合わせて綾瀬はバイブを出し入れする。

 球を二つ抜いてから、挿入する。一つ抜けると零菜の膣は寂しげにしてバイブを抜くまいと抵抗し、しかし挿入する段になると今度は侵入を阻止しようとするかのように媚肉を引き締めてゆく手を遮る。我儘な膣肉を綾瀬はバイブをぐりぐりと回すようにしながら解き解す。

 

「あはぁ♡ そんな、ん♡ 強いよぉ♡」

「嫌いですか?」

「ち、違いますけど。ん……だって、こんなの、ふう♡ 気持ちよすぎて、すぐイッちゃう♡」

 

 零菜は腰を悶えさせながら、身を捻る。

 抜き差しされるバイブは零菜が分泌した透明な汁でべっとりと汚れていて、シーツにも染みができている。それが、自分が漏らした液体だと見て取れるので一層恥ずかしい。

 

「う、あう……んあ……うぅ……ふぐぅ……」

 

 零菜は自分の膣口から出入りするバイブを真っ赤に染まった瞳で見つめる。

 バイブが引き抜かれる。自分の膣口が内側から広げられて、卵を産むかのように中から球がずるりと顔を出す。その瞬間、身体中に電流が走ったかのように気持ちよくなる。愛液で汚れたバイブがずるずると外に向かって進み、次の球も「出産」する。びりびりとする感覚に蕩ける視界は涙で滲む。かと思えば、今度は逆に膣内に戻ってくる。

 

「ん、んんっ、奥、まで、はあ、あ、膨らんでるの、入ってくるぅ♡」

(ごりごりしてる。わたしの膣内で、あの膨らみが当たってる!)

 

 焦らすようないやらしさで的確に球が感じる場所を刺激する。

 このバイブの特徴は固すぎないことだ。

 ほどほどの柔軟性がある。それはゴムのようで、形を零菜の膣に合わせて変形する。さらに反発力が加わって膣肉と押し合いへし合いして刺激を高めているのようだ。

 

「ん、ん、ん、はうっ。あ、う、これ、やらしい……ん、あ、膣内が引き出されるみたい……んあっ、あうっ」

 

 零菜の乳首を摘み、強めの刺激を与える。

 不意打ちを受けた零菜はびくんと身体を痙攣させる。

 

「んあっ、あっ、ダメ、これ、ん、もう……ひ、あ、イクっ――――♡」

 

 止めてと言われても綾瀬は止めず、零菜を昇天させる。

 膣肉が力強くバイブを締め付ける。身体の絶頂はその声を痙攣から読み取れる。

 

「んふうん♡」

 

 じゅぷ、と音を立ててバイブを抜ける。はあ、はあ、はあ、と零菜は乱れた呼吸を整える。そんな零菜を慈しむように綾瀬は抱きしめる。

 

「いかがでしたか、当店の新商品」

「気持ち、よかったです」

 

 零菜は自分の膣に手を当てる。綾瀬のバイブによって虐められた場所が熱を帯びているようだった。

 

「新商品なんですか、これ」

「そうですよ、ちゅ」

 

 綾瀬は零菜の頬にキスをする。

 

「ん……そんな急に」

「恋人コースですから、ちょっとした触れ合いも必要でしょう」

「そうかもしれませんけど。あの、新商品ってことは他には売ってないんですか?」

「もちろんですよ。当店の独自ブランドです。まだ通販にも出していない店頭のみの販売です。興味ありますか?」

「あ、いえ、その……」

 

 確かに気持ちがよかった。綾瀬がしてくれたからということもあるだろうが、指でするよりも断然このバイブのほうがすっきりとイケた。だが、今零菜が気にしているのはそういうことではなく、

 

「んあっ」

 

 じゅく、と水音が頭に響く。

 零菜の耳を綾瀬の舌が襲ったのだ。次いで綾瀬の両手が零菜のスペンス乳腺をマッサージし、さらに首筋からねっとりと舌を頬に向かって這わせる。途中、幾度も啄むようにキスをして、零菜の肌を汚した。

 

「このまま、しますよ」

「はい……」

 

 零菜はぼんやりとした頭で頷いた。スペンス乳腺から与えられた深く強い快感が思考回路に靄を生じさせる。

 綾瀬は零菜を抱きしめたまま、ベッドに倒れ込む。足を絡めて、勃起したペニスにゴムをつけ、少女の蜜を零す白百合のような花弁に押し当てる。

 

「ふう……んぁああっ!」

 

 じゅぶり、と零菜の膣を押し開ける。

 亀頭が蜜壺に顔を突っ込み、カリ首まで押し入る。零菜の片足を持ち上げたまま、綾瀬はペニスをじっくりと零菜の膣内に泳がせる。

 

「ふう……くう……はあ……あ……んあ……はあ、ふう……んんんっ」

「零さん……挿入っちゃいましたね」

「あ……はい……ん、ふう……あ……大きい♡」

 

 零菜は背中で感じる綾瀬の温かさと、自分の膣内に押し入るペニスの熱さの両方を感じて快楽とは別の安心感を抱いていた。

 力強い男に身を預けるというだけで、こんなに落ち着くものなのかと零菜は思う。

 

「動いて、ください」

「もちろん」

「んあっ」

 

 片足上げの後側位だ。体勢的には激しく突くことはできない。零菜は初心者なので、綾瀬に合わせて腰を動かすことなどできないが、そこは綾瀬の技術でどうとでもなる。零菜に合わせて腰を動かすだけだ。

 

「ふむ……んあ……はあ……んあ……んあ……ん、ふうあ……あん……んあ……あ、あふ、んはあ……」

 

 切ない吐息を漏らす零菜。

 綾瀬のピストン運動は、とてもゆっくりで、腰をねじるように円運動を交えて零菜の膣内を犯している。

 零菜の膣内に挿入されたペニスを綾瀬は小刻みに動かす。

 側位の体勢では激しく突くことはできない。その分肌を密着させ、全身を使って零菜の発情を促す。

 

「ふう……んっ、ぅ……はう……ん、ふう……ぅ……ぁ……ん……ふう……あ、はぁ♡」

 

 綾瀬が腰を押し入れると零菜は嬉しそうに声を上げる。

 後ろからの挿入は深いところまでペニスが届きにくい。浅い部位を角度をつけて繰り返し愛撫する感じだろうか。

 

「んふ……んふ……ふはっ……あん……ん……あっ……ふっ、んあ……ああ……ん、あう……ああっ」

 

 じゅぷ、じゅぷ、と零菜の膣内をペニスを行きかっている。

 背後から回される綾瀬の腕が零菜の華奢な身体を抱き寄せて、乳房から腹部、そしてクリトリスまでをくすぐるように撫でていく。ぞわぞわとした得たいの知れない感触が肌を駆け抜けて、零菜は身震いする。

 

「あ、はあ……ん、ふあ……う……んん……あ、イイ……ん……」

 

 じっくりとしたスローセックスは、昇天するような強烈な快感はないが身体を内側から温めてくれるような安心感に満ちたセックスではあった。

 零菜の腹部を押しのけて、その存在を刻み込もうとするペニスを強く意識する。

 処女をなくしたときのセックスとは違う。零菜の側にも綾瀬を感じる余力があった。

 

「あ、ふあ……ん……あ……ん……来てる、んあ……綾瀬さんのチンポ……はあ、すごい、ふうっ」

 

 結合部が見える。

 自分のものとは思えない赤く充血したそこに固く太い、それこそ木の枝か何かではないかというような一物が入り込んでいる。

 ペニスが引かれると、結合部から泡立つ愛液が掻き出されて、カリがしっかりと肉襞を引っ掻いていくので電流が流れたような快感を味わえた。

 

「あ、ふ、んんっ。あ、そこっ、びりびり、しちゃうっ」

「ここ、ですね」

「ああ、そこ。なんで、他と違う……んんっ!」

 

 綾瀬の腰使いが零菜の弱所を的確に突く。

 筋肉という筋肉が勝手に痙攣しているかのようだ。

 緩急をつけた綾瀬の腰使い。零菜の膣肉が懸命にペニスに吸い付いて、扱き上げていく。

 

「はあ、はあ、はあ、はあ、んんっ、ああっ!」

「気持ちイイ?」

「はい、イイっ、ですっ。あ、ふあっ、あ、んんっ! ごめんな、さいっ、わたし、もう!」

「いいですよ。好きなタイミングでイってください」

「ひん♡」

 

 じゅぷり、と綾瀬は意図的に大きなストロークで零菜の膣奥を狙う。腰をくねらせて背後からの抽挿により、前方を押し広げるように押し込んでいく。

 

「あひっ、んひっ、ひはあ♡」

 

 零菜は思わず大きく嬌声を発する。

 到底、我慢できる快感ではなかった。スローセックスで徐々に高められた性感が、オーガズムの気配を感じて急速に膨れ上がっている。

 

「こんな、気持ちイイっ、あ、んんぐっ、ふ、ん……ああっ!」

 

 身体の内側がおぞましいほどに欲望に忠実になる。零菜のメスの本能が精を欲して悲鳴を上げている。

 

「う、ぁ、私も」

「んんっ……はい、このままっ、このままして、あ、あ、あ、い、イクっ、あひ、ひあ、あ、あ、あ、んんあっ」

 

 綾瀬のペニスが跳ねる。

 膣内でどくどくと熱を放出するのが分かった。

 同時に肉と肉のぶつかり合いが終わった。零菜の膣に挿入されたペニスは、零菜を孕ませようとしっかりと深く突き立てられて精を吐き出している。

 

「あ、あ、あぁ……あ……射精してる……感じる」

 

 零菜は真っ赤に染まった瞳を細めて熱を味わう。

 ゴム越しでも精の熱は格別だった。未だ直接味わったことのない中出しの感覚を想像するとそれだけできゅんとする。

 

「零さん……」

「あ、ん」

 

 零菜に身体を捩じらせて後ろを向かせる綾瀬。結合したまま唇を奪った。

 

「はう、ん、ちゅ……ん、ちゅぷ……」

 

 零菜は抵抗しなかった。

 柔らかい口づけの後に、零菜は舌を捧げた。綾瀬の舌のざらつきを自分の口内に感じながら、零菜は下腹部に意識を向ける。

 

(まだ、固い。射精したばかりなのに)

 

 萎えることのない強いオスの気配に零菜は俄然嬉しくなる。このまま、ずっと繋がっていたいとすら思えた。

 零菜は壁に掛けてある時計に目を向ける。

 そろそろ時間が来てしまう。制限時間があるのが忌々しい。

 

「ちゅぷ、んふう……れる……んん♡」

 

 零菜はまだ固い綾瀬のペニスを挿入したまま腰をくねらせ、ディープキスを求めた。

 時間が来るまで、可能な限り綾瀬を感じていたいという思いからで綾瀬もまた零菜のそんな思いに応えて、抽挿を再開するのだった。

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